2025年ベストというよりは、良かったなと思うアルバムやEPをつらつら並べていきます。
18+7にしたのは無理やり25にしたかったからですね、はい。
◆18枚編
1.Beachside talks『Hokorobi』
たまたま自動再生で流れて来た「Big Sky」でおお、と思い『Hokorobi』を一通り聞いてみたが、ポップス要素を多分に取り込んだバンドサウンドという感じで、音楽のキラキラした感じと控えめなボーカルがケンカしていないのもいい。あくまでベースはバンドサウンドだが、「Dream Up!」などはドリームポップみもあって耳がとても気持ちいい。
2.CIVILIAN『aphasia』
今回挙げたラインナップには活動休止やメンバー変更を発表したバンドが多いが、CIVILIANもその一つ。ボーカルを務めるナノウの体調問題という点が非常に気がかりだが、ボカロP時代から、そしてその前から数えると20年以上音楽活動を継続してきたことを考えると、致し方ない決断だったのかもしれない。
ナノウには過去ボーマスでお会いしたとおもうが、CIVILIANはまだ一度も生で見たことがない。8月の梅田あたりを狙っていけるか。活動休止発表後に公開したEPはどれも粒ぞろいで、特に「aphasia」と「君を待ってる」はずっと聴いていられるサウンドとボーカルだ。自分の中では「朝焼け、君の唄」以降青春の痛みや孤独を歌ってきたバンドだと思っていて、こういう音楽をもっと聴きたいバンドの一つだった。
3.Hakubi『27』
Hakubiには「17」という曲と「22」という曲があるので、5歳差ずつきっちり刻んできましたよというアルバム。ただ今回「27」という曲は作っていなくて、EP全体で聴いてくれ、という構成なんだろうなと思う。「もう一つの世界」や「2025」を聴いていると、「歳を刻みながら生きること」に対するHakubiらしいスタンスが見えてくる。ゆったりとしたサウンドから次第に激しくなる「17」や「22」
と比べると、初めから勢いがあるというところが『27』の構成だなと思った。
4.kurayamisaka『kurayamisaka yori ai wo komete』
初めてのフルアルバムだが、リードの「kurayamisaka yori ai wo komete」から「あなたが生まれた日に」までが計算尽くしされたリッチな構成のアルバム。特に好きなのは「jitensha」で、ライブ映像を繰り返し見ていたが、「sunday driver」とか「ハイウェイ」とか、乗り物をテーマにした楽曲が多いのも、12曲の構成を意識したものなのかも。
楽曲制作とギター担当の清水がnoteでセルフ解説しているのもいい。こういうミュージシャン自身の文字発信はもっといろいろ見てみたいですね。
5-6.Laura day romance『合歓る - walls』/『合歓る - bridges』
今一番好きなバンドはなんですか、と聞かれたら後ろで挙げるHomecomingsと、そしてローラズの名前をすぐに出すと思う。ローラズは2024年の「透明」で最初に知ったのでまだ聴き始めて日が浅い。ライブも24年秋にBIG CATで見ることができたが、去年は一度も見る機会がなかった。逆にHomecomingsは25年に2度見たので、26年は絶対ローラズをまた、という気持ちでいる。
前半後半という形で、同じ一年の間にフルアルバムを2枚制作するというかなりの力業を見せながら、バンドとしてのレベルがまだ一段、あるいはそれ以上上がったかもしれない。「walls」だと「Amber blue」や「プラットフォーム」が、「bridges」だと「ライター」と「ランニング・イン・ザ・ダーク」の仕上がりがとてもいい。それぞれのアルバムのムードを代表する曲がこのあたりだと思っているが、「bridges」では特にゾクゾクさせるようなサウンドと、不確かさや曖昧さを擁護するような歌詞の美しさが確かに存在する。一年の間にクオリティを研ぎ澄ませながら、着実に楽曲を作り上げたのだ。
