Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。

music

 以前にクールごとのアニソンまとめとか、その月ごとに聴いた音楽をまとめるエントリーを書いてたことがあったがしばらくやってなかったので、ちょっと再び意識してつけてみたいと考えてのエントリー。
 理由はいろいろあるが、ここ最近はフィジカル(CDなど)で音楽を聴かずに、サブスクリプション(自分の場合はamazon music unlimited)とyoutube、あとラジオが主な音楽視聴体験となっている。amazonやyoutubeではマイミュージックに追加するなどしているが、あちこちに情報が散らばっている結果「特定の時期にリリースされた新曲」をまとめる場所が欲しいなと思っていた。
 というわけで今回は2021年の1月〜3月にリリースされた楽曲やアルバムをピックアップして、短評的にコメントを残していきたいと思う。それでは行ってみよう。


●ヨルシカ「春泥棒」、『創作』
創作
UNIVERSAL MUSIC LLC
2021-01-26


 この三ヶ月、一番聴いていたのはヨルシカだと思う。特に1月上旬にリリースされた「春泥棒」の楽曲とMVがいずれも素晴らしい。春が来る前に桜が散りゆく姿を何度映像で見たことか。いま改めてこの曲を聴いて、MVを見て、しみじみとしている。



 オンラインライブ「前世」もめちゃくちゃよかった。



●中島愛『Green Diary』
green diary
FlyingDog
2021-02-03


 以前(活動休止前)と比べるとここ最近は中島愛の活動を熱心に追っていなかったが、本人がTBSラジオのアトロクに出演していた際のインタビューが面白かったので久しぶりに聞き、そのままハマっている。アルバムタイトルにある通り、彼女のデビューのきっかけとなったランカ・リーを意識したグリーンのカラーイメージそのままに、透明感漂う楽曲が多い。同い年なので30代になってもこの透明感は希少だよな……とただただ感動している。

●田所あずさ『Waver』
 
Waver
Lantis
2021-01-27





 初めてセルフプロデュースを行ったというころあずのアルバムも面白い。「クリシェ」と「死神とロマンス」が好き。今までのような「タドコロック」路線というよりは、やりたいことをパッケージで詰め込んだ感じが伝わってくる。

●宇多田ヒカル「One Last Kiss」


 もはや何も言うまいなんだけど、MVがかわいすぎてやばかった。

●佐藤千亜妃「声」


 凍てつくようなMVの風景、消えそうな声で歌う佐藤のボイス、そして文字通り「声」というシンプルで最低限の情報しかないタイトル。別れの季節に佐藤が歌う歌は「桜が咲く前に」(きのこ帝国)を思い出すが、もう少し大人になった女性の目線としてつづられたのが「声」という楽曲かもしれない。
 いずれにせよ、極上の6分50秒。時間が止まったような、そんな不思議な感覚にさせられる。

●古川本舗「yol feat.佐藤千亜妃 (Music Video)」


 古川本舗復帰第二弾。佐藤千亜妃が来るとはさすがに思ってなかったので震えている。100回くらい聴いた。耳が幸せなので一生聴いていたい。あと映像がすげえわね。
 音楽も佐藤の声を生かす最高のエレクトロニカ。「声」も「yol」も、佐藤の声を一つの楽器のようなものとしてメロディに自然に溶けているのがいいなと思う。こちらも別れの季節にふさわしい歌である。

●フレンズ「約束」


 アニメ『ホリミヤ』のED。フレンズがホリミヤ、という組み合わせだけでも面白いと思ったし、かなり青春(MVはもう少し先の青年期かなと思える)に寄せた感じで、普段のフレンズのメロディとも違うオーソドックスなバラードだけど、その分じわじわ効いてくる感じが新鮮。

●愛美「ReSTARTING!!」


 アイマスやバンドリやD4DJなどでもうかなりの楽曲を歌って来た愛美がついに個人名義でデビュー。MVめちゃくちゃかわいくないですか。(さっきからMVかわいいMVすごいばかり言ってる人)
 イメージの楽曲はバンドリに近い気がするのでアイマスのジュリアに寄せたような、nano.RIPEとのコラボが見てみてえ感。

●Ado「ギラギラ」


 「うっせぇわ」がバズりまくっているAdoだけど楽曲の雰囲気とボーカルのマッチ度はこっちの「ギラギラ」が絶妙だと思う。彼女の低音ボイスが今後どういう音楽に寄っていくかは分からないけど、まだまだ若いので全部が楽しみ。
 声質はyamaに近いイメージもあるけどyamaはポップスも行けるのに対してAdoはもっとハードロック寄りなイメージ。「ギラギラ」がいいのはロックバラード調なところだろう。

●yama「一寸の赤」、「麻痺」


 yamaは毎月一曲ずつくらいアップしてません?と思うほどハイペースに楽曲を作っているが、思った以上に器用な歌唱でなんでもできるなと思わせてくれる一曲。優しいyama、いいですね。



 ただ本来の路線はこういうサウンド向きだなと思う。ポップスとロックとエレクトロの間あたり、

●Night Tempo「真夜中のドア/Stay With Me (Night Tempo Showa Groove Mix) 」


 去年の秋ごろからNight Tempoという韓国のDJの80sアレンジがヤバイという話は聞いていて、その中でも一番ヒットしてるのが松原みきの「真夜中のドア」らしいのだけど、これは確かにめちゃくちゃいい!
 レトロと新しさが違和感なく、そしてめちゃくちゃおしゃれに混ざり合っている。COVID-19でなければあちこちのクラブで流されてもいいのでは〜というような万能なアレンジと、色あせない松原みきのボイスが本当に良い。これも100回くらい聴いた。

●Rainych & evening cinema「RIDE ON TIME」


 東アジアで80sブームを作ったのがNight Tempoだとするならば東南アジアでブームを作っているのはいわゆる歌ってみたでブレイクしているRaynichらしい。まあこのシーン本当によく分からないことだらけなのだけど、満を持してカバーした山下達郎の楽曲がかわいすぎてヤバい。え、こんなにかわいく(そしておしゃれに)RIDE ON TIMEを歌っていいんですか感。
 いやまあ原曲もオシャレだけど、そこからさらに現代のエレクトロサウンドをじわじわ足していった感じ。

● Millie Snow「Plastic Love - Mariya Takeuchi (Cover) 」


 night tempoやRaynichを聴いているとレコメンドされたのがこのMillie Snowのカバー。ボッサ風のゆったりとしたアレンジに大人びた歌唱がよく似合う。本当にアジア各国で80sが流行ってんのなと思わせる動画。

●Limonene「nevergreen」


 最近kamome sanoをほとんど聴いてなかったが久しぶりに聴いたらさすがといったセンス。ボーカルの声に合わせた音を作るのがうまいのと、アレンジがハイセンスなのは安定している。

●坂本真綾『Duets』、坂本真綾×内村友美「sync」
Duets
FlyingDog
2021-03-17


 はい、昨日が41歳の誕生日でした。おめでとうございました。ほんとどれも面白いんだけど、la la larks内村友美と組んだ「sync」がお気に入り。冒頭のピアノでやられる上に二人の声の調和が最の高。最の高だよ!

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 確かlucky tapesをようつべで流し聞いていた時だったと思うが、ようつべによくあるように自動的に次の曲(url)に変わったとき、流れていたのがRAMMELLSというバンドだった。確か次の曲だったと思う。イントロのゆるいメローな感じの音と、サビの歌詞が印象に残った。



 すごく特徴があるわけではないが色っぽくて力強いボーカル(黒田秋子)と、さっきも書いたようにゆったりした、でも力強さはちゃんとあるサウンドが印象に残った。それと唇のアップが何回も繰り返し現れるMVは、攻めの気を感じる。ガンガン攻めるぞというよりは、脱力するときは脱力もして、時にキレを見せる感じがある。
 現代のJ-ROCKの世界でここまでBPMを落としたサウンドだけで攻めていくのはかなり意欲的だなと思ったのと、たまたま今年出たアルバムのツアーをGWの間からやっていて、なおかつ昨日は休みだったので、ふらっと心斎橋まで足を運んだわけである。

 正直最近聞き始めたので、知っている曲も知らない曲も両方ばらばらという感じではあったが、1時間半の本編とプラス2曲のアンコールをゆったり楽しむことができた。いや、ゆったりというのはやや語弊があるか。ベースの村山がベースを置いてマニピュレーターをいじる曲が数曲あったのだが、この時の迫力たるよ。でもこのバンドが「踊る」ことを要求しているから、こういうアプローチはとても正しい。正しいし、このBPMでも踊れるだろってことを伝えてきているように思えた。
 最新アルバム『Mirrors』のリード曲である「真っ赤な太陽」の歌詞にも、「踊れ yeah」という歌詞から始まるように、踊るという意識が強くある。



 もう一つこのバンドの狙いがどこにあるのだろうと思ってインタビューをあさってみたら、リーダーでギターの真田徹の経歴が面白いことが分かった。Suchmosのメンバーとかつてバンドを組んでいたことや、最初に俺が聞いていたlucky tapesが友達であるということ。
 元々真田がやっていたバンドが解散したあと、先にデビューして有名になっていった彼らと比べて自分たちに何ができるのか、という時にボーカルの黒田秋子に声をかけて結成されたとのことで、まだ結成から4年弱しか経ってない新しいバンドだ。

 黒田秋子の人柄や音楽性を知るには、次のインタビューが面白い。

—『マッドマックス』って、ジェンダー論的な見方があるじゃないですか? 男性社会のなかの女性の強さと弱さを描くと同時に、男性の強さと弱さも描いている。黒田さんは以前“Blue”について話をしたときに(RAMMELLSインタビュー 結成わずか半年で注目の的へ駆け上がる)、「右か左かどっちかじゃない」みたいな話をしてくれたり、「こうあるべき」ということに対してすごく違和感を感じている印象があって、“2way traffic”もそういうことを歌った曲なのかなって。

黒田:『マッドマックス』は関係ないんですけど(笑)、うちはお父さんが「大体のルールとか規則は破るためにある」って言うような人だったんです。小さい頃は「なに言ってんだ?」と思ってたんですけど(笑)、だんだんそれが理解できるようになってきて。

たとえば、学校の校則の「スカートが膝上何cmじゃなきゃダメ」とかって、意味わからないじゃないですか? 「こうあるべき」じゃなくて、「自分がどういたいのか」が大事なんじゃないかなって。

—そういうことが、黒田さんが音楽に込めるメッセージでもある?

