Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。



見:ソレイユ・2
Info:公式サイトfilmarksIMDbLetterboxd

 ソレイユにて。公開してから初めての週末ということで、ソレイユにしては珍しく席がほとんど埋まる状態の大盛況だった。そして間違い無く「映画館で見る映画」といったところ。

 壮大なおとぎ話、という触れ込みと美しいビジュアルとロケーション。これだけを頭に入れて行ったので、どういうストーリーなんだろうと思いながら見ていたが、思った以上のメタフィクション映画ですね。かつ、「映画についての映画」でもあるところが三重のメタフィクション性を持っていて面白かった。

 「本筋」のストーリーはシンプルで、ある病院に入院中の少女と若いスタントマンが出会い、空想好きな少女アレクサンドリアのお願いを、若いスタントマンが聞き入れながら「おとぎ話」をはじめてゆく。その「おとぎ話」内容が、壮大なスケールで展開される物語になるわけだが、この物語はあくまでスタントマン氏による「おとぎ話」であり、こちらが本筋ではないというのがポイントなのである。

 本筋ではないとはどういうことか。まず、頻繁に「おとぎ話」パートは中断される。理由はいろいろあるだろうが、まだ幼い少女に長話は向いていないし、長い話を聞かせるには一日では足りないから、とも言える。だからスタントマン氏は意図的におとぎ話を中断させるし、少女との会話や病院の職員(美人の看護師)を登場させることもある。

 いわばあくまで、合作的なおとぎ話なのであるり、この合作がこの映画にとってのもっとも重要な点なのではないかと見ている。つまり、スタントマン氏がただただ語り部として存在するだけではこの物語は始まらない。少女アレクサンドリアがいなければならなかったのだ。しかも二人ともに「落下(fall)」が原因で入院しているのである!

 また、これは自分が入院経験豊富だから言うわけではないが、そもそも入院生活とは退屈そのものなのだ。閉ざされた空間、限られた行動範囲、よく顔を見る人たち(医師や看護師など)。そうした退屈でルーティン化された生活を送っている少女にとって、夢のような世界を物語ってくれるスタントマン氏の存在は彼女を間違いなく救っている。そして、夢のような物語を「現実の風景」の中で撮影したこの映画の凄みを、改めて観客は感じることになるのである。

 映像美とリッチな衣装は確かに素晴らしいし、見るべき点だと思う。しかし繰り返すが、この映画は青年と少女の合作なのだ。まだ映画という概念も知らなければもちろんスタントマンという職業も知らない。英語もたどたどしい。そんなまだまだあどけなくて、いい意味で無知で純朴な少女に対して夢のような世界を見せよう。この発想でこの映画が作られたことが、この映画の最大の勝利だったと思えてならない。
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット