見:U-NEXT
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今月から『ヤンヤン』のリバイバル上映が始まるエドワード・ヤンだが、『カップルズ』も今年の春に4K上映されてたらしく、その4K版がU-NEXTで配信されていたので見てみた。エドワード・ヤンを見るのは初めてだし、台湾を舞台にした映画は2014年に見た『南風』(主演は黒川芽以の日台合作映画)以来かもしれない。ただこの映画は90年代の台北が舞台になっているので、よりレトロな時代の台湾が舞台になっている。
レトロとはいっても、強調されるのは「国際都市としての台湾」であり、ギラギラ輝くネオンや看板のある風景だ。夜と昼を行き来する映画ではあるが、大事なことが起こるのは基本的に夜である。夜の台北、ネオン、連なる屋台とビル群……妖しさとえっちさしかないのに、冒頭から展開されるのは様々な形の口喧嘩だ。それはつまり、欲望がぶつかりあってまとまらない光景であり、その後のこの映画を予言しているようでもあった。
主人公はチンピラの4人の少年たち(首領のレッドフィッシュ、女たらしのホンコン、ニセ占い師のトゥースペイスト、新入りのルンルン)が同居しながらいろいろなことをやらかし、そして最終的にはバラバラになっていくというのが大筋。とはいえ、重要なのはルンルンの視点だ。彼はまだ、自分が何者かもよくわかっていないし、自分の欲望が分からない。レッドフィッシュは金儲けと父親の復讐に躍起がないし、ホンコンは女を口説いてばかり。トゥースペイストは口がとにかく回る。じゃあルンルンには何ができるのか? というアイデンティティの葛藤に陥っているのだ。
非行サブカルチャーとはよく言ったもので、新人のルンルンはまだこのカルチャーに染まりきっていない純朴さを持っている。だから4人が出会ったマルトというフランス人女性を、ルンルンは個人的なつながりだと解釈してしまう。マルトで金儲けしようとか、彼女を売春組織に売るとか、そういう発想はないわけだ。そのルンルンの甘さが仇となる場面もあるわけだが、この映画は少年たちだけでなく、大人(の男)たちもまた、未熟な存在として描いている。
例えばマルトを台北に読んだ白人男性は明らかにモラハラ気質だし、ルンルンとマルトを誘拐する大人チンピラたちもわりと隙ばかりである。チンピラたちが跋扈する台北という点ではノワール映画としての構造を持っているものの、ノワール映画的な怖ろしい展開はほとんどやってこないところに逆にこの映画の特徴がある。ノワール的なアプローチを使うが、ノワール映画としては撮らないのだ。
では何を描くのか?? それはレッドフィッシュが言うように、「金では買えない何か」だ。レッドフィッシュは金でなんでも買えると思っているが、実際はそんなわけがない。金があればできることは増えるが、金ですべてを解決できるわけではない。だからこの映画は、最後にあまりにも濃厚なキスシーンを持ってきて終わるのだ。何も持っていないはずの若い男女二人の、あまりにも濃厚で美しいキスをスクリーンいっぱいに見せつけて!
ここまで振り返ると、この映画でエドワード・ヤンが評価された理由がよく分かる。90年代台北のグローバル感と混沌を描きつつ、最後に残る普遍性や人間らしさ、人間くささみたいなものが映画の主題になりうることを示している。この映画が重要視した普遍性、つまり個人的な愛情や行為(キス)というものは時代を経ても色あせないし、むしろ「レトロで懐かしい90年代」という価値が加わっている。だから最初の公開から30年経ってリバイバルされたのだと思うし、30年経っても面白い! と思えるのだ。

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