黒田:誰かが聴いてくれた瞬間からその曲はその人にとっての曲でよくて、好きなように聴いてもらえればいいとは思ってます。でも、「女性だから、笑ってなきゃいけない」とか、そういうのは「うるせえよ」って思っちゃうんですよね。まあ、笑ってたほうが楽しいからいいとは思うけど、「女性だから、じゃないだろ」とは思っちゃいます。

期待の新鋭RAMMELLSが語る「誰も窮屈にならないための歌を」


 「2 way traffic」はデビューアルバムに入っている曲だが、確かに彼女のスタンスっていうのは思っていることをそのままメッセージにこめているように思えた。昨日のライブでも、曲はみんなに自由に聞いてほしい、というような話を冒頭のMCでこめていたけど、自分たちの曲に饒舌じゃないバンドもなかなか珍しいなと思う。
 もちろん彼ら彼女らなりのメッセージはちゃんとあるし、解釈もあるだろうけど、作って発表したあとは自由にというのは、テキスト論的な立場を持ったミュージシャンと言えばいいだろうか。とにかく、「好きなように聴いてもらえればいい」はリスナーとしてはうれしい言葉である。



 「ゆったりと激しく」は語弊があるかなという話をさっきも書いたけど、確かに曲によってはそうかもしれないけど、この両方を兼ね備えているバンドなのは確かだと思った。特に激しさはライブに行ってこそ際立つ。その激しさに負けない、黒田のボーカルがある。楽しそうに、自由に歌う彼女を見る時間は幸福な時間だった。
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 坂本真綾のライブに参加するのは2年2ヶ月ぶり5回目、東京以外では3回目になる。というか、最初の2回(武道館、国際フォーラム)以外は仙台、高松、今回の大阪と来ているのですべて地方公演だな、と気づいた。
 過去4回中、武道館と仙台の東京エレクトロンホールの公演はライブレポも書いているので、興味ある人はそちらもどうぞ。

【ライヴレポ】坂本真綾30歳の誕生日会に参加して感じたこと(2010年3月@武道館の公演レポ)
ステージの中心に坂本真綾がいる光景を目撃した(2012年12月@仙台の公演レポ)

 ブログのタイトルにもしているが、20周年イヤーを終えて少し間を空けてからのリスタートだったり、本人の言葉を借りれば「離陸」というのが今回のツアーのテーマだったようで、そこからALL CLEAR、つまり視界良好でいつでも行けるぜ、というワードにもつながっているようだ。
 そのうえで、今回はCCさくら中学編のOPである「CLEAR」を記念してのツアー(だと思う)なのでこの曲とか最初に歌った「プラチナ」あたりをとっかかりとしつつ、アルバムのツアーではないので素朴にいま歌いたい歌、をつめこんだとも言っていた。
 真綾の言葉をもう少し借りると、いままで歌えなかった曲を救済、とかいま私が一番歌いたい曲を持ってきたんでみなさんのご期待にはそえないっす、みたいなノリがとても楽しかった。「思い通りにいかない私を楽しんで」は名言だ。
 『FOLLOW ME』前後は過去最大級のツアーとか20周年のSSAもあってお祭りみたいな感じだったけど、ちょっと間を置いてリスタートする私をよろしくね、ってスタンスもとても好きだ。

 09年のかぜよみツアー以来精力的にライブをやっているもの、根本的に歌うのが楽しいってのがあるのだろう。自分の好きなように組んで見せたセットリストは90年代から未発売の新曲まで、まさに坂本真綾の22年間をぎゅっと凝縮した感じになっており、公演終了後に周囲が今日の選曲についてざわついていたのも、印象に残る。
 だから自然体で楽しく歌ってる真綾が一番かわいくて一番かっこいいよな、と思いながら歌を聞いていた。多幸感ってやつかなと。季節柄「カザミドリ」やんねーかなと思ってたんですがなかなかいいところに持ってきてくれてとても楽しかった。カップリングとして最新曲でもある「レコード」も、この季節(冬から春への変わり時)にとてもいい。心地よいメロディが、意外とライブの空間には合っている。
 他選曲でいうと、「約束はいらない」はなかった(先日の台湾公演ではやっていたらしい)が「光の中へ」と「指輪」をかましてくるというエスカフローネ以来の真綾オタクには最高だったのではと思う。あとたぶん「ヘミソフィア」と「tune
the rainbow」を同時にやったのも武道館以来な気がするのでラーゼフォンオタクもうれしい。 
 新しいところで言えば「逆光」から「色彩」へとつなげてさらにそこから怒涛のメドレーへ流れこんでいくあたりもかなりぜいたくで、FGOオタクだけではないアニオタのテンションをガンガン乗せていったこの展開は、明らかにまあ「狙っている」とは言えお見事だった。

 MCについて。
 最初のMCではリスタートや離陸について。なつかしい曲もたくさんあるよ、と声をかけて観客にご挨拶。2度目のMCではここからはゆったりモード、座ってどうぞ、眠ってもいいよ、私の歌は人を寝かせるのうまいよ(観客笑)という感じで、「ヘミソフィア」の前まで。
 衣装替えタイムをはさんで「ヘミソフィア」から「ロマーシカ」まで(記憶がややあいまいだが)確か一気にいってたと思う。
 MC4ではデビューして今日までのこと、今日のライブ全般的なこと、CCさくらをきっかけに私のことを知ってくれた人の多さをいまでも感じること。ラジオでもよく話しているが、CCさくらきっかけで真綾を知る→業界に入って真綾と仕事をする→真綾にCCさくらから入りました〜と伝える、ということがわりとあるらしい。
 単純に、この業界にいる人ならば真綾のことを知っている人は相当多いだろう。若手声優の目標にしばしば名前が挙がるくらいだし、22年というのは世代が一巡するくらいの重みもある。あるが、彼女自身は重さをあまり感じてはいなさそうで、ただ20周年のときはいろいろお祭り感が、と語っており、いまのように自分のペースで好きな歌を歌えるという環境が気に入っているようだ。
 もちろんそんな真綾が最高にかわいい、というお話で。

 アンコールに入って「カザミドリ」が聞けてうれしかったのはさっきにも書いたが、ここのMCで3.11の話もはさんでいた。当時はYCCMツアーをやっていて福岡にいたこと(3月の東京公演は延期になるなどしたはず)、そのことによって直接的に大きな地震を体験してはいないということ、そのうえで今まで続けてきたチャリティーポストカードの意味を改めて伝えていた。
 関西だったか大阪と言っていたかは忘れていたが、みなさんは以前に大きな地震を経験されていますよね、だからすでにいろいろなことをしてきたことかと思います、と話していたのも印象的だった。東京の人にとって阪神大震災は平成史の一部ではあるだろうがいまとなっては過去の一幕にすぎないとも思っていたので、3.11と1995年のことを間接的につなげる配慮はうまいな、と思いながら聞いていた。

 まあそんなこんなで、一言でいえば「いま」の坂本真綾を体感できる多幸感と、まだまだアクティブな彼女に対する期待感、そして彼女の持つ幅の広さのようなものを実感できた素敵なライブだった。
 ちょうど10歳年上で、こういう人のように生きたいと思っている一人なのだけど、これからも安心してそう思えるし、思い続けていこうと思う。私の推しは最高にかわいくてかっこいいのだと主張しながら。
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 明けましたが、2015年のベストアルバムを選びました。10枚にしようと思ったけど絞りきれなかったし2015年だしということで15枚にしてみた。勢いで20枚くらいでもよかったけど、まあそれはまたいずれ。
 去年、一昨年とやってきた企画なので過去のエントリーもはっておきます。
2014年のアルバム10枚+2曲
2013年のアルバム10枚

 それでは、今年の15枚いってみます。番号はふってあるけど順不同。ジャンルは思ったよりも偏った感。

1.坂本真綾『FOLLOW ME UP』
FOLLOW ME UP(初回限定盤)(DVD付)
坂本真綾
FlyingDog
2015-09-30


 以前全曲レビューをやったのでくわしくはそちらを。
 リリースしてから数ヵ月が経つがいまだにヘビロテしている。国際フォーラムでのカウントダウンライブ組にうらやましさを感じつつ、16日の高松公演を楽しみに。ってかまあやが高松に来るとはさすがに思わなかった。当日が楽しみ。

2.南條愛乃『東京 1/3650』
南條愛乃/ 東京 1/3650(初回限定盤CD+Blu-ray×3)
南條愛乃
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2015-07-22


 グリザイアシリーズの楽曲になった「あなたの愛した世界」、「黄昏のスタアライト」、「きみを探しに」を筆頭に南條の-icec力強い声が響き渡るとても耳に優しいアルバム。
「スタアライト」はfSでコンビを組むsatが手掛けているためエレクトロ色全開のアッパーなナンバーだが、「きみを探しに」で歌い上げる切ない恋模様の様子など、幅広く自由に歌えるいまの南條を象徴している。
 タイアップ以外だとTr.2の「believe in myself」やTr.9「Recording.」のようなまるで南條自身のことを歌っているようなナンバーがいい。こういう曲はグループやユニットではなく、ソロで歌うからこそ意味を持つ。

3.牧野由依『タビノオト』
タビノオト(初回限定盤)(DVD付)
牧野由依
インペリアルレコード
2015-10-07


 待望と言って大げさにならない4thアルバム。歌手活動10周年、前作『ホログラィー』から4年かけてのアルバムなのでほんとうに待ってましたという感じ。
 Tr.1の「ワールドツアー」のノリにはちょっと驚かされつつも、Tr.3の「囁きは"Crescendo"」を聴くとやっぱこの人すごい・・・と思わせられる。音大に通っていたとはいえそれはあくまでピアノのためにだとは思うけれど、牧野由依のようにあまりにもナチュラルに歌える声優をいまのところ知らない。彼女の場合、ナチュラルさがそのままかわいいという声の質を持っていて、花澤香菜のようなかわいすぎるとしか言えない声とはまた別の「かわいい歌声」を持った希有な人だなということを再確認した。あと、ピアノとこんなにきれいに混ざる声っていうのもなかなかないんじゃないか。
 『ARIA』シリーズの主題歌を手がけていたころから天使のような歌声を持つ人だとは思っていたけれど10年経ったいまもなお、ならこれからも楽しみでしょうがない。音楽活動のほうでは紆余曲折のあった10年だったが、次の10年もしっかり見守っていこう。

