アマプラにて。冴えないサラリーマンとギャルの売り子の出会いと交流から物語が始まるので最初はイロモノなのかな?とやや懐疑的だったが、思った以上にちゃんとできた野球アニメだった。人間関係的にも変にギスギスせず、安心して見られるタイプのアニメである。
野球アニメと書いたが、正確には「野球文化のアニメ」だと言ったほうが良いだろう。試合に出る選手やコーチ、監督だけではなくて売り子や球場スタッフ、警備員などはもちろん、弁当屋の看板娘、野球選手の妻&恋人、売り子の家族親族、ブラスバンド、元売り子・・・等々野球に関わるあらゆる人たちを縦横無尽に巻き込んで行くが、みんな野球が好きでチームが好き、という一点が共通しているのも見やすいポイント。
とはいえ野球選手の描き方もいい。ドライチでショートを務め、攻守にチームの軸を張る25歳がいたり、42番を付けて2000本安打と名球会入りを目指す外国人選手がいたりする(どことなくラミレスを思い出す)。あるいは、通称「コジロー」と呼ばれるベテランの35歳がいたり(フォームはイチローによく似ている)、元メジャーリーガーの助っ人外国人は当初「腰掛け」のつもりだったが次第にチームに馴染んでゆく様が描かれていたりする。そしてマスコットのサン四郎の得意技はフリップ芸なので、どう見てもつば九郎を意識していそうだ。
そして主人公のギャル売り子であるルリコは「売り子としても新人」かつ「野球のルールは良く知らない」ので、野球のことをよく知らない視聴者もルリコ目線で馴染みやすい構成でもある。他の売り子たちも個性豊かで、売り子歴10年のお姉さま的存在もいれば、大学生売り子や高校生売り子もいる。野球が好きでチームが好き、という共通点だけで「働きながら仲良くなれる」のが面白そうに見える。もちろん実際は雨の日や真夏などたいへんな日もあるだろうが・・・
好きなエピソードはいくつかあるが、短い中で「歴史」を見せるエピソードだ。例えばキャリア10年のこひなたがかつて一緒に働いていた売り子と再会するエピソードや、コジローの高校時代の元チームメイトに迫るエピソード(複数に分かれている)が描かれているのがいい。いま、ここだけの面白さや魅力を描くだけでも十分アニメとして成立するとは思うが、千葉モーターサンズというこの架空のチームにも歴史があることを示すことで、物語を立体的に成立させていると感じた。
声優の面では何より、ルリコを演じるファイルーズあいがハマりまくってて面白いし、本人も野球選手(オリックス若月)の妻であるりっかさまこと立花理香がコジローの妻を演じているのもまた趣があって良い。こういうのは実際の野球を知っていないとなかなかできないキャスティングだろうし、そうした目立たないところで作り手のこだわりが見えるのも面白いアニメだった。
アニメは12話で終わってしまうが、来年も残留することを考える外国人選手がいたり、他方でこのシーズンで退任を決める監督がいたりする。12話の中でもちゃんと起伏を作ることで、野球の試合や野球「文化」の奥深さと面白さを「楽しく伝えること」に成功している。

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