Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。

■ In Memorial Fictionalization
[woman side:01]

 何年前だったかなーと、指を折って数えてみる。ひい、ふう、みい・・・ああもうあと何年かで10年経っちゃうんだ。早いような、長かったような。当たり前だけど、色んな事があったなあ。あのときはこんなに早く結婚すると思ってなかったよ。
 人生ってよく分からない。けど、結婚生活を始めて見ると意外と違和感なくやれていると思うし(まだこどもがいないからかもしれないけれど)同じ屋根の下に誰かがいてくれる、という安心感や嬉しさは楽しい。ずっと一緒にいると嫌なこともあるしたまに居心地が悪くなったりするけれど、まあそういうものなんだろうな、という程度に考えることにしている。
 付き合っていた頃とちがって別れるのが手続き的にめんどうだから、っていう思いもあるし、今はまだ一緒にいることへの幸福感が大きいから。

 今も昔も、わたしはずっと朝がニガテだった。早起きができないわけじゃないんだけれど、目覚めるまでにすごく時間がかかるし、どれだけ寝ても目覚めの気分がすぐれているときはほとんどない。
 ふらふらとベッドから起き上がって、着替えたり、鏡の前に立ったり、そういう誰もがやっているような行動をとるのも一苦労。うーんうーん、とぜんぜん働いていない頭をぐるぐるさせながら起き上がるだけのワンシーンも、体を動かす前の準備運動のように感じる。
 だから毎朝寝起きすぐにスポーツをしているみたい。「あさのしたく」という、個人競技。何も考えないときもあるし、よそゆきの予定がある日は丁寧に準備をしなきゃいけない。戦う相手がいるようないないような、よく分からないスポーツを毎日のように繰り返してきた。


 「さすがにもう慣れたやろ」と言うかもね、あなたは。
 でもね、慣れてもたいへんなのはたいへんなんだよ。わたしの感覚や気持ちを分かって欲しい、と懇願するつもりはないよ。でも、たとえばマラソン選手が毎日何十キロも走る練習をしたり、遠距離から通勤で1時間以上ぎゅうぎゅう詰めの電車に揺られることが、毎日繰り返されても慣れてしまうとは思わない。いや、慣れる人もいるかもしれないけれど、スポーツ選手なら好きでやっている部分もあるかもしれないけれど、費やすエネルギーが減るわけじゃない。
 いつものように毎日同じエネルギーを使い続けることがどれだけ楽じゃないか。たいへんというのは言い過ぎたかもしれないけれど、楽ではないよ、ぜんぜん。

*******

 今思えばあのときのあなたに知って欲しかったなあ。わたしが毎朝一生懸命だったこと。
 
 今更だし何の意味もないと思うけど、こういうわたしのことをどう思うのか、率直な言葉が欲しかった。あなたの得意な理詰めの言葉じゃなくて、内面からまっすぐ出てくるような言葉が。
 いま一緒に住んでいる人は、わたしにあたたかい言葉をかけてくれるとか、きつくしかってくれるっていう人ではない。だけど、いつも自分の言葉で話してくれる人です。
 もちろんたまにはウソをついているかもしれないけど、優しいウソなら多少ならだまされてもいい。もっとも、長いこと一緒に住んでいたらウソとホントの見分けがつくかもしれないけどね。

 わたしがもうあなたと会わなくなって何年も経ってる。学校の同級生とかだったらどこかで会う機会もあるかもしれないけど、わたしたちはたまたま同じ季節を同じ場所で過ごしただけの関係だった。
 でも、覚えてるよ。自分に自信があるように見えて意外と脆いところとか、隣で歩いていてもどこか遠くを見ている風な表情とか。あと、もっと気を抜いて喋ればいいのに変なところで力んでしまうから、ちょっとおかしくて心の中で何回か笑ってしまったこともある。
 あの季節やあの場所はちょっとだけ特別だったから、どう分類していいか分からないまま記憶に残り続けている。本当にあれっきりだったから、残っていること自体が不思議だとも思う。
 
 少なくとも、いまのうちはね。
 いつか、もっと夢中になれるような大切な出来事があったら薄れていってしまう。
 その繰り返しが、記憶するということ、だから。
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