現代史再考プロジェクトとして生み出された至上のノワール ――『KCIA 南山の部長たち』(韓国、2020年)副業でウーバーイーツ配達員を一年続けて感じた8つのこと

2021年05月01日

2021年4月の読書記録&書評




 3月はいっぱい読んだので4月は減りそうだと前回書いたけどなんとびっくり41冊も読んでしまった。どれだけ暇なんだと言われそうだが(ウーバーイーツは3月より暇になったので待機中によく読んでいた)暇かどうかより、時間の使い方が重要だなと改めて気づいた。
 このネタ、つまり「日常生活でいかに読書時間を捻出するか」だけで今度一本書いてみたい。

 後半にはmediumにアップした書評も載せている。4月掲載分は11本。

4月の読書メーター
読んだ本の数:41
読んだページ数:11757
ナイス数:71

闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))
読了日:04月01日 著者:アーシュラ・K・ル・グィン
子育て支援の経済学子育て支援の経済学感想
実証系の計量経済学ではお馴染みのDIDやRDDを中心に保育政策、幼児教育政策や女性の産育休などについてその政策効果を分析。各章で一つずつのイシューを扱うのでテーマがダブることはあるが(例えば育休は5,8,8章で取り上げられている)それはつまり個々の政策や施策を厳密に分析、解釈しようとしているからでもある。計量経済学の手法を知らない人は多いと思うが、各章で展開される分析は面白く受け留められると思う(数式はイメージが掴めればよいと思う)。各分析の成果と限界がいずれもコンパクトにまとまっているのもリーダブル。
読了日:04月03日 著者:山口 慎太郎
セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)感想
むちゃくちゃ面白い。もっと早く読んでおきたかったが今季開幕のタイミングで読めたのはよかったかもしれない。数字ではわからないことの魅力や、データ至上主義や勝利至上主義が野球を歪めてしまう事への危機感は結構重要だと思う。(数字やデータを否定するのではなく、限界があるという話として)
読了日:04月05日 著者:お股ニキ(@omatacom)
われら (集英社文庫)われら (集英社文庫)感想
有名なので読んでみたがたしかにこれは1984に影響を与えてそう。主人公のメンタリティの違いはあるけど、慈愛の人はビッグブラザーだよなと思いながら読んだし、過去を葬り去って歴史を変え、人間の生き方を変えて管理国家を形成していくスタイルはディストピア小説の古典といわれるゆえんかな。
読了日:04月06日 著者:エヴゲーニイ・ザミャーチン
闘争領域の拡大 (河出文庫)闘争領域の拡大 (河出文庫)感想
90年代に書かれたウエルベックの長編一作目だけど全然古びてないな。ポストモダンというか新自由主義というか、いろいろなことを感じる。
読了日:04月06日 著者:ミシェル ウエルベック
シェリ (光文社古典新訳文庫)シェリ (光文社古典新訳文庫)感想
岩波文庫で昔一度読んだので訳を変えて再読。ストーリーもあまり覚えてなかったので新鮮な気持ちで面白く読んだ。中年になってさらに老いを感じる元高級娼婦のレアと、25歳にしては幼さも残る若者シェリとの間の歳の差のある恋の面白さや切なさの中には普遍的な感情が豊富にある。離れがたいけどどこかで別れなければ生きていけないのが人生か。
読了日:04月07日 著者:シドニー=ガブリエル コレット
はじめての社会保障〔第18版〕 (有斐閣アルマ)はじめての社会保障〔第18版〕 (有斐閣アルマ)
読了日:04月07日 著者:椋野 美智子,田中 耕太郎
韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020感想
面白かった。映画やドラマは詳しくないのでふむふむと勉強する感じで読んだ。小説の話は知っている話題が多かったし、チョ・ナムジュの『彼女の名前は』にまつわるおしゃべりを特に面白く読んだ。キムジヨンと同じくらい評価されていい本だと思う。あと本の最後の方にフェミニズムとSFの話が出てくるが、これを昔の日本で実践していたのが鈴木いづみだろうと思うので彼女が現代のジェンダー/フェミニズムのカルチャーの議論の中で再評価されてもいいんじゃないかなとも思う。
読了日:04月09日 著者:西森 路代,ハン・トンヒョン
モンスーン (エクス・リブリス)モンスーン (エクス・リブリス)感想
空恐ろしい一冊。表題作と「カンヅメ工場」と「少年易老」が好き。「散策」の不穏さもよかった。
