遅くなったし今回は(も)延期しようかと思ったけどようやくフル尺が媒体になりほとんど出そろった今期の楽曲をいろいろ聴いてるとやっぱりいまのアニソン業界熱いなーと思うところが多々あり、半年ぶりにエントリーにしました。前回はこちら。
アニソンを聴いてて思うのは90秒とフルでは同じ曲でも印象が全く異なる、ということが珍しくない。前者は映像とセットで生きるものだとするなら、後者は音だけで魅せなければならない。たとえば進撃1クール目のOPだった「紅蓮の弓矢」はフルで聴くと全く別の曲になるのだが、だからといって90秒版の魅力が減るわけでもない。どちらが編集されたもので、どちらがオリジナルなのか分からなくなる。一つの楽曲で二つの味があるのが、面白いところなのだろう。
今回も10曲選んだけど、OP曲がちょっと多め。OPがそのまま主題歌というイメージにつながりやすいので、こっちのほうがどうしても力はいってるのかなと思ったりする。あとちゃんと見てないアニメからの選出(曲だけ聴いた)も多め。
茅原実里「境界の彼方」
『境界の彼方』OP曲。
文句なしに今年のベストアニソンにかかげていいと思っている。(次点は情報処理部「せーのっ」(『ゆゆ式』OP)
春に出した「この世界は僕らを待っていた」でも感じた伸びのあるみのりんの声がめちゃくちゃ気持ちいい。彼女の声が一つのエンターテインメントとして成立しうることの表れだなと改めて感じる。
歌詞を書いた畑亜貴が意図的にやっていると思うのだが語尾に「よ」をつけて伸ばすフレーズが非常に多くて、そこがかなり爽やかに際立っている(「そうだよ」「行くよ」「目覚めるよ」など)。対して「い」で終わるフレーズ(「いらない」)の力強さと合わせてかなり耳に残るのだ。
メロ自体も突き抜けるように疾走し続け、ピアノが踊るように走るなど最後まで音楽が盛り上がり続ける。それがめちゃくちゃ楽しい。なんかさっきからめちゃくちゃとしか言ってないが、これはいい音で聴くと本当に楽しいだろうなと思う。
アニメとしてはちょっと昔に回帰するところや崩れていったところがあるが映像と合わせてこの曲が採用されたOPは最後までずっと鮮烈な印象を残したと思う。
Ray「lull 〜そして僕らは〜」
『凪のあすから』OP曲。
イメージソングとして先行して発表されていた「凪 -nagi-」が少し悲しさや寂しさの残るメロだったことを考えると、「lull」はアニメのOP曲として爽やかにまとまっている。デビュー曲「sing」を彷彿とさせるI'veらしいエレポップのサウンドに、川田まみのあてた詞がアニメともきれいにリンクしていて心地よい。
Rayは半年ほど前に1stアルバム『RAYVE』をリリースして、着実にシンガーとしての歩みを刻んできていると思う。I'veから少しずつ離れていくのかなと思っていたが、このタッグが実現したことは素直に嬉しい。
堀江由衣「Golden Time」
『ゴールデンタイム』OP曲。
ほっちゃんの音楽をそれほど知っているわけではないし、アニメの曲としてちゃんと聴いたのは『とらドラ!』以来なのではと思うが、祝祭感しかないメロと歌詞に「Golden Time」というタイトルをあてたのは非常にうまい。まあ、アニメのタイトルと同じわけだけど。
「境界の彼方」が印象的でかつ珍しかったように、最近のアニソンは音楽としての質が多様化しつつ向上化していることもあって、アニメにどれだけ寄り添うかということはかつてのアニメソングほどは重要じゃない印象がある。(重要じゃないというよりは、アニメへの寄り添い方を音楽のクリエイターが選択できるようになってきたのかもしれない)
その上でアニメにガンガン寄り添いますよ、というメッセージがまずタイトルから伝わってきて、かつこのゴールデン感。ゴールデンタイムも祝祭もいつか終わってしまうわけで、その分の切なさやむなしさももちろんあるが、この曲を聴いているとそういう気分すら吹っ飛んでしまいそうな気がする。
fhana「tiny lamp」
『ぎんぎつね』OP。