7.NOMELON NOLEMON『HALO EP』
ジークアクスは結局映画を見ただけでテレビシリーズは未見の状態だが、ノーメロの音楽は本当にずっと聴いていた一年だった。リードの「ミッドナイト・リフレクション」は本当に素晴らしくて、他の音楽ももちろん粒ぞろいでシティポップテイストあり、エレポップテイストあり、ドリームポップみも混じってとても楽しいのだが、他の曲を聴いた後に「ミッドナイト・リフレクション」に立ち返ると一発でやられてしまう何かがある。圧倒的、とは少し違う。だが確実に魅了される何かがある。そういう意味では不思議な曲でもある。
8.Ray『White』
気づけばアイドルの楽曲、特に自分より年下のグループの曲を聴くことがほとんどなくなってしまったがRayだけは熱心に聴いていると言ってもいいかもしれない(他はマジでわからん)。
Rayの魅力はその電子音楽テイストで、歌っているのか踊っているのかわからない(たとえば「See ya!」のような)曲も多数あり、総合芸術的な良さがあると思っている。かといってPerfumeのような完成されたアートワークというよりは、まだ途上にある女の子たち、といったところか。比べるのも良くないかもしれないが、Tomato'n Pineやfaint*starにかつて見た夢を、異なる時代に異なるレベルで「演じ続けている」アイドルだと思っている。
映像を見る限り、音楽だけでは片手落ちでやはり現地で体感してようやく「理解できる」のだろう。
9.tiny yawn『euphoria』
いま一番ライブを見たいバンドは、と聞かれるとtiny yawnだと速攻で答えると思う。好きになったきっかけは「夜明けの星」が見せる美しくてメロディアスな楽曲構成と、その楽曲と喧嘩せずに優しく響いてくる低音のボーカルだが、楽曲構成を変える中でボーカルを調整する試みがこの『euphoria』には見られるかなと思った。
リード曲の「YOUTH」のようなやや激しめの構成は今まであまりなかった展開で、そのあとの3曲はどんどんダウナーなサウンドに寄せる。低音ボーカルはダウナーなサウンドとも相性がいい。自分が好きなのは鮮やかなメロディラインだが、こういう方向性もアリかもという4曲だった。
10.TOMOO『DEAR MYSTERIES』
気づいたら遠くに行ってしまった気がするTOMOOだが、遅咲きのキャリアを考えるとようやく届いた地点、と思えばよいのだろう。アルバムの前半はシングルリリースした曲をずらっと並べる珍しい構成で、2025年のTOMOOの自己紹介というか、ここを聴けば名刺代わりには十分なりそうだ。特に「コントラスト」の優しさが好きでずっと聴いていたし、ずっと聴いていたい。
後半には後半の良さというか、シングルでない分の自由さが見えてくるかもしれない。「高台」を聴いていると、年明けにリリースした「ソラーレ」を予感させる響きもある。リズミカルで楽しくて、そして優しくてあたたかい。これからのTOMOOの目指す地平も一緒に見てみたい。
11.あたらよ『泡沫の夢は幻に』
これだけ完成度の高いアルバムを見せられると、なんとしてでも2025年のあたらよを生で見たかったなと思う。前作もかなりバランスのいい構成だったが、今回は8曲構成なのでバランスというより統一感、頭から最後までのストーリーをとてもきれいに作っていると思う。まだまだ若いメンバー構成だが、バンドとして円熟味が増しつつあるのかもしれない。