読了日:04月09日 著者:ピョン・ヘヨン
あなたもきっと依存症 「快と不安」の病 (文春新書 1304)あなたもきっと依存症 「快と不安」の病 (文春新書 1304)感想
著者のこれまでの研究や社会活動がぐっと凝縮された一冊。新書なのでゴリゴリの専門性というよりは読みやすさを重視した書き方にはなっているが、エビデンスに基づく治療や支援の紹介が随所に具体的になされているのはよい。フィリピンの薬物政策はドゥテルテの強硬なイメージが強かったので日米の支援の枠組みが展開されているところは面白かった。過度な刑罰重視から治療へという流れや、規範や偏見よりエビデンスをという姿勢はもっともっと一般にも広まっていくとよい。
読了日:04月10日 著者:原田 隆之
女ごころ (ちくま文庫)女ごころ (ちくま文庫)
読了日:04月12日 著者:W・サマセット モーム
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
読了日:04月12日 著者:アゴタ クリストフ
現代民主主義-指導者論から熟議、ポピュリズムまで (中公新書 2631)現代民主主義-指導者論から熟議、ポピュリズムまで (中公新書 2631)
読了日:04月12日 著者:山本 圭
人が死なない防災 (集英社新書)人が死なない防災 (集英社新書)
読了日:04月13日 著者:片田 敏孝
紛争解決ってなんだろう (ちくまプリマー新書)紛争解決ってなんだろう (ちくまプリマー新書)
読了日:04月13日 著者:篠田 英朗
いやしい鳥 (河出文庫)いやしい鳥 (河出文庫)
読了日:04月15日 著者:藤野 可織
IoTまるわかり (日経文庫)IoTまるわかり (日経文庫)
読了日:04月15日 著者:
フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)感想
保育制度はその国の歴史や文化に根づいたものなので容易に変えにくい印象を持ったが、かなり厳格な産育休の制度はもっと積極的にマネをしても良いと思ったし、父親だけど対象にした父親教室の話が面白かった。仕事やキャリアとの両立のむずかしさはどうしてもあるようだけど異議申し立てや試行錯誤をして制度が漸進している様子が伺えるのはフランスらしくて面白い。
読了日:04月16日 著者:盧 順子
本と私 (岩波新書 新赤版 (別冊8))本と私 (岩波新書 新赤版 (別冊8))感想
本と私を題材にしたアンソロジーエッセイ集。書いてるのは一般の人。読み友達の話と沖縄にふらっと移住したら10年以上経っていた話が好き。
読了日:04月17日 著者:
アフリカの日々 (河出文庫)アフリカの日々 (河出文庫)感想
素晴らしい読書体験だった。約100年前、ケニアはナイロビの高地におけるコーヒー農園経営の話から始まり、現地の部族の風習や文化、人間関係、あるいは争いなどの描写を小説に書くような筆致で感情豊かにかつディティールにこだわって書きこんでいる。ヨーロッパ出身者との交流も様々描写があり、中でもデニスとの関係は複雑で切ない。最後はコーヒー農園の経営難が続き、アフリカを去る日の出来事までが書かれる。まさに、作家にとってのアフリカの日々が色濃く凝縮された一冊。
読了日:04月17日 著者:イサク・ディネセン
性格とは何か-より良く生きるための心理学 (中公新書)性格とは何か-より良く生きるための心理学 (中公新書)感想
主にビッグファイブをキーとして読み進めていくタイプの本。内容的には心理学エッセイと言えるほど読みやすいが引用される文献は100を越え、十分読み応えあり。
読了日:04月17日 著者:小塩 真司
良き統治――大統領制化する民主主義良き統治――大統領制化する民主主義
読了日:04月19日 著者:ピエール・ロザンヴァロン
大阪大阪
読了日:04月20日 著者:岸 政彦,柴崎 友香
新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる
読了日:04月20日 著者:岩田健太郎
『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)
読了日:04月20日 著者:亀山 郁夫
新装版レズビアン短編小説集 (平凡社ライブラリー)新装版レズビアン短編小説集 (平凡社ライブラリー)感想
