●積読チャンネル
著者が難波優輝なのである程度は想像していたが、単なるノウハウやテクニック本ではなく、時間とは何かという概念史から始まる。「ガントチャート大嫌い」からの「プロジェクト」という語源の歴史など、資本主義以前から深堀が始まるのが面白そうな一冊だなと思った。
マイケル・ルイスは『マネーボール』で有名だが同時に『マネーショート』の原作も書いているなど、金融ノンフィクションが主戦場の作家である。その延長線で書かれている一冊。FTXを作ったサム・バンクマン・フリードという男の半生を書いたようなノンフィクションになっているが、2010年代から流行が始まった効果的利他主義や長期主義に「吞み込まれていく様」がなかなかスリリングでおそろしい。
「悪人が権力を持つ理由は、様々あります」という身もふたもない話が展開されていく回。上に上がる人が悪い人なのか、人は上に上がってから悪くなるのかという議論はよくあると思うが、両方なのである(かなしい)。というわけで要因がたくさんあるため防ぐのに重要なのは「良い制度を作ること」だと言う。それもまあ身も蓋もねえなあ、と思うけど、人が人を見る目には当然限界があるのでそれをいかに抑制できるか、という話が重要なのだろう。
堀元がいない回なので普段より落ち着いているが、テーマと本のチョイスがむちゃくちゃ面白い。賄賂が悪いとされるのは一つの価値観であり、賄賂と贈与はそもそも区別がつきにくい、という視点から話が始まっていく。賄賂があることで円滑にまわる物事や人間関係もあるだろうし、現代でも非先進国では賄賂は日常的だ(ロシアや中国も含む)。そのため、賄賂はきっとこれからもなくならんのだろうな〜〜と思いながらのんびり聞く回だった。
●荻上チキ・session
政治学者の高安健将が言うように、中道が争点となるような政策を十分に出せなかったことが負けの理由の一つだろうと思いながら聞いていた。特に若い人へのメッセージが(ないわけではないだろうが)聞こえてこなかったのはかなり弱かったと思うし、それはネットの使い方の上手い下手以前の問題という指摘は強く首肯する。
一連の「エプスタイン問題」について語る前に「そもそもエプスタインとは何者か?」と「なぜエプスタイン問題が問題として発覚したのか?」から具体的に語っているのがいい番組構成。エプスタインが何者かということを知らなければ、問題や事件の底の深さが見えてこないのを強く感じる。
●朝ポキTV
ドイツの「小選挙区比例代表並用制」の話をしながら、日本の制度の特殊性(小選挙区をメインにした比例の並立、復活当選あり)を指摘しつつ、そもそも「理念が違う」制度を一緒にしている日本の衆院選の制度の特殊性を指摘しているのが面白い。小選挙区は死票が出やすいので「よくない」と言う人は多いが、それはもともと英米型の二大政党制を目指した制度ゆえの副産物なので、死票の多さだけで良し悪しを量るのは正直難しいように思う。制度は理念とセットなので、何がどうよくないのかは、具体的かつ合理的に指摘する必要がある。
候補者の話を聞きに行くのが好きなので、「こういう見た目で話を聞いてみたらどうなるか」を実践する秦正樹の話がめちゃくちゃ面白い。そして結果的に関西以外で負け続けた維新は、議席だけを見ればなんとか維持はしたものの「大阪の政党」になってしまったねという指摘はそうだろうと思う。また、大阪が特にそうだが選挙期間は自民と維新が対決構図をとっているのに、選挙後は自維政権として振る舞っている姿を(特に大阪の)有権者がどう思うか。これは選挙が終わっても続く違和感になるかもしれないし、「どっちでもいい」のかもしれない。ただもともと維新は「反自民」として誕生したよね、という指摘は改めて覚えておきたい。もっとも、特に30代以下の有権者にとってはそれも些末な問題かもしれないが。
メディアの「サナ活」報道に対するズレや違和感、おかしさを秦正樹のゼミ生が語るエピソードが面白い。メディアは「真面目に扱いすぎている」というのは実際そうで、特に若い世代こそカジュアルに政治的言説に接しているのが一つのリアルでもあるだろうと思う。良くも悪くも「ネットでいじられている」のが高市早苗であり、それだけで何かを語れるわけではなさそう。そしてTwitterは「老人の場所」というのは一部の若者の感想であり、若いオタクや受験界隈はいまでもTwitterにいっぱいいるぞ!! となった。
