関係性があいまいでコミュニケーションが不足している男女たち ――『愛がなんだ』(2019年)格差社会、フィクションと消失、そしてビニールハウスのメタファー ――『バーニング 劇場版』(韓国、2018年)

2019年05月10日

ゆったりと激しくかき鳴らす音とダンス ――RAMMELLS Mirrors release tour@心斎橋CONPASS(2019.5.9)



 確かlucky tapesをようつべで流し聞いていた時だったと思うが、ようつべによくあるように自動的に次の曲(url)に変わったとき、流れていたのがRAMMELLSというバンドだった。確か次の曲だったと思う。イントロのゆるいメローな感じの音と、サビの歌詞が印象に残った。



 すごく特徴があるわけではないが色っぽくて力強いボーカル(黒田秋子)と、さっきも書いたようにゆったりした、でも力強さはちゃんとあるサウンドが印象に残った。それと唇のアップが何回も繰り返し現れるMVは、攻めの気を感じる。ガンガン攻めるぞというよりは、脱力するときは脱力もして、時にキレを見せる感じがある。
 現代のJ-ROCKの世界でここまでBPMを落としたサウンドだけで攻めていくのはかなり意欲的だなと思ったのと、たまたま今年出たアルバムのツアーをGWの間からやっていて、なおかつ昨日は休みだったので、ふらっと心斎橋まで足を運んだわけである。

 正直最近聞き始めたので、知っている曲も知らない曲も両方ばらばらという感じではあったが、1時間半の本編とプラス2曲のアンコールをゆったり楽しむことができた。いや、ゆったりというのはやや語弊があるか。ベースの村山がベースを置いてマニピュレーターをいじる曲が数曲あったのだが、この時の迫力たるよ。でもこのバンドが「踊る」ことを要求しているから、こういうアプローチはとても正しい。正しいし、このBPMでも踊れるだろってことを伝えてきているように思えた。
 最新アルバム『Mirrors』のリード曲である「真っ赤な太陽」の歌詞にも、「踊れ yeah」という歌詞から始まるように、踊るという意識が強くある。



 もう一つこのバンドの狙いがどこにあるのだろうと思ってインタビューをあさってみたら、リーダーでギターの真田徹の経歴が面白いことが分かった。Suchmosのメンバーとかつてバンドを組んでいたことや、最初に俺が聞いていたlucky tapesが友達であるということ。
 元々真田がやっていたバンドが解散したあと、先にデビューして有名になっていった彼らと比べて自分たちに何ができるのか、という時にボーカルの黒田秋子に声をかけて結成されたとのことで、まだ結成から4年弱しか経ってない新しいバンドだ。

 黒田秋子の人柄や音楽性を知るには、次のインタビューが面白い。

—『マッドマックス』って、ジェンダー論的な見方があるじゃないですか? 男性社会のなかの女性の強さと弱さを描くと同時に、男性の強さと弱さも描いている。黒田さんは以前“Blue”について話をしたときに(RAMMELLSインタビュー 結成わずか半年で注目の的へ駆け上がる)、「右か左かどっちかじゃない」みたいな話をしてくれたり、「こうあるべき」ということに対してすごく違和感を感じている印象があって、“2way traffic”もそういうことを歌った曲なのかなって。

黒田:『マッドマックス』は関係ないんですけど(笑)、うちはお父さんが「大体のルールとか規則は破るためにある」って言うような人だったんです。小さい頃は「なに言ってんだ?」と思ってたんですけど(笑)、だんだんそれが理解できるようになってきて。

たとえば、学校の校則の「スカートが膝上何cmじゃなきゃダメ」とかって、意味わからないじゃないですか? 「こうあるべき」じゃなくて、「自分がどういたいのか」が大事なんじゃないかなって。

—そういうことが、黒田さんが音楽に込めるメッセージでもある?

黒田:誰かが聴いてくれた瞬間からその曲はその人にとっての曲でよくて、好きなように聴いてもらえればいいとは思ってます。でも、「女性だから、笑ってなきゃいけない」とか、そういうのは「うるせえよ」って思っちゃうんですよね。まあ、笑ってたほうが楽しいからいいとは思うけど、「女性だから、じゃないだろ」とは思っちゃいます。

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 「2 way traffic」はデビューアルバムに入っている曲だが、確かに彼女のスタンスっていうのは思っていることをそのままメッセージにこめているように思えた。昨日のライブでも、曲はみんなに自由に聞いてほしい、というような話を冒頭のMCでこめていたけど、自分たちの曲に饒舌じゃないバンドもなかなか珍しいなと思う。
 もちろん彼ら彼女らなりのメッセージはちゃんとあるし、解釈もあるだろうけど、作って発表したあとは自由にというのは、テキスト論的な立場を持ったミュージシャンと言えばいいだろうか。とにかく、「好きなように聴いてもらえればいい」はリスナーとしてはうれしい言葉である。



 「ゆったりと激しく」は語弊があるかなという話をさっきも書いたけど、確かに曲によってはそうかもしれないけど、この両方を兼ね備えているバンドなのは確かだと思った。特に激しさはライブに行ってこそ際立つ。その激しさに負けない、黒田のボーカルがある。楽しそうに、自由に歌う彼女を見る時間は幸福な時間だった。

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