4.戸松遥『Harukarisk*Land』
Harukarisk*Land(初回生産限定盤)
戸松 遥
ミュージックレイン
2015-03-18


 アルバムタイトルからも分かるように、自分の色をつめこんだかのような一色。戸松といえば高身長を生かした快活さであったり、とびっきりの明るさであるわけだけど、とにかく元気、元気すぎる一枚。その中だとタイアップになったTr.2「courage」のやや硬派な感じは逆に目立つ。逆にTr.8「PACHI PACHI PARTY」のほうはアルバムの中でも完全になじんでいる。
 前作『Sunny Side Story』ももちろんいいアルバムではあったんだけど、今作のほうがより楽しさが伝わってきてクオリティどうこうよりもそっちに好感を持てる。Tr.3「ラブ ローラー コースター」には「自分らしくあれ 下手にバランスとらないでいいのさ」という歌詞があるが、戸松自身がこのアルバムでその詞の中身を十分体現できていると思う。
 ライブ、行きたさがある。

5.花澤香菜『Blue Avenue』
Blue Avenue
花澤香菜
アニプレックス
2015-04-22


 もはや歌う声優というよりは一人のシンガーとしての活動が定着してしまったかのように思う3rdアルバム。
 シングルから収録されている「ほほえみモード」、「こきゅうとす」、「君がいなくちゃだめなんだ」の三曲がやはり完成度の高さからすると目立つ。いろんな作り手が花澤の声を試し、あるいは遊んだりして(「こきゅうとす」を手がけたやくしまるえつこからはそんな匂いがぷんぷんする)きた結果がこれ、という感じ。
 全体としてはいままでの流れ通り渋谷系リバイバルという色はあるものの、Tr.1の「I LOVE NEW DAY」なんかを聴いているとありふれたいまどきのシティポップを花澤なりに歌っている、というようなイメージに近い。ありふれているというのは悪い意味ではなくて、もう歌手活動一年目のような新鮮さはいい意味でないのだから、過度なキャッチーさはいらない。
 それよりも自由で、ちょっとふわふわとした、花澤香菜の持っている声が素直に使われているところに大きな満足を覚える。

6.Faint*Star『PL4E』
PL4E [CD+DVD盤]
Faint★Star
Faint Star Tokyo
2015-07-07


 一年ほどしか追いかけられなかったとはいえトマパイのファンだった人間としてはあのサウンドが帰ってくるかもしれないと期待した一枚。先行したシングル2枚から8曲を収録しているので、アルバムのみの新曲はさほど多いわけではないが、一枚通して聴くってのはやはり何とも言えない快感なのだと感じる。
 たとえばTr.5「スライ」、Tr.6「フィルム! フィルム! フィルム!」からのTr.7「今夜はRIDE ON TIME」までの一連の流れを味わえる感覚。力強さとかわいらしさを兼ね備えているのは当然として、洗練されたメロディが彼女たちを鮮やかに彩る。Tr.2「Boyfriend A.S.A.P.」のようなキャッチーなメロはむしろイレギュラーなんじゃないかと錯覚してしまうほど、HINAとYURIAが二人して歌っていることをもっとちゃんとみつめてあげないといけない。(それがなによりこのユニットの真骨頂であるはずだ)
 「今夜はRIDE ON TIME」に関しては明らかに歌詞が狙いすぎなんだけど(どこかのインタビューでHINAが「大丈夫なの?」って驚いてた気がする)まあけどこの二人ならしゃーないよねってなる。たぶん。
 ひところのももクロやベビメタなんかもそうだけど、いまのアイドル業界がポストかわいいをほしがっているのだとするならばこのユニットはもっと上まで突き進んでほしい。

7.アップアップガールズ(仮)『サードアルバム(仮)』
サードアルバム (仮)(初回限定盤)
アップアップガールズ(仮)
T-Palette Records
2015-03-17


 去年出た『セカンドアルバム(仮)』の感想に「総じて最高だった」って書いてたけどこのアルバムもすさまじかった。
 47都道府県ツアーの公演に参加したからかもしれないが、こんなにすごかったっけって思うほどのダンスダンスダンス。そしてもちろん声を上げて歌いまくるし、観客を煽りまくる。「虹色モザイク」をライブで聞いたときの多幸感は捨てがたいけど、リード曲の「Beautiful Dreamer」の力強さも彼女たちの強い魅力だし、かわいさとかっこよさと力強さをぐるぐるにミックスして自分たちだけのアイドル像を作り上げようとしているのはほんとうに素晴らしいと思う。
 願わくばそのハードなスタイルに身体が追い付かないことのないようにと思ってしまうが、それは少しお節介かもしれない。

8.Negicco『Rice&Snow』
Rice&Snow
Negicco
T-Palette Records
2015-01-20


 昨年リリースした「光のシュプール」というシングルに虜になってしまい、そんなに深い思い入れやリスナー体験があったわけではないけどアルバムを購入してしまった。そしてまったく後悔しなかったのでたいへん満足している。
 若いと言っては語弊があるかもしれないがキャリア10年以上を数えるだけあって、若さやかわいらしさを売りにするアイドルたちとは違って多様なトラックメーカーの提供した楽曲にどうやって乗るか、その質が重要なのだと思う。
 たとえば「トリプル! WONDERLAND」のような明るくキャッチーなアンセムソングと歌いやすいメロディと音程とは言えない「BLUE, GREEN, RED AND GONE」のいずれもを質を落とさずに歌うのは容易ではない。
 大人っぽいアイドルとは単に大人のセクシーさのようなものを売りにするんではなくって、ちゃんとキャリアを重ねてきたことを示せばいい。Negiccoを聴いて満足かつ安心できるポイントがあるとすればそれだろう。でなければここまでファンだけでなく楽曲提供者から愛されるユニットにはならない。

9.Tokyo 7th Sisters『H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!』
H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!
Tokyo 7th シスターズ
DONUTS
2015-05-20


 アニソン、声優業界では今年一番の衝撃。ナナシスはこれだけアイドルものが続いたあとだとだいぶ後発の企画になるわけだけど、2010年代以降のトレンドを象徴するトラックメーカーを集めたこのアルバムはまさしく未来を生きているよう。
 ゲームは全然やっていないけどこの作曲陣なら信頼できると思いアルバムを購入し、Tr.1の「H-A-J-I-M-A-R-I-U-T-A-!!」とTr.2の「Cocoro Magical」を聞くだけであっというまに虜になってしまった。文字通り始まり、スタートラインにたった心境を歌う歌に「どんなに遠くたって春舞う綿毛のように」という目に浮かぶようなきれいな歌詞がつらなっていく。十分に期待感を高めたあとの「Cocoro Magical」のキュートな歌詞にめちゃくちゃときめく。
 最初のうちはこの二曲をひたすらリピートしてたけど全体的にかなりサウンドの幅があって、時には等身大の女の子であったり背伸びをしたい女の子だったりといったポップな歌詞を若手の声優陣が歌にこめている。
 全体的には元気で明るく、かわいい曲が目立つなかでWITCH NUMBER 4というユニットの歌う「SAKURA」はひときわ目立つ。この曲だけがとびっきりに切なくて、メロディアス。
 あとまあ、手掛けている人たちの名前や経歴を見れば瞭然だが、どの曲もとにかく踊れる。なので1stライブ行った勢がうらやましくてたまらなかった。
 本当に、ナナシスはいいぞ。

10.STAR☆ANIS『SHINING STAR*』


 『アイカツ!』二期の集大成となるアルバム。今回も二枚組。一期より二期が、特にドリアカ勢が好きな勢としては「ハッピィクレッシェンド」を幾度となく再生したか分からない。
 それと、映画を見たあとに「SHINING LINE」を聴くとアイカツ!という作品がつくってきた物語の魅力をこれほどきれいに鮮やかに凝縮できるんだと感動してしまう、いまだに。
 アニメのシーンがまざまざとよみがえる、至福の二枚組。

11.AIKATSU☆STARS『JOYFUL DANCE』
Joyful Dance
AIKATSU☆STARS!
ランティス
2015-06-24


 こっちは大空あかり世代の三期を彩る最初のアルバム。歌い手も交代して、まさに新時代の始まりという感じ。
 アルバムのタイトルと絡めるなら新世代の中でもニューウェーブである黒沢凛のソロ曲、Tr.3「MY SHOW TIME!」だろう。たとえばあまふわなでしこのTr.6「恋するみたいなキャラメリゼ」と比べると曲も歌詞も驚くほど違うけれど、いずれもキャラクターの個性に寄り添う形で生まれている曲で、魅力的。キャラソンというよりは持ち歌として聴くほうがいい。
 
12.米津玄師『Bremen』
Bremen (初回限定盤)(CD+DVD) (映像盤)
米津玄師
Universal Music =music=
2015-10-07


 ハチとしてボカロ界隈をとどろかせていたころの活動はある程度追っかけていて、同人時代のアルバムもしっかり持っているわけだけど、メジャーに行ってからはさほど追いかけてなかった。 
 ただあるときラジオを流していたら彼がゲストとして表れてトークをしておりアルバムのリードトラックである「アンビリーバーズ」を聞いた瞬間なんだこれは、と思ってしまった。生身の彼はボーマス会場で何度か見たことがあったし(もうずいぶん前のことではあるが)彼が自分の言葉で歌っているとして違和感が全然なくて、渇いている声で情熱的に歌い上げる様にバンプの藤原を重ねなくもない。
 ボカロPをしているころから変わらないことがあるとすれば(というといくらか失礼かもしれないが)一つ一つの曲にはっきりとした物語を持ったタイプのミュージシャンであるということ。もうひとつ、私性を歌うシンガーソングライターというよりは、ソロではあるがバンド志向の音楽を作っていること。適切な説明ではないかもしれないが、歌詞だけじゃなくてサウンド面でも彼の音楽はギタ一本ではきっと物足りなさを感じる。
 「アンビリーバーズ」を聞いて思ったその感覚は、Tr.4の「Flowerwall」でもう一度強化される。彼は僕「たち」や僕と「君」といった形での複数形の物語を歌い上げるし、それがいまも昔もしっくりくる。
 
13.Chouchou『ALEXANDRITE』
ALEXANDRITE (BICOLOR EDITION)
Chouchou
Ulula Records
2015-04-25