fhanaは前作の「ケセラセラ」も質が高くかつポップなアニソンに仕上げてきた印象があったが、今回はOP曲に採用されたこともあってだろうかなりBPMの高めな曲になっている。メジャーデビュー以前からfhanaやfhanaメンバー(佐藤純一、yuxuki、kevin)の楽曲を聴いている身からするとこういう音楽を仕上げてくるイメージがなかったので率直にびっくりした。そして率直にすごくいい。これも繰り返しになるが、OP曲独特の楽しさと気持ちよさがたっぷりこめられているのはとてもいい。
シンプルなバンドサウンドにはならず佐藤の弾くピアノと頻繁に挿入される電子音(おそらく元はkevinの音だと思う)が加わることでfhanaらしい、彼らにしかない独特のメロになる。ポップさを最初から志向していたのではないと思うが、アニメの曲に連続して採用されるようになってエレクトロよりな音を残しつつポップさを前に出すようになってきたのがはっきりしたなと思う。
年明けの冬クールのアニメでも曲が採用されることが決まっていて、そこではどういうメロディになるのか(あるいは誰の音が際立つのか?)が非常に楽しみだ。
nano.RIPE「なないろびより」
『のんのんびより』OP曲。 「日々に答えなどない」
nano.RIPEっぽくないなという印象はサビの持つメロの悲しさ(田舎の風景を例示的につづった歌詞も、ところどころ切なさを醸し出している)にあって、これは日常系かつ田舎を舞台にしたアニメのために歌ったのかたまたまそうなったのかはよく分からない。よく分からないけど4話のれんげちゃん涙の回を見て改めてこの曲を聴くとああうまくかみあってるなと思う。
あと、これはMVを見ての印象でもあるが『花咲くいろは』がそうであったように地方あるいは田舎の青春を描く作品とnano.RIPEの組み合わせは悪くない。
nano.RIPEは年明けに3rdアルバムを出すほど精力的にライブを含めた活動をしているし、所属レーベルがランティスなのでこれからもアニソンに採用されるだろうと思う。バンドとしてアニソンを作り続けるという形式は珍しいし、その分差異化できる点もあるので、fhanaとも似た期待感を持って楽しみにしている。
さくっとまとめようとしたがやっぱり少し長くなるので後編はまた次回。選曲は済んでいるので近いうちに。
アニソンを聴いてて思うのは90秒とフルでは同じ曲でも印象が全く異なる、ということが珍しくない。前者は映像とセットで生きるものだとするなら、後者は音だけで魅せなければならない。たとえば進撃1クール目のOPだった「紅蓮の弓矢」はフルで聴くと全く別の曲になるのだが、だからといって90秒版の魅力が減るわけでもない。どちらが編集されたもので、どちらがオリジナルなのか分からなくなる。一つの楽曲で二つの味があるのが、面白いところなのだろう。
今回も10曲選んだけど、OP曲がちょっと多め。OPがそのまま主題歌というイメージにつながりやすいので、こっちのほうがどうしても力はいってるのかなと思ったりする。あとちゃんと見てないアニメからの選出(曲だけ聴いた)も多め。
茅原実里「境界の彼方」
『境界の彼方』OP曲。
文句なしに今年のベストアニソンにかかげていいと思っている。(次点は情報処理部「せーのっ」(『ゆゆ式』OP)
春に出した「この世界は僕らを待っていた」でも感じた伸びのあるみのりんの声がめちゃくちゃ気持ちいい。彼女の声が一つのエンターテインメントとして成立しうることの表れだなと改めて感じる。
歌詞を書いた畑亜貴が意図的にやっていると思うのだが語尾に「よ」をつけて伸ばすフレーズが非常に多くて、そこがかなり爽やかに際立っている(「そうだよ」「行くよ」「目覚めるよ」など)。対して「い」で終わるフレーズ(「いらない」)の力強さと合わせてかなり耳に残るのだ。
メロ自体も突き抜けるように疾走し続け、ピアノが踊るように走るなど最後まで音楽が盛り上がり続ける。それがめちゃくちゃ楽しい。なんかさっきからめちゃくちゃとしか言ってないが、これはいい音で聴くと本当に楽しいだろうなと思う。
アニメとしてはちょっと昔に回帰するところや崩れていったところがあるが映像と合わせてこの曲が採用されたOPは最後までずっと鮮烈な印象を残したと思う。
Ray「lull 〜そして僕らは〜」
『凪のあすから』OP曲。
