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日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。



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 ホン・サンス作品はすでに数多く見てきたが、新しいものを優先的に見てきていたので古いのはほとんど見ていなかった。少し前に見た『映画館の恋』が少し20年前のものなので初期作に含めて良いと思うが、これはさらに遡った時代の映画だ。

 2025年になって見返すと、まずやたらタバコを吸っているキャラクターが多い(特に後半部分)。そして1998年という時代設定のせいか、携帯電話を使っているそぶりもなかった。後半には男性二人で「ナイトクラブ」に行って従業員の女性を「持ち帰り」し、その後場所を移して行為に及ぶ場面があるが、1998年の時点ではまだ売買春は違法化されておらず、表だった営業も可能だったということなのだろう(と解釈した)。そうした背景を差し置いても、比較的静かな観光地が舞台になっている。

 静かな観光地であるカンウォンド(江原道)を舞台にした理由ははっきりとは明かされないが、前半部分も後半部分も旅行がテーマだ。旅をするなら、大都会じゃないほうがよい。これは『浜辺の女』でもそうだったし、『よく知りもしないくせに』もそうだったと言っていいかもしれない。短い滞在の中で起きる出来事を、そのままに描いている。このころからすでに、重要なのは物語性ではなくて、設定と会話であるというわけだ。

 前半部分は短く終わるロマンスだ。江原道を旅していた女子大生二人組がいて、若い警察官と出会う。その警察官と親しくなって食事をするようにもなるが、彼は既婚者だったというオチだ。でも既婚者だから、それ以上の関係を求めないこの警察官氏はこの映画の中では数少ないいい男である。後半はまったくもってそうはならないからだ。

 後半に江原道にやってきた男性二人組は先輩と後輩の関係。観光したり、前述した「ナイトクラブ」で持ち帰り行為をしたりする。男の一人は映画の終盤の場面でも別の女性と行為に及ぼうとする。しかしこのセックスは、いずれも「完遂」はされない。そのように描いている意図はおそらく単純で、ホン・サンスは基本的に男に厳しいからだだろう。

 まあそれはさておき、前半の恋(片想い)が中途半端で終わるように、後半の恋(セックス)もまた中途半端に終わるのである。前半の終盤に女性は大声をあげて泣く姿が映し出される。それを見てただただ若いな、と思うこともできるだろう。微笑ましいとすら思える場面だ。しかし後半の男性たちを見ていて、若いなという感想を持つことができても、「微笑ましい」とはまず思えない。目の前の女性が誰でもいいのだ。セックスすることだけを考えている男の醜悪さをホン・サンスは描こうとしているのだから。

 前半は少し寂れた静かな観光地だからこその味わい。後半は、寂れているのは感情のほうでは?? と思わせる味わい。長い映画ではないが、あえて前半と後半に分割することで違う味わいを見せる構成は後の『映画館の恋』や『正しい日 間違えた日』で結実する。だからこそ、まだまだ粗削りで実験的とも言えるのが、今回見たこの映画だったのかなと感じている。

◆関連エントリー(ホン・サンス監督作品)
二部構成、そして役割の二重性による攪乱 ――『映画館の恋』(韓国、2005年)
スローで退屈な前半と、忙しくておしゃべりな後半 ――『浜辺の女』(韓国、2006年)
薄っぺらくて饒舌なだけでは ――『よく知りもしないくせに』(韓国、2009年)
「物語が始まる」までの遅さ、威風堂々のこっけいさ ――『教授とわたし、そして映画』(韓国、2010年)
ループするけど終わりは来るし終わらせないといけない ――『次の朝は他人』(韓国、2011年)
まどろみとさみしさ ――『へウォンの恋愛日記』(韓国、2013年)
海辺の風景を反復する、灯台を探して ――『3人のアンヌ』(韓国、2013年)
何もないようで、小さな何かが起こり続ける ――『自由が丘で』(韓国、2014年)
ヒジョンの密かな企みについて ――『正しい日 間違えた日』(韓国、2015年)
ミンジョンというゴーストを追いかけて ――『あなた自身とあなたのこと』(韓国、2016年)
問いを投げ続けるアルムの気高さ、美しさ ――『それから』(韓国、2017年)
逡巡する、タバコを吸う、声を上げる ――『夜の浜辺でひとり』(韓国、2017年)
キム・ミニというユニークな変数 ――『草の葉』(韓国、2018年)
男たちの不協和、女たちの寄り添い、そしてその後 ――『川沿いのホテル』(韓国、2018年)
女たちそれぞれの理由 ――『逃げた女』(韓国、2020年)
何も始まらないまま映画は終わる ――『イントロダクション』(韓国、2020年)
創作における自由、アクセントとしてのキム・ミニ ――『小説家の映画』(韓国、2022年)

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