Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。

Maaya at Budokan on 0331


 2010年度最後の日、3月31日に半年待った坂本真綾の武道館ライヴに参戦。彼女の30回目の誕生日記念、また歌手活動15周年を期しての、一回きりのライヴに武道館は超満員でした。人大杉わらたとはこのことでしょう。
 千鳥ヶ淵はちょうど桜も見頃で、桜目当ての人とまあや目当ての人で九段下からの道のりが見事に混雑。熱心なファンではないので会場30分前に到着してなんとかぶあついパンフをげっと。このパンフだけでおなかがいっぱいになってしまうくらい、ぜいたくなパンフ。かぜよみツアーのようにネット通販で売り出されるならぜひぜひ、と言いたいくらい。Tシャツもかっこよかったので欲しかったけど30分前ならまあ売り切れてますよね、ということで。会場はTシャツ来ている人とバッグを持っている人でいっぱいでした。どっちも買えなかったんだぜ・・・。まあ財布にはやさしいけど。
 この一日をふりかえり、あと熱心なファンではないけれどこの日彼女に対して感じたことをつづってみたい。ライヴレポ半分、エッセイ半分のようなものである。
 彼女は2010年を20代の終わりと30代の始まりで迎えた。俺は丁度10年違いで、10代の終わりと20代の始まりで迎えた。度合いは違えど、一つ区切りを経て得る心境の変化というものは、共感できるところがたくさんあったので。

 というのはありつつ、18時30分すぎに予定通りスタート。かろやかに登場してツアータイトルでもある「Gift」を熱唱。「プラチナ」まで歌い終わってから一回目のMC。
 「こんばんは、坂本真綾30歳です♪」がかわいくて、あなたもう今日からオーバーサーティーズなんだけど、と心の中で言い返してみる。ここまではすべて彼女が10代のころの曲で、「プラチナ」は初々しくて明るくて、はずむような明るさを持つ曲でそれこそ、かわいい、と言う言葉がぴったりだった。CCさくらの3期オープニングで、当時9歳の俺が彼女を知るきっかけになった曲でもあるので、個人的にここで一気に盛り上がりました。でもそういう人は多かったはず。
 うろ覚えなんだけど、MCで「財産」という言葉が印象に残ったのを覚えている。30年生きてきて、その半分を歌手としても生きてきて、今までの出会いに感謝という形で「財産」という言葉を使っていたように思う。「ここにいるみなさんの存在が、その最たるものです」とも。かわいさとかっこよさを兼ね備えるシンガーは、真摯に自分と向き合っている姿を感じられた。このあたりのことはライヴのパンフでもいろいろと語っているので面白い。CLAMPとの対談で「わたしモテないんです・・・」とか。
 そのあたりを少し考えてみたんだけど、幼い頃から子役での仕事はあった彼女が、高校生になってさらに歌手や声優という風に幅を広げ、それでも大学も卒業しているというすごくキッチリした経歴を持つ人でもある。ひとえに自立心というものが早い時期から大人の世界に混じる中で形成されて、彼女の人格形成にも寄与したのかも知れない。残念ながらモテない今のまあやが一人のシンガーとして非常に魅力的なので、モテる彼女はちょっと想像できなくもあったり。 

 4曲目、「blind summer fish」から7曲目「30minutes night flight」はちょっとしんみり。8曲目「Remedy」と「紅茶」でまたテンポを落ち着けながら、10曲目の「SONIC BOOM」で一気に盛り返す。「紅茶」の中に”地下鉄の入り口にある桜は今年も咲くかな”というフレーズがあるので歌ったのかな?なんて。
 このゾーンは新旧織り交ぜて歌ってるが、この後の曲も含めて「かぜよみ」から4曲歌ってるんですよね。彼女が一つの区切りになったという思い入れのあるアルバムなので、区切りの日であるこの日にもたくさん歌ったんだろうか。「Remedy」もアルバム曲の一つなんだけど、去年ラジオでお気に入り、と何度も言っていたので選曲に入ったんだろうな。昔からのファンはともかく、わりと新しいファンには嬉しかった。長い目で見た彼女も見たかったし、今等身大の彼女も見たかったから。逆に言えば、30歳になって10代のころの曲を歌う心境てどういうもんだろー、とか思いながら古い曲は聴いてた。すごく、楽しそうだったけどね。若い頃の曲(今も十分若いけど)という初々しさもあってか。

 11曲目「奇跡の海」「gravity」「カザミドリ」と有名曲が続いたあと、ニコパチ収録の「ダニエル」を歌いあげ、ここで。真打ち登場。坂本真綾を語るには欠かせない存在の一人、菅野ようこがいつの間にかピアノのそばに。スクリーンに映し出された瞬間に会場が発狂してるんじゃないかというヒートぶり。まあやの登場シーンよりも、意外性という意味ではすごかったかもしれない。去年のツアーは会場には確かいなかったので(DVDで見た限りだけど)
 その菅野ようこのピアノを添えて、メドレー。しっとりと「指輪」や「tune the rainbow」を歌いつつ、「しっぽのうた」のような曲ではしゃいでみたり。「トライアングラー」から「約束はいらない」へのつなぎはおお、っと思ったり。このメドレー全体的にだけど、菅野さんのDJのようなつなぎの技術に感動。ふたりの表情が非常に晴れやかで楽しそうだった。音楽の原点だね。