リードの「朝凪」と「溺れている」、「しないで」はずっと聴いていた。ひとみの「しないで」を何百回聞いたか分からない。ひとみの声がずっと焼き付いていて、胸がきゅっとしてしまう。
12.鬼頭明里『Journey』
鬼頭明里の声がシティポップにめちゃくちゃ合うんだということをリードの「Nonfiction Nook」を聴きながら素直に思う。これだけをずっと聴いていてもいいや、と思えるほど満足度の高いリード曲で、楽しい。3曲目の「Magie×Magie」はアニメ主題歌なのにこれもシティポップに聴こえてくる面白さがある。ただ後半はアニソンシンガー色が増して「mo∞ent」で鮮やかにアルバムをフィニッシュするのは、前半とは違う気持ちよさがあってこれもまた良かった。
13.クレナズム『a beautiful days』
「福岡のバンド」であることを改めて打ち出しているのが、リード曲の「ホーム」だなと思った。福岡の音楽事情に詳しくないが、東京や関西を車で回るクレナズムにとって、福岡や九州は仕事を終えて必ず帰る場所なのだろうと思う。
だからというわけではないだろうが、「センチメンタル」や「木村楓」のような私的な関係性や感情を歌った楽曲が耳に残っている。クレナズムは去年心斎橋のJANUSで初めてお目にかかれたバンドで、そういう意味でも2025年に印象に残っているバンドだ。「センチメンタル」のMVは福岡の海岸で撮影されており、バンドにとってはやはりホーム感があるのも良い。
14.コレサワ『あたしを選んだ君とあたしを選ばなかった君へ』
アルバムタイトルからしていかにもコレサワ節!という感じ。制作はかなり活動的にやっていて、ライブの本数もどんどん増えているイメージだがフルアルバムはこれが4年ぶりなのが意外だった。そのため、「SPARK!!」のようにコロナ禍に作った曲もラインナップに入っている。
リード曲や「かわいいもん」や「浮気したらあかんで」のように容赦なく関西弁を入れ込んでくるコレサワらしい曲も好きだが、「朝帰り」や「♡人生♡」のように、かわいさアピールだけじゃなくてちゃんと性的にもわたしを求めてね、というメッセージを小出しにするところがなんだかんだ好きだな、と思う。
15.冨岡愛『愛's cream』
冨岡愛に最初にやられたのは間違いなく「愛 need your love 」だし、「恋する惑星『アナタ』」だなと思う。これほどまでに「上手い」人ってなかなかいない。音楽と声でなんでもできそうな可能性があるというか、すでに完成されているようで同時に伸びしろも感じさせるのが冨岡愛の見せる凄みだと思う。ただ、そういうリズミカルな楽曲の中で、「グッバイバイ」のようなシンガーソングライターが見せるような楽曲を作れるのもいい。多彩だ。
16.羊文学『Don't Laugh it Out』
ドラムのフクダが脱退して完全に2人体制になることを年の瀬に発表した羊文学だが、2025年は一貫してフクダが不在だっただけに、すでに2人体制としてどうやって羊文学をやっていくのか、を模索した一年だったのかもしれない。その一つの集大成としての、2人で作ったフルアルバムがこれ。
「声」や「Burning」のようなタイアップ曲は激しさが目立つものの、全体的には落ち着いており、やや暗さも見せる一枚かもしれない。それでも「いとおしい日々」や「Feel」を作ることで、不安の中にも希望を見出していこう、というポジティブさは感じとれる。
2人が作ったアルバムは、フクダの耳にもきっと届いている。いや、そのためにこそ作った一枚なのかもしれない。
17.雪国『shion』
2025年は雪国を知った年でもあったわけだけど、若さもあってか思った以上に精力的だなと思う。そして若いのにこの楽曲なんだ、という驚きが毎回のようにあっていい(あんまり若い若い言うべきではない!)
