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この映画を見たのは普段親しくしているフォロワーさんに誘われたからだが(スペースでの鑑賞会めちゃ楽しかったです)、ほとんど予備知識がない状態で見たので純粋に楽しい時間だった。製作は1996年だが日本での公開は翌1997年であり、この97年と言えば『タイタニック』が公開された年でもある。本作と『タイタニック』が同じ年に公開かよ、そらアカデミー賞も取るし「レオ様」ブームが来ますわな、と思ってしまった。自分は当時小学校低学年だったがそれでもクラスの女子の誰かが話題にしているほど、人気と知名度はすごかったのだろうと思う。
これはスペースの参加者の誰かが言っていたような気がする言葉だが、『タイタニック』はきれいにできすぎたメロドラマだが、本作はシェイクスピアの現代的翻案という遊び心満載な映画なので、こういうのにハマり役として出るディカプリオいいよねっていう指摘には素直に同感したい。メロドラマを否定するわけではもちろんないけど、「きれいすぎる」よりは血や汗や雨で少し汚れている美男子を見たいという欲求は、多くの人が共有しているだろうなとも思ったからだ。この映画ではあまりにも多くの濡れ場、というより単に「濡れているディカプリオ」がよく映される。物語の性質上、濡れ場はあれどそれほど激しくない。そこは核心ではないということかもしれない。
さて、この映画はシェイクスピアの現代的翻案であるとはいえ、明らかに北米か南米を舞台にしており、ヨーロッパ色が完全に失われている(もちろんそれで良い、本作の場合は)。冒頭ではいきなり銃を用いた決闘が始まるし、警察は車両だけじゃなくヘリまで出して決闘の制圧に参加する。そしてその割には処分が雑なのもご愛敬といったところだろう。それぞれのプライドとプライドが激突する時空間が存在する映画だ。そしてある日開かれた盛大な仮装パーティーで、騎士の仮装をしたロミオは天使の仮装をしたジュリエットと出会う。
このジュリエット演じるクレア・デインズがとても魅力的だ。公開当時17歳ということを考えると撮影時はもしかしたらもっと若かったのかもしれないが、あまりにもキュートな天使として登場する一方で、深窓のお嬢様のような育ちの良さも見せる。決闘に明け暮れるロミオとは違う世界で生きているように見える彼女は、他方で母や祖母の庇護のもとという生きづらさも垣間見せる。十分に生きていけるが、不自由でもある。この狭い空間にさっそうと現れたロミオは、まさに王子様のように映る。
もう一人言及すべきはハロルド・ペリノー・ジュニア演じるマキューシオの存在感だろう。ロミオの親友あるいは相棒とも言うべき存在のマキューシオは、仮装パーティーでドラァグクイーンのような衣装でダンスを踊って見せる。カメラもしきりにマキューシオを追いかけ、そのマキューシオをじっとみつめるロミオの表情もとらえる。これはもしかして、ここからBL展開になってもおかしくないのでは? と思わせるほどマキューシオは官能的だし、そのマキューシオにロミオは見とれているのだ(とはいえこのダンスがストーリーに大きく影響することはなかったが)。
派手さと華麗さを併せ持ちながら、テンポの良い映画で2時間があっという間に過ぎていく作品だった。その上で最後の10分〜15分ほど、殺人を犯してしまったロミオが逃亡した先の教会でジュリエットと過ごす最後の時間だけは丁寧に時間がもうけられている。すべてはこの最後の瞬間を観客に焼き付けるための布石だったのかもしれないと思うほど、たった二人の濃厚な時間が過ぎてゆく。
翻案である以上、結末は分かっている。それでもただただ美しい最後の瞬間が、目に焼き付いて離れないのもまたこの映画の魅力だと感じた。
いまから一年ほど前にNHKBSの「BS世界のドキュメンタリー」で放映された俳優としてのディカプリオの半生を振り返るドキュメンタリーが面白く、いずれ古いものから新しいものまで順番に見ていきたいな、と思ってもいた。この番組の配信は終っているが何度か再放送もされているので、気になる方はチェックしてほしい。『タイタニック』での成功の後、そのイメージに苦しむディカプリオの姿は非常に人間的だと思った。

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