秦正樹の調査によると「公明、共産、れいわ」は拒否政党の指数が以前から高かった(自民も以前は高かったが今はそうではない)とのことで、立憲は意外と拒否政党の指数が高くない(おそらくネットで嫌われすぎ)。にも拘わらず『嫌われている公明」と一緒になったことがそもそもの失敗で、「お互いの悪い部分」が合わさっちゃったという指摘がまず重要。その上で中道は実際には中道ではなく左派として見られているというデータを紹介しながら、慌てて一緒になったわりにはこうしたズレを修正できなかったのが選挙結果につながったのだろうという指摘。公明支持者の7割程度は中道に投票しているが、立憲支持者はまちまちでおそらく消極的立憲支持者が離れたという点が、ズレの解消しきれなさの結果なのだろう。
●TBS CROSS DIG with Bloomberg
上記の朝ポキTVで秦正樹の話を聞きまくっておもろかったので(この人はいつも面白いのがずるい)過去の出演回を探したらTBSのこれが見つかったので聞いてみた。本にも書いていたと思うが、「政治的関心の高さ」が陰謀論と接近する一つの要素にもなってしまうのが政治的な陰謀論の扱いの難しさだろうと思う。秦が語るようにもともと政治に興味がなければ、多少陰謀論的な言説に接近する(あるいは向こうからやってくる)としても、のめりこんでいくことはあまりないだろう。「のめりこんでいく」のは元々関心が高く、何らかの危機感を持っている人たちだというのはコロナ禍の反ワクチン、反マスクの動きを見ていると実感が伴う話である。
●『違国日記』関連
女優としては中堅と言っていいくらいのキャリアを持つガッキーがまだまだ若い早瀬憩をお姉さん的に扱っているのがいい。槙生と朝の年齢差(20歳差)とほぼ同じ年齢差(新垣が88年生まれで、早瀬が07年生れなので約19歳差)であるのも良いかもしれない。実写版はまだ見ていないが、ガッキーが槙生をやろうとしたというよりは、ガッキーとして早瀬憩とどう接したかを見るべきなのかなとも思う。
アニメの1クール目が折り返したあたりでラジオが来たので驚いた。最近のアニラジは放送前から始まるケースも多く、放送中に様々なゲストを呼びながらな番組の広報を進める印象だが、このタイトルなら広報はしなくてもよかったということかもしれない(オタクが勝手に広めてくれるから)。それにしても、諸星すみれとまつえりが脇を固めるというのは面白い構図だな〜〜と思う。みゆきちと諏訪部というさらにがっちり固めるベテランがいる中だからこそ、中堅(諸星もキャリア的にはもう)が中堅として新人である森風子を温かく見守っている様子がとても良かった。
◆関連書籍
著者が難波優輝なのである程度は想像していたが、単なるノウハウやテクニック本ではなく、時間とは何かという概念史から始まる。「ガントチャート大嫌い」からの「プロジェクト」という語源の歴史など、資本主義以前から深堀が始まるのが面白そうな一冊だなと思った。
マイケル・ルイスは『マネーボール』で有名だが同時に『マネーショート』の原作も書いているなど、金融ノンフィクションが主戦場の作家である。その延長線で書かれている一冊。FTXを作ったサム・バンクマン・フリードという男の半生を書いたようなノンフィクションになっているが、2010年代から流行が始まった効果的利他主義や長期主義に「吞み込まれていく様」がなかなかスリリングでおそろしい。
「悪人が権力を持つ理由は、様々あります」という身もふたもない話が展開されていく回。上に上がる人が悪い人なのか、人は上に上がってから悪くなるのかという議論はよくあると思うが、両方なのである(かなしい)。というわけで要因がたくさんあるため防ぐのに重要なのは「良い制度を作ること」だと言う。それもまあ身も蓋もねえなあ、と思うけど、人が人を見る目には当然限界があるのでそれをいかに抑制できるか、という話が重要なのだろう。
堀元がいない回なので普段より落ち着いているが、テーマと本のチョイスがむちゃくちゃ面白い。賄賂が悪いとされるのは一つの価値観であり、賄賂と贈与はそもそも区別がつきにくい、という視点から話が始まっていく。賄賂があることで円滑にまわる物事や人間関係もあるだろうし、現代でも非先進国では賄賂は日常的だ(ロシアや中国も含む)。そのため、賄賂はきっとこれからもなくならんのだろうな〜〜と思いながらのんびり聞く回だった。
●荻上チキ・session
政治学者の高安健将が言うように、中道が争点となるような政策を十分に出せなかったことが負けの理由の一つだろうと思いながら聞いていた。特に若い人へのメッセージが(ないわけではないだろうが)聞こえてこなかったのはかなり弱かったと思うし、それはネットの使い方の上手い下手以前の問題という指摘は強く首肯する。
一連の「エプスタイン問題」について語る前に「そもそもエプスタインとは何者か?」と「なぜエプスタイン問題が問題として発覚したのか?」から具体的に語っているのがいい番組構成。エプスタインが何者かということを知らなければ、問題や事件の底の深さが見えてこないのを強く感じる。
●朝ポキTV