 菅野さんが去ってからの16曲目に着ていたドレスを脱ぎ捨て、「Get No Satisfaction」を熱唱。大好きなのここできた!再び一気に盛り上がる。かぜよみツアーでは冒頭だったけど、この曲はバンドアレンジでやると本当に盛り上がる。しかもちゃっかりギターを弾くという。弾くというか、ほとんどさげてただけだけどw
 続く「マメシバ」と、「Private Sky」でムードを持続させつつ、「光あれ」を歌い、次が最後の曲です、とMC。本編最後、20曲目は「DIVE」収録の「I.D.」。これは彼女のホームページのタイトルでもあるし、ファンクラブの名称にも関係しているので、最後に持ってきた意味が分かった気がした。

 このあとMCがあってこれもまたすごかった。本編2時間で、アンコールだけで1時間。3時間の充実しまくりのライヴでした。
 音響はライヴハウスじゃないので限界はあったけどそれほど気にならなかったし、ライトのコントロールがめちゃくちゃうまかった。バラード→バンドサウンドの切り換え時の一体感をうまく演出していたと思う。最近行った渋谷AXはなんかむやみやたらにライトをいじっていた気がしたんだけど、今回はめちゃくちゃ丁寧に練られてたんだなあと思う。
 VJのようなものはなかったけどバンドメンバーの個別パフォーマンスあり、それこそゲストが2人もおり、十分すぎるくらい楽しかった。

 30歳の誕生日を迎えても意外にも彼女には区切りという実感がなかったらしい。30日はライヴ前日のために早寝をしたら誕生日おめでとうメールが0時すぎにいっぱい入ってうっとうしかった、とかw
 誕生日に執着してないわけではないだろうけれど、TBSラジオの番組でも言ってたしライヴでも言ってたけど4年ぶりのアルバムである「カザミドリ」をリリースしたことが大きな区切りだったらしい。菅野ようことも一定の距離を置き、多様なコンポーサーに楽曲提供してもらい、結果的に20代最後のアルバムとなった。このあとに旅に出て新曲に、というエピソードがあるようなんだけど。

 話がちょっと変わるけど、坂本真綾のかっこよさを大きく実感したのは「空の境界」で両儀式を演じていたとき。式というキャラクターの複雑な内面を、坂本真綾という個人がどういう風に演じるのかは原作を読んでいたときから興味があったけど、式が男前すぎた。映画見た人は分かると思うけど、たまにデレるシーンはあれども戦闘シーンにせよたたずまいにせよ、あまりにもかっこいい。
 武道館のステージに立っていた坂本真綾もそうだった。小さい体をふんだんに使って、360度オープンのステージをかけまわる姿からはかわいさを感じられるが、「カザミドリ」を静かに歌い上げる風だとか、「光あれ」を堂々と歌い上げる風だとか、男前としか言えないのが不思議。本人もあれ?という表情をして着ていたドレスは、正直ミスマッチだったと思う。そのミスマッチさが面白かったんだけど。ドレスを脱ぎ捨て、身軽にステージを駆け回る彼女のほうが、演技者ではない自然体の坂本真綾のように思えた。
 声優にしろ舞台にしろ演技の仕事もしている彼女が、本当の素になれるのがライヴなんだろうと思った瞬間かな。そうじゃないと、あんな表情できないよね、っていうくらい終始楽しそうだった。20代が終わったことの切なさはみじんも感じさせず、ライヴパンフにも書いてたが、30代のスタートを心から楽しみにしているような表情が素敵だった。

 そんな一日。彼女が生まれた30年前のこの日は桜が満開だったそうだ。この日の千鳥ヶ淵も、水面に映りこんだ桜とあでやかな月が非常に綺麗だった。彼女を祝福するように。
 この次の日の4月1日、東京都心で2010年の桜は満開を迎える。
Set List
2010年3月31日 at 日本武道館


1.Gift
2.Feel Myself
3.プラチナ
4.blind summer fish
5.ヘミソフィア
6.ユッカ
7.30minutes night flight
8.Remedy
9.紅茶
10.SONIC BOOM
11.奇跡の海
12.gravity
13.カザミドリ
14.ダニエル
15.メドレー with 菅野ようこ
16.Get No Satisfaction
17.マメシバ
18.Private Sky
19.光あれ
20.I.D.

EN1.風待ちジェット(with 鈴木祥子)
EN2.マジックナンバー(with 鈴木祥子)
EN3.everywhere
EN4.ポケットを空にして
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