アルバムの中だと「ひぐらしの夢」は本当にずっと聴いていられる。「二つの朝」や「東京」のあとの雪国はこういう方向性で行く、という名刺代わりの楽曲だろう。
18.リュベンス『MELT』
2025年にライブを見たバンドの中で、もっとも惹かれたのが「リュベンス」だった。少し遅刻はしてしまったが、大阪での初ワンマンに乗り込めたのはすごく嬉しかった。
このアルバム、「愛は湯気」から始まり「夜はメルト」で終わる構成がとても「こなれている」感じがすると思った。この並びの良さは、間であえてトーンを下げたり、暗い曲を続けながらも(同時にそれがこのバンドの持ち味でもある)後半に再度盛り返して「夜はメルト」で力強く終えているのがいい。この一年間だけでもバンドのレベルが上がっているし、サウンドの幅が広がってきているなと思っていたけれど、それを象徴する曲が「夜はメルト」だったのだと思う。
◆7曲編
19.Aooo「スターサイン」
石野理子のことはアイルネや赤い公園時代からずっと知っているが、Aoooをちゃんと聴き始めたのは今年が初めて。ノーメロのメンバーでもあるツミキがAoooではドラムを担当しており、ノーメロをよく聴いた一年だったので、その延長でAoooもちゃんと聴こうと思ったのだった。最初は他の曲を挙げようと思っていたのに、12月になってこんなアンセム的な曲を作るの反則では???
ちなみにMVじゃなくてライブ映像をセレクトしたのは、石野理子のメイクがばちくそかわいいからですね。すっかり大きくなったな、という感想(おじさん目線)とともに。
20.Awesome City Club「スロウ・サマー」
Awesome City Clubeの10カ月連続リリースの一つ。年が明けてから活動休止(おそらく解散に近い)を発表したが、メンバー変更があってからサウンドがやや安定しなくなったのを見ていたので(タイアップが増えたからかもしれないし、メンバー減の影響かもしれない)以前ほど熱心に聴くバンドではなくなっていた。それでも「スロウ・サマー」には懐かしい彼らのサウンドが残っているような、そんな気がする一曲だった。
21.Homecomings「every breath」
メジャーでのサードアルバム『see you, frail angel. sea adore you.』の流れを引きつぐサウンドメイクをしているで、「耳に心地よい音楽」を提供しているなと思う。『see you』以降のHomecomingsはオシャレさを強く打ち出すというよりは、優しくて温かいサウンドを作ろうとしている印象がある。Homecomingsも年末にメンバー構成が変わり、2人だけのユニットになっているが冬のツアーではBase Ball Bearの関根詩織がサポートで加わったりと、ホムカミの人脈を生かした展開が今後も期待できそうだ。
22.tayori「遠雷」
tayoriはisuiの声をどうやって生かすか、という観点でずっと音楽を作ってきていると思うが、isuiの低音ではじめながら次第に音を高く上げていく構成に仕上げているのが面白い。同時に、その盛り上がりが長く続かないからisuiの声の持つ儚さも生きている。
tayoriはアルバムも発表していて、ライブ活動も精力的に行っている。このバンドもまだ若いはずだが、活動に弾みがついているのは楽しい。
23.坂本真綾「Drops」
少し前だと「序曲」なんかもそうかなと思うが、2025年に45歳になりついに40代も折り返そうとする坂本真綾がもう一度「声の魅力」で楽曲を作っているのがとても頼もしいなと思う。「Drops」は声だけでなく息遣いもかなり重要な一曲で、コーラスがあってこそこの曲の美しさや尊さが輝くと思う。4月には記念ライブも控えているだけに、まだまだ元気に歌っていくぞというその前向きな意思表明が古参ファンとしては本当に嬉しい。
24.揺れるは幽霊「echoes of fading girl」
青春はきれいな思い出だけじゃないというか、ヒリヒリするような痛みや喪失感も常に一緒にあったんだよね。ということを、大人になった人たちに思い起こさせるような仕上がりの曲。「行き先なんてどこでもよかった」と思うしかないくらい、未来なんて何も見えないし何も知らない。
25.リーガルリリー「danceasphalt」
リリーは「ぼくのベガ」にするかこっちにするか悩んだが、一番よく聴いていたほう、という意味でダンスアスファルトを選択した。背中合わせでメンバーが映り込み、そのままずっと歌い続けるMVも含めてこの楽曲の魅力だと思う。ストリートでダンスする青春を歌った歌だと思うが、アマチュアバンドの持つストリート性も透けて見えるなと思う。リリーには等身大の楽曲が、本当によく似合う。
以上、18+7でした!!! おつかれさまでした!!
