Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。

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 お茶の水女子大学SF研究会の部誌である『COSMOS 80』が読書メーターには含まれないので、合計38冊でした。

6月の読書メーター
読んだ本の数:37
読んだページ数:11343
ナイス数:62

見知らぬ町にて (新潮文庫)見知らぬ町にて (新潮文庫)
読了日:06月01日 著者:辻 邦生
マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)
読了日:06月01日 著者:王城 夕紀
貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える
読了日:06月02日 著者:アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ
おうちのありか ~イエスかノーか半分か (3)~ (ディアプラス文庫)おうちのありか ~イエスかノーか半分か (3)~ (ディアプラス文庫)
読了日:06月02日 著者:一穂 ミチ
ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1感想
認知行動療法の実践に必要な知見が平易に、かつコンパクトに書かれていてよい。認知行動療法は万能ではなく、認知行動療法の限界や注意点も丁寧に記されている。したがって全体的にわかりやすく、実用的な一冊となっている。昨今話題になっているケアする人のケアに関心を持つ人にも薦めたい。
読了日:06月02日 著者:伊藤 絵美
歩きながらはじまること―西尾勝彦詩集歩きながらはじまること―西尾勝彦詩集感想
西尾勝彦は初めて読んだがこの言葉遣いはハマってしまいそう。ユーモラスと優しさが重なりあい、穏やかで楽しい世界を作り上げている。
読了日:06月04日 著者:西尾 勝彦
本と鍵の季節本と鍵の季節
読了日:06月04日 著者:米澤 穂信
誰になんと言われようと、これが私の恋愛です誰になんと言われようと、これが私の恋愛です
読了日:06月05日 著者:劇団雌猫
うつ病治療の基礎知識 (筑摩選書)うつ病治療の基礎知識 (筑摩選書)
読了日:06月07日 著者:加藤 忠史
団地の空間政治学 (NHKブックス)団地の空間政治学 (NHKブックス)
読了日:06月07日 著者:原 武史
日本発酵紀行 (d47 MUSEUM)日本発酵紀行 (d47 MUSEUM)
読了日:06月08日 著者:小倉ヒラク
旅の時間 (講談社文芸文庫)旅の時間 (講談社文芸文庫)感想
さすが吉田健一といった感じ。それぞれの場所での出会いや日常を流れるようにゆったりと刻んでゆく文章の心地好さ。旅のしづらい時代には今にような時代には向いている一冊。
読了日:06月09日 著者:吉田 健一
分別と多感 (ちくま文庫)分別と多感 (ちくま文庫)
読了日:06月10日 著者:ジェイン オースティン
或る青春の日記 (中公文庫)或る青春の日記 (中公文庫)
読了日:06月12日 著者:北 杜夫
やがて秋茄子へと到るやがて秋茄子へと到る
読了日:06月12日 著者:堂園昌彦
脳は楽観的に考える脳は楽観的に考える
読了日:06月13日 著者:ターリ シャーロット
わたしの身体はままならない: 〈障害者のリアルに迫るゼミ〉特別講義わたしの身体はままならない: 〈障害者のリアルに迫るゼミ〉特別講義感想
色々な人が当事者目線でいろいろなことを語り下ろす本。当事者の個別性と代表性の間になにが転がっているかを考えながら読んだ。
読了日:06月14日 著者:熊谷晋一郎,伊藤亜紗,野澤和弘,石田祐貴,いちむらみさこ,今井出雲,大島真理佳,笠嶋敏,桐島優太,坂爪真吾,高木佑透,玉木幸則,馬場拓也,haru,樋口直美
ある作家の夕刻-フィッツジェラルド後期作品集 (単行本)ある作家の夕刻-フィッツジェラルド後期作品集 (単行本)
読了日:06月14日 著者:スコット・フィッツジェラルド
アメリカン・スクール (新潮文庫)アメリカン・スクール (新潮文庫)
読了日:06月15日 著者:小島 信夫
大統領の条件 アメリカの見えない人種ルールとオバマの前半生 (集英社文庫)大統領の条件 アメリカの見えない人種ルールとオバマの前半生 (集英社文庫)
読了日:06月16日 著者:渡辺 将人
高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)高慢と偏見 上 (ちくま文庫 お 42-1)感想
3年半ぶりに読んだが、『分別と多感』を読んだ後だったのでキャラクター同士の関係や物語の構造が時代背景含めて理解しやすかった。お金のために結婚するわけではないがお金はなんだかんだ重要(生活のために)というこの時代のリアリズムがこの小説でもしっかり息づいている。
読了日:06月17日 著者:ジェイン オースティン
読書と人生 (新潮文庫 み 5-3)読書と人生 (新潮文庫 み 5-3)感想
「読書遍歴」と「如何に読書すべきか」がめちゃくちゃ面白かった。読書をするためには閑暇が必要だから時間を作れ、とにかく習慣が大事だ、学生時代に本をたくさん読め、読む時は濫読がいいが緩やかに読むほうがいい、古典や原書を読め、古本屋をこまめに覗け。新聞や雑誌やラジオや映画があるような今日では習慣づくりは困難だけどがんばれ(スマホに時間をとられがちな現代人にも突き刺さるお話)。
読了日:06月19日 著者:三木 清
高慢と偏見 下 (ちくま文庫 お 42-2)高慢と偏見 下 (ちくま文庫 お 42-2)感想
物語としては『分別と多感』のほうが個人的には好みだが、本作が何度も繰り返し読まれるのはこの時代のイギリス特有の価値観や制度がそこかしこに描写されているからだろう。オースティン自身は田舎出身だったとされているがしかしながらこれだけの多種多様なキャラクターを自在に操れるのは本当に半端ない才能だよな・・・と思うしかない読書体験だった。
読了日:06月21日 著者:ジェイン オースティン
川上未映子: ことばのたましいを追い求めて (文藝別冊) (KAWADEムック 文藝別冊)川上未映子: ことばのたましいを追い求めて (文藝別冊) (KAWADEムック 文藝別冊)感想
イーユン・リーとの対談の収録が抜群に面白かった。
読了日:06月21日 著者:
雨の朝パリに死す (角川文庫)雨の朝パリに死す (角川文庫)
読了日:06月21日 著者:フィツジェラルド
五つ星をつけてよ (新潮文庫)五つ星をつけてよ (新潮文庫)
読了日:06月22日 著者:奥田 亜希子
エンド・オブ・ライフエンド・オブ・ライフ
読了日:06月23日 著者:佐々 涼子
甘い蜜の部屋 (ちくま文庫)甘い蜜の部屋 (ちくま文庫)
読了日:06月25日 著者:森 茉莉
その姿の消し方 (新潮文庫)その姿の消し方 (新潮文庫)
読了日:06月25日 著者:堀江 敏幸
日本語の美 (中公文庫)日本語の美 (中公文庫)
読了日:06月25日 著者:ドナルド キーン
ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)
読了日:06月27日 著者:ジェイン オースティン
エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)エンジェルフライト 国際霊柩送還士 (集英社文庫)感想
自分もそうだけど『紙つなげ!』や『エンド・オブ・ライフ』で佐々涼子の仕事を知った人は是非この本も読んでほしい。なぜ彼女が死を題材にしたノンフィクションを書き続けられるのかが少しわかった気がした。もっともそれは全く容易なことではなく苦悩そのものであり、そんな彼女の内面の複雑さもこの本にはつまっている。
読了日:06月27日 著者:佐々 涼子
女嫌いのための小品集 (河出文庫)女嫌いのための小品集 (河出文庫)
読了日:06月28日 著者:パトリシア ハイスミス
ポールとヴィルジニーポールとヴィルジニー
読了日:06月28日 著者:サン・ピエール
読書案内―世界文学 (岩波文庫)読書案内―世界文学 (岩波文庫)感想
面白かった。名前が多く上がっているが、特にディケンズ、オースティン、ドストエフスキー、バルザックを絶賛している。プルーストは長いから飛ばし読みをしてもよい、という話は謎の安心感がある。あの長い小説を飛ばさずに読むことはほぼ不可能だ。
読了日:06月28日 著者:サマセット・モーム
幕間 (平凡社ライブラリー)幕間 (平凡社ライブラリー)感想
傑作。時代背景を踏まえて読むとなお面白い。ウルフの文章のリズムと、来るべき暗い未来の前兆という作中の事情との相性がとてもよい。
読了日:06月29日 著者:ヴァージニア・ウルフ
遠くの声に耳を澄ませて (新潮文庫)遠くの声に耳を澄ませて (新潮文庫)
読了日:06月30日 著者:宮下 奈都

読書メーター
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 5月は29冊でした。4月よりはペースダウンしたけどまあいいくらいの読みができたかなという感じ。画像を見たらわかるように文庫本の積読を崩しまくった回。


