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日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。



見:Amazon Prime Video
Info:公式サイトfilmarks

 アマプラにて。部活(サークル)を舞台にした日常系なので『ゆるキャン△』に近いかなとなんとなく思っていたが、むしろかなり違う形式の日常系だなと思った。そもそもP.A.WORKSが元請けかつオリジナルで日常系を作るというのは、これまでのストーリー重視の方向性から脱皮しようとしている(あるいは作風を広げようとしている)一貫なのかもしれない。

 大学にサークルを作るところからストーリーは始まるが、ストーリーと言っても明確なゴールはなく、だから日常系として成立している。そしてこのアニメが面白いのは「続けること」を自己目的化している点だ。ここでは事務員さんのポジショニングが重要になる。

 事務員さんは別にサークルの顧問という訳でもなんでもなく、設立の際に応対した大学職員の一人である。もちろん応対するということは、サークルに関する事務を担当しているのだろうということがわかるが、担当業務の範囲は明確ではない。事務員さんは食文化研究会が部室が欲しいだけの「ダミーサークル」だと見透かしている。しかしながら、不許可にするほどの権限は持っていない。だから一大学職員として、サークルの継続を援助するのだ。

 このように明確な役割ではないものの、不定期にサークルメンバーの前に登場することで、アクセントを加えている。これはある意味日常系らしからぬキャラクターだが、この事務員さんのポジショニング次第でサークル運営がいい方向に進むかまずい方向に進むかが左右てる場面も出てくる。近くに居て、積極的な介入をしないが、しかし結果的に介入しているというポジショニングの妙があったと言える。

 前置き(?)が長くなってしまったが、このアニメを見るのは正直難しい。特に序盤の数話だけを見ていてもこのアニメの方向性がさっぱり分からないからだ。主人公の河合まこが料理好きであることは分かるが、それがこのアニメにどのような深みを与えるのかは序盤の時点ではまだよくわからない。ただ、次第にこのアニメは日常系の文法を「外していく」ことに逆説的だが魅力があると思われる。

 例えば、移動だ。このアニメは部室を確保することが最初の目的だったわりには頻繁に移動する。特に5話以降に複数の部員が運転免許を所持してからは、古館くれあの実家の車を利用して遠出する機会も増えてゆく。この5話の展開がなければ、最後に河合まこの地元を訪れるという展開も予期しづらいが、外出や遠出といった移動を頻繁に繰り返すことで、実は移動を軸にしたアニメである可能性を見せている。日常系の多くが中高生ものであるのに対して、すでに全員が18歳以上という設定をうまく生かした形とも言えるだろう。

 場所を移動しながらも「大学の友達」と一緒にいて、食事をするという中心的な営みが変わることはない。同じモチーフの繰り返しは典型的な日常系の文法だ。しかしながら前述した事務員さんや、部員の家族の出演など、やはり日常系の文法を外すことにこのアニメの中心的な狙いがあると思われる。

 つまり、「日常系の文法を外しても違和感なく日常系アニメは作れるのか」というのが、P.A.WORKSらしい取り組み方だったと言えるのかもしれない。そしてこの制作意図(?)を理解してようやく、このアニメを「見られる」ようになった。個人的にはそういう風に解釈した日常系アニメだった。


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