Amazonプラムビデオで昨日まで無料配信されており(今日からはレンタル等で視聴が可能になっているので、配信自体は継続されている)、Amazonがレコメンドしてきたのでなんとなく見てみた。そう、なんとなく見てみた程度だったのであるが、意外なことに引き込まれてしまい、最後までかなり面白く鑑賞した。

 SKE48については、一部のメンバーを、それも名前と顔を少し知っているくらい(一期生の松井珠理奈については彼女が小学生でデビューしたころから記憶しているが)ではあったものの、そうしたミリしらに近い人ですらこのドキュメントは楽しめる作りになっている。そして同時に、この映画が面白いのはSKE48というアイドルグループの強さと弱さを露呈しているからだ、とも感じた。それもあまりにもわかりやすく、である。

 なぜなのか。それは、結成10周年を迎えた2018年に大きな焦点が当たっているからである。公開されたのも2018年なので、映画というよりテレビドキュメンタリー的な撮って出しの新鮮さがある一本だと言ってよいと思うが、2018年は松井珠理奈が初めて総選挙で1位を獲得した年であり、初めて彼女がグループから不在だった年でもある、ということが大きなクライマックスとして描かれているからだ。

 こうした描き方は、ともすれば松井珠理奈とそれ以外、といった形で松井珠理奈の特別さが際立つ一方でその他のメンバーの存在感が薄まりやすい。現にキャプテンの斉藤真木子やナンバーツーの須田亜香里ですら、松井珠理奈の不在を容易には受け入れられない様子が描かれる。特に、須田亜香里の弱さをしっかりとカメラがとらえたシーンはひどく印象に残った。彼女の彼女らしくなさ、と言ってしまえるほど彼女を知っているわけではないものの、日本のトップアイドルの中のさらにそのトップに最も近い存在であっても、一人の人間なのである、ということだ。

 この映画は松井珠理奈の存在の大きさをクローズアップさせながら、彼女の10年間の思い入れをぶつけながら結果的に多くのものを一人で背負い込んでしまった彼女の弱さもカメラは頻繁に映す。キャリア10年とはいえ、彼女とてまだ20歳前後の一人の若い女性でしかなくて、彼女が背負えるものは限られている。須田亜香里が背負えるものも限られている。斎藤や、あるいは村松香織といった古参のメンバー一人一人が、魅力と限界のいずれをも見せつけていく。見せつけるように、カメラは回り続けている。

 こちらも古参メンバーの一人である大場美奈が、2018年の総選挙で初めて選抜入り(ベスト16入り)が確定した際のスピーチが非常に印象に残った。ともすれば努力家のきれいごとに聞こえなくもないかもしれないが、ドキュメント映像の合間に挟まれる個別のインタビューを見ていても、最も自分の立場やSKEの立場、松井珠理奈や他のメンバーの存在を冷静に観察していたのも彼女だったように思う。熱狂の中で熱くなりすぎない彼女だからこそあの心を打つようなスピーチが生まれたのかもしれないと思うと、この映画の影の主役は彼女だと言ってもいいかもしれない。

 総選挙の後は「松井珠理奈の不在」をいかにして受け入れていくのか、その葛藤と模索の日々慌ただしくカメラの前で展開されていく。松井珠理奈がいてもいなくても、あるいは彼女が戻ってきても、「彼女たち」のアイドル人生は続いていく。それを続ける人もいれば終わらせる人もいることを、ドルオタならよく知っている。いつ終わるかも分からないアイドル活動はそのすべてが一瞬の輝きだと思うことがよくあるが、SKE48にとっては唯一無二の季節である2018年の輝きと、そしてユニットにとっての脆さを、その両面を丹念にとらえ続けたすぐれたドキュメンタリーだと感じた。