18+7にしたのは無理やり25にしたかったからですね、はい。
◆18枚編
1.Beachside talks『Hokorobi』
たまたま自動再生で流れて来た「Big Sky」でおお、と思い『Hokorobi』を一通り聞いてみたが、ポップス要素を多分に取り込んだバンドサウンドという感じで、音楽のキラキラした感じと控えめなボーカルがケンカしていないのもいい。あくまでベースはバンドサウンドだが、「Dream Up!」などはドリームポップみもあって耳がとても気持ちいい。
2.CIVILIAN『aphasia』
今回挙げたラインナップには活動休止やメンバー変更を発表したバンドが多いが、CIVILIANもその一つ。ボーカルを務めるナノウの体調問題という点が非常に気がかりだが、ボカロP時代から、そしてその前から数えると20年以上音楽活動を継続してきたことを考えると、致し方ない決断だったのかもしれない。
ナノウには過去ボーマスでお会いしたとおもうが、CIVILIANはまだ一度も生で見たことがない。8月の梅田あたりを狙っていけるか。活動休止発表後に公開したEPはどれも粒ぞろいで、特に「aphasia」と「君を待ってる」はずっと聴いていられるサウンドとボーカルだ。自分の中では「朝焼け、君の唄」以降青春の痛みや孤独を歌ってきたバンドだと思っていて、こういう音楽をもっと聴きたいバンドの一つだった。
3.Hakubi『27』
Hakubiには「17」という曲と「22」という曲があるので、5歳差ずつきっちり刻んできましたよというアルバム。ただ今回「27」という曲は作っていなくて、EP全体で聴いてくれ、という構成なんだろうなと思う。「もう一つの世界」や「2025」を聴いていると、「歳を刻みながら生きること」に対するHakubiらしいスタンスが見えてくる。ゆったりとしたサウンドから次第に激しくなる「17」や「22」
と比べると、初めから勢いがあるというところが『27』の構成だなと思った。
4.kurayamisaka『kurayamisaka yori ai wo komete』
初めてのフルアルバムだが、リードの「kurayamisaka yori ai wo komete」から「あなたが生まれた日に」までが計算尽くしされたリッチな構成のアルバム。特に好きなのは「jitensha」で、ライブ映像を繰り返し見ていたが、「sunday driver」とか「ハイウェイ」とか、乗り物をテーマにした楽曲が多いのも、12曲の構成を意識したものなのかも。
楽曲制作とギター担当の清水がnoteでセルフ解説しているのもいい。こういうミュージシャン自身の文字発信はもっといろいろ見てみたいですね。
5-6.Laura day romance『合歓る - walls』/『合歓る - bridges』
今一番好きなバンドはなんですか、と聞かれたら後ろで挙げるHomecomingsと、そしてローラズの名前をすぐに出すと思う。ローラズは2024年の「透明」で最初に知ったのでまだ聴き始めて日が浅い。ライブも24年秋にBIG CATで見ることができたが、去年は一度も見る機会がなかった。逆にHomecomingsは25年に2度見たので、26年は絶対ローラズをまた、という気持ちでいる。
前半後半という形で、同じ一年の間にフルアルバムを2枚制作するというかなりの力業を見せながら、バンドとしてのレベルがまだ一段、あるいはそれ以上上がったかもしれない。「walls」だと「Amber blue」や「プラットフォーム」が、「bridges」だと「ライター」と「ランニング・イン・ザ・ダーク」の仕上がりがとてもいい。それぞれのアルバムのムードを代表する曲がこのあたりだと思っているが、「bridges」では特にゾクゾクさせるようなサウンドと、不確かさや曖昧さを擁護するような歌詞の美しさが確かに存在する。一年の間にクオリティを研ぎ澄ませながら、着実に楽曲を作り上げたのだ。