 インスト曲も含んではいるがボーカルメインの楽曲を中心に構成されたアルバムとしてはかなり久しぶり、かつ2014年の『piano01 oto』に続くフィジカル盤のリリースとなった。クオリティの高い美麗なアートワークはブックレットの作り込みにも及んでいて、素晴らしさしかない。
 Tr.1の「fjord」でjulietの声がほとんどまったく変わってないことに安心するし(一定のキャリアはあるはずだがいろいろと謎の多い人だ)julietの可憐な声を支えるピアノサウンドの秀逸さも相まって期待感が高まる。
 なんと言っても言及すべきはTr.12の「Innocence」だろう。今回収録された新曲で、かつMVも作られている楽曲だが、Chouchouにしてはキャッチーで耳に残るサウンドで、わりかし王道寄りの楽曲でもある。
 ただ、7分25秒の長さの中にこめられているのは王道なんてものではなくって、最後に持ってくるしかない物語性のこめられた一曲になっている。ハッピーエンドとバッドエンドの中間というか、何かの終わりにゆるやかに向かっていくような心情が(MVと合わせて見るとなおさらに)とても美しい。


14.仮谷せいら『Nayameru Gendai Girl』
Nayameru Gendai Girl
仮谷せいら
PUMP
2015-12-16

 
 12月にリリースされた2ndEP。1stよりもより私性がポップに表れた表題曲はとても楽しい。1stのころはまだややぎこちなかった歌い方ものびのびと明るく、どこか吹っ切れたように歌っているところはとても魅力。
 Tr.5の「夜が終わるまで」はいままであまりなかったようなテイストの曲で、この曲があることで仮谷せいらの表現の幅を見ることができた。ただかわいく明るく歌えるだけの若い女性シンガーならたぶんたくさんいるだろうけど、自分で詞も曲も作り、あえて背伸びをせずにしっとりと自分たちのことを歌い上げる様には何とも言えない魅力がある。一種のノスタルジーかもしれない。

15.keeno『before light』
before light
keeno
ワーナーミュージック・ジャパン
2015-09-16


 タイトルチューンの「before light」と先行してニコニコで公開されたTr.1「morning haze」だけでもおなかいっぱいなのに、持ち味のkeenoサウンドがたくさん聴けて満足しかない。
 同人時代に出した「at dusk」というミニアルバムを聴いている身からすると1stアルバムはベストアルバム的な印象があったが、2ndの今作は一つのアルバムを作りにきたんだというメッセージがあちらこちらにあって、聴いているだけでとても楽しい。
 早朝のもやもやした感情から始まる「morning haze」から始まり、Tr.2「decide」、Tr.3「yours」を経由する流れが白眉。「before light」までの流れにはいくらか浮き沈みがあるものの、最初の3曲でkeenoの試みが十分理解できるし、最後まで安心してディープなサウンドにどっぷり浸ることができる。耳が幸せとはこういうことを指すのだろう。

 以上、今年は全部で15枚でした! まだ挙げたいけどもうつかれたのでこのへんで!
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 2013年の春に出したSSW以来2年5ヶ月ぶりとなるオリジナルアルバムは20周年イヤーを記念したものになった。15周年のときはベストアルバム『everywhere』の二枚組という体裁だったが、今回オリジナルで勝負してきたのは会場に武道館を選んで一区切りをつけたときとは違い、あくまで通過点にしたいという思いもあるのかもしれない。
 通過点のその先へ。20周年記念ライブのタイトルともなった"FOLLOW ME"に"UP"を加えるというあたりにもそうした思いがかいま見える。15年、20年っていう区切りは確かについてくるけど、これからもわたしは歌い続けるよ? っていう、いくらかの自信と余裕がなければ見せられないいまの坂本真綾の魅力、強さがたっぷり詰まっている15曲。

 最近ネットで仲良くしている(と思っている)駒々真子さんが全曲レビューをブログに挙げていたので、遅ればせつつ便乗します。


1.FOLLOW ME

 コンセプトアルバムでは『Driving in the silence』なんかがそうだけど、オリジナルアルバムで一曲目にタイトルチューン(のようなもの)を持ってくるのは珍しい。初めてかな。
 曲の後半、「生きてるって感じるとき何をしてる?」からの「恋より気持ちよくって」というサビに入る流れの快感はなんなのだろう。特に「気持ちよくって」という歌詞を本当に気持ちよさそうにのびのびと歌うときのなんともいえないエロスのようなものって、いままでの坂本真綾の中に存在しなかったのではないか。むしろ自立した一人の表現者としてそういう部分はストイックに隠していたような気もするので、あまりにも自然体な坂本真綾に「FOLLOW ME」(ついてきて!)なんて言われると、そりゃもうね、って感じしかしない。

2.Be mine!

 『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』OP。アニメ見てません。
 20周年ライブにも出演していたthe band apartが書いた曲。次の曲はおなじみの疾走する北川サウンドになるわけだけど、この曲も自由気ままにぶっ飛んでいる。バンアパはそれほど聞いているわけじゃないが、いい意味でイメージを覆された。(もっと堅実だと思っていた)
 そして魅力は曲だけじゃなくて歌詞にもある。これはTr.13の「レプリカ」にも共通しているが、アニメのOPをつとめる際に必要な派手さ、インパクトに負けない自由さや伸びきった歌声が最高に気持ちいい。快感!って感じがする。


3.さなぎ

 イントロからドラムと弦が奏でる疾走感はおなじみの北川勝利のギターポップ!って感じだけど、「マジックナンバー」や「Get No Satisfaction!」のような底抜けのない明るさではない。むしろタイトルや歌詞が示すように、さなぎから飛び出て成長しようとする自分に対する不安と自信が混在していて、でも最終的には「右足で大地を蹴って大きく踏み切って」前に飛び出していく。
 迷いながらも前に進むのは15周年のときにもあったかなって思うけど、「そして進化の先へ」と宣言して歌うのは(それも最後だけは「先へ」をリフレインする)通過点を超えてまだまだここからっていう20周年らしいところなのかなと思った。
 

4.SAVED.

 『いなり、こんこん、恋いろは』ED。アニメはちゃんと見てたので、ややシリアス展開になったときにこのエンディングを見ると(聞くと)すごく救われたような気がした。タイアップの中でほとんどがOP曲の中、この曲は珍しくEDだが、EDにふさわしい出来。
 効果的なところでピアノが優しく、そしていくらか切なく使われている(「いつかは終わる毎日が」の歌詞が象徴するノスタルジーはアニメの雰囲気と非常によく合っていて、涙腺がゆるむ)けれど、全体的にはあったかいロックバラード。なのでわりとライブ受けもするんではないかなという気がする。
 歌詞で一番重要な"You saved me"の部分はまあやの声をしっかり生かして、澄み切った伸びのある声を使っている。歌詞を書いた鈴木祥子が「使わせている」というべきだろうが、息のあったいいコンビなので安心するクオリティを今回も届けてくれたなと思う。
 
5.東京寒い

 攻殻機動隊新劇のテーマになった「まだうごく」でも「あなたを保つもの」でもなくあえて「東京寒い」を持ってくるのはユニークだなと思うけれど、Tr.3で激しく、Tr.4でやさしく揺さぶったあとにコーネリアスの都会的で無機質なサウンドを並べてくるのは不意をつかれた気もする。
 で、こうやってちゃんと聴いてみるとまあやの低音は無機質でミニマルな電子音楽ともわりと合っている。たとえばPerfumeと中田ヤスタカのように息のあった10年選手というわけではないからミスマッチも多い(声そのものが単調すぎるところとか)けれど、15周年から20周年の間にあった坂本真綾によるセルフプロデュース体制への移行がなければコーネリアスと組むこともなかったかもしれない。
 まあもっとも、元々は『攻殻機動隊ARISE』にまあやが草薙素子役で参加した経緯があるから、そっちのほうが影響としてはでかいとは思うのだけれども。

6.アルコ

 コーネリアスの次に安心と安定の菅野×岩里コンビを並べてくるのはちょっとコーネリアスに厳しいんじゃないの、と思ったりした最初だけど、アルバム全体の中で見るとこの「アルコ」も目立つ。
 それはあえて旧い、なじみの二人が並ぶことによって90年代やゼロ年代のまあやを想起してしまうからかなと思っていて、リスナー側のまあやに対する認知にもよるのかもしれないが、新しいようで新しくないこの一曲をどうやって聴くべきかは案外難しいのではないか。
 素朴に、コーラスの美しさであったり、相変わらず大それたあっさりと書き上げる岩里節なあたりとか、それを2015年もやってますよっていうのは、なにも更新してないというわけではないはず。2015年のまあやだからこそ歌えるものがあるとは感じるが、それが具体的にどこがどう90年代から変わってきているのかまでを事細かく指摘できるほどではないな、ともまだ素朴に感じる。

7.幸せについて私が知っている10のこと

 『幸腹グラフィティ』OP。アニメも見ました。
 10曲目にもラスマスが曲を書いているが、こっちはアップテンポに最初から最後まで突き抜けますよ、というテイストの四つ打ちサウンド。同じ電子音楽でもコーネリアスの作るアンビエントよりはラスマスの作る四つ打ちのほうがいまのところ坂本真綾の声を自然に音に乗せることには成功しているのかなと思う。(もちろん、ラスマスとはこれまでにも仕事をしてきた経緯があるので、単純にコーネリアスと完成度を比較することはできない)
 アニメのテーマに寄せるようにひたすら「幸せ」を推しまくるこの曲は、歌詞だけを見るとまあやらしくない。らしくないけれど、かわいくてポップなラブソングだってちゃんと歌える坂本真綾を聴けるのは楽しい。まだまだいけるじゃんわたし、っていう。こっちも岩里詩なので、大仰な歌詞はお手の物ってところかな。

8.はじまりの海

 『たまゆら〜もあぐれっしぶ〜』OP。アニメも見ました。
 大貫妙子についてよく知っているわけではないけど、逆によく知らなくてもおお、と思うくらいのビッグネームだということは分かる。彼女がまあやと『たまゆら』のために曲を書くという意外さが面白いし、アニメに寄り添ったゆったりとした優しいメロディがあたたかく心地よい。
 まあやもこの曲に関しては素朴に歌うことに徹していて(「やさしさに包まれたなら」をカバーしたときと同じようなイメージ)Tr.7から比べると落差がすごいけど、逆にこのアルバムの多様性を象徴しているとも言える一曲。

9.これから

 『たまゆら 卒業写真』主題歌。シリーズの終幕へ向けてまあやによって書き下ろされた曲。アニメはまだ見てないがいずれ。
 いままで『たまゆら』で書いてきた曲と違い、エンディングロールが目に見えるような壮大さを持ったイントロから始まる。やさしさよりも切なさがあるのは「さよなら」という言葉を明確にサビに持ってきているところだろう。「わたしには分からない」と歌ったあと「これからそれを知るために」という、別れに向けた時間の流れが見えるのは切なさだけじゃなくってちゃんと希望や期待があることを意味しているのだろう。