レズビアンと名打ってあるが比較的広くこの言葉を使っているようで日本の読者には百合小説と言った方がイメージが伝わりやすいかもしれない。どれも面白かった(強いて言えばジュエット「マーサの愛しい女主人」、マッカラーズ「あんなふうに」、ウルフの名作「外から見た女子学寮」がよい)し、訳者である利根川真紀の解説がよい。本作に収録されてある小説が生み出された時代背景や歴史的な文脈、第一波フェミニズムや第ニ波フェミニズム、あるいはゲイ文学との関係性など、非常に丁寧に文脈を抑えていて勉強になった。
読了日:04月21日 著者:ヴァージニア ウルフ
三ギニー (平凡社ライブラリー)三ギニー (平凡社ライブラリー)感想
やはり名著ですね。ウルフが病と呼んでいる男性の中にある固定的な観念はまだまだ根深いので今もなお読む価値がある。
読了日:04月21日 著者:ヴァージニア ウルフ
小説の自由 (中公文庫)小説の自由 (中公文庫)感想
エッセイと文芸批評の中間といった感じの自由な文章。脱線横道お構いなし。アウグスティヌスの話から急にイチローやバリーボンズの話に脱線していくところが好き。
読了日:04月22日 著者:保坂 和志
青い麦 (新潮文庫)青い麦 (新潮文庫)感想
大人になりたい/なりたくない感情が交差するのはどの時代の10代にもあるよねと思いながら読んでいた。青春の美しさというより人生や恋愛の苦味が際立つが、『シェリ』がそうだったようにそこがコレットの持ち味でしょうね。
読了日:04月22日 著者:コレット
ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代感想
ホックシールドの感情労働の議論を引き合いにしつつ、看護の仕事を中心として感情労働はなぜどのように疲れるのかを語っていくもの。論文というよりはエッセイや批評に近い文体なのでそこは割り引く必要がある(話が割とよく飛躍しがちでもある)が看護師以外の援助職が読んでも参考になる話題は多かった。解決策がないと感想を挙げている方が複数いるが、感情労働の構造を明らかにしていく書籍なのでそもそもハウツー本ではない。その上で、構造を理解することができれば解決できなくても上手く対処することは十分に可能だと私は思う。
読了日:04月24日 著者:武井 麻子
牝猫 (1956年) (新潮文庫)牝猫 (1956年) (新潮文庫)
読了日:04月25日 著者:コレット
ストレスのはなし - メカニズムと対処法 (中公新書)ストレスのはなし - メカニズムと対処法 (中公新書)
読了日:04月25日 著者:福間詳 著
アメリカの政治アメリカの政治
読了日:04月26日 著者:
塀の中の事情: 刑務所で何が起きているか (941) (平凡社新書)塀の中の事情: 刑務所で何が起きているか (941) (平凡社新書)感想
すでに知っていることも多かったが取材を通して一人一人に接近していくリアリティは読み応えがある。ただこの書き方は被害者は被害者家族、遺族の視点が弱いのでその点はバランスに欠ける(構成の限界ではあるだろうが)。個別的には開放的刑務所の話、医療刑務所の話、更生保護施設の話を特に興味深く読んだ。
読了日:04月27日 著者:清田 浩司
目の眩んだ者たちの国家目の眩んだ者たちの国家
読了日:04月27日 著者:キム・エラン,パク・ミンギュ,ファン・ジョンウン,キム・ヨンス
超動く家にて (創元SF文庫 み 2-3)超動く家にて (創元SF文庫 み 2-3)感想
同人誌へ寄せた短編も含むバラエティに富んだ作品集。「アニマとエ^ファ」、「星間野球」が面白かった。
読了日:04月27日 著者:宮内 悠介
バタイユ入門 (ちくま新書)バタイユ入門 (ちくま新書)感想
バタイユはほとんどなにも知らない状態でなんとなく読み始めたが面白かった。ニーチェへの一連の言及とプルーストやマネへの評価が面白かった。
読了日:04月28日 著者:酒井 健
あたしたちの未来はきっと (ウィッチンケア文庫)あたしたちの未来はきっと (ウィッチンケア文庫)
読了日:04月28日 著者:長谷川町蔵
モテとか愛され以外の恋愛のすべて (文庫ぎんが堂)モテとか愛され以外の恋愛のすべて (文庫ぎんが堂)
読了日:04月29日 著者:桃山 商事
競馬の血統学―サラブレッドの進化と限界 (NHKライブラリー)競馬の血統学―サラブレッドの進化と限界 (NHKライブラリー)感想
なんとなく古本屋で読んでみたが面白かった。ネアルコやナスルーラ、ノーザンダンサーなど具体的な馬を基軸に血統とは何かを歴史的に語っていく本。
読了日:04月30日 著者:吉沢 譲治
絶望死のアメリカ絶望死のアメリカ
読了日:04月30日 著者:アン・ケース,アンガス・ディートン

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