7.NOMELON NOLEMON『HALO EP』
ジークアクスは結局映画を見ただけでテレビシリーズは未見の状態だが、ノーメロの音楽は本当にずっと聴いていた一年だった。リードの「ミッドナイト・リフレクション」は本当に素晴らしくて、他の音楽ももちろん粒ぞろいでシティポップテイストあり、エレポップテイストあり、ドリームポップみも混じってとても楽しいのだが、他の曲を聴いた後に「ミッドナイト・リフレクション」に立ち返ると一発でやられてしまう何かがある。圧倒的、とは少し違う。だが確実に魅了される何かがある。そういう意味では不思議な曲でもある。
8.Ray『White』
気づけばアイドルの楽曲、特に自分より年下のグループの曲を聴くことがほとんどなくなってしまったがRayだけは熱心に聴いていると言ってもいいかもしれない(他はマジでわからん)。
Rayの魅力はその電子音楽テイストで、歌っているのか踊っているのかわからない(たとえば「See ya!」のような)曲も多数あり、総合芸術的な良さがあると思っている。かといってPerfumeのような完成されたアートワークというよりは、まだ途上にある女の子たち、といったところか。比べるのも良くないかもしれないが、Tomato'n Pineやfaint*starにかつて見た夢を、異なる時代に異なるレベルで「演じ続けている」アイドルだと思っている。
映像を見る限り、音楽だけでは片手落ちでやはり現地で体感してようやく「理解できる」のだろう。
9.tiny yawn『euphoria』
いま一番ライブを見たいバンドは、と聞かれるとtiny yawnだと速攻で答えると思う。好きになったきっかけは「夜明けの星」が見せる美しくてメロディアスな楽曲構成と、その楽曲と喧嘩せずに優しく響いてくる低音のボーカルだが、楽曲構成を変える中でボーカルを調整する試みがこの『euphoria』には見られるかなと思った。
リード曲の「YOUTH」のようなやや激しめの構成は今まであまりなかった展開で、そのあとの3曲はどんどんダウナーなサウンドに寄せる。低音ボーカルはダウナーなサウンドとも相性がいい。自分が好きなのは鮮やかなメロディラインだが、こういう方向性もアリかもという4曲だった。
10.TOMOO『DEAR MYSTERIES』
気づいたら遠くに行ってしまった気がするTOMOOだが、遅咲きのキャリアを考えるとようやく届いた地点、と思えばよいのだろう。アルバムの前半はシングルリリースした曲をずらっと並べる珍しい構成で、2025年のTOMOOの自己紹介というか、ここを聴けば名刺代わりには十分なりそうだ。特に「コントラスト」の優しさが好きでずっと聴いていたし、ずっと聴いていたい。
後半には後半の良さというか、シングルでない分の自由さが見えてくるかもしれない。「高台」を聴いていると、年明けにリリースした「ソラーレ」を予感させる響きもある。リズミカルで楽しくて、そして優しくてあたたかい。これからのTOMOOの目指す地平も一緒に見てみたい。
11.あたらよ『泡沫の夢は幻に』
これだけ完成度の高いアルバムを見せられると、なんとしてでも2025年のあたらよを生で見たかったなと思う。前作もかなりバランスのいい構成だったが、今回は8曲構成なのでバランスというより統一感、頭から最後までのストーリーをとてもきれいに作っていると思う。まだまだ若いメンバー構成だが、バンドとして円熟味が増しつつあるのかもしれない。