10.Waiting for the rain

 ラスマスは中島愛をボーカルに起用した「Ame」という曲を書いているが、今回はまあやに対して雨に関する曲を書いている。どういう経緯かはよく知らないけど面白い類似で、どちらもしっとりとした切なさのある曲だ。
 Tr.7がそうであるようにラスマスと言えば四つ打ちのダンスミュージックを真っ先に思い浮かべるけど、ピアノを大量に散りばめるイントロにまず驚く。サビまで行けばラスマスらしい美メロを後ろから重ねてくるし、まあやの歌い方も力強くなる。

11.ロードムービー

 「さなぎ」と迷いながらも、何度も聞き返しているうちに音楽と歌詞の調和が抜群だなと気づいたのでこの曲がアルバムの中ではベスト。かの香織と岩里祐穂という珍しいコンビがいままでなかったような楽曲を届けてくれたこと自体がまずめちゃくちゃポイントでかい。
 そしてこの曲もポスト15周年の曲の一つだろうと思う。ロードムービーと題されたこの曲は長い旅のことを歌っているのであって、その旅というのは何かの比喩でもあるだろうけれど、エッセイ『everywhere』で書いたように初めて海外を一人で旅して歩いた日々のことがきっとまあやの頭の中にはあったはずだ。
 それに加えて20年という年月。これもしっかりと坂本真綾が声優兼歌手として歩んできた「旅」の日々が。「旅っていつか終わると思っていた でも終わらない旅もあるのね」という歌詞は、岩里が20年歩んできたまあやにこめた素直な思いの表れのようでもある。その先には「どこまでも続く明日」がある。

12.That is to say

 今回の中では一番ピアノが強調されたメロウな大人っぽいバラード。Tr.10、11と特徴的な楽曲が並んできたあとにこの曲を聴くとおとなしくてちょっと印象が薄いところがあったけれど、何度も聞いているうちにギターとピアノのサウンドが優しく響いてきてとてもよい。
 深夜にゆったりとしたところで聴いていたいタイプの曲で、まあやの歌い方も大人っぽく成熟している。音感の良さもあってのことだと思うが、しっとりとした曲を丁寧に歌いこなす安定感はさすがだなと思う。
 いままでにいろんなタイプのまあやを聴いてきたあとのちょっとした羽やすめという意味もありつつ、この曲にはこの曲の魅力もたっぷり詰まっていて、後半に据えたのはたぶん正解。

13.レプリカ

 『M3』OP。アニメは見てません。
 去年受けてた大事な面接の前にこの曲をひたすら聞き込んでテンションをあげてたという個人的な話を置いておいて、andropとまあやのコラボがこうやって完成するんだ、すごい!というテンションには違いなかったかなと思う。
 北川勝利と組むようになってからライブの本数を増やしたり明らかにライブ向きするようなバンドサウンドがそれ以前(菅野よう子時代)より格段に割合として増えたと思うのだが、そのもう一つ先の結実としてあるのがTr.2の「Be mine!」と「レプリカ」かなと思う。
 「さあ、響け!」のかっこいい一声の後に入るコーラスの快感だとか、サビの疾走感とその疾走感あるサウンドに寄せた歌がわりとかわいい路線であることとか、語るとキリがないのでこのへんで。

14.かすかなメロディ

 15曲中一番レビューしづらいので最後に書いている。
 これはなんだろう、Tr.15の前座として羽根休めとして聴くには惜しい気がするが、Tr.13のあとだと一気にかすんでしまう印象の弱さ。それは決してネガティブなものじゃないと思うし、「かすかなメロディ」というタイトル通り、かすかであってもいいチューンなのだろうと受け止めている。
 
15.アイリス

 (結果的にアルバムの最後の曲として)鈴木祥子が書き下ろした曲。これはたぶん、多幸感そのものなのかなと思う。レビューする言葉としては抽象的すぎる気がするけど、「SAVED.」のような壮大さは抑えて、控えめに控えめに音と言葉をちょっとずつ足していく。
 その中にふっと「こいのうた」というワードが浮いているような気がする。このワードが何度か登場するたびに少しニヤリとしてしまう。こんなに素朴な曲が20周年の最後でいいんだって思ってしまうけど、それはどちらかというとプラスの意味で、派手さも激しさもこなしてきたけれど、「こういう歌も大事にしたいこれからのわたし」というところなのかなと勝手に察している。
 15周年の武道館の現場にいた人間からすれば、鈴木祥子との蜜月がここでまた一つの曲として結実したのは素直に嬉しい。

 
 以上15曲。たっぷり、たっぷりという感じでまだまだ聴き足りない。
 5年前の『everywhere』がこれまでの総まとめだとするならば、本作は「20年やってきたいまのわたし」だろうと思う。改めてこの5年間を総括するというよりは、現在地をしっかりと指し示すこと。その先にはしっかり、未来への期待がこめられている。
 時系列的には少し前になるが、『かぜよみ』に収録されている「Get No Satisfaction!」の歌詞を思い起こすこともできるだろう。坂本真綾は思った以上に芯を深くに持っている人なので、このときからスタンスが大きく変わっているわけではないと思う。
 その上で、「アルコ」で歌い上げたように進化していく。ならばこれから先も楽しみにしていよう。ひとまずはそろそろ始まるツアーでの、彼女のステージを見届けることで。




Interview File cast vol.52
棚橋 和博 笹川 清彦
ジョイフルタウン
2015-09-30

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 今年もいっぱい聴いてきたのでやってみます。順不同で。去年の10枚はこちらから。

 
小松未可子『e'tuis』
e'tuis(初回限定盤)(DVD付)
小松未可子
キングレコード
2014-05-14



 小松未可子は去年も選んだので2年連続。ただ、この二枚目のアルバム(『Cosmix EXPO』を含めると3枚目)がなかなかすごい。初っぱなの「Sky Message」からガンガン飛ばしてきながら「エメラルドの丘の上で」のような曲で歌手としてのみかこしのイメージをさらに広げる。とにかく自由で、自由だ。



古川本舗『Hail against the barn door』

Hail against the barn door
古川本舗
SPACE SHOWER MUSIC
2014-10-22



 古川さんは同人でのボカロ活動に区切りをつけた2011年移行毎年一枚ずつアルバムを出してきているので、これでもう4枚目(いまのレーベルからは3枚目)。アルバムタイトルは「Rage Against the Machine」のもじりかな。
 1stと2ndがボカロ時代の名残を残すものだとするならば3rdと今回の4thは完全にイメージを一新している。キクチリョウタをボーカルとして継続採用しているあたりは3rdから4thは延長にあると思うが、同時にちびたを採用しているあたりはボカロ時代のタッグを思い出してなつかしい。そして古川さん自身もボーカルに再び加わっているのだが、いい意味での開き直りというか、何か吹っ切れたような快感を感じる。ライブ活動を増やしたからか、あるいは単純に4枚目にしてたどりついたのがここだったのか。あるいは、バンドマンだったかつての自分を復活させられたのかもしれない。




アップアップガールズ(仮)『セカンドアルバム』

セカンドアルバム(仮) (2CD / 初回限定盤)
アップアップガールズ(仮)
T-Palette Records
2014-02-19



 総じて最高だった。ほとんどシングルで出てるんだけど、通して聴くと最高感しかないって感じ。タワレコ限定の20分のDJmixも素晴らしい。アプガは現場に行くと本当に熱くて楽しいんだろうけど、現場に行かなくても楽しすぎるのは素晴らしいな、って思う。



V.A.『宇多田ヒカルのうた 13組の音楽家による13の解釈について』



 12月にこんなの放り込まれたらいやとは言えない。
 全体的に意外だったのは井上陽水「SAKURAドロップス」をはじめとした男性ボーカル曲がすさまじくクオリティが高いこと。名前を挙げれば岡村靖幸、キリンジ、大橋トリオなどが続くので妥当と言えば妥当なんだけど、実際に曲を聴いてみるとうまいぐあいに彼らが自分の曲にしてみせているのが素晴らしい。
 逆にAIやラブサイケデリコは、自分の曲にはなっているんだが原曲のイメージと比較しちゃってどうしてもハマれなかった。ただ、あゆの「Movin' on without you」はしみじみしながら聴けるし、椎名林檎やBONNIE PINKはさすがだった。後者はtofubeatsらしいアレンジの妙ももちろんあってだけど。



nano.RIPE『涙の落ちる速度』
涙の落ちる速度【初回限定盤A】
nano.RIPE
ランティス
2014-01-08



 これに関しては3枚組になっているので3枚まとめての評価という形になるんだけど、しばらく聴いていなかったnano.RIPEというバンドを再評価せざるをえないという意味では個人的に重要だった。
 「影踏み」が2013年に公開した花いろ劇場版の主題歌になっていて、そこで久しぶりにnano.RIPEを聴いた上でのこのアルバム(年明けのリリースだったので、2013年までの活動のまとめということになる)を聴いた。1stにあったインディー感をきれいに脱却し、彼らのバンドサウンドを高らかに奏でていることがよく分かった。



Chouchou『piano01 oto』
piano01 oto (The Collector's Edition)
Chouchou
Ulula Records
2014-08-16



 Chouchouのピアノインストアルバム。内容もさておき、リミテッドエディションの中身が非常に豪華。静かに聴き入るべし。以前から大好きな「Sign」はほんと何度聴いても心に染みる。




やなぎなぎ『ポリオミノ』
ポリオミノ (初回限定盤 2CD+Blu-ray)
やなぎなぎ
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2014-12-10



 端的に方向性をぐいっと変えてきたなというのが第一印象。古川さんのような変化、つまり同人時代の電子音楽的な個性よりも人に見せるため、聴かせるためのサウンドを重視していきたい意思が見える。前にも「ユキトキ」や「ラテラリティ」にその萌芽があったとは言え、だ。
 これはこれで非常に面白いし、アルバムの統一感は前回よりも上かも。一度彼女を見たことはあるが、いまのやなぎなぎのライブを(映像ではなく生で)見たらどう感じるんだろうか。 




津田朱里、小木曽雪菜(米澤円)、上原れな『WHITE ALBUM2 VOCAL COLLECTION』
TVアニメ WHITE ALBUM2 VOCAL COLLECTION
津田朱里,小木曽雪菜(米澤円) 上原れな
F.I.X.RECORDS
2014-03-26