5月の読書メーター
読んだ本の数:29
読んだページ数:9555
ナイス数:50

どうして男は恋人より男友達を優先しがちなのかどうして男は恋人より男友達を優先しがちなのか
読了日:05月02日 著者:桃山商事
禁書目録×伊藤計劃 01禁書目録×伊藤計劃 01
読了日:05月03日 著者:渡辺 零、他
その日、朱音は空を飛んだ (幻冬舎文庫)その日、朱音は空を飛んだ (幻冬舎文庫)
読了日:05月05日 著者:武田 綾乃
禁書目録×伊藤計劃 02禁書目録×伊藤計劃 02
読了日:05月08日 著者:渡辺零、他
石黒くんに春は来ない (幻冬舎文庫)石黒くんに春は来ない (幻冬舎文庫)
読了日:05月08日 著者:武田 綾乃
母の影 (新潮文庫)母の影 (新潮文庫)
読了日:05月09日 著者:北 杜夫
発達障害はなぜ誤診されるのか (新潮選書)発達障害はなぜ誤診されるのか (新潮選書)
読了日:05月09日 著者:岩波 明
完全版 韓国・フェミニズム・日本完全版 韓国・フェミニズム・日本感想
小説だとユン・イヒョン「クンの旅」、それ以外だともともと好きな作家であるチェ・ウニョンのエッセイが特によかった。チェ・ウニョンが大学に入学したあとにフェミニズムと出会い、フェミニズムを学んでゆく中で得た自由や内面の変化、生き方の変化について、短いながら子細に語っていてよかったと思ったし、女性の物語を一貫して書き続ける彼女の信念が見えて面白かった。その裏返しとして、男性が多数を占める様々な構造への大きな疑いがあることにも触れられている。
読了日:05月10日 著者:
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 (宝島社文庫)響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 (宝島社文庫)感想
香織があすかに当てた手紙が最の高だった。感情が強すぎる。
読了日:05月11日 著者:武田 綾乃
13歳、「私」をなくした私 性暴力と生きることのリアル (朝日文庫)13歳、「私」をなくした私 性暴力と生きることのリアル (朝日文庫)感想
いつか手に取りたいと思っていたので文庫化を機に読んだ本。山本潤さんの壮絶な体験が書き込まれているので読むのがしんどいことも多く記述されている。第三者がしんどいと感じる以上に本人の中に筆舌にしがたいしんどさ、苦しみ、辛さがあったのだろう(そしてそれが終わったわけではない)ということを読み終えて改めて噛みしめる。
読了日:05月14日 著者:山本 潤
贖罪 (新潮文庫)贖罪 (新潮文庫)
読了日:05月15日 著者:イアン マキューアン
サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+ 東浩紀アーカイブス2 (河出文庫)サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+ 東浩紀アーカイブス2 (河出文庫)感想
流し読み。エヴァの話のあたりはちょっとだけ面白かったかな。
読了日:05月17日 著者:東 浩紀
寺山修司 (ちくま日本文学 6)寺山修司 (ちくま日本文学 6)感想
競馬の話と同じくらい野球の話も端々に挿入されていて面白かった。毛皮のマリーも収録されている。
読了日:05月20日 著者:寺山 修司
20世紀美術 (ちくま学芸文庫)20世紀美術 (ちくま学芸文庫)感想
19世紀後半の印象派の挑戦とその挫折の説明から始まり、キュビズムなどさまざまな抽象表現を経て戦後の現代アートを含んだ抽象美術までを一つのストーリーで語り下ろす感じ。原著が1965年なのだが1960年代の美術までフォローされている、戦後のフォローも詳しい。現代の美術史をコンパクトに振り返るためにはいい本。
読了日:05月20日 著者:高階 秀爾
無知の涙 (河出文庫―BUNGEI Collection)無知の涙 (河出文庫―BUNGEI Collection)
読了日:05月20日 著者:永山 則夫
ゴーギャンの世界 (講談社文芸文庫)ゴーギャンの世界 (講談社文芸文庫)
読了日:05月20日 著者:福永 武彦
発達障害 (文春新書)発達障害 (文春新書)
読了日:05月21日 著者:岩波 明
睡眠のはなし - 快眠のためのヒント (中公新書)睡眠のはなし - 快眠のためのヒント (中公新書)
読了日:05月21日 著者:内山 真
国境の南、太陽の西 (講談社文庫)国境の南、太陽の西 (講談社文庫)感想
7年ぶりに再読した。人生がそれなりに順調な30代の男が過去の女の幻影に翻弄されるお話、と解釈するのがストレートだとは思う。違う見方をするならば、あまりにも人生が順調なのでいくらか退屈さが漂っていて、そうした退屈さが過去の女との再会というロマンを過剰に求めてしまう心理に繋がっているのだと思う。もちろんそのロマンに頼る事は現在の生活の破綻を意味するので、島本さんのとった行動は合理的なものだったと思う。合理的かつ、主人公にとって優しい行為であるだろう。
読了日:05月23日 著者:村上 春樹
結婚式のメンバー (新潮文庫)結婚式のメンバー (新潮文庫)
読了日:05月23日 著者:カーソン マッカラーズ
死刑囚最後の日 (光文社古典新訳文庫)死刑囚最後の日 (光文社古典新訳文庫)感想
ノンフィクションかエッセイのように見えたが創作ということで、かなり迫力のある文章が最初から最後まで続く。一気に読んだ。
読了日:05月23日 著者:ヴィクトル ユゴー
きょうのできごと、十年後 (河出文庫)きょうのできごと、十年後 (河出文庫)
読了日:05月24日 著者:柴崎友香
抱擁家族 (講談社文芸文庫)抱擁家族 (講談社文芸文庫)
読了日:05月24日 著者:小島 信夫
いまさら翼といわれても (角川文庫)いまさら翼といわれても (角川文庫)
読了日:05月27日 著者:米澤 穂信
在宅無限大: 訪問看護師がみた生と死 (シリーズ ケアをひらく)在宅無限大: 訪問看護師がみた生と死 (シリーズ ケアをひらく)
読了日:05月28日 著者:村上靖彦
美しいこと (講談社文庫)美しいこと (講談社文庫)
読了日:05月29日 著者:木原 音瀬
心理学化する社会 (河出文庫)心理学化する社会 (河出文庫)
読了日:05月29日 著者:斎藤 環
愛と人生 (講談社文庫)愛と人生 (講談社文庫)
読了日:05月30日 著者:滝口 悠生
ナラタージュ (角川文庫)ナラタージュ (角川文庫)
読了日:05月31日 著者:島本 理生

読書メーター
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 ツイッターで交流のあるおたまさん(@otamashiratama)の↑のエントリーを読んで、自分でも振り返れたら面白いなとつぶやいたところ、おたまさんから「もし同じネタで振り返られたら、是非リプで教えて下さい!!めっちゃ興味あります!」とリプライをいただいたのでそれに応える回。
 同世代のおたまさんのマンガ遍歴は面白く(たとえば同じ漫画家でも影響を受けたものが違う。手塚やよしながふみ、吉田秋生、東村アキコなど)、かつ「知っているけど読んでないな」と思いながら読んだエントリーだったので、「じゃあ自分はどんなマンガ」を読んできたか、および「どんなマンガに支えられてきたか」を振り返ってみたい。

 カテゴリーはおたまさんのブログを参考にした。以下目次


1.初めて読んだマンガ(1995年)
2.小学生の頃に読んだマンガたち(1996年〜2002年)
3.中学生の頃に読んだマンガたち(2002年〜2005年)
4.高校生の頃に読んだマンガたち(2005年〜2008年)
5.大学生の頃に読んだマンガたち(2008年〜2014年)
6.社会人になってから読んだマンガたち(2014年以降)



1.初めて読んだマンガ(1995年):井上雄彦『スラムダンク』


 昔書いたエントリーでも書いたように、闘病中に差し入れてもらったことをきっかけに病院で読んだ『スラムダンク』にドハマりした。(これ以前の記憶はほとんどない。病気の影響もあってかなり欠損している)
 桜木花道のマネをして俺は天才だ!!!といろんな人に言ってたような気がする。やんちゃで自由な男の子って感じですね。スポーツマンガを通して勇気をもらうという経験は普遍的だけど、いいタイミングでいいマンガに出会えたなと今振り返っても思う。
 退院してからは親にねだり、バスケットのリングを庭に設置してもらうことができたので、ひたすら三井寿のマネをしてシュート練習していた。田舎だったのでバスケのチームが地元になかったことだけが唯一悔しい。(結果的に他のスポーツを複数経験できたことは悪くなかった)


2.小学生の頃に読んだマンガたち(1996年〜2002年)

 おこづかいが限られるので、中古or友達の家or図書館(図書室)という布陣。新刊書店が遠かったこともあり、自分で新刊のマンガを買うという発想はあまりなかった。



 今振り返るとどうってことはないが、当時このマンガを読む時の背徳感というか、大人の世界をのぞいているような気がしてドキドキしていた。成瀬川なるが好き。



 『こち亀』はこの時期に集めまくっていた。さっきの文章と矛盾するようだが、こち亀は既刊が1冊100円ほどで古書店で売られていたので、数少ないおこづかいをかき集めてコツコツ集めた。実家にはたぶん130冊くらいあるはず(途中であきらめたのでコンプリートはしていない)。『こち亀』で80年代や90年代の社会風俗を学ぶことができた(情操教育だ)し、競馬を見るきっかけにもなったと思う。その意味では、まだ幼かった自分に多大な影響を与えている。



 『ラブひな』が大人っぽい要素を含むラブコメだとするならば、『SALAD DAYS』はもう少し年齢を下げて手が届きそうな感じの正統派恋愛マンガで楽しかった。オムニバスだが、数少ない繰り返し登場するキャラである河村二葉が幸せになってくれて本当によかったという気持ち。