ドイツの「小選挙区比例代表並用制」の話をしながら、日本の制度の特殊性(小選挙区をメインにした比例の並立、復活当選あり)を指摘しつつ、そもそも「理念が違う」制度を一緒にしている日本の衆院選の制度の特殊性を指摘しているのが面白い。小選挙区は死票が出やすいので「よくない」と言う人は多いが、それはもともと英米型の二大政党制を目指した制度ゆえの副産物なので、死票の多さだけで良し悪しを量るのは正直難しいように思う。制度は理念とセットなので、何がどうよくないのかは、具体的かつ合理的に指摘する必要がある。
候補者の話を聞きに行くのが好きなので、「こういう見た目で話を聞いてみたらどうなるか」を実践する秦正樹の話がめちゃくちゃ面白い。そして結果的に関西以外で負け続けた維新は、議席だけを見ればなんとか維持はしたものの「大阪の政党」になってしまったねという指摘はそうだろうと思う。また、大阪が特にそうだが選挙期間は自民と維新が対決構図をとっているのに、選挙後は自維政権として振る舞っている姿を(特に大阪の)有権者がどう思うか。これは選挙が終わっても続く違和感になるかもしれないし、「どっちでもいい」のかもしれない。ただもともと維新は「反自民」として誕生したよね、という指摘は改めて覚えておきたい。もっとも、特に30代以下の有権者にとってはそれも些末な問題かもしれないが。
メディアの「サナ活」報道に対するズレや違和感、おかしさを秦正樹のゼミ生が語るエピソードが面白い。メディアは「真面目に扱いすぎている」というのは実際そうで、特に若い世代こそカジュアルに政治的言説に接しているのが一つのリアルでもあるだろうと思う。良くも悪くも「ネットでいじられている」のが高市早苗であり、それだけで何かを語れるわけではなさそう。そしてTwitterは「老人の場所」というのは一部の若者の感想であり、若いオタクや受験界隈はいまでもTwitterにいっぱいいるぞ!! となった。
秦正樹の調査によると「公明、共産、れいわ」は拒否政党の指数が以前から高かった(自民も以前は高かったが今はそうではない)とのことで、立憲は意外と拒否政党の指数が高くない(おそらくネットで嫌われすぎ)。にも拘わらず『嫌われている公明」と一緒になったことがそもそもの失敗で、「お互いの悪い部分」が合わさっちゃったという指摘がまず重要。その上で中道は実際には中道ではなく左派として見られているというデータを紹介しながら、慌てて一緒になったわりにはこうしたズレを修正できなかったのが選挙結果につながったのだろうという指摘。公明支持者の7割程度は中道に投票しているが、立憲支持者はまちまちでおそらく消極的立憲支持者が離れたという点が、ズレの解消しきれなさの結果なのだろう。
●TBS CROSS DIG with Bloomberg
上記の朝ポキTVで秦正樹の話を聞きまくっておもろかったので(この人はいつも面白いのがずるい)過去の出演回を探したらTBSのこれが見つかったので聞いてみた。本にも書いていたと思うが、「政治的関心の高さ」が陰謀論と接近する一つの要素にもなってしまうのが政治的な陰謀論の扱いの難しさだろうと思う。秦が語るようにもともと政治に興味がなければ、多少陰謀論的な言説に接近する(あるいは向こうからやってくる)としても、のめりこんでいくことはあまりないだろう。「のめりこんでいく」のは元々関心が高く、何らかの危機感を持っている人たちだというのはコロナ禍の反ワクチン、反マスクの動きを見ていると実感が伴う話である。
●『違国日記』関連
女優としては中堅と言っていいくらいのキャリアを持つガッキーがまだまだ若い早瀬憩をお姉さん的に扱っているのがいい。槙生と朝の年齢差(20歳差)とほぼ同じ年齢差(新垣が88年生まれで、早瀬が07年生れなので約19歳差)であるのも良いかもしれない。実写版はまだ見ていないが、ガッキーが槙生をやろうとしたというよりは、ガッキーとして早瀬憩とどう接したかを見るべきなのかなとも思う。
アニメの1クール目が折り返したあたりでラジオが来たので驚いた。最近のアニラジは放送前から始まるケースも多く、放送中に様々なゲストを呼びながらな番組の広報を進める印象だが、このタイトルなら広報はしなくてもよかったということかもしれない(オタクが勝手に広めてくれるから)。それにしても、諸星すみれとまつえりが脇を固めるというのは面白い構図だな〜〜と思う。みゆきちと諏訪部というさらにがっちり固めるベテランがいる中だからこそ、中堅(諸星もキャリア的にはもう)が中堅として新人である森風子を温かく見守っている様子がとても良かった。
◆関連書籍








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