 まずジャケットがずるい。これは最強のヒロイン感ありすぎでしょう。
 声優としての米澤円もけいおん!くらいでしか認識してなかったが、こんなにかわいらしくかつ力強いボーカルで歌える人だとは思わなかった。「届かない恋」という曲にある切なさと悲しさと、それでも残る喜びのようなものを、彼女は丁寧に歌い上げている。
 他だとSPEEDの「WHITE LOVE」カバー(津田朱里と米澤のデュエットで歌っている)がけっこうハマっていて好き。

9nine『MAGI9 PLAYLAND』



 2ndの『CUE』が到達点だと去年のブログで書いたけど、完全にEDMにこだわって作られたコンセプトアルバムのようなこの3rdは2ndとはまったく違う持ち味を見せる。
 『CUE』のほうがおそらく幅広く受け入れられると思うが、いまの9nineをじっくり聴いて欲しいという意図と、リードトラックの「Re:」にあるようなチャレンジなのだろうという気がしている。「できるよ、さあ、始めよう」って言う確信を持って。




Tokyo Audio Waffle『Travel Sound Sandwiches』


 最後の一枚どうしようかなーと悩みつつ、同人が一枚もなかったのでこれにした。
 Tokyo Audio Waffleというサークルのサウンドは初めて今年聴いたけど、ジャケットのオサレ感も含めてソッコー惚れた。いやー同人音楽ってほんと底が知れない、おそろしく面白い! と再確認するには十分。
 ほぼ毎回参加しているボーカルの砂糖子さんの文化系女子感(なんだそれは)がすごくいい。名前のようにとろけるような甘いボーカルである。


 そんなわけで今年はこんな感じでしたー。来年もいっぱい音楽聴いていこう。
 あ、あとアルバム単位じゃなくて曲単位だと今年はハナヤマタOPの「花ハ踊レヤいろはにほ」とSHIROBAKOの1クール目EDの「Animetic Love Letter」が最高でした。前者はMVも含めて今年のアニソンのなかではもっとも好きです。アニメは1話しかまだ見てないけど!

チーム”ハナヤマタ”「花ハ踊レヤいろはにほ」
花ハ踊レヤいろはにほ(CD+DVD)
チーム・ハナヤマタ
エイベックス・ピクチャーズ株式会社(Music)
2014-08-27




宮森あおい(木村珠莉)&安原絵麻(佳村はるか)&坂木しずか(千菅春香)「Animetic Love Letter」


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 2013年のアルバムから10選のようなものをやりたいと思ったので。
 こうやって振り返ると偏りは明らかにあるのだが(おそらく知らない人はまったく知らない名前ばかりだろうし)その偏りの中にも幅というものがあって、という聴き方をしているような気がする。偏りの中でさらに偏りすぎないようにとは普段から思っているので、その思うままが出たという感じかな。

 そんな感じで、発表順に並べました。数が多いのでコメントは極力多すぎないように。クロスフェードがあるものは並べたのと、ようつべなどで一部のトラックを公式に視聴できる場合はその動画を貼り付けました。
 それでは10枚一気に。(内訳:メジャー7枚、インディー・同人3枚)

小松未可子『THEE FUTURES』
THEE Futures
小松未可子
キングレコード
2013-02-13



 みかこしの多様性と、歌手としての小松未可子の確実な成長を感じられる記念すべきファーストアルバム。
 今年はこのあとシングル2枚を出していて、このアルバムで区切りをつけつつさらに新らしいことをやろうとしているのが分かる。すでにその萌芽はいくらでもあると思うし(たとえば動画を貼り付けた「Baby DayZ」だとか)安心して期待できる人がまた一人増えたのはとても嬉しい。




花澤香菜『claire』
claire
花澤香菜
アニプレックス
2013-02-20



 みかこしと違い、花澤香菜はここが一つの到達点。ファーストアルバムではあるがその意味合いは違う。違うが、花澤香菜は花澤香菜なのであって、彼女らしさがあふれていることには変わりない。
 北川勝利とacane madderによるTr.2の「Just The Way You Are」はたぶん彼女にしかできないテン年代の渋谷系なのだろう(ちょっと矛盾してるけど)。Tr.6、宮川弾の「スタッカート」にしろ、Tr.12、古川本舗の「眠るサカナ」にしろ楽曲提供者の色は強く残る中でどれだけ花澤香菜らしさを主張できるかが試されているように感じた。
 その試みは、基本的にはうまくいってると思う。たとえ好き嫌いが分かれたとしても、好きか嫌いかを判断できる色を出せることは重要だ。

9nine『CUE』



 9nineはセカンドアルバムにして一気に成長の階段を駆け上がっている気がする。到達点はまだ見当たらない。
 


坂本真綾『シンガーソングライター』
シンガーソングライター【初回限定盤】
坂本真綾
フライングドッグ
2013-03-27



 坂本真綾を記憶するための一枚だと思っている。というのは、10曲入りのこのアルバムを評価するにはどうしても坂本真綾が作詞作曲を全て手がけた、というバイアスを避けられなくて、そのバイアスの上であえて選んだということを強調しようかなと。通常のオリジナルアルバムだと非常に多彩な作曲陣が並ぶが、さすがに一人ですべてを作ると地味になりがちだ。でもそれを肯定的に評価してもそう悪いことではないだろうと思う。聴くに値しないわけはないし、先ほどのバイアス混みで言えばとても面白かった。
 Tr.8「誓い 〜ssw edition〜」がそれでもなかなか珠玉の出来で、悲しさのまじった激しさを表した原曲を、反対方向へ優しく転換させた。彼女の中にあった変化なのか、単なる時間の経過なのかは分からない。でもいまの彼女はこうして受け止めているんだと主張していることが、この曲を聴くとよく分かる。
 歌詞が面白かったのはTr.6の「なりたい」で、ああ真綾っぽいなーとにやける。




tofubeats『LOST DECADE』
lost decade
tofubeats
ワーナーミュージック・ジャパン
2013-04-24



 マルチネレコーズなどで曲を発表していたtofubeatsが大学卒業を機にメジャーデビューして出した一枚。ベストアルバムのような位置づけ、かな。
 マルチネ出身らしく、youtubeやsoundcloudで全曲フルサイズで試聴できる。それでもCD版はたとえばタワレコ各店舗で売れ行き好調だったようで、いまの時代のミュージシャンとファンとの関係だなと実感した。





QUADROPHENIA『epitaph』
epitaph
QUADROPHENIA
2013-05-06



 サークル「QUADROPHENIA」4枚目のアルバム。完成度を全く落とすことなく常に新しいことをやろうとしているのが素晴らしい。唯一のボカロ曲Tr.4「祝祭と流転」はこのサークルならではの音を出す宮沢もよよ作。さすがです。ゲストとして今回はWonderlandicaさんが参加。





やなぎなぎ『エウアル』
エウアル (初回限定盤)(CD+DVD)
やなぎなぎ
ジェネオン・ユニバーサル
2013-07-03



 デビュー1年半なので待望といっていいファーストアルバム。初回版でついてくるDisc2のカバー曲集に「カゼノトオリミチ」が収録されていて歓喜したのを思い出す。もちろんDisc1も非常によかったし、凝られたブックレットも面白かった。





多田葵『ホップミュージック』
ホップミュージック
多田葵
BounDEE by SSNW
2013-10-09



 多田葵はAB!のEDで初めて知ったが、それ以前からずっとシンガーとしての活動をやっていたようで、オリジナルアルバムも何枚かリリースしている。去年秋リリースのこの新作は渋谷系テイストが中心の一枚で、ポップではなくホップと名付けられているアルバムタイトルからも遊び心がうかがえて面白い。
 聞き込む度に味が分かる。



ryuryu『Vibgyor』


 びにゅPとしては約3年ぶりのアルバム。前作以降はニコニコ動画へのアップロードのペースを落としていたが、時間をかけて作ったと本人が語るこのアルバムは珠玉の一枚。おなじみ岬さんのアートワークは楽曲の世界観に寄り添ったもので、前回までになかった「色をつけること」をかなり意識しているように見えた。
 初期のキラキラしたミクノポップ路線からは少しずつ遠ざかっていた印象があったが、時間をかけてこういう形でアルバムを作ってきたことは非常に嬉しかった。sasakure.UKさんとは異なるベクトルで現代の寓話世界を作る一人(のボカロP)だろうと思う。



toivoa『KUKKA』

KUKKA
toivoa
BounDEE by SSNW
2013-11-20



 年末に発見したドリーミーなロックバンドのファーストアルバム。2012年に一枚シングルをリリースしているようだが、最初のアルバムでここまで仕上げてくるとは。
 二人の女性ボーカルの癒やしに似た歌声と、その空気を包み込むような優しいサウンド。ピアノが響き、ギターが鳴り、ドラムが叩かれる。バンドの編成としてはシンプルでも、表現の多様性は広がるばかりだ。








 10枚紹介してきたけど、たとえば声優のCDが3枚入ってたり、ボカロは意外と少なかったり、ああいまこういうのを好んで(あるいはやや遠ざけて)聴いてるんだなーというのが分かって面白かった。
 キャリアで言うとファーストアルバムが多い(みかこし、花澤、やなぎなぎ、toivoa、tofubeats)のは新しい人たちの音楽を常に聴こうという現れだと思うので悪くないかなと思います。年を経て追い続けられるかどうかは分からないけど、一瞬のきらめきが多々含まれているファーストアルバムをリアルタイムで経験できたってことは後々意義深いのかなあと思ったりしたり。
 2014年の音楽も楽しみです。ジャンルをあれこれ横断しながらいろんなものを聴いていきたい。
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 前回のエントリーに引き続き。10月に放映を開始した秋アニメから残り5曲と、+2ということで別途2曲を選んでいろいろ書きました。

Yun*chi「Your song*」


 『ログ・ホライズン』OP。
 Yun*chiがついにアニメタイアップかーということと、よく考えたらこれが1stシングルでした。2012年の秋にkzのプロデュースでメジャーデビューし、ミニアルバムを2枚発表してからの流れで、年明けには1stフルアルバムもリリースする模様。
 彼女の魅力はなんといってもそのキラキラした声で、事務所の先輩にはきゃりーがいるがきゃりーとは違う個性を(まだきゃりーほどの知名度や注目はないと思うが)これからも発揮してくれるだろうと安心して確かめられる一曲。
 Amazonのレビューによるとあるキャラに寄り添った歌詞になっているとのことで、直球のラブソングなのはそういう意図があったのか。(アニメは見てないのでよく分からん)。MVがかなりセクシーで、きゃりー同様モデル出身という自分自身の魅力も合わせて出しているという感じ。NHKアニメなのにMVがこんなセクシーでええんかという気はするものも、これはこれでいいと思いますはい。