 30巻くらいまでは友人宅で読み(そこまでしかなかった)続きは2000年に入院した時の小児科の院内図書で読んだ。ありがとう院内図書。(スラムダンクもあった気がする)

【カラー版】海のトリトン 1
手塚治虫
手塚プロダクション
2015-12-20


 細かくは覚えていないけど手塚は図書館で借りられる貴重なマンガだったので、いろいろ読んだ気がする。その中でも好きだったのがトリトンだった。

サバイバル 1巻
さいとう・たかを
リイド社
2013-09-20


 小5,6の時の担任がなぜか教室に持ってきていたので読んだけど小学生が読むにはシビアすぎるぜ……と思いながらしかし読んだ記憶。

はだしのゲン (中公文庫コミック版)
中沢啓治
中央公論新社
2020-07-03


 こっちは図書館ではなくて学校図書室で読んだ気がする。定番の名作。

BUZZER BEATER 1 (ジャンプコミックス)
井上 雄彦
集英社
2005-02-04


 『スラムダンク』の井上雄彦が宇宙を舞台にしたバスケマンガという今考えるとぶっ飛んだことをやってたけど面白かった。


3.中学生の頃に読んだマンガたち(2002年〜2005年)

 この時期はいわゆるラブコメばかり読んでいるのが思春期真っ盛りって感じがして面白い。数が少ないのは部活で忙しかった&小説を読むことにハマり始めたのでマンガに食指があまり伸びなかった、あたりがおそらく要因。



 『ラブひな』がわりと現実に根差したマンガだったので、『ネギま!』で一気にファンタジックになって驚いたけどアニメも見たしマンガも完結まで見届けたので思い出の作品。



 『ネギま!』が思い出の作品と書いたけど『いちご100%』ほど思春期に読めてよかったマンガはない。あとで読んだとしてもこのマンガには「乗れなかった」と思う。最初から最後まで西野つかさ派だったので、最高のエンディングだった。



 スクランはおそらくアニメから入ったと思うが、マンガも完結まで読んだ。これも世代的にうまくハマってくれたマンガだなと思う。沢近愛理が好き。播磨といいところまでいってその先がない演出、本当にうまいと思う。



 今なお連載が続いているが、この頃からずっと楽しみに読んでいる。いつ終わるかは分からないが、今後も見届けていくだろうなと思っているマンガ。


4.高校生の頃に読んだマンガたち(2005年〜2008年)

 この頃も基本的に勉強&読書(小説)に忙しかったのでマンガにはあまり手が伸びなかった。しかしその中でもARIAとガンスリに出会えたのは僥倖だったと言える。人生においても非常に重要な二作品。





 ダイヤとエリア、それぞれリアルタイムに連載されていた野球マンガ&サッカーマンガなのでどちらも続きを楽しみにしていた。アニメは見ていないが、この時期追いかけてたことはよく覚えている。



 はい、高校時代は何を言ってもARIAだった。2005年に放映されたアニメ一期をきっかけに原作を読み始め、最後まで読んだがこのマンガに出会ったか出会わなかったかで人生を大きく左右するようなマンガだと思う。人生とは、生きていくということはどういうことかを、これほどまでに優しく柔らかいタッチで伝えられる天野こずえは本当にすごい……藍華が好き。永遠の推し。

GUNSLINGER GIRL(1) (電撃コミックス)
相田 裕
KADOKAWA
2014-05-01


 もう一つ高校時代に出会って衝撃を受けたのがガンスリ。こういうありえたかもしれない世界を、徹底的に妥協なく描くのは本当にすごい。救いはない、でもそれが現実なんだということを何度も思い知らされるマンガ。

5.大学生の頃に読んだマンガたち(2008年〜2014年)

 ここからは可処分所得&時間が増えてマンガを読む量も急増するので印象に残ったものを中心に。志村貴子やいけだたかし、ヤマシタトモコなど、百合マンガや少女マンガが少しずつ増えていく。

放浪息子1 (ビームコミックス)
志村 貴子
KADOKAWA
2012-09-01


青い花(1)
志村 貴子
太田出版
2013-10-16


 どちらもアニメから。志村貴子という化け物みたいな漫画家に邂逅したことが自分の人生にとっても大きなことだったと思う。末広安那が好き。彼女ならきっと彼女らしく生きていける。



 M1の時によく読書会をやっていた友人に薦められて読んだが、ここまで自分の人生に影響するとは……なマンガ。アニメも去年放映されたので見たけど、原作の雰囲気を生かしながらうまくまとめていたなと思う。榀子先生が好き。彼女の内面のどうしようもなさも含めて陸生にとっては愛おしいんだろうなと。

あまんちゅ! 1巻 (ブレイドコミックス)
天野こずえ
マッグガーデン
2018-11-05


 『ARIA』が完結した天野こずえが次に出したのがこれ。『ARIA』とはまただいぶ雰囲気が違うが、キャラクターの優しさと、舞台の美しさは健在。

バガボンド(1)(モーニングKC)
井上 雄彦
講談社
1999-03-23


 やや曖昧な記憶だが、大学2年の冬に家庭教師をした帰りに三軒茶屋の古書店で買ったのが最初。既刊は全部読んでいるので、リアルと一緒にこれも最後まで見届けたい。

HER (FEEL COMICS)
ヤマシタトモコ
祥伝社
2012-12-21


Love,Hate,Love. (FEEL COMICS)
ヤマシタトモコ
祥伝社
2012-12-21


 いつぞやかのこのマンガがすごい!で上位に入っていた『her』を読んで、そのあと続けて読んだのが『Love, Hate, Love』だったと思う。今を時めくヤマシタトモコが名前を上げ始めたころなので、早いうちに出会えてよかったなと。



 サッカーマンガはいろいろ読んできたが、こういう風にサッカーを描けるんだ、と思っていまでも面白く読み続けている。いまは定番になっている科学的トレーニングの先取り。



 アニメよりは先に触れていたと思うが、音楽の世界をここまで鮮やかに描くマンガは純粋にすごいなと思った。アニメでは音を出せるが、絵の表現で音を描くということをやってのけたのは素晴らしい。あと重くなりそうな展開をギャグで中和するセンスもうまい。



 吉田秋生で最初に触れたのがこれなので、過去のこととかそれこそバナナフィッシュとかは全然知らずに読んだ。映画も見た。女子サッカーという題材はあとで紹介する『さよなら私のクラマー』と共通するところでもあるが、あくまで姉妹たちの、鎌倉の日常を丹念に描いたところが好きだった。ドラマはあるけどドラマチックになりすぎない人間模様が好き。大学生協(早大生協ブックセンター)で全巻揃っていたので買った気がする。







 日本橋ヨヲコもある時期の早大生協ブックセンターに既刊がそろっていたので(フェアではなかったと思うが)せこせこ買って読み進めた。当時親交のあったネットの友人に薦められたのが最初。『少女ファイト』は途中で止まっているので続き読まねばねば。この人も人間を描くのが抜群にうまい漫画家だよなあと思う。



 読んだきっかけはよく覚えていないが大学時代に触れた中でも最高の百合だった。地方と東京の距離を繊細に描くことに成功したマンガだとも思う。



 これも少し古いマンガなのでどういう経緯で読んだかは覚えていないが、当時神戸在住のネットの友人が薦めていたから、だったと思う。エッセイマンガ風で続いていく作品だが、阪神大震災にまつわるエピソードは震えながら読んだ記憶。タッチが柔らかいからこそ、震災を描く時のすさまじさがかえって強調されていたように思えた。等身大の震災の記憶。



 M2の時にアニメ化されており、それきっかけでマンガも読み始めた。唯ちゃんが好き。これも大学時代に出会った最高の百合の一つ。初めて同人誌にアニメ批評を書いたのもそういえばこの作品。





 『ささめきこと』はアニメをきっかけに。これも最高の百合の一つ。『34歳無職さん』は全く違うテイストだが、34歳女性が無職であるという生活を淡々と描いていく。淡々とした日々の中にある発見や辛さをちゃんと描くところが誠実だなと思った。



 これもいつぞやかのこのマンガがすごい!で知った作品。穂積のデビュー短編集だったと思うが、表題作が抜群にうまくてしびれた。センスがなければあの短い中に、「式の前日」という様々な感情が入り混じる一瞬を描くことはできない。



 これはなんというか性癖というやつで、年上のあやしいお姉さんに弱いので読んだやつ。結果的にとてもよかったです、はい。


6.社会人になってから読んだマンガたち(2014年以降)

 さっきと同様数を絞って紹介していく。あとこのあたりからほぼ電子書籍に移行していく。ジャンル関係なく幅広く読んでいるが、医療マンガが急に増えるのは仕事の影響もたぶんある。



 ツイッターで知って読んだマンガ。最高の百合なのは言うまでもないが、渋谷、クラブ、徹夜明けの朝というシチュエーションをエモエモに描いているところがとても好き。そういう夜を経験した人間ならば、思うところがいろいろあるはず。



空電ノイズの姫君 (1) (バーズコミックス)
冬目景
幻冬舎コミックス
2017-04-24


 『イエスタデイをうたって』以降の冬目景は継続して読んでいる。『マホロミ』は建築、『空電ノイズの姫君』は音楽と、ジャンルが幅広すぎてこの漫画家の才能の底知れなさを感じる。

