ランニングのメタファー、身体感覚、関係性 ――『アワ・ボディ』(韓国、2018年)克服できない孤立と、印象的な夏の終わり ――『オスロ、8月31日』(ノルウェー、2011年)

2021年09月29日

圧倒的な個の力に抗する組織の連動性とその魅力 ――『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』(2016年)

ごあいさつ
村瀬歩
2016-10-09


 前回に引き続きAbemaの一挙放送を利用してハイキューの3期を視聴した。2回くらいに分けてみようと思ったが、1.3倍速で見ると3時間くらいで最後まで一気に完走できたのでこれはこれでよかったかもしれない。前回の感想はこちらからどうぞ。



 アニメ2期終了から半年後に放映というスケジュールのタイトさゆえか、春高予選決勝戦となる白鳥沢高校戦のみを10話費やして描くという、チャレンジングではあるがシンプルな構成は面白かった。1クール12話前後を費やすアニメの世界で10話に収めた事情は詳しく知らないし、フルセットにもつれた試合の中で第3セットは完全に省略されているのもやや驚いたが(原作未読のため照合ができず)、とはいえ3期の狙いである「コンセプトの戦い」が一貫した10話分だったなと感じる。良くも悪くも両チームのコンセプトの違いだけを徹底的に表現したシリーズだったからだ。

 良い点は現代バレーボールの面白さを青葉城西戦と違う形で表現したことだ。白鳥沢は分かりやすいくらいに個が強い。牛島を筆頭にしながら、かつ牛島だけではないチームを作り上げているからこそ隙がない。牛島という圧倒的な攻撃力があるからこそ、覚のような個性的な選手が生きる道がある。烏野のようなチームとしての連動性には欠けるものの、守備に大きな隙がなく、かつ攻撃では超高校級の強さを見せることによって常にリードしてゲームを進めるのが白鳥沢の強さとして描かれている。準決勝までは1セットも落とさず、決勝の烏野戦でも1セット目は余裕で制していた。

 結果的に、烏野の戦略としてはいかに組織として白鳥沢の攻撃を打開するかという発想になってくる。ディフェンスにおいては強力な牛島のスパイクをいかに防ぐか、攻撃においては覚のようなギャンブル的にジャンプしてブロックを決めてくる選手をいかに攻略するか。もちろん二人だけではないということもゲームが進むにつれて見えてくるわけで、バレーボールはベンチを含めたトータルな選手のコーディネートが重要なスポーツだということも改めて実感させられた。

 攻撃も守備も、組織でやる以上全員のスタミナが疲弊していく。準決勝までは3セットマッチだったため、未知の4セット、5セットをいかにして取っていくのかというのも見どころとなっていた。10話で1試合という、シンプルで攻めた構成だからこそ味わえる、現代スポーツアニメとしては珠玉の作品となっている。

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burningday at 01:16│Comments(0)anime 

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