2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:17冊(2013年通算:43冊)
読んだページ数:4078ページ
ナイス数:80ナイス
統計学が最強の学問であるの感想
ある程度この分野について知っている人とか、すでに他の入門書を読んでいる人にとっては既知のことが多く、文章が冗長に思えるかも知れないが、まったくの初読者にとっては統計学を学ぶための要点や、統計学を使って何ができるかというところがそれなりに収められている、とは言える。5章までは統計学そのもののレッスンで、6章では各分野ごとに統計学がどのように重視されるのかを眺める。基本的には教養としての統計学であり、ビジネスにしろ学問にしろ、とっかかりとしての一冊といったところだろう。
読了日:3月30日 著者:西内 啓
現代政治分析 (岩波現代文庫)の感想
杉田敦が解説にも書いているが、ダールが何を議論していたかをふりかえることは何らかの意味や重要性があると思う。データや例示を多く取り入れ、一章ごとが平易や文章でまとまっており初学者にもやさしいのではないか。権力や影響力から、主体や政治制度の議論へと拡散していく過程は既知のことも多かったが読んでいて楽しかった。
読了日:3月27日 著者:R.A.ダール
十角館の殺人 (講談社文庫)の感想
いまさらながら読む。
読了日:3月26日 著者:綾辻 行人
ディズニーの隣の風景: オンステージ化する日本の感想
新しい議論を展開するというよりは、オンステージ化やテーマパーク化という概念を使って日本の都市や街のありかたを再検証する一冊。4章で祭りについて論じたところは面白かった。
読了日:3月21日 著者:円堂都司昭
空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)の感想
およそ9年ぶりの再読。ほとんど内容は忘れていたし、当時と違って「私」より歳を重ねているなかでの読書なので、「私」の生活に具体的に思いをはせながら読むことができた。お話として面白いのは「砂糖合戦」と「赤頭巾」、ゆったりと読めたのが「織部の霊」と「胡桃の中の鳥」。表題作「空飛ぶ馬」は私が言及しているように「赤頭巾」のあとなので、ああこういうのも悪くないなと思いながら読んだ。
読了日:3月21日 著者:北村 薫
政治的思考 (岩波新書)の感想
わたしたちひとりひとりは政治の当事者であり、政治はわたしたちを逃しはない。ならわたしたちはどのように政治と向き合えばいいのか。学術的な議論とメディアを騒がすような社会的な話題や3.11以降に浮上した問題など、杉田敦は広く、丁寧に語り掛ける。とりわけ3章「討議」と4章「権力」は白眉。このあたりは政治学者としての杉田敦の本領発揮のように思えた。
読了日:3月18日 著者:杉田 敦
灰色の記憶の感想
今まで読んできたように自伝的私小説。ゆがみながらも少女が大人になっていくお話。
読了日:3月17日 著者:久坂 葉子
演技と演出 (講談社現代新書)の感想
平田自身が行ってきた演劇ワークショップの経験をもとに、演技をすることと演出することについてのさまざまなことが書かれている。一貫しているのはいかに演技者と演出家との間のコンテクストをすり合わせ、観客にどのように提示するかということ。講談社現代新書からでている他の2冊でも近い話をしているようなので、そのうち読んでみたいと思う。
読了日:3月17日 著者:平田オリザ
ストリートの思想―転換期としての1990年代 (NHKブックス)の感想
あとがきにあるように「政治」「文化」「思想」のトライアングルを、80年代を前史として90年代以降に何が起こっていたのかを紹介する一冊。著者の言うストリートの思想は適用範囲がかなり広く、その分概念としての切れ味は弱くなっていると思うが、時代をひもとくために広義に採用したのだろう。4章と5章の読みは3.11以降の社会運動を観察するときにも援用できそうだ。
読了日:3月14日 著者:毛利 嘉孝
グッド・バイの感想
話の転換が垣間見える惜しいところで未完になっている。
読了日:3月11日 著者:太宰 治
想像ラジオの感想
すべての死者と生者(残された者たち)のために。そしてまた明日を迎えるために。
読了日:3月10日 著者:いとう せいこう
屍者の帝国の感想
これはもうほとんど円城塔の小説だ。肝心な場面で対話を重視して物語を進める伊藤計劃らしさをとりいれてはいるものの、落ち着いた分析的目線は一貫している。だからこそこぼれ落ちたようなエピローグに感動を禁じえない。
読了日:3月10日 著者:伊藤 計劃,円城 塔
獅子渡り鼻の感想
一貫しているのは少年、尊の存在と視点くらいで、時間と場所を飛び越えながら進む物語のなかでは果たして誰が存在して、誰がいつ、なぜいなくなったのかが明示されない。その不在を追うことで時間を遡りながら、尊は少しずつ「獅子渡り鼻」に接近していく。
読了日:3月9日 著者:小野 正嗣
いつか、僕らの途中での感想
市立図書館で見つけたので読んだ。イラストが多く、読むのにかかった時間は10分といくらかというところ。柴崎は具体的な土地の名前を伴いながら、「わたし」と「あなた」の関係性と距離感を書くのがうまい。どこかにいそうでいない誰かの思いを、季節の変化と合わせてやさしく表現している。あと女の子と俺のいまの境遇が同じ(修士課程2年目を迎える春)なので少し気になりつつ読んだ。イラストの淡い色や線の使い方が文章のやわらかさと相まってすごくよい。
読了日:3月7日 著者:柴崎 友香,田雜 芳一
華々しき瞬間の感想
若かりし頃の恋はいつだって華やかなもの、というわけではないのだろうが、そうあろうと願う感覚が投影されているのかもしれないとは感じた。恋をすることで開けてきたのは華やかな世界、ではあったのだろう。
読了日:3月4日 著者:久坂 葉子
ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」への感想
戦後のポピュラーミュージックとそれを支えるメディアの発展と衰退から、ゼロ年代以降の音楽を貫く一冊。「聴取」から「遊び」へという副題にあるように、いかにしてわたしたちが音楽による「つながり」を求めているかが後半部分では語られている。定番のJ-POPからアニソン、ボカロ、またはニコニコ動画などのインターネットミュージックなどなど、横断的に語る切り口は円堂さんらしく、ところどころそのアナロジーはどうかと思うところはあるがいい仕事をしているし、個人的には同人音楽とAKB48の類似性を指摘したのが見事だと思う。
読了日:3月3日 著者:円堂都司昭
雲のむこう、約束の場所の感想
映画には一瞬しかでてこない水野理佳という女の子と浩紀との関係が詳細に描写されていたのが読み応えあった。もうひとつ映画では描かれなかったエピローグの部分だが、「秒速」を知っている今なら新海がこういう結末を用意したのは理解できる。だからこそ、塔での再会をはたしたあの一瞬が輝く。
読了日:3月1日 著者:新海 誠,加納 新太
読書メーター
読んだ本の数:17冊(2013年通算:43冊)
読んだページ数:4078ページ
ナイス数:80ナイス