リードの「朝凪」と「溺れている」、「しないで」はずっと聴いていた。ひとみの「しないで」を何百回聞いたか分からない。ひとみの声がずっと焼き付いていて、胸がきゅっとしてしまう。
12.鬼頭明里『Journey』
鬼頭明里の声がシティポップにめちゃくちゃ合うんだということをリードの「Nonfiction Nook」を聴きながら素直に思う。これだけをずっと聴いていてもいいや、と思えるほど満足度の高いリード曲で、楽しい。3曲目の「Magie×Magie」はアニメ主題歌なのにこれもシティポップに聴こえてくる面白さがある。ただ後半はアニソンシンガー色が増して「mo∞ent」で鮮やかにアルバムをフィニッシュするのは、前半とは違う気持ちよさがあってこれもまた良かった。
13.クレナズム『a beautiful days』
「福岡のバンド」であることを改めて打ち出しているのが、リード曲の「ホーム」だなと思った。福岡の音楽事情に詳しくないが、東京や関西を車で回るクレナズムにとって、福岡や九州は仕事を終えて必ず帰る場所なのだろうと思う。
だからというわけではないだろうが、「センチメンタル」や「木村楓」のような私的な関係性や感情を歌った楽曲が耳に残っている。クレナズムは去年心斎橋のJANUSで初めてお目にかかれたバンドで、そういう意味でも2025年に印象に残っているバンドだ。「センチメンタル」のMVは福岡の海岸で撮影されており、バンドにとってはやはりホーム感があるのも良い。
14.コレサワ『あたしを選んだ君とあたしを選ばなかった君へ』
アルバムタイトルからしていかにもコレサワ節!という感じ。制作はかなり活動的にやっていて、ライブの本数もどんどん増えているイメージだがフルアルバムはこれが4年ぶりなのが意外だった。そのため、「SPARK!!」のようにコロナ禍に作った曲もラインナップに入っている。
リード曲や「かわいいもん」や「浮気したらあかんで」のように容赦なく関西弁を入れ込んでくるコレサワらしい曲も好きだが、「朝帰り」や「♡人生♡」のように、かわいさアピールだけじゃなくてちゃんと性的にもわたしを求めてね、というメッセージを小出しにするところがなんだかんだ好きだな、と思う。
15.冨岡愛『愛's cream』
冨岡愛に最初にやられたのは間違いなく「愛 need your love 」だし、「恋する惑星『アナタ』」だなと思う。これほどまでに「上手い」人ってなかなかいない。音楽と声でなんでもできそうな可能性があるというか、すでに完成されているようで同時に伸びしろも感じさせるのが冨岡愛の見せる凄みだと思う。ただ、そういうリズミカルな楽曲の中で、「グッバイバイ」のようなシンガーソングライターが見せるような楽曲を作れるのもいい。多彩だ。
16.羊文学『Don't Laugh it Out』
ドラムのフクダが脱退して完全に2人体制になることを年の瀬に発表した羊文学だが、2025年は一貫してフクダが不在だっただけに、すでに2人体制としてどうやって羊文学をやっていくのか、を模索した一年だったのかもしれない。その一つの集大成としての、2人で作ったフルアルバムがこれ。
「声」や「Burning」のようなタイアップ曲は激しさが目立つものの、全体的には落ち着いており、やや暗さも見せる一枚かもしれない。それでも「いとおしい日々」や「Feel」を作ることで、不安の中にも希望を見出していこう、というポジティブさは感じとれる。
2人が作ったアルバムは、フクダの耳にもきっと届いている。いや、そのためにこそ作った一枚なのかもしれない。
17.雪国『shion』
2025年は雪国を知った年でもあったわけだけど、若さもあってか思った以上に精力的だなと思う。そして若いのにこの楽曲なんだ、という驚きが毎回のようにあっていい(あんまり若い若い言うべきではない!)