淡島百景 1
志村貴子
太田出版
2015-06-19


どうにかなる日々 新装版 ピンク
志村貴子
太田出版
2020-04-17


 志村貴子も才能が底知れない漫画家の一人だと思うが、『淡島百景』は芸術の領域に表現の水準を高めている。『どうにかなる日々』は旧作の新装版なのでいまはあまり描かないようなタッチで、かつ百合もBLも男女カプも全部描くという器用さを発揮しているオムニバス。映画も見た。確か志村貴子はジャンルどうこうをあまり意識せずその時に描きたいものを描いている、とどこかで言ってたような気がするので、「ジャンルを越境」という認識も強いわけではないのだろうなと思う。読者の側がカテゴリーで把握してしまうことの危うさを感じた。



 どこで知ったかは忘れたが、このマンガをまねていまでもストレッチをしているので実用的かつ、つかの間の共同生活をビビッドに描いた秀作。蘭のように、見た目は軽薄そうだが内面はしっかりしているキャラに弱い。「軽薄そう」という偏見がそもそもよくないのだけどね。



 今まで何度か最高の百合という言葉を使ってきたが、このマンガは間違いなく百合ジャンルだろうけれど、そのジャンルを超える力を持ったものすごいマンガ。アニメも見たが、原作の内容をだいぶはしょってしまっていたのでそこに惜しさがある。こういうマンガが評価されることによって、フィクションにおけるジェンダー描写の奥深さとその価値みたいなものが広まってくれるとよいなと思う。

Spotted Flower 1 (楽園コミックス)
木尾士目
白泉社
2015-12-25








 読んだ順番に。一番好きなのは『四年生』のカップルのその後を描く『五年生』で、社会人と学生五のギャップ、千葉と東京のギャップなど、後々になってみると些細なことがどれだけ切実だったかを思い起こしながら読んだ。人生はまっすぐに進まないが、だからと言って絶望しなくてもいいよな、とも思う。傷ついたり傷つけたりしながら、それでも生きていくことはできる。



 最近ついに堂々完結したが、これ以上のものを描こうとするならばまったく別の物語を立ち上げる必要があるのでこれでよかったと思う。最初から最後までマネージャーの生方が好きだったので、彼女が報われたこともとてもうれしかった。よかったね、よかったね、と思いながら。



 こちらも堂々完結。年の差恋愛をリアルに生々しく描いたならこうなるという感じ。男なので「少年」側にも、世代的には「私」側にも立てるので、読み進めるのが怖いなと思いながらもこの関係が一つの終着にたどり着けたのは救いがあったと言ってよかったと思う。

違国日記(1) (FEEL COMICS swing)
ヤマシタトモコ
祥伝社
2017-11-22


 いまのヤマシタトモコを語る上で『違国日記』は外せないだろうなと思う。デビュー以降一貫して描いてきたジェンダー意識をここまで前面に出すかというほど出しながら、甘くなりすぎずシビアになりすぎない適度な塩梅でつづっていくストーリーが良い。子どもよりも大人たちが感じる痛々しさが響くのは自分がもう30代、子ども時代が遠くなった存在だからだろう。





 わずか2巻の『さよならフットボール』が本当に素晴らしかったので、このテイストを残しつつ女子サッカーをテーマに選んだ『さよなら私のクラマー』もとても好き。アニメも見ている。マンガは最近完結したが終えてないのでアニメが終わったら追いかけようかな。









 医療マンガシリーズ。
 『アンサングシンデレラ』と『春よ来るな』は新聞書評で知って読んだ。前者はドラマ化されて驚いた(しかし見てない)。病院薬剤師も医学生も、そこまで身近な存在ではないので彼ら彼女らの日常の奮闘が見えてくるのは純粋に面白かった。『アンサングシンデレラ』を読んでいると「多職種連携」の難しさ、面倒くささをよく描いているなと思うが、でもそれがうまく機能してこそ良い医療を提供できるよね、というところまで描いているのがいい。医療職ではないが対人援助職である自分にとって学びが多く、励まされることも多いマンガ。
 『リウーを待ちながら』は現代の日本を舞台にしたパンデミック作品。リウーとはカミュ『ペスト』の主人公で、もちろんフィクションの存在だからリウーはやってこない(ゴドーがやってこないように)ので、その中でどうやって人命を救い、自分たちが生き残っていくのか、そのシビアなリアルを克明に描いた凄みはCOVID-19に襲われている現在に読むととてもフィクションとは思えなかった。
 『腐女医の医者道』は外科医として働きながら二次創作もガンガン展開するさーたりさんのエッセイマンガ。医療マンガ半分、育児マンガ半分と言ったところ。医師の世界における女医のマイノリティ性だったり、夫婦が医師であることの良し悪しであったり、いろいろなことが軽妙かつリアルなタッチで描かれていて毎回とても楽しい。





 アニメから入った。原作者が小豆島出身で舞台も小豆島(のおそらく土庄町界隈)なのでアニメでもマンガでも自分がリアルに知っている場所がいっぱい出てきてとても不思議な気持ちになる。『からかい上手の(元)高木さん』は別の漫画家による外伝だが、両方面白く読んでいる。



 東村アキコがいいよ!と教えてくれた前々職の同僚に感謝したい作品。創作に関わる人はみんな読んでほしい。ただひたすらに打ち込んだ日々のこと、そしてそれを支えてくれた人のこと。鮮やかとはとても言えない若くて苦い日々が、とてもまぶしく見える。

憎らしいほど愛してる
ユニ
KADOKAWA
2019-07-30


 これも最高の百合なので、はい。

1限めはやる気の民法 (白泉社文庫)
よしながふみ
白泉社
2017-12-28


 最近ツイッターで仲良くなった人に薦めてもらった作品。よしながふみは『きのう何食べた?』や『大奥』で話題をかっさらっているのでいつかちゃんと読まねばな〜というところに薦めてもらったので読んでみた。まだハガキを送って就活したり、卒論を手書きで製作していた90年代の空気が色濃く残るところをかなり細かく描写しいていて面白かった(このテイストは、同じく90年代の法学部が舞台となっている木尾士目『四年生』、『五年生』とも共通する)。真面目さが空回りしつつも自分の道を進む田宮や、なかなか底を見せないが秘めているものは熱い藤堂の両キャラが好き。二人には幸せになってほしい。


 以上! 紹介作品がこれより増えるとこちらも読者も両方疲れてしまうのでこのへんで終わりたい。
 振り返ると特にジャンル関係なく百合やBLも交えながら幅広く読んできている(ファンタジーやSFがやや少ないくらい?)が結局のところ人間をうまく描いているマンガは全部好きなんだろうなとお思う。その表現の幅や奥行きや、多彩さは各漫画家の個性とセンスと技量によるものではあるのだが、人間とか人生といった文学的な主題をマンガという二次元のモノクロの世界に落とし込んでいる人たちに触れてきた人生だった。そしてこれからも。

 あと、おたまさんが書いているように早く飲み会で気軽にマンガの話をできるようになる(ような社会状況が戻ってくる)といいなと思う。その日が来るまで、まだまだ読めてないものをたくさん読んで飲み会ネタのストックをためておきたい。
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 3月はいっぱい読んだので4月は減りそうだと前回書いたけどなんとびっくり41冊も読んでしまった。どれだけ暇なんだと言われそうだが(ウーバーイーツは3月より暇になったので待機中によく読んでいた)暇かどうかより、時間の使い方が重要だなと改めて気づいた。
 このネタ、つまり「日常生活でいかに読書時間を捻出するか」だけで今度一本書いてみたい。