ある程度この分野について知っている人とか、すでに他の入門書を読んでいる人にとっては既知のことが多く、文章が冗長に思えるかも知れないが、まったくの初読者にとっては統計学を学ぶための要点や、統計学を使って何ができるかというところがそれなりに収められている、とは言える。5章までは統計学そのもののレッスンで、6章では各分野ごとに統計学がどのように重視されるのかを眺める。基本的には教養としての統計学であり、ビジネスにしろ学問にしろ、とっかかりとしての一冊といったところだろう。
読了日:3月30日 著者:西内 啓

杉田敦が解説にも書いているが、ダールが何を議論していたかをふりかえることは何らかの意味や重要性があると思う。データや例示を多く取り入れ、一章ごとが平易や文章でまとまっており初学者にもやさしいのではないか。権力や影響力から、主体や政治制度の議論へと拡散していく過程は既知のことも多かったが読んでいて楽しかった。
読了日:3月27日 著者:R.A.ダール

いまさらながら読む。
読了日:3月26日 著者:綾辻 行人

新しい議論を展開するというよりは、オンステージ化やテーマパーク化という概念を使って日本の都市や街のありかたを再検証する一冊。4章で祭りについて論じたところは面白かった。
読了日:3月21日 著者:円堂都司昭

およそ9年ぶりの再読。ほとんど内容は忘れていたし、当時と違って「私」より歳を重ねているなかでの読書なので、「私」の生活に具体的に思いをはせながら読むことができた。お話として面白いのは「砂糖合戦」と「赤頭巾」、ゆったりと読めたのが「織部の霊」と「胡桃の中の鳥」。表題作「空飛ぶ馬」は私が言及しているように「赤頭巾」のあとなので、ああこういうのも悪くないなと思いながら読んだ。
読了日:3月21日 著者:北村 薫

