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日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。





見:U-NEXT

 「TQXフィクション」というテレビ東京のフェイクドキュメンタリードラマシリーズの、おそらく第4弾。前回の『魔法少女山田』は期待していたほどではなかったので特にコメントはしなかったが、その前の『飯沼一家に謝罪します』に近いタイプの番組だなと思いながら見ていた。『飯沼一家』も最後に北海道を訪れて遺族を訪問するエピソードが出てくるが、今回は北海道その場所がはじめから舞台になっているのは何らかの共通性があるのかもしれない。試される北の大地は、今回題材になるようにオカルトや超常現象とは確かに相性が良い。

 北海道で市民登山家をしていた蜂谷という男性が亡くなったことを伝えるニュース映像から展開されるのが第1話。1話はほぼ過去の映像の切り貼りで終わり、謎解きとなる現代篇が始まるのは2話以降だが、1話で得た情報は、「冬山に朝日山という山に登り、全裸死体となって発見される」という情報である。

 誰かと一緒に登山したという形跡はなく、冬山登山のため何らかの事故死だと考えられるが全裸死体、かつ顔の損傷が激しいという情報がミステリーとして残される。そしてそれがネットにも残り続け、やがて「UFOによるアブダクションだった」という説が流布される。朝日山はUFOがよく観察される山でもあったのだ。だからタイトルが「UFO山」なのである(おそらく)。テレビ東京のディレクターは遺族である蜂谷の息子に当たるが取材NGを突き付けられたため、今度はUFO関係者を軸に取材を進めていくのが2話以降のあらすじである。

 「フェイクドキュメンタリーQ」のようなホラー要素はほとんどなく、オカルト要素は入っているものの純粋なミステリーとして見た方がすっきりしそうなドラマだった。ある人物の悲劇的な死の背景を追うのは、『飯沼一家』と『魔法少女山田』とも似た構成である。この二つのドラマはいずれも表にはなかなか見えない人間の悪意を探ろうとしたものだが、今回のドラマが提示するのは悪意というより、「特別になりたい」(by 高坂麗奈)という人間的な承認欲求である。

 市民登山家である蜂谷は、登山家として生きていきたいという表に見える承認欲求は分かりやすく持っていた。だから、第1話では生前に地元テレビきょくのインタビューを受けた映像も流される。しかしこの番組が探ろうとするのは、裏にある承認欲求だ。この点は『魔法少女山田』の、中年男性が魔法少女になりたいといういささかドス黒い承認欲求と重ねられなくもない。「特別になりたい」という感情は共有できるからだ。

 同時に、「特別になりたい」が輝くのは『響け!ユーフォニアム』のような青春劇だからであり、「いい年齢の大人」がこの言葉を使用するのは難しい。蜂谷の大学時代から付き合いのある男性が途中から2度インタビューに応じているが、「特別になりたい」という感情は第三者からすると「みっともない」とも言えるからである。そして承認欲求とオカルトが接続した結果、「登山しながらUFOを探す」のではなく、「UFOを探すために日本中の山を登る」という蜂谷が誕生したのだろう。

 おそらくだが、承認欲求とオカルトが接続することで、「特別になりたい」という感情を満たせる確率が上がると蜂谷は考えたのだ。合理的に考えるとUFOは存在しないだろうし、このドラマに登場するUFOの周期仮説などというのも、おおむねオカルトであり証拠がない。だが、「証拠がないけど自分は信じる」という行為は誰かに止められるものではない。蜂谷の生きた時代はネット社会ではなく、本やリアルなネットワークを通じた交流が主だったと思うが、「証拠がないけど自分は信じる」人はこのネット時代にはいくらでもいる。何なら、新たな証拠を捏造することも止まない(いわゆる「オルタナティブ・ファクト」)からだ。

 そしてこのドラマは、承認欲求とオカルトが接続した結果を単なる悲劇としても描かないところに絶妙さがある。京極堂に言わせれば「不思議なことは何もない」のだろう。しかし20年以上前の出来事を謎を解くには、時間という壁が存在する。結果として、説明できない「不思議なこと」が残されてしまう。不思議なことにも何らかの科学的説明ができるはずだが、完璧に説明できないならばオカルトが入り込む余地もある。そしてその時に、果たして悲劇だったのか? という問い直しをすることも可能だろう。

 これまで繰り返し題材にしてきた悪意も今回題材にした承認欲求も、いずれもとても人間くさい感情だ。もしかすると、そうした人間くささがオカルトを生んでいるのかもしれない。オカルトがあるから飛びつくのではなく、人間くさい感情がオカルトを生んでいる。そして現代ではそれが、陰謀論と呼ばれてネット社会に充満している。やれやれ嫌な世の中ではあるが、自分たちが人間という生き物である以上、それは避けられないものであり、向き合うしかないものなのかもしれない。
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