 後半にはmediumにアップした書評も載せている。4月掲載分は11本。

4月の読書メーター
読んだ本の数:41
読んだページ数:11757
ナイス数:71

闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))
読了日:04月01日 著者:アーシュラ・K・ル・グィン
子育て支援の経済学子育て支援の経済学感想
実証系の計量経済学ではお馴染みのDIDやRDDを中心に保育政策、幼児教育政策や女性の産育休などについてその政策効果を分析。各章で一つずつのイシューを扱うのでテーマがダブることはあるが(例えば育休は5,8,8章で取り上げられている)それはつまり個々の政策や施策を厳密に分析、解釈しようとしているからでもある。計量経済学の手法を知らない人は多いと思うが、各章で展開される分析は面白く受け留められると思う(数式はイメージが掴めればよいと思う)。各分析の成果と限界がいずれもコンパクトにまとまっているのもリーダブル。
読了日:04月03日 著者:山口 慎太郎
セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)セイバーメトリクスの落とし穴 (光文社新書)感想
むちゃくちゃ面白い。もっと早く読んでおきたかったが今季開幕のタイミングで読めたのはよかったかもしれない。数字ではわからないことの魅力や、データ至上主義や勝利至上主義が野球を歪めてしまう事への危機感は結構重要だと思う。(数字やデータを否定するのではなく、限界があるという話として)
読了日:04月05日 著者:お股ニキ(@omatacom)
われら (集英社文庫)われら (集英社文庫)感想
有名なので読んでみたがたしかにこれは1984に影響を与えてそう。主人公のメンタリティの違いはあるけど、慈愛の人はビッグブラザーだよなと思いながら読んだし、過去を葬り去って歴史を変え、人間の生き方を変えて管理国家を形成していくスタイルはディストピア小説の古典といわれるゆえんかな。
読了日:04月06日 著者:エヴゲーニイ・ザミャーチン
闘争領域の拡大 (河出文庫)闘争領域の拡大 (河出文庫)感想
90年代に書かれたウエルベックの長編一作目だけど全然古びてないな。ポストモダンというか新自由主義というか、いろいろなことを感じる。
読了日:04月06日 著者:ミシェル ウエルベック
シェリ (光文社古典新訳文庫)シェリ (光文社古典新訳文庫)感想
岩波文庫で昔一度読んだので訳を変えて再読。ストーリーもあまり覚えてなかったので新鮮な気持ちで面白く読んだ。中年になってさらに老いを感じる元高級娼婦のレアと、25歳にしては幼さも残る若者シェリとの間の歳の差のある恋の面白さや切なさの中には普遍的な感情が豊富にある。離れがたいけどどこかで別れなければ生きていけないのが人生か。
読了日:04月07日 著者:シドニー=ガブリエル コレット
はじめての社会保障〔第18版〕 (有斐閣アルマ)はじめての社会保障〔第18版〕 (有斐閣アルマ)
読了日:04月07日 著者:椋野 美智子,田中 耕太郎
韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020感想
面白かった。映画やドラマは詳しくないのでふむふむと勉強する感じで読んだ。小説の話は知っている話題が多かったし、チョ・ナムジュの『彼女の名前は』にまつわるおしゃべりを特に面白く読んだ。キムジヨンと同じくらい評価されていい本だと思う。あと本の最後の方にフェミニズムとSFの話が出てくるが、これを昔の日本で実践していたのが鈴木いづみだろうと思うので彼女が現代のジェンダー/フェミニズムのカルチャーの議論の中で再評価されてもいいんじゃないかなとも思う。
読了日:04月09日 著者:西森 路代,ハン・トンヒョン
モンスーン (エクス・リブリス)モンスーン (エクス・リブリス)感想
空恐ろしい一冊。表題作と「カンヅメ工場」と「少年易老」が好き。「散策」の不穏さもよかった。
読了日:04月09日 著者:ピョン・ヘヨン
あなたもきっと依存症 「快と不安」の病 (文春新書 1304)あなたもきっと依存症 「快と不安」の病 (文春新書 1304)感想
著者のこれまでの研究や社会活動がぐっと凝縮された一冊。新書なのでゴリゴリの専門性というよりは読みやすさを重視した書き方にはなっているが、エビデンスに基づく治療や支援の紹介が随所に具体的になされているのはよい。フィリピンの薬物政策はドゥテルテの強硬なイメージが強かったので日米の支援の枠組みが展開されているところは面白かった。過度な刑罰重視から治療へという流れや、規範や偏見よりエビデンスをという姿勢はもっともっと一般にも広まっていくとよい。
読了日:04月10日 著者:原田 隆之
女ごころ (ちくま文庫)女ごころ (ちくま文庫)
読了日:04月12日 著者:W・サマセット モーム
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
読了日:04月12日 著者:アゴタ クリストフ
現代民主主義-指導者論から熟議、ポピュリズムまで (中公新書 2631)現代民主主義-指導者論から熟議、ポピュリズムまで (中公新書 2631)
読了日:04月12日 著者:山本 圭
人が死なない防災 (集英社新書)人が死なない防災 (集英社新書)
読了日:04月13日 著者:片田 敏孝
紛争解決ってなんだろう (ちくまプリマー新書)紛争解決ってなんだろう (ちくまプリマー新書)
読了日:04月13日 著者:篠田 英朗
いやしい鳥 (河出文庫)いやしい鳥 (河出文庫)
読了日:04月15日 著者:藤野 可織
IoTまるわかり (日経文庫)IoTまるわかり (日経文庫)
読了日:04月15日 著者:
フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)感想
保育制度はその国の歴史や文化に根づいたものなので容易に変えにくい印象を持ったが、かなり厳格な産育休の制度はもっと積極的にマネをしても良いと思ったし、父親だけど対象にした父親教室の話が面白かった。仕事やキャリアとの両立のむずかしさはどうしてもあるようだけど異議申し立てや試行錯誤をして制度が漸進している様子が伺えるのはフランスらしくて面白い。
読了日:04月16日 著者:盧 順子
本と私 (岩波新書 新赤版 (別冊8))本と私 (岩波新書 新赤版 (別冊8))感想
本と私を題材にしたアンソロジーエッセイ集。書いてるのは一般の人。読み友達の話と沖縄にふらっと移住したら10年以上経っていた話が好き。
読了日:04月17日 著者:
アフリカの日々 (河出文庫)アフリカの日々 (河出文庫)感想
素晴らしい読書体験だった。約100年前、ケニアはナイロビの高地におけるコーヒー農園経営の話から始まり、現地の部族の風習や文化、人間関係、あるいは争いなどの描写を小説に書くような筆致で感情豊かにかつディティールにこだわって書きこんでいる。ヨーロッパ出身者との交流も様々描写があり、中でもデニスとの関係は複雑で切ない。最後はコーヒー農園の経営難が続き、アフリカを去る日の出来事までが書かれる。まさに、作家にとってのアフリカの日々が色濃く凝縮された一冊。
読了日:04月17日 著者:イサク・ディネセン
性格とは何か-より良く生きるための心理学 (中公新書)性格とは何か-より良く生きるための心理学 (中公新書)感想
主にビッグファイブをキーとして読み進めていくタイプの本。内容的には心理学エッセイと言えるほど読みやすいが引用される文献は100を越え、十分読み応えあり。
読了日:04月17日 著者:小塩 真司
良き統治――大統領制化する民主主義良き統治――大統領制化する民主主義
読了日:04月19日 著者:ピエール・ロザンヴァロン
大阪大阪
読了日:04月20日 著者:岸 政彦,柴崎 友香
新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる
読了日:04月20日 著者:岩田健太郎
『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)
読了日:04月20日 著者:亀山 郁夫
新装版レズビアン短編小説集 (平凡社ライブラリー)新装版レズビアン短編小説集 (平凡社ライブラリー)感想
レズビアンと名打ってあるが比較的広くこの言葉を使っているようで日本の読者には百合小説と言った方がイメージが伝わりやすいかもしれない。どれも面白かった(強いて言えばジュエット「マーサの愛しい女主人」、マッカラーズ「あんなふうに」、ウルフの名作「外から見た女子学寮」がよい)し、訳者である利根川真紀の解説がよい。本作に収録されてある小説が生み出された時代背景や歴史的な文脈、第一波フェミニズムや第ニ波フェミニズム、あるいはゲイ文学との関係性など、非常に丁寧に文脈を抑えていて勉強になった。
読了日:04月21日 著者:ヴァージニア ウルフ
三ギニー (平凡社ライブラリー)三ギニー (平凡社ライブラリー)感想
やはり名著ですね。ウルフが病と呼んでいる男性の中にある固定的な観念はまだまだ根深いので今もなお読む価値がある。
読了日:04月21日 著者:ヴァージニア ウルフ
小説の自由 (中公文庫)小説の自由 (中公文庫)感想
エッセイと文芸批評の中間といった感じの自由な文章。脱線横道お構いなし。アウグスティヌスの話から急にイチローやバリーボンズの話に脱線していくところが好き。
読了日:04月22日 著者:保坂 和志
青い麦 (新潮文庫)青い麦 (新潮文庫)感想
大人になりたい/なりたくない感情が交差するのはどの時代の10代にもあるよねと思いながら読んでいた。青春の美しさというより人生や恋愛の苦味が際立つが、『シェリ』がそうだったようにそこがコレットの持ち味でしょうね。
読了日:04月22日 著者:コレット
ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代ひと相手の仕事はなぜ疲れるのか―感情労働の時代感想
ホックシールドの感情労働の議論を引き合いにしつつ、看護の仕事を中心として感情労働はなぜどのように疲れるのかを語っていくもの。論文というよりはエッセイや批評に近い文体なのでそこは割り引く必要がある(話が割とよく飛躍しがちでもある)が看護師以外の援助職が読んでも参考になる話題は多かった。解決策がないと感想を挙げている方が複数いるが、感情労働の構造を明らかにしていく書籍なのでそもそもハウツー本ではない。その上で、構造を理解することができれば解決できなくても上手く対処することは十分に可能だと私は思う。
読了日:04月24日 著者:武井 麻子
牝猫 (1956年) (新潮文庫)牝猫 (1956年) (新潮文庫)
読了日:04月25日 著者:コレット
ストレスのはなし - メカニズムと対処法 (中公新書)ストレスのはなし - メカニズムと対処法 (中公新書)
読了日:04月25日 著者:福間詳 著
アメリカの政治アメリカの政治
読了日:04月26日 著者:
塀の中の事情: 刑務所で何が起きているか (941) (平凡社新書)塀の中の事情: 刑務所で何が起きているか (941) (平凡社新書)感想
すでに知っていることも多かったが取材を通して一人一人に接近していくリアリティは読み応えがある。ただこの書き方は被害者は被害者家族、遺族の視点が弱いのでその点はバランスに欠ける(構成の限界ではあるだろうが)。個別的には開放的刑務所の話、医療刑務所の話、更生保護施設の話を特に興味深く読んだ。
読了日:04月27日 著者:清田 浩司
目の眩んだ者たちの国家目の眩んだ者たちの国家
読了日:04月27日 著者:キム・エラン,パク・ミンギュ,ファン・ジョンウン,キム・ヨンス
超動く家にて (創元SF文庫 み 2-3)超動く家にて (創元SF文庫 み 2-3)感想
同人誌へ寄せた短編も含むバラエティに富んだ作品集。「アニマとエ^ファ」、「星間野球」が面白かった。
読了日:04月27日 著者:宮内 悠介
バタイユ入門 (ちくま新書)バタイユ入門 (ちくま新書)感想
バタイユはほとんどなにも知らない状態でなんとなく読み始めたが面白かった。ニーチェへの一連の言及とプルーストやマネへの評価が面白かった。
読了日:04月28日 著者:酒井 健
あたしたちの未来はきっと (ウィッチンケア文庫)あたしたちの未来はきっと (ウィッチンケア文庫)
読了日:04月28日 著者:長谷川町蔵
モテとか愛され以外の恋愛のすべて (文庫ぎんが堂)モテとか愛され以外の恋愛のすべて (文庫ぎんが堂)
読了日:04月29日 著者:桃山 商事
競馬の血統学―サラブレッドの進化と限界 (NHKライブラリー)競馬の血統学―サラブレッドの進化と限界 (NHKライブラリー)感想
なんとなく古本屋で読んでみたが面白かった。ネアルコやナスルーラ、ノーザンダンサーなど具体的な馬を基軸に血統とは何かを歴史的に語っていく本。
読了日:04月30日 著者:吉沢 譲治
絶望死のアメリカ絶望死のアメリカ
読了日:04月30日 著者:アン・ケース,アンガス・ディートン