イメージソングとして先行して発表されていた「凪 -nagi-」が少し悲しさや寂しさの残るメロだったことを考えると、「lull」はアニメのOP曲として爽やかにまとまっている。デビュー曲「sing」を彷彿とさせるI'veらしいエレポップのサウンドに、川田まみのあてた詞がアニメともきれいにリンクしていて心地よい。
Rayは半年ほど前に1stアルバム『RAYVE』をリリースして、着実にシンガーとしての歩みを刻んできていると思う。I'veから少しずつ離れていくのかなと思っていたが、このタッグが実現したことは素直に嬉しい。
堀江由衣「Golden Time」
『ゴールデンタイム』OP曲。
ほっちゃんの音楽をそれほど知っているわけではないし、アニメの曲としてちゃんと聴いたのは『とらドラ!』以来なのではと思うが、祝祭感しかないメロと歌詞に「Golden Time」というタイトルをあてたのは非常にうまい。まあ、アニメのタイトルと同じわけだけど。
「境界の彼方」が印象的でかつ珍しかったように、最近のアニソンは音楽としての質が多様化しつつ向上化していることもあって、アニメにどれだけ寄り添うかということはかつてのアニメソングほどは重要じゃない印象がある。(重要じゃないというよりは、アニメへの寄り添い方を音楽のクリエイターが選択できるようになってきたのかもしれない)
その上でアニメにガンガン寄り添いますよ、というメッセージがまずタイトルから伝わってきて、かつこのゴールデン感。ゴールデンタイムも祝祭もいつか終わってしまうわけで、その分の切なさやむなしさももちろんあるが、この曲を聴いているとそういう気分すら吹っ飛んでしまいそうな気がする。
fhana「tiny lamp」
『ぎんぎつね』OP。
fhanaは前作の「ケセラセラ」も質が高くかつポップなアニソンに仕上げてきた印象があったが、今回はOP曲に採用されたこともあってだろうかなりBPMの高めな曲になっている。メジャーデビュー以前からfhanaやfhanaメンバー(佐藤純一、yuxuki、kevin)の楽曲を聴いている身からするとこういう音楽を仕上げてくるイメージがなかったので率直にびっくりした。そして率直にすごくいい。これも繰り返しになるが、OP曲独特の楽しさと気持ちよさがたっぷりこめられているのはとてもいい。
シンプルなバンドサウンドにはならず佐藤の弾くピアノと頻繁に挿入される電子音(おそらく元はkevinの音だと思う)が加わることでfhanaらしい、彼らにしかない独特のメロになる。ポップさを最初から志向していたのではないと思うが、アニメの曲に連続して採用されるようになってエレクトロよりな音を残しつつポップさを前に出すようになってきたのがはっきりしたなと思う。
年明けの冬クールのアニメでも曲が採用されることが決まっていて、そこではどういうメロディになるのか(あるいは誰の音が際立つのか?)が非常に楽しみだ。
nano.RIPE「なないろびより」
『のんのんびより』OP曲。 「日々に答えなどない」
nano.RIPEっぽくないなという印象はサビの持つメロの悲しさ(田舎の風景を例示的につづった歌詞も、ところどころ切なさを醸し出している)にあって、これは日常系かつ田舎を舞台にしたアニメのために歌ったのかたまたまそうなったのかはよく分からない。よく分からないけど4話のれんげちゃん涙の回を見て改めてこの曲を聴くとああうまくかみあってるなと思う。
あと、これはMVを見ての印象でもあるが『花咲くいろは』がそうであったように地方あるいは田舎の青春を描く作品とnano.RIPEの組み合わせは悪くない。
nano.RIPEは年明けに3rdアルバムを出すほど精力的にライブを含めた活動をしているし、所属レーベルがランティスなのでこれからもアニソンに採用されるだろうと思う。バンドとしてアニソンを作り続けるという形式は珍しいし、その分差異化できる点もあるので、fhanaとも似た期待感を持って楽しみにしている。
さくっとまとめようとしたがやっぱり少し長くなるので後編はまた次回。選曲は済んでいるので近いうちに。
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