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日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。

 中条省平の書いた『100分de 名著 アルベール・カミュ ペスト』を読み終える。『ペスト』自体は読書メーターをさかのぼると2016年に読んでいたので、もう4年前になるのかと感じた。




ペスト(新潮文庫)
カミュ
新潮社
2017-03-10






 確かなタ書でカミュを何冊か買い、その中に入っていたのが『ペスト』だったと思う。ほかに『幸福な死』と『転落・追放と王国』を読んでいるが一番有名な『異邦人』をまだ読んでいない。中条のテキストを読みながらカミュの作家性についても学ぶことができたので、もう少し読んでないものを読んでいきたい。

 新型コロナウィルスによるパニックに陥っている世界を生きる2020年の現在から見ても、『ペスト』は単なるフィクション以上のリアリティと驚きがある。人間がいかに目の見えないものに対して恐怖を覚えるかということ。一定の区域に封じ込めるという方法が、本来安全な人を過度なストレスに晒すリスクにさらしているということ。日本でも横浜に停泊しているダイヤモンド・プリンセス号を思い浮かべればよいだろう。2600人ほどが乗っており、半数以上は外国人で、合わせると50か国以上の人々であるらしい。その人々がほとんど何の前触れもなく、突然一定期間隔離、幽閉されるというのは、想像を絶する。しかしその体験は、外の世界にいる私たちが共有することが難しい。

 だからカミュも、あるいは昨日言及した安克昌も、そのディザスターの真っただ中のリアルを書き記そうとしたのかもしれない。カミュは小説というフィクションに仮託することで、逆に強いリアリティを持ってみせた。安克昌は新聞の連載を依頼されるという外的な要因によって、真っただ中の専門家しか知り合えない事実や情報、人の感情を外部の人間に届けることに務めた。これらの仕事は、特に平時である時にこそよく参照されるべきなのだろう。パンデミックならぬインフォデミック(根拠の不確かな情報の氾濫)が起きてからでは、冷静に情報をつかむことも難しくなるから。

 昨日から今日にかけてハフポストのよくわからない企画が炎上している。色々な反応がすでにあるのでもう改めて書かないが、そんな中たまたま見つけたブルームバーグの次の記事が印象に残った。






 日本の女性は多くが自営か無職(主婦)かパートタイム雇用のまま現役世代を終え、老後に入る。男性より10年ほど寿命が長いことが一種の幸福のように語られてきたが、制度的には確かに恵まれているとは言えない。以前より要件が緩和されているとはいえ、厚生年金に加入できない場合は国民年金か夫の扶養という第3号被保険者という地位しか獲得できていない。資産が十分にあれば別だが、すでに多くの統計を見ていても単身高齢者や高齢者のみの世帯の所得にゆとりがあるとは言えず、貧困ラインで生活している人も多い。そものも年金だけでは生活できず、生活保護に頼っているのもこの層である。

 ブルームバーグの記事はそうした統計をさらに補強するかのように、現役世代の女性たちの人生の選択の幅の少なさをみつめている。現役の時の幅が少ないということは、よりゆとりのある老後を保証する確率も下がるということになる。大沢真知子が記事で指摘しているように、「『夫が失業する危険、あるいは賃金が上がらない職業に就く夫が増えている』など安定が保障されない社会になっており、世帯ではなく個人を中心とした税や社会保障制度への転換が必要」なのは一つの策としてありうる。

 現実的にはいまもある扶養控除や第3号被保険者そのものの解体には反発も多いはずで、そうではない形でより個人の選択の幅を広げ、老後の選択肢をも広げる方向に制度を作っていく必要があるだろう。もちろん制度の問題だけではなく、「男性や職場の意識改革も必要」でもあるので、まだまだ道のりは長いかもしれないが、引き返せなくなる前に打てる手は打っておいたほうがよい。とりわけ雇用が不安定な氷河期世代が老後に突入していく前に何らかの手立ては打たれるべきだろう。

 この記事を読んでいて思い出したが、この本をまだ積んでいるので読まねばならないと改めて。




 来週金曜日にソレイユで公開される『さよならテレビ』を見に行く予定にしているが、ちょうどひらりささんが有料noteにこの映画を見ての雑感を記録していて面白かった。ドキュメンタリーにおける作り手の誠実さ、みたいなところがポイントかなと思いながら読んだ。




 3日続けて書いてきたが、こんな感じで読んだもの、見たものについての雑感が中心になっていきそう。引き続きお付き合いいただければありがたい。
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