読書メーター
























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 2月に続いて3月もよく読んだ一か月だった。だいぶ暖かくなってきたので、ウーバーイーツの注文を待ちながら公園のベンチで読書をするのが快適でよい。4月はここまで読めない気もするが、3月だけでかなり積読を崩せたので引き続き積読を減らしていきたい所存。


3月の読書メーター
読んだ本の数:32
読んだページ数:8924
ナイス数:83

知りたくなる韓国知りたくなる韓国
読了日:03月01日 著者:新城 道彦,浅羽 祐樹,金 香男,春木 育美
自閉症 成人期にむけての準備―能力の高い自閉症の人を中心に自閉症 成人期にむけての準備―能力の高い自閉症の人を中心に感想
やや古い本だが事例が豊富で面白く、切り口も実践的かつ引用が多く一冊で多くのものを得られる本。自閉症についての本ではあるが発達障害を伴わない知的障害やADHDなど他の近接する障害児・者への支援に有効な要素も多くあるのではと思いながら読んでいた。自閉症と精神疾患の関係については今読むものとしては情報が古いと思われる。(現在では発達障害を持つ人は一般の人より精神疾患を持つリスクが高いとされている)
読了日:03月01日 著者:パトリシア ハウリン
パリ環状通り 新装版パリ環状通り 新装版感想
ユダヤ系の父を探偵や刑事のように追い求める中で出会う人たちがいい意味でどうしようもない人たちばかりで小説としては面白い。世の中いい人ばかりでもないわけだが、人生を落ちていく過程ではそういう人たちと「出会ってしまう」のかもしれないと考えていた。
読了日:03月02日 著者:パトリック・モディアノ
こちらあみ子 (ちくま文庫)こちらあみ子 (ちくま文庫)感想
あみ子も七瀬も自閉的(そしておそらくあみ子には知的障害もある)なため家族や学校での人間関係や他者との双方向のコミュニケーションが成立しない。そしてそれを正確に認識できない二人の様を、今村夏子は容赦なく書き込んでいる。
読了日:03月03日 著者:今村 夏子
アメリカを動かす宗教ナショナリズム (ちくま新書)アメリカを動かす宗教ナショナリズム (ちくま新書)
読了日:03月05日 著者:松本 佐保
廃墟に咲く花廃墟に咲く花
読了日:03月06日 著者:パトリック モディアノ
人之彼岸 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5051)人之彼岸 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5051)
読了日:03月07日 著者:郝 景芳
専門医が教える 新型コロナ・感染症の本当の話 (幻冬舎新書)専門医が教える 新型コロナ・感染症の本当の話 (幻冬舎新書)
読了日:03月08日 著者:忽那 賢志
逃げて勝つ 投資の鉄則 大負けせずに資産を築く10年戦略逃げて勝つ 投資の鉄則 大負けせずに資産を築く10年戦略感想
マクロ経済学や金融論の理論的、統計的な裏付けが豊富で勉強になったが投資手法として新奇性のものはない。ただ何も考えずにひたすらつみたてましょうという手法のリスクを提示した上でコア・サテライト投資を推奨する点は説得力がある。実際に「逃げて勝つ」手法を実践するには正直一般投資家には難しいように思うが、投資ブロガーやyoutuberが書いた理論的裏づけが弱い自己流投資本を買うよりは本書の方がよほど参考になる。
読了日:03月09日 著者:田中 泰輔
光と私語光と私語感想
わせたんっぽかった。
読了日:03月13日 著者:𠮷田 恭大
中央駅中央駅感想
最後まで読んで改めて、男も女も固有の名前を与えられていない、架空だけどどこに存在していてもおかしくない存在として小説の中の世界を生きていたのだなと思う。現実と限りなく地続きな世界で、希望も未来もなく、刹那的にしか生きられない苦しさを、丹念に。
読了日:03月14日 著者:キム・ヘジン
倫理学入門-アリストテレスから生殖技術、AIまで (中公新書)倫理学入門-アリストテレスから生殖技術、AIまで (中公新書)感想
同じ著者の『倫理学の話』の方がより倫理学全体に対して入門的で、本書はむしろ応用倫理学の入門といった印象を受けながら読んだ。
読了日:03月14日 著者:品川 哲彦
親しい君との見知らぬ記憶 (ファミ通文庫)親しい君との見知らぬ記憶 (ファミ通文庫)
読了日:03月15日 著者:久遠 侑
カント『純粋理性批判』 2020年6月 (NHK100分de名著)カント『純粋理性批判』 2020年6月 (NHK100分de名著)感想
タネ本である純粋理性批判はまだ読み通せてないけど本書はなんとか読み通すことができた。カントの課題がフッサールヘ、そして現象学へと引き継がれてゆく流れのダイナミズムもまあなんとか把握できたといったところ。
読了日:03月16日 著者:西 研
暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出 (新潮文庫)暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出 (新潮文庫)感想
厚い本ではないが内容は濃い。震災を体験した者ではありながら外部の人間である著者の感受性がいかんなく発揮されている優れた一冊。COVID-19下の今読み返すと共通する感覚が多いことにも驚く。
読了日:03月16日 著者:彩瀬 まる
ドールドール感想
中学生男子とラブドールという組み合わせから予測できる筋を容易に飛躍していく展開の運び方がお見事でした。
読了日:03月16日 著者:山下 紘加
田舎の未来 手探りの7年間とその先について (SERIES3/4 4)田舎の未来 手探りの7年間とその先について (SERIES3/4 4)感想
同世代である著者の成長物語としては面白いが手法として新しいものがあるわけではないし、リチャード・フロリダや宇沢弘文の議論もこの領域では何周もされている話なので新味はない。途中で選挙では変わらないと言う話が出てくるが田舎をなんとかするのは田舎の政治や行政への視点はむしろ欠かせない(都会より官のセクターの存在が大きいため)のでそこへの着目がもっとあってもよかったはず。まあまだ若い著者なので、今後の展開がどうなるかは気にしていたい。
読了日:03月17日 著者:さのかずや
独り舞独り舞感想
3年ぶりに再読。前回はかなり雑な読みをしてしまっていたなと気づいた。この結末を希望的に受け取っていいのか、簡単に美しく死ぬことはできないことへの諦めを受け取っていいのかは難しいけれど、過去とは違う形で「現実に帰れ」というメッセージは重要かなと思う。つまり過去をずっとマイナスに引きずった状態で現実に戻るのではなく、修復的な形で現実に戻ることの可能性を検討することは、あってよいのだろうと思う。
読了日:03月18日 著者:李 琴峰
恋愛結婚は何をもたらしたか (ちくま新書)恋愛結婚は何をもたらしたか (ちくま新書)
読了日:03月18日 著者:加藤 秀一
介助の仕事 ――街で暮らす/を支える (ちくま新書)介助の仕事 ――街で暮らす/を支える (ちくま新書)
読了日:03月19日 著者:立岩 真也
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)
読了日:03月20日 著者:村上 春樹
地震イツモノート : 阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル地震イツモノート : 阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル感想
イラストが豊富で読みやすく、リアルな体験談が生々しく響く。家具の固定といった日常の防災から避難所の運営についてなど、ポイントポイントがしっかり押さえられて一家に一冊あっていいような本。
読了日:03月20日 著者:
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)
読了日:03月21日 著者:村上 春樹
「個人的なもの」と想像力「個人的なもの」と想像力
読了日:03月21日 著者:吉澤夏子
社会保障再考 〈地域〉で支える (岩波新書)社会保障再考 〈地域〉で支える (岩波新書)
読了日:03月23日 著者:菊池 馨実
人間の絆〈上〉 (岩波文庫)人間の絆〈上〉 (岩波文庫)感想
モームが同性愛者だったのではという話は文学史に明るくないので全然知らなかったけど上巻を読んでいると本質的に女嫌いなのかな?(女性に惹かれるがどこか侮蔑している気持ちもある)と思うやり取りも多いので、この辺が今後どう表現されるか気にしていく。 http://www.kankanbou.com/ireland/item_230.html
読了日:03月27日 著者:モーム
現代思想 2020年3月臨時増刊号 総特集◎フェミニズムの現在 (現代思想3月臨時増刊号)現代思想 2020年3月臨時増刊号 総特集◎フェミニズムの現在 (現代思想3月臨時増刊号)
読了日:03月27日 著者:菊地夏野,河野真太郎,田中東子,貴戸理恵,鈴木涼美,ヤマシタトモコ,瀬戸夏子
ハイウイング・ストロール (ハヤカワ文庫JA)ハイウイング・ストロール (ハヤカワ文庫JA)
読了日:03月28日 著者:小川一水
紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている感想
今読む価値のある一冊だった。
読了日:03月28日 著者:佐々 涼子
人間の絆〈中〉 (岩波文庫)人間の絆〈中〉 (岩波文庫)感想
パリでも画家見習いぐらしを終えてイギリスに戻り、ミルドレッドに振り回されながら医学生として過ごしていく日々。パリでの生活の居心地よさやノスタルジアには、時代は少し違うがヘミングウェイの『移動祝祭日』みを感じる。
読了日:03月28日 著者:モーム
人間の絆 下 (岩波文庫)人間の絆 下 (岩波文庫)感想
ミルドレッドと結ばれても互いに不幸になるだけだろうなと思いながら読んでいたが、結果的に二人が別れることを選択して別々の道に進み始めることでようやく青春期の恋愛が終わったと感じた。無事医者になり職を得たことも含めてようやく大人として独立することで、サリーとそれなりの関係が作れたのだろう。
読了日:03月30日 著者:モーム
東京日記 他六篇 (岩波文庫)東京日記 他六篇 (岩波文庫)感想
久しぶりに百間読んだけど文章に味わいがあってとてもいい。在りし日の東京、まだ路上に電車がいっぱい走っていたころの空気感は好き。
読了日:03月31日 著者:内田 百けん

