Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。



 ↑前回の続き。約4カ月ぶり。
 この間の雑感としては、戦局で大きな動きがない(長期化は基本的にウクライナに不利)、イスラエルのガザ侵攻がまだ続いているので世間の関心もそちらの方が高い、北とロシアが謎な接近をしている、といったところ。一番最後の北とロシアの関係が非常にきな臭く、アメリカとしてはウクライナやイスラエルに手いっぱいなところ北に怪しい動きを取られるのはなかなか難しいところだろう。もちろん日本にとっても(かなしい)。


■文藝春秋電子版「【ウクライナ報道】日本のメディアは評価に値するか 小泉悠×高橋杉雄」(2023年11月20日)



 公開は去年の11月だが収録は2022年なのでややラグがある番組。ただラグがあるからこそ、「正直言って日本のメディア見直しました。特にワイドショー」という高橋の言葉が印象的。現時点では地上波でウクライナの話題を見るのはNHKがせいぜいといった印象があるが、2022年の時点で確かに、昼/夜、地上波/衛星問わず多種多様な番組でウクライナ戦争を取り上げていたのは印象に残る。

■北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター公開講座「小泉悠『ロシアから見た極東の軍事的位置付け ―2030年代の極東ロシア軍を考える』」(2023年12月8日)



 2023年10月に行われたセミナーのアーカイブ配信。10月〜11月にかけて北大で7回連続で行われた公開講義であり、内6回がアーカイブ配信されているのは非常にありがたい。正しい学費の使い方であろう。

 セミナーの4回目に登場した小泉悠は、20世紀初頭のロシアの軍事から、2030年代のロシアの軍事を見据えるという非常にスパンの長い講演になっており、興味深い。特に戦後の2つの冷戦と言う切り口、つまり米ソ冷戦だけでなく、長い国境を有する中国との間における中ソ冷戦へのコミットもソ連にとっては重要だったことがうかがえる。近年ではロシアと中国の接近も見られるが、この関係は常に緊張含みであることをソローキンの小説『親衛隊士の日』にも言及しつつ、現代のウクライナ戦争や台中問題も絡めたリアルなマターとして分析を行っている。

親衛隊士の日 (河出文庫)
ウラジーミル・ソローキン
河出書房新社
2022-10-21




■豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス「ロシア経済なぜ“好調”〜ウクライナ戦争を“ロシア目線”で見る」(2023年12月16日)



 今のロシア経済に着目するテレ東らしい番組。多くの男性が戦争に行った結果、失業率が2.9%に低下するというまあなんとも言えない戦時下のロシアだが、兵器の生産などでGDPの押し上げ効果もあり、消費財も並行輸入で経済制裁を回避しているという話はさもありなんというところ。またプーチンが再選を重ねて2036年まで政権に就いた場合、首相時代も含めるとスターリンの在職年数を超えるという話もまた恐ろしい。間違いなく悪い意味で歴史に名を残している。

■深層NEWS(BS日テレ)「【小泉悠×兵頭慎治】プーチン氏語った2024年戦い「4つの優先課題」露兵器生産能力衰えないワケ」(2023年12月23日)



 意外と衰えない生産能力の要因はいろいろある(企業の参入体制の整備、原油価格、技術移転など)が、経済制裁に抵抗するだけの能力があることを示している。また、ISWの2024年のシミュレーションも興味深い。「ウクライナを支援した方が長期的にメリットがある」ということを具体的に示している。

■報道1930(BS-TBS)「ウクライナ戦争の現在地/プーチン氏が“停戦に関心”その狙いは」(2023年12月26日)



 冒頭、プーチンのスピーチが映画版『1984』と似てる! と言う話があり、オーウェルの母国イギリスでまず話題になったらしい。あくまで似ているだけでどこまで意識したかは分からないにせよ、不吉なのは不吉である。

■文藝春秋電子版「【冒頭30分】小泉悠×東野篤子×廣瀬陽子×長谷川雄之「2024年のウクライナ」(2023年12月27日)



 冒頭30分だけ無料なので無料パートのみを見たが、30分の中でも安心と安定の小泉、東野、廣瀬がこれまでの情勢を振り返りながら2024年を見据える。長く聞く面白さもあるが、過去2年間の反省をしながら次の1年にいかに続けるかという話題に焦点が当たっており、30分と言うコンパクトさゆえに得られるものが多い番組だった。

■飯田浩司のOK!Cozy up!(ニッポン放送)「2024年 1月16日(火)コメンテーター:小泉悠」



 時事解説的なゲストなのでウクライナ戦争以外の話題も多いが、前半部分でロシアと北朝鮮の接近についてコメントし、後半部分(40分あたり)でアメリカ議会がもめている中で日本が可能なウクライナ支援についてコメントしたところがポイント。ロシアと北朝鮮の接近は日本の国益にとっても危険で、だからこそ日米韓の3か国の連携が重要だという話。また、ウクライナ戦争でウクライナが劣勢になることもまた翻って日本の国益にとって望ましくないため、義侠心ではなく国益の観点で日本独自の援助を議論した方がいいのでは、という話がされている。

■報道1930(BS-TBS)「オホーツク海のロシアの核は… / ウクライナを敗北させない“プランB”」(2024年1月22日)



 いまのウクライナ(と西側諸国)にとって重要なのは負けないことである、というターゲットを実現するためのプランBが2つ紹介され、より現実的なプランB2について議論される後半のパートが見ごたえある(トランプの大統領選再選も考慮されている!)。武器供与の継続も当然重要だが訓練や編成といったテクニカルな軍事的な要素も重要と言う話。長期化はウクライナにとっても厳しいわけだが、容易には停戦や妥協をしないロシアをさらに追い込むためにも「負けないこと」を目標に「せざるをえない」リアリティがあるのだと感じた。

■ニュースウオッチ9(NHK)「【小泉悠准教授に聞く】ロシアと北朝鮮が接近している理由は?日本などアジアの安全保障に影響は?」(2024年1月22日)



 民生品が欲しい北と、旧式の武器がほしいロシアにとって戦略的互恵関係のような接近が起きており、さらに北が韓国を挑発しているのが東アジア情勢をややこしくしている。こうした状況におけるアメリカの立場の難しさについても小泉は丁寧に解説している。「1950年よりも危険」というアメリカのリポートは(信頼性はともかくとして)不吉な気がする……
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