Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。



見:OSシネマズミント神戸

 もともと神戸滞在中に見る予定だった『PAST LIVES』の時間に間に合わなかったが、そういえばまだハイキュー!を見ていなかったなと思い、あえての神戸でハイキュー!ということをやってみた。昔から旅先で映画を見るのは一つの趣味だが、神戸で映画を見るのはシネリーブル神戸、元町映画館に続いて3つ目で、今回が初めてのシネコンだった。

 音駒高校との春高3回戦を約85分に圧縮した一本。原作は33巻〜37巻までとそれなりのボリュームがあるので(読んではいないが)かなりの量を削ったことだけは分かる。その上で一貫しているのはこのシリーズらしい物語性と人間ドラマなんだろうなと思った。特に音駒の二人、孤爪研磨と黒尾鉄朗はかなり初期から作品に登場するメンバーだが、合同合宿や練習試合での交流が中心だったため、公式戦での対戦は初めてだ。

 音駒の戦略ははっきりしていて、烏野のシンクロ攻撃を防ぐこと、そして日向の個人技を防ぐことだ。特に後者に関しては徹底しており、サーブでは誰もが日向を狙って日向を崩す。レシーブが苦手なことはこれまでも描写されてきたので、視聴者もこの戦略の意図はよく理解できる。その上で日向が音駒の崩しに対してどう対抗するのか。「飛ぶ」ことに命をかけてきた日向と、「飛べる」日向を信じてトスを上げ続けてきた影山。二人のコンビは、いかにして音駒の狙いを攻略するのか。

 そんなことを考えながら見ていたが、試合の合間に頻繁に挿入される研磨と黒尾の二人の幼少期、出会ったころからバレーを始めてハマっていくまでのエピソードが描かれるのがとても良かったと思う。家でゲームをすることに熱中していた研磨を、黒尾は引きずり出す、とても楽しそうに。その中で研磨はセッターというポジションの面白さを知ってゆく。黒尾はサッカーもしているらしいが、研磨はサッカーを選択しないでバレーにのめりこんでゆく、というエピソードだ。

 スポーツでも仕事でも、「向いていること」を認識できていて、そしてその役割によってチームに貢献できるならば嬉しいことはないだろう。ただスポーツの場合は明確に相手がいる。相手だって、「向いていること」の組み合わせのチームだ。日向のように、背が低いという「向いていないこと」だって圧倒的なジャンプ力という「向いていること」で優位に立つこともできる。弱点をすべて克服する必要はないし不可能だが、それでも補える弱点(日向のレシーブなど)は補った方が良い、といった具合に長所と弱点に対するバランスのとり方も様々ありえるだろう。

 バレーボールは攻守交替の速いスポーツだ。だから攻撃型の烏野、守備型の音駒という理解は違うと思う。攻撃から入る烏野と、守備から入る音駒と言った方がおそらく正しい。どちらに比重を置くかで戦術は大きく変わるからだ。攻撃を重視する烏野がその攻撃を封じられる時、今度は守備の重要性が問われる。音駒にしても守備だけをやっていてはいい攻撃ができない。いい攻撃をするために、相手の守備の穴をいかに突くかが今度は問われる。これもまたバランスの問題だ。

 3セット85分という目まぐるしい時間の中で、それでも過去のエピソードを削らなかったのが良かった。それは、研磨と黒尾がどのような過去を歩いてきたかがよくわかるからだ。影山と日向の過去については視聴者はもうすでによく知っている。過去の経験が今を形作っている。スポーツにおける過去の経験とはつまり、「向いていること」と「向いていないこと」をみつめてきた歴史とも言えるかもしれない。

 その意味では異なる歩みを持つ歴史と歴史が、練習ではなくて「本気で一回きりの」対決をする、究極の85分だった。


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