見:U-NEXT
Info:公式サイト/filmarks/Letterboxd
U-NEXTのレンタルで視聴。思ったよりも良かったかなという感想を持った。原作がかなり好きなので主役二人の雰囲気がだいぶ違うなあ、という印象があったが、映画を見始めるとこれは大泉洋と永野芽郁のドタバタだと思って見ればいいのだと思った。
永野芽郁はこういう感じの天然が入ったような自由なキャラクターを演じるのがとても似合っている。この点は『からかい上手の高木さん』の大人高木さんの時と似たようないい組み合わせであるし、どちらも漫画原作で実写化するという点では難しい役所だがほとんど違和感なく、映画の中のキャラクターになりきっているのがとてもいい。
特にこの映画も原作にも描かれているような下積み時代の東村アキコはとにかく感情表現豊かで、同時にかなりのんびりとした存在でもある(そこが良くも悪くも宮崎らしいところなのだろう)。そののんびりさ、能天気さを見上愛演じる同級生にチクチクされるところまで含めて東村アキコらしいところであり、能天気な永野芽郁に違和感がないのがとても面白いところだ。
対して大泉洋についても違和感があったのは最初くらいで、愛想が悪くて武骨な日高先生を好演している。原作のビジュアルと大泉のビジュアルはかなり違うので、無理に原作に寄せようとはせずに大泉洋のビジュアルに日高先生らしさをどう足して行くか、という演出を意識していると思われる。これが結果的にうまくいっていると感じられた。
重要なのはアキコが進学して金沢に移ってから二人の関係が少しずつ変わっていくところにある。アキコは先生のことや宮崎のことをを忘れようと大学生活をエンジョイしていたが、課題の提出でいい評価を貰えなかった時に頼りになるのが日高先生だった、という逆説的な展開によって二人の関係が変化していく。今まででどおりでもないし、かといって終わりでもない。まだインターネットもほとんどない時代に二人を繋ぐのは電話回線だけだが、それでも二人ともそれぞれの離れがたさを表現している。
終盤、ガンが進行して痩せかけたときの日高を演じる大泉洋は鬼気迫るような表情でもあり、同時に絵を描くことに最後まで執着していた点ではクリエイターとしての矜持を見せるようでもあった。画家と俳優。違う職種であり肩書きではあるが、表現者として感じいるところがあったのではないかと思うほど、大泉が自分の身体を使って末期の日高を最後まで好演していることで、原作同様に存在感を放っている。日高の存在感こそがこの作品を支えている(描け!というシンプルな言葉とともに)ため、この日高の演出に最後までこだわって見せていたのはとてもよかった。
永野芽郁と大泉洋の話をしすぎたが、周りの役者たちもそれぞれにいい脇役を演じている。メインの二人「だけ」がいてもこの映画は成立しない。学校の教室の日常の風景、絵画教室の過酷な描写、大学生活の楽しさと厳しさ、そして大人になってからの経験と出会い。2時間の中で凝縮する以上、どうしても原作を駆け足で消化した部分はある。ただそれでも、前述したように最後まで日高先生の存在感を消さなかったことが、この映画が傑作、とまではいかないまでも秀作である証拠だと言えよう。


コメント