STAR☆ANIS「KIRA☆Power」


 『アイカツ!』第三期OP。キラキラした曲が続きます(よく考えたら次もだ)。
 アイカツもアニメは全然追えてないけど曲はいくつか聴いていて、MONACAらしいエレクトロポップなキラキラ感がめちゃくちゃ気持ちいい。女児向けアニメなのにここまでクオリティ高くていいのか(全然悪くはないが)と思いつつ、音楽だけでももっといろいろ聞いてみたいと思わせるには十分である。
 これは毎回共通することでもあるが歌詞はアイカツ!のキャラソン的な自分たち自身のことだとか希望や未来といった明るいことを歌いながら、ボーカルは声優を起用せずそれ専用のボーカルを置いていることで、キャラソン的なアニメ声ボーカルとは一線を画している。具体例が少し前であれだけど、『Angel Beats!』が試みたやり方に近いなーと思っていて、つまり(アイドルという形で)音楽をやろうとしているキャラクターにとって、音楽がアニメ声であることはできるならば避けたいのではないか、というアプローチだ。
 もっとも、アイマスであるとかラブライブ!といった一連のプロジェクトでは新人声優を育てる課程でアイドルもののアニメの声優と歌の両方をつとめさせているわけで、どちらかがのアプローチが正しい(あるいはどちらが商業的に成功するか)とかいうわけではない。そうではなくて、『アイカツ!』はアイマスやラブライブ!とは違う志向をしているんだ、ということが認識できるんじゃなかろうか、ということだ。
 曲の説明から離れすぎたのでもう少し触れておくと、歌詞はアニメが二年目に突入した状況にふさわしいものなのだろうと思う。あくまでアイドルとしてどう振る舞うか、といったところを「かなえましょうこの夢よ」だとか「歌いましょうこの場所で」と言ったストレートなフレーズで高らかに歌い上げる。
 明るさと前向きな感じを押し出しつつ視聴者に伝わりやすいストレートな歌詞が書かれ、MONACAが妥協しない音を作り上げる。『アイカツ!』を全然追えてないことに後悔しか感じないが、音楽だけでももっとちゃんと聴こうと思わせるには十分だ。

ねごと「シンクロマニカ」


 『ガリレイドンナ』OP。
 auのCMソングになった「カロン」のころからねごとはいつかアニソンタイアップしそうだなーするかなーと思っていたがこういう形の曲になりましたか、という感じ。クール、スタイリッシュという形容詞が似合うこの曲はノイタミナ枠にもふさわしいのだろうと思う。アニメとしてはちょっと(というかいつものノイタミナらしい尺足らずな)これでいいのかという展開で収束しつつあるのだが。
 クラップとドラムが呼応するように音を大きくしていくイントロでまず持っていかれる。全体的にドラムが気持ちよく効果的に使われている印象が強かった。ねごとってこういうアプローチもできるんだなと。その上でピコピコした電子音を挿入することで他のガールズバンドとは差異化をはかっているような感じ。
 「シンクロマニカ」って結局何なのかははっきりしないが、タイトルになっているワードが繰り返し歌詞に挿入されるのはたとえば「メルシールー」のときにも試みているけど、
 

歌組雪月花「回レ!雪月花」


 『機巧少女は傷つかない』ED。
 ヒゲドライバーさんがアニソンとは、というのがまず最初の驚きだがしっかりキャラソンになってて面白い。ヒゲドラさん自身はかなり多彩な曲を作る人なので、オファーにキッチリ合わせて来たという所だろうか。しかもこれめちゃくちゃやみつきになる。
 回れ回れ回れ回れ回れ回れ回れ!

南條愛乃「君が笑む夕暮れ」


 『東京レイヴンズ』ED。
 去年ミニアルバム『カタルモア』でソロデビューを果たしたナンジョルノがアニメタイアップしたこの曲でめでたく1stシングルをリリース。元々キャラソンでの活動が多く(今はμ's from ラブライブ!とか)曲を歌うこと自体はかなり手馴れているところがあるが、その中で南條愛乃としての色をどれだけ出していけるのかというところが鍵だったように思う。これは日笠陽子や花澤香菜といった、昨今ソロ名義でデビューした声優出身の歌手がまず最初に通る道、でもあるわけだが。
 結論から言うと『カタルモア』で自分の味を出すということをすでに経験しているので、悠々とクリアしているように見える。KOTOKOの書いた優しい歌詞に、優しい歌を乗せる。気持ちいいというよりは心地よさといった展開をナンジョルノが見せてくれたことに強い驚きはないが、あまりこういった路線の売り出し方はいままでなかったように思う。
 ソロになったからこそ、いままではできなかった試みがなされていくのならば、これからも楽しみだなと思う。


 という10曲を選んだが、番外編として映画の楽曲から二つほど。こっちも最高に良かったので、せっかくなので。

番外編

Kalafina「アレルヤ」


 『空の境界 未来福音』主題歌。
 映画館で2時間近い壮大なアフターストーリーを眺めたあとにこの曲を聴くと、『空の境界』というプロジェクトをリアルタイムで、間近に体験できてほんとうによかったと思うし、あまりにも梶浦らしくないストレートな音の作り方と歌詞には涙が出そうだった。
 祝祭。一言で言うとそういうことだろうと思う。映画として7年間駆け抜けてきたこれまでのフィナーレを、壮大に。

Claris「カラフル」


 『魔法少女まどか☆マギカ』主題歌
 映画は見てない(ネタバレはいくらか拝見している)のだけど、この曲を聴くときっとそう悪い結末ではなかったのだろうと推測される。「コネクト」のときから考えると、3年近い時間をかけてこういったところにたどりついたのか、と思うとこちらはこちらで感慨深い。
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 遅くなったし今回は(も)延期しようかと思ったけどようやくフル尺が媒体になりほとんど出そろった今期の楽曲をいろいろ聴いてるとやっぱりいまのアニソン業界熱いなーと思うところが多々あり、半年ぶりにエントリーにしました。前回はこちら
 アニソンを聴いてて思うのは90秒とフルでは同じ曲でも印象が全く異なる、ということが珍しくない。前者は映像とセットで生きるものだとするなら、後者は音だけで魅せなければならない。たとえば進撃1クール目のOPだった「紅蓮の弓矢」はフルで聴くと全く別の曲になるのだが、だからといって90秒版の魅力が減るわけでもない。どちらが編集されたもので、どちらがオリジナルなのか分からなくなる。一つの楽曲で二つの味があるのが、面白いところなのだろう。

 今回も10曲選んだけど、OP曲がちょっと多め。OPがそのまま主題歌というイメージにつながりやすいので、こっちのほうがどうしても力はいってるのかなと思ったりする。あとちゃんと見てないアニメからの選出(曲だけ聴いた)も多め。

茅原実里「境界の彼方」


 『境界の彼方』OP曲。
 文句なしに今年のベストアニソンにかかげていいと思っている。(次点は情報処理部「せーのっ」(『ゆゆ式』OP)
 春に出した「この世界は僕らを待っていた」でも感じた伸びのあるみのりんの声がめちゃくちゃ気持ちいい。彼女の声が一つのエンターテインメントとして成立しうることの表れだなと改めて感じる。
 歌詞を書いた畑亜貴が意図的にやっていると思うのだが語尾に「よ」をつけて伸ばすフレーズが非常に多くて、そこがかなり爽やかに際立っている(「そうだよ」「行くよ」「目覚めるよ」など)。対して「い」で終わるフレーズ(「いらない」)の力強さと合わせてかなり耳に残るのだ。
 メロ自体も突き抜けるように疾走し続け、ピアノが踊るように走るなど最後まで音楽が盛り上がり続ける。それがめちゃくちゃ楽しい。なんかさっきからめちゃくちゃとしか言ってないが、これはいい音で聴くと本当に楽しいだろうなと思う。
 アニメとしてはちょっと昔に回帰するところや崩れていったところがあるが映像と合わせてこの曲が採用されたOPは最後までずっと鮮烈な印象を残したと思う。

Ray「lull 〜そして僕らは〜」


 『凪のあすから』OP曲。
 イメージソングとして先行して発表されていた「凪 -nagi-」が少し悲しさや寂しさの残るメロだったことを考えると、「lull」はアニメのOP曲として爽やかにまとまっている。デビュー曲「sing」を彷彿とさせるI'veらしいエレポップのサウンドに、川田まみのあてた詞がアニメともきれいにリンクしていて心地よい。
 Rayは半年ほど前に1stアルバム『RAYVE』をリリースして、着実にシンガーとしての歩みを刻んできていると思う。I'veから少しずつ離れていくのかなと思っていたが、このタッグが実現したことは素直に嬉しい。