アルバムの中だと「ひぐらしの夢」は本当にずっと聴いていられる。「二つの朝」や「東京」のあとの雪国はこういう方向性で行く、という名刺代わりの楽曲だろう。
18.リュベンス『MELT』
2025年にライブを見たバンドの中で、もっとも惹かれたのが「リュベンス」だった。少し遅刻はしてしまったが、大阪での初ワンマンに乗り込めたのはすごく嬉しかった。
このアルバム、「愛は湯気」から始まり「夜はメルト」で終わる構成がとても「こなれている」感じがすると思った。この並びの良さは、間であえてトーンを下げたり、暗い曲を続けながらも(同時にそれがこのバンドの持ち味でもある)後半に再度盛り返して「夜はメルト」で力強く終えているのがいい。この一年間だけでもバンドのレベルが上がっているし、サウンドの幅が広がってきているなと思っていたけれど、それを象徴する曲が「夜はメルト」だったのだと思う。
◆7曲編
19.Aooo「スターサイン」
石野理子のことはアイルネや赤い公園時代からずっと知っているが、Aoooをちゃんと聴き始めたのは今年が初めて。ノーメロのメンバーでもあるツミキがAoooではドラムを担当しており、ノーメロをよく聴いた一年だったので、その延長でAoooもちゃんと聴こうと思ったのだった。最初は他の曲を挙げようと思っていたのに、12月になってこんなアンセム的な曲を作るの反則では???
ちなみにMVじゃなくてライブ映像をセレクトしたのは、石野理子のメイクがばちくそかわいいからですね。すっかり大きくなったな、という感想(おじさん目線)とともに。
20.Awesome City Club「スロウ・サマー」
Awesome City Clubeの10カ月連続リリースの一つ。年が明けてから活動休止(おそらく解散に近い)を発表したが、メンバー変更があってからサウンドがやや安定しなくなったのを見ていたので(タイアップが増えたからかもしれないし、メンバー減の影響かもしれない)以前ほど熱心に聴くバンドではなくなっていた。それでも「スロウ・サマー」には懐かしい彼らのサウンドが残っているような、そんな気がする一曲だった。
21.Homecomings「every breath」
メジャーでのサードアルバム『see you, frail angel. sea adore you.』の流れを引きつぐサウンドメイクをしているで、「耳に心地よい音楽」を提供しているなと思う。『see you』以降のHomecomingsはオシャレさを強く打ち出すというよりは、優しくて温かいサウンドを作ろうとしている印象がある。Homecomingsも年末にメンバー構成が変わり、2人だけのユニットになっているが冬のツアーではBase Ball Bearの関根詩織がサポートで加わったりと、ホムカミの人脈を生かした展開が今後も期待できそうだ。
22.tayori「遠雷」
tayoriはisuiの声をどうやって生かすか、という観点でずっと音楽を作ってきていると思うが、isuiの低音ではじめながら次第に音を高く上げていく構成に仕上げているのが面白い。同時に、その盛り上がりが長く続かないからisuiの声の持つ儚さも生きている。
tayoriはアルバムも発表していて、ライブ活動も精力的に行っている。このバンドもまだ若いはずだが、活動に弾みがついているのは楽しい。
23.坂本真綾「Drops」
少し前だと「序曲」なんかもそうかなと思うが、2025年に45歳になりついに40代も折り返そうとする坂本真綾がもう一度「声の魅力」で楽曲を作っているのがとても頼もしいなと思う。「Drops」は声だけでなく息遣いもかなり重要な一曲で、コーラスがあってこそこの曲の美しさや尊さが輝くと思う。4月には記念ライブも控えているだけに、まだまだ元気に歌っていくぞというその前向きな意思表明が古参ファンとしては本当に嬉しい。
24.揺れるは幽霊「echoes of fading girl」
青春はきれいな思い出だけじゃないというか、ヒリヒリするような痛みや喪失感も常に一緒にあったんだよね。ということを、大人になった人たちに思い起こさせるような仕上がりの曲。「行き先なんてどこでもよかった」と思うしかないくらい、未来なんて何も見えないし何も知らない。
25.リーガルリリー「danceasphalt」
リリーは「ぼくのベガ」にするかこっちにするか悩んだが、一番よく聴いていたほう、という意味でダンスアスファルトを選択した。背中合わせでメンバーが映り込み、そのままずっと歌い続けるMVも含めてこの楽曲の魅力だと思う。ストリートでダンスする青春を歌った歌だと思うが、アマチュアバンドの持つストリート性も透けて見えるなと思う。リリーには等身大の楽曲が、本当によく似合う。
以上、18+7でした!!! おつかれさまでした!!
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