わたしたちひとりひとりは政治の当事者であり、政治はわたしたちを逃しはない。ならわたしたちはどのように政治と向き合えばいいのか。学術的な議論とメディアを騒がすような社会的な話題や3.11以降に浮上した問題など、杉田敦は広く、丁寧に語り掛ける。とりわけ3章「討議」と4章「権力」は白眉。このあたりは政治学者としての杉田敦の本領発揮のように思えた。
読了日:3月18日 著者:杉田 敦

今まで読んできたように自伝的私小説。ゆがみながらも少女が大人になっていくお話。
読了日:3月17日 著者:久坂 葉子

平田自身が行ってきた演劇ワークショップの経験をもとに、演技をすることと演出することについてのさまざまなことが書かれている。一貫しているのはいかに演技者と演出家との間のコンテクストをすり合わせ、観客にどのように提示するかということ。講談社現代新書からでている他の2冊でも近い話をしているようなので、そのうち読んでみたいと思う。
読了日:3月17日 著者:平田オリザ

あとがきにあるように「政治」「文化」「思想」のトライアングルを、80年代を前史として90年代以降に何が起こっていたのかを紹介する一冊。著者の言うストリートの思想は適用範囲がかなり広く、その分概念としての切れ味は弱くなっていると思うが、時代をひもとくために広義に採用したのだろう。4章と5章の読みは3.11以降の社会運動を観察するときにも援用できそうだ。
読了日:3月14日 著者:毛利 嘉孝

話の転換が垣間見える惜しいところで未完になっている。
読了日:3月11日 著者:太宰 治

すべての死者と生者(残された者たち)のために。そしてまた明日を迎えるために。
読了日:3月10日 著者:いとう せいこう

これはもうほとんど円城塔の小説だ。肝心な場面で対話を重視して物語を進める伊藤計劃らしさをとりいれてはいるものの、落ち着いた分析的目線は一貫している。だからこそこぼれ落ちたようなエピローグに感動を禁じえない。
読了日:3月10日 著者:伊藤 計劃,円城 塔

一貫しているのは少年、尊の存在と視点くらいで、時間と場所を飛び越えながら進む物語のなかでは果たして誰が存在して、誰がいつ、なぜいなくなったのかが明示されない。その不在を追うことで時間を遡りながら、尊は少しずつ「獅子渡り鼻」に接近していく。
読了日:3月9日 著者:小野 正嗣

市立図書館で見つけたので読んだ。イラストが多く、読むのにかかった時間は10分といくらかというところ。柴崎は具体的な土地の名前を伴いながら、「わたし」と「あなた」の関係性と距離感を書くのがうまい。どこかにいそうでいない誰かの思いを、季節の変化と合わせてやさしく表現している。あと女の子と俺のいまの境遇が同じ(修士課程2年目を迎える春)なので少し気になりつつ読んだ。イラストの淡い色や線の使い方が文章のやわらかさと相まってすごくよい。
読了日:3月7日 著者:柴崎 友香,田雜 芳一

若かりし頃の恋はいつだって華やかなもの、というわけではないのだろうが、そうあろうと願う感覚が投影されているのかもしれないとは感じた。恋をすることで開けてきたのは華やかな世界、ではあったのだろう。
読了日:3月4日 著者:久坂 葉子

戦後のポピュラーミュージックとそれを支えるメディアの発展と衰退から、ゼロ年代以降の音楽を貫く一冊。「聴取」から「遊び」へという副題にあるように、いかにしてわたしたちが音楽による「つながり」を求めているかが後半部分では語られている。定番のJ-POPからアニソン、ボカロ、またはニコニコ動画などのインターネットミュージックなどなど、横断的に語る切り口は円堂さんらしく、ところどころそのアナロジーはどうかと思うところはあるがいい仕事をしているし、個人的には同人音楽とAKB48の類似性を指摘したのが見事だと思う。
読了日:3月3日 著者:円堂都司昭

映画には一瞬しかでてこない水野理佳という女の子と浩紀との関係が詳細に描写されていたのが読み応えあった。もうひとつ映画では描かれなかったエピローグの部分だが、「秒速」を知っている今なら新海がこういう結末を用意したのは理解できる。だからこそ、塔での再会をはたしたあの一瞬が輝く。
読了日:3月1日 著者:新海 誠,加納 新太
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