堀江由衣「Golden Time」


 『ゴールデンタイム』OP曲。
 ほっちゃんの音楽をそれほど知っているわけではないし、アニメの曲としてちゃんと聴いたのは『とらドラ!』以来なのではと思うが、祝祭感しかないメロと歌詞に「Golden Time」というタイトルをあてたのは非常にうまい。まあ、アニメのタイトルと同じわけだけど。
 「境界の彼方」が印象的でかつ珍しかったように、最近のアニソンは音楽としての質が多様化しつつ向上化していることもあって、アニメにどれだけ寄り添うかということはかつてのアニメソングほどは重要じゃない印象がある。(重要じゃないというよりは、アニメへの寄り添い方を音楽のクリエイターが選択できるようになってきたのかもしれない)
 その上でアニメにガンガン寄り添いますよ、というメッセージがまずタイトルから伝わってきて、かつこのゴールデン感。ゴールデンタイムも祝祭もいつか終わってしまうわけで、その分の切なさやむなしさももちろんあるが、この曲を聴いているとそういう気分すら吹っ飛んでしまいそうな気がする。

fhana「tiny lamp」


 『ぎんぎつね』OP。
 fhanaは前作の「ケセラセラ」も質が高くかつポップなアニソンに仕上げてきた印象があったが、今回はOP曲に採用されたこともあってだろうかなりBPMの高めな曲になっている。メジャーデビュー以前からfhanaやfhanaメンバー(佐藤純一、yuxuki、kevin)の楽曲を聴いている身からするとこういう音楽を仕上げてくるイメージがなかったので率直にびっくりした。そして率直にすごくいい。これも繰り返しになるが、OP曲独特の楽しさと気持ちよさがたっぷりこめられているのはとてもいい。
 シンプルなバンドサウンドにはならず佐藤の弾くピアノと頻繁に挿入される電子音(おそらく元はkevinの音だと思う)が加わることでfhanaらしい、彼らにしかない独特のメロになる。ポップさを最初から志向していたのではないと思うが、アニメの曲に連続して採用されるようになってエレクトロよりな音を残しつつポップさを前に出すようになってきたのがはっきりしたなと思う。
 年明けの冬クールのアニメでも曲が採用されることが決まっていて、そこではどういうメロディになるのか(あるいは誰の音が際立つのか?)が非常に楽しみだ。
 
nano.RIPE「なないろびより」


 『のんのんびより』OP曲。 「日々に答えなどない」
 nano.RIPEっぽくないなという印象はサビの持つメロの悲しさ(田舎の風景を例示的につづった歌詞も、ところどころ切なさを醸し出している)にあって、これは日常系かつ田舎を舞台にしたアニメのために歌ったのかたまたまそうなったのかはよく分からない。よく分からないけど4話のれんげちゃん涙の回を見て改めてこの曲を聴くとああうまくかみあってるなと思う。
 あと、これはMVを見ての印象でもあるが『花咲くいろは』がそうであったように地方あるいは田舎の青春を描く作品とnano.RIPEの組み合わせは悪くない。
 nano.RIPEは年明けに3rdアルバムを出すほど精力的にライブを含めた活動をしているし、所属レーベルがランティスなのでこれからもアニソンに採用されるだろうと思う。バンドとしてアニソンを作り続けるという形式は珍しいし、その分差異化できる点もあるので、fhanaとも似た期待感を持って楽しみにしている。


 さくっとまとめようとしたがやっぱり少し長くなるので後編はまた次回。選曲は済んでいるので近いうちに。

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 続けてやるかどうかは分からないが、最近ニコニコでエレクトロニカタグをまわって曲を探すのが面白いな、と思っていたのでまとめてみたくなっった。最初はエレクトロニカに限定しようかなと思ったがそもそもエレクトロニカというジャンル自体が境界の曖昧なものだし、ネットで無料に聞けるものを中心にまとめつつ紹介しよう、ということで上記のようなエントリータイトルにした。
 ただ今回は当初の予定通り、エレクトロニカやテクノなどの電子音楽とその周辺、という感じになった。オリジナル曲だけでなくリミックスもいくつかセレクトしています。
 このエントリーではニコニコやyoutube、あるいはsoundcloudなど、ネットで無料で聴けるものをもとにして、曲や動画を貼りつけながら軽くコメントしていく感じで書いていきたいと思います。(ある人のブログからアイデアをちょっと拝借している)

 というわけで、11月に投稿されたものから。

short stories - yeast


 「Scope for Imagination」という約一年前に投稿された楽曲を見つけてyeastさんの世界観にハマっていたら、ちょうど過去の曲をまとめたミニアルバム(この動画)が投稿されたので今回の一つ目にあげてみる。
 short storiesというタイトルからもイメージされるように、一つ一つの楽曲が物語性を帯びている印象を受ける。ピアノと弦のメロディが多くの楽曲で印象的に使われており。
 たとえば「escapism with lycoris」では繰り返されるピアノのメロディの裏で弦が切なくかき鳴らされており、世界に引き込まれていく。この、楽曲の世界に引き込まれる感覚が非常に素敵だ。



 「short stories」は総じて静かな曲が多くBGMとしても聴けるが、一つ一つの曲の変化に耳をそばだてることによって音の深さが見えてくる、充実のアルバムになっていると思う。
 作者のサイトから楽曲がmp3形式でダウンロード可能。 http://yeast.sakura.ne.jp/short_stories.html


I Love You - Cuushe


 Cuusheというシンガーを知ったのはこれとは別の曲なのだが、いくつかの曲を動画で見て聴いてその両方のクオリティの高さに驚かされる。声の質はやなぎなぎに近い気がする。はっきりとした発音で、だが悲しさや切なさを帯びた声。音楽には明るさと暗さが両方備わっているから、悪くないバランスだと思う。
 着目すべきはクオリティというよりは、オリジナリティあふれる彼女の音楽で、ボーカロイドよろしく声を楽器にしながら電子音楽に溶け込むように一つの曲を成り立たせているところは本当に魅力的だ(動画は別の人が作っているようだが)。とりあえずyoutubeでいろいろ聴いてみよう。
 この楽曲は9月にリリースした『Butterfly Case』というアルバムの中の一つで、flau.jpというサイトからクロスフェードの視聴や購入が可能。CD版と配信(bandcampとitunes)がある。 http://www.flau.jp/releases/36.html

braftanima - ヨナレプリカ

 
 おとなしめのミニマルかな、と思って聴き始めたら中盤あたりから曲がだんだん壮大になっていき、曲が奥行きを持って広がり始めるのが実感できる。壮大さの果てに空虚さも感じるのが面白いところで、少しずつ収束していくところはきれいだった。
 投稿文によると初めてのオリジナル曲らしいが、初めてとはとても思えず。もっといろいろ聞かせてください!

2nd(feat.あんどりいらんど ann) - あなぷら


 これはとても気持ちよくていいハウス。音がじわじわ来る感じって、最初から盛り上げすぎずにちょっとずつ踊りたい気持ちにさせるので好きです。サビまでためる感じがね、嫌いになれるわけがない。
 あんどりいらんどは「神Talk」という曲を以前聴いたことがあるくらいの認識だったけど、かき消えそうなannの声が(ともすれば音に負けそうではあるが)今回も儚げに響いていてよい。あなぷらさんの音も、annの声をうまく助長させている。他方でインスト部分でしっかり魅せている。
 それにしても気持ちよかった。音の大きいHOUSEはあまり得意ではないが、この曲はとても心地よかった。

カラフル(so-fram*c mix) - so-fram*c


 映画は見てないけどリミックスはいろいろと聴いている。ムンベのぎゅいんぎゅいんさせる音が気持ちいいっす。クラリスの二人の音がかき消えるわけではなく、音をガンガンに鳴らすのはなかなかなのでは。

カラフル(simoyuki mix) - しも


 カラフルのリミックス2曲目。ほむほむに捧げます、とのこと。
 チップチューン気味のイントロから始まり、四つ打ちを華麗に刻みながらアングラによりすぎないポップさを備えているのが先ほどのリミックスとは違うところかな。
 声がより前面に出るように音を立てていたりとか、間奏で「コネクト」や「ルミナス」のサビの一部の音を鳴らしたり、ピアノを小さく繰り返しながら収束していくラストまで、細部にこだわったリミックスからは愛しか伝わってこない。

カラフル - Magica Beat mix - おにたん

 
 3曲目。ただ一番最初に聴いたカラフルのリミックスはこれで、しばらくはこればっかり聞いていた。
 映画見てないので分からんけど、原曲にもある明るさと幸福感を、ビートに載せて速いBPMでピコピコにアレンジするとこういう風になりますよ、という感じ。アイデアはシンプルだけど、そのセンスが素晴らしい。ClariSのふたりのボーカルはやや後面に下がり気味になっているが、その声の弱さはあまり気にならない。
 楽しそうに音が鳴っていて、少女ふたりの歌が聞こえる。最後の最後にピアノがかき鳴らされるところとかすごく好きです。
 こちらのアドレスからmp3形式でダウンロード可能。 http://www1.axfc.net/u/3073775?key=homu

Golden Time(Asterisk Dn'B Remix) - Asterisk-core


 原曲を聴いたときからリミックスに向きそうだな、と思っていたが(曲調も歌詞の軽やかさも)端的にDJとして回すためになかなか最適なのでは、というリミックス。四つ打ちを華麗に刻みながらガンガン攻めてくるなーと。トランスっぽさもある。
 個人的には間奏で鳴るピコピコがとても好みで、音がハードに鳴りすぎないためのいいアクセントになっていると思う。 

わすれる feat. F9 - tilt-six


 tilt-sixさんはボカロPとしてミクを使ったクオリティの高いハードな楽曲をいくつもあげているが、この曲は初音ミクバージョンとF9バージョンがあって、こっちをとりあげてみた。
 ニコニコでいろいろと論争になることを考えると比較するのはあまりよろしくないのかもしれないが、F9さんの声の質(声の形がしっかりしているが、太すぎない)とハードな四つ打ちサウンドがうまくかみあう。もっともそれは、どういう曲であっても自然と歌いこなせるF9さんの歌唱力によるところかもしれず、その点では機械のミクさんは(正確ではあるが、声をコントロールできる幅があらかじめ決まっているために)ちょっと弱い。
 以前投稿した「ホシゾラレイン」を彷彿とさせる多様な音を交えながら軸をぶらさないtilt-sixさんのサウンドはかなり魅力的だし、これは高音質で聴きたいと思っていたところCDが前回のボーマスでリリースされた。

</TearDrop>
tilt-six
tilt-sics
2013-11-17



Half The World feat. F9 - cargo


 F9さんコラボ2曲目。cargoの新曲のショートバージョンなので厳密には「フリーミュージック」ではないのだが。個人的には、F9さんの幅はどこまで広がるんだろうか、ということを再確認させられる一曲。何にでも合わせられてほんとに驚く。
 cargoの音楽はこのままクラブでガンガン流れていてもおかしくないくらい勢いのある、力強いテクノなわけだけど(実際クラブシーンで活躍されているようで、NNI離れしたクオリティ)音楽を聴きながら垣間見える洋楽志向に、F9さんの主張しすぎないが艶のある声がよく似合う。
 F9さんの話ばかりしてあれだけど、このボーカリストはコラボした曲を聴くごとにその曲を歌うにふさわしい声を毎回のように用意する。同じ声だけど同じ声のように聞こえない。もちろん音程や声の出し方など、分かりやすい部分で違うところはある。でもそれだけでは説明できる気がしない(単に俺の文章力のなさかもしれないが)くらい、曲に合わせて変化し続けることを可能としている彼女の声には非常に魅力がある。
 インターネットでの音楽シーンや同人音楽のシーンではいままでも多くの魅力的な女性ボーカルがその声を響かせてきたが、一つの声という個性に染まりきらないF9は、これからも比類できない存在であり続けるだろう。そうあってほしい。やや大げさだけども。


 ということで、11月のセレクトはこんな感じ。
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