Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。



見:U-NEXT
Info:公式サイトfilmarksLetterboxd


 U-NEXTにて。大阪市内を舞台にした、特別な事はなにも起きないけれどちょっと変なことが連続して起きる映画。日常系と呼んでいいくらいに、限られたエリアと広くない人間関係の往復で最後まで展開されていく映画だが、その狭さないとできない表現を狙っているんだろうなとは思った。

 フリーターでカフェ勤務の新平が主人公。特に何かこれと言ったものはなくふらふらと生きている彼は、カフェ店長から社員登用の提案を受けてもはぐらかすほどである。現代の若者、というよりはフリーターの身分を満喫していた少し前の時代の若者像かもしれないか、フリーターをやりながらバンドをやるとか役者をやるとか、そういったものがあるわけでもない。ただ一つ、映画館(十三の第七藝術劇場がモデル)に行くという習慣は続いていた。そんな中、映画館で出会う佳純を演じているのが山本奈衣瑠である。

 『猫は逃げた』(2022年)と『SUPER HAPPY FOREVER』(2024年)を見てからかなり気になっている山本奈衣瑠の「読めなさ」がとてもいい。理解不能だけどそれが魅力的な若い女の子を等身大に演じている。彼氏がいるが、彼氏が浮気をしている可能性が高く、彼氏のアパートのそばで見張り兼のぞきを続けている佳純。その佳純は新平と不思議な距離の詰め方をする(バイト先が一緒になるとか)が、かといって新平に性的に好意を持っているわけではない。あくまで自分の目的のために、新平を利用しようとするのである。

 ここまで書くと嫌な女というか、あざとくて狡猾なイメージにもなるかもしれないが山本奈衣瑠はそういう女性を演じない。あくまで身軽で気軽で、タイトルにあるように「まにまに」生きている風なキャラクターだ。新平と違って生きる目的はある(一応)。しかしその目的は、生活を賭けるほど重要なことなのかというと、そうした切迫感はない。だから頻繁にパトロールにやってくる若い警察官を、軽くあしらうのだ。本気ではないから(少なくとも、そう見える)。

 こういう設定の映画なので、1本見終えて良かったなとか、すごくいい映画だったなとか、そういった感慨をあえてもたらさないタイプの映画である。どちらかというと、フィクションというよりリアル寄りなのかもしれない。別れたはずなのに新平のことを茶化したり、甘えたりする元恋人(兼幼馴染)の女性のように、フィクションにありがちな「明確な役割を持っていない」キャラクターたちがこの映画には多い。

 映画的だと言えるのは、これもタイトルにあるように夜を主な舞台としていること。夜に動く。人間関係も、人生も。それもまた、一つの若さだろうと思うし、それを表現しようとした映画なのだと思った。
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