読書メーター
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 2月も比較的体調が良好で(ただ花粉症、おめーはだめだ。今年は早すぎる)20冊読めてよかったと思います。数が重要とは言えないけど積読をしばらくガンガン崩していいきたいので(買った本や図書館本も↓のリストにはいっぱいあるけど)。

2月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6370
ナイス数:38

かかかか
読了日:02月02日 著者:宇佐見りん
教室が、ひとりになるまで (角川文庫)教室が、ひとりになるまで (角川文庫)感想
私はプラトンでもカントでもベンサムでもロールズでもないという台詞が挿入される青春ものミステリー。青春の苦味がどろっどろに詰まっている中で読み進めていくしんどさは多少あったけど事件の結末と終章で救われる。ニーチェ由来の終章であんなに優しい終わり方をするとは。これも青春の一つの形。
読了日:02月03日 著者:浅倉 秋成
生まれ変わり (ケン・リュウ短篇傑作集5)生まれ変わり (ケン・リュウ短篇傑作集5)感想
「介護士」がよかった。収録作の中では短い方の部類だが、短い中に優しさと哀しさが適度なバランスで同居している。
読了日:02月04日 著者:ケン リュウ
本物の読書家本物の読書家
読了日:02月05日 著者:乗代 雄介
手の倫理 (講談社選書メチエ)手の倫理 (講談社選書メチエ)
読了日:02月05日 著者:伊藤 亜紗
神々は繋がれてはいない (ケン・リュウ短篇傑作集6)神々は繋がれてはいない (ケン・リュウ短篇傑作集6)
読了日:02月08日 著者:ケン リュウ
リベラルとは何か-17世紀の自由主義から現代日本まで (中公新書)リベラルとは何か-17世紀の自由主義から現代日本まで (中公新書)
読了日:02月11日 著者:田中 拓道
現代思想2021年2月号 特集=精神医療の最前線 -コロナ時代の心のゆくえ-現代思想2021年2月号 特集=精神医療の最前線 -コロナ時代の心のゆくえ-
読了日:02月11日 著者:斎藤環,東畑開人,松本卓也,黒木俊秀,貴戸理恵,古橋忠晃
アマゾン化する未来 ベゾノミクスが世界を埋め尽くすアマゾン化する未来 ベゾノミクスが世界を埋め尽くす
読了日:02月16日 著者:ブライアン・デュメイン
公正としての正義 再説 (岩波現代文庫)公正としての正義 再説 (岩波現代文庫)
読了日:02月17日 著者:ジョン ロールズ
月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
シア・ジアやハオ・ジンファンを読みたくて読んだが、宝樹の「金色昔日」が素晴らしい現代史とSFのミックスだった。兼業作家やネット出身の小説家が多いのは今風で、修士や博士号持ちの高学歴が多いのはやはり現代の中国作家の特徴かな。
読了日:02月18日 著者:劉 慈欣
所有と国家のゆくえ (NHKブックス)所有と国家のゆくえ (NHKブックス)感想
ここで議論されている分配や平等、あるいは市場や国家に対する認識とその微妙なズレは現在にも引き次がれている要素が大きいだろうなと思うし、現代的な資本主義へのみたいな話はいつの時代もされているわけだよなと再確認した。
読了日:02月20日 著者:稲葉 振一郎,立岩 真也
倫理学の話倫理学の話感想
あとがきにも書かれているが終始誰かに語りかけるような文体で、しかししっかりと倫理学的な議論が論争を扱っていく。扱う順番が著者独特ではあるが、後半に正義論をロールズとノージックから検討したあとに共同体主義を経由してギリガンのケアの倫理やレヴィナスやデリダといったフランス現代思想に展開する様はなかなか面白い。ギリガンの主張はまだ堅固な理論ではないが従前の正義論た功利主義の弱点をつきながら現代的な視点を提示しているのは確かで、そこはちゃんと見ていくべきかもしれない。
読了日:02月20日 著者:品川 哲彦
安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)感想
今読むと後の進化心理学や行動経済学の議論をさまざまな先行研究や社会実験を通じて先取りしていることがよくわかる。先取りというよりすでにあった議論の援用と言うべきかもしれない(非合理な行動への評価とか)し、他方で右脳と左脳の実験等やや古いネタは出てくるけど、後半に統計的差別が存在する社会においてはそれに適応する人が生き残るのであって、個人や心の問題ではないという話は現代でも重要でしょうね。
読了日:02月21日 著者:山岸 俊男
移民と日本社会-データで読み解く実態と将来像 (中公新書)移民と日本社会-データで読み解く実態と将来像 (中公新書)感想
移民の問題と語られるものは日本社会の構造的な問題が顕在化していることが多い(労働、教育、さまざまな差別意識など)との仮説はすでに持っていたが、そうした仮説をあらゆる角度から計量的、統計的に分析した意欲的な一冊。あとがきにもあるようにこうした量的な研究はアメリカはヨーロッパが主流で、日本のデータや研究はまだまだ少ないのが現実だろう。日本で暮らすみんなにとっての社会を良くしていくために、この分野での量的研究の進展を期待したい。
読了日:02月22日 著者:永吉 希久子
手話の学校と難聴のディレクター ――ETV特集「静かで、にぎやかな世界」制作日誌 (ちくま新書)手話の学校と難聴のディレクター ――ETV特集「静かで、にぎやかな世界」制作日誌 (ちくま新書)感想
ETV特集のドキュメンタリーもかなり面白かったが、その裏側が豊富に記述されているこの本のアプローチも素晴らしい。教育というのは自尊心を育むこと、そのために手話を母語として習得させ、コミュニケーションや自己表現を活発化させようとしているのだろう。番組Pからサンクチュアリという表現をされているように、社会の中でマイノリティなろう者の生存戦略を授けるためのサンクチュアリでもあるのだろうと感じた。かつての健常者への同化政策的な方法への抵抗が、非常に魅力的な教育空間を生んでいる。
読了日:02月23日 著者:長嶋 愛
僕が殺した人と僕を殺した人 (文春文庫)僕が殺した人と僕を殺した人 (文春文庫)感想
約3年ぶりに再読してああこういう小説だったのだなと感じる。
読了日:02月24日 著者:東山 彰良
吃音の世界 (光文社新書)吃音の世界 (光文社新書)
読了日:02月24日 著者:菊池良和
移民の経済学-雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか (中公新書)移民の経済学-雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか (中公新書)
読了日:02月24日 著者:友原 章典
郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)
読了日:02月27日 著者:郝景芳
ファーストラヴ (文春文庫)ファーストラヴ (文春文庫)
読了日:02月27日 著者:島本 理生

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1月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6723
ナイス数:50

リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか (講談社現代新書)リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか (講談社現代新書)感想
ある本で言及されていたので読んでみたが今改めて読む本ではなかった。内容も語り口も。
読了日:01月01日 著者:東 浩紀,大塚 英志
1984年に生まれて (単行本)1984年に生まれて (単行本)
読了日:01月06日 著者:郝 景芳
大都会の愛し方 (となりの国のものがたり7)大都会の愛し方 (となりの国のものがたり7)
読了日:01月09日 著者:パク・サンヨン
NHK「勝敗を越えた夏2020~ドキュメント日本高校ダンス部選手権~」高校ダンス部のチームビルディング (星海社新書)NHK「勝敗を越えた夏2020~ドキュメント日本高校ダンス部選手権~」高校ダンス部のチームビルディング (星海社新書)感想
むちゃくちゃ面白かった。登場する一人一人の熱量がすごく、ダンスやチームへの向き合い方が美しい。もちろんいい話ばかりじゃないししんどい話も多々あるがそういった青春の苦みも含めて高校生ならではの熱量が成せる業だと思う。青春が終わった後である各校OGへのインタビューが短いながらも挿入されていることで高校ダンスがいかような経験だったのか?を相対化させることに繋がっていたのも面白かった。高校を卒業しても人生は続く。だからこそ3年間の短い時間は美しく眩しく映る。
読了日:01月11日 著者:中西 朋
20世紀アメリカの夢: 世紀転換期から1970年代 (岩波新書)20世紀アメリカの夢: 世紀転換期から1970年代 (岩波新書)
読了日:01月12日 著者:中野 耕太郎
コロナ禍日記 (生活考察叢書 1)コロナ禍日記 (生活考察叢書 1)
読了日:01月13日 著者:植本一子,円城塔,王谷晶,大和田俊之,香山哲,木下美絵,楠本まき,栗原裕一郎,谷崎由依,田中誠一,辻本力,中岡祐介,ニコ・ニコルソン,西村彩,速水健朗,福永信,マヒトゥ・ザ・ピーポー
かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集 (残雪コレクション)かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集 (残雪コレクション)感想
たぶん初残雪。こういうスタイルの小説を書くのか〜と思いながらそれぞれの短編中編を味わった。
読了日:01月14日 著者:残 雪
グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀 (シリーズ アメリカ合衆国史)グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀 (シリーズ アメリカ合衆国史)感想
トランプの4年間に先鋭化して顕在化した分断はいったいどこからやって来たのか、それを辿るためにニクソンの時代からレーガン、クリントンの時代を経てアウトサイダーたるオバマとトランプで締めくくるという現代史の通史。大統領選挙の後になって読むと、これからのバイデン時代の政治の困難さがよりリアルなものとして理解できる。
読了日:01月18日 著者:古矢 旬
生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書)生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書)感想
ショーペンハウアーはわかるけどその後にブッダを経由してニーチェでとどめを刺すには面白かった。そしてここからは始まりである、と。
読了日:01月20日 著者:森岡 正博
フランクリン・ローズヴェルト-大恐慌と大戦に挑んだ指導者 (中公新書, 2626)フランクリン・ローズヴェルト-大恐慌と大戦に挑んだ指導者 (中公新書, 2626)
読了日:01月24日 著者:佐藤 千登勢
新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 (日経プレミアシリーズ)新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 (日経プレミアシリーズ)
読了日:01月24日 著者:峰 宗太郎,山中 浩之
待ち遠しい待ち遠しい
読了日:01月25日 著者:柴崎 友香
文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:01月26日 著者:陸 秋槎
私をくいとめて (朝日文庫)私をくいとめて (朝日文庫)
読了日:01月27日 著者:綿矢りさ
世界のまんなか〜イエスかノーか半分か 2〜 (ディアプラス文庫)世界のまんなか〜イエスかノーか半分か 2〜 (ディアプラス文庫)感想
前作を読んだのがいつか思い出せないくらい久しぶりにシリーズの続きとなる本作を読んだが、久しぶりに読む計と潮の絡みは単純に面白く(二人のそれぞれの二面性の書き分けとかも含めて)またお仕事物としてもなかなか社会派なところにも切り込んでいてよかった。
読了日:01月28日 著者:一穂 ミチ
雨の降る日は学校に行かない (集英社文庫)雨の降る日は学校に行かない (集英社文庫)感想
最初の二作と表題作が好み。最初と最後をそういう仕掛けとはね、と思わせるところはうまい。
読了日:01月28日 著者:相沢 沙呼
20世紀ラテンアメリカ短篇選 (岩波文庫)20世紀ラテンアメリカ短篇選 (岩波文庫)
読了日:01月28日 著者:
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
読了日:01月29日 著者:若林 正恭
財政学の扉をひらく (有斐閣ストゥディア)財政学の扉をひらく (有斐閣ストゥディア)
読了日:01月29日 著者:高端 正幸,佐藤 滋
巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)
読了日:01月30日 著者:米澤 穂信
韓国社会の現在-超少子化、貧困・孤立化、デジタル化 (中公新書 (2602))韓国社会の現在-超少子化、貧困・孤立化、デジタル化 (中公新書 (2602))感想
この本でもキム・ジヨンの引用がされているが韓国文学を読む上で韓国の社会状況を理解するための良い副読本かなと感じた。就職の問題、教育の問題や保育の問題などは、永遠に解決されそうにない高い未婚率と低い出生率と直接リンクする。あと2010年代のフェミニズムの盛り上がりと対称的になっている「取り残された人々」的な若い男性の不満や反フェミニズム精神の根深さにも目を向けないと、男女間の分断は広がるばかりだろうとも改めて感じた。かといって兵役を止められないのはジレンマでしょうね。
読了日:01月30日 著者:春木 育美

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12月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:5860
ナイス数:57

緑の家 (新潮文庫)緑の家 (新潮文庫)
読了日:12月02日 著者:マリオ バルガス・リョサ
「つながり」の精神病理 中井久夫コレクション2 (ちくま学芸文庫)「つながり」の精神病理 中井久夫コレクション2 (ちくま学芸文庫)感想
「あえていうならば、治療自体は科学ではない。それは、棋譜の集大成が数学にならないのと同じである」p. 13。棋譜を否定しているのではなく、棋譜は重要だが棋譜の使い方(応用)をしなければ対局に勝てないのと同じように、生身の人間を治療するにあたって諸々の知見は必要条件として役に立つが、そこから先は応用する力が求められる。棋譜を増やしながら、支援する力をつけていかねばならないのは、私の仕事である精神障害者福祉の世界もきっと同様だ。
読了日:12月02日 著者:中井 久夫
記憶する体記憶する体
読了日:12月04日 著者:伊藤 亜紗
仕事文脈 vol.10仕事文脈 vol.10
読了日:12月04日 著者:仕事文脈編集部
現代思想 2019年9月号 特集=倫理学の論点23現代思想 2019年9月号 特集=倫理学の論点23感想
柘植、重田、北中、玉手、筒井、小西論考を面白く読んだ。安楽死に関する武田エッセイは北中、玉手論考と関連して読むとなお面白い。
読了日:12月04日 著者:岡本裕一朗,奥田太郎,池田喬,長門裕介,福永真弓,石井ゆかり,武田砂鉄,重田園江
楽園への道 (河出文庫)楽園への道 (河出文庫)
読了日:12月05日 著者:マリオ バルガス=リョサ
健康経済学 -- 市場と規制のあいだで健康経済学 -- 市場と規制のあいだで
読了日:12月08日 著者:後藤 励,井深 陽子
〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ感想
主張や結論については色々思うところはあるが道徳哲学と経済学を組み合わせて行為や選択の費用対効果を考えるというアプローチは面白かった。往々にして帰結主義的、功利主義的なバイアスはかかっていると思うので、どの程度この著者のロジックに乗っかかるべきかは状況に応じて判断すればいいかなという感じがした。
読了日:12月09日 著者:ウィリアム・マッカスキル
詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間
読了日:12月09日 著者:長谷川晶一
大人のADHDワークブック大人のADHDワークブック感想
超いい本でした。ADHDと非ADHDの差異や医師によるADHDの診断の話から始まり、生活上の課題やそれに対する豊富なワーク、教育、仕事に関する助言、お金は人間関係、犯罪への言及などなどこれ一冊でADHDに必要な情報はほぼ全てつまっている気がする。あ当事者、家族、支援者誰が読んでも有用。エビデンスも豊富で面白いが参考文献リストがないのが惜しい。
読了日:12月11日 著者:ラッセル・A・バークレー,クリスティン・M・ベントン
青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない (電撃文庫)青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない (電撃文庫)感想
本編も毎度のことながら面白かったが、一行しかない後書きに悶える。フィクションも現実も、何もない日々の何と愛おしいことか。
読了日:12月13日 著者:鴨志田 一
彼女の名前は (単行本)彼女の名前は (単行本)
読了日:12月17日 著者:チョ ナムジュ
pray humanpray human感想
エネルギッシュな疾走感と社会への不満や抵抗感を詰め込んだデビュー作の持ち味を存分に生かしながら、苦しかった時代を精神病院の病棟で振り返る物語。誰かに話すことでようやく何かを救い出せるような、そういう瞬間の尊さが散りばめられていた。デビュー作から作家の生活や健康状態にも紆余曲折あったようで2作目を出すのに4年を要したようだが、4年越しに読めてよかったと思える力強い一冊。あと由香とのいろいろなエピソードはいい百合でした、悲しいけどね。
読了日:12月18日 著者:崔 実
九度目の十八歳を迎えた君と (創元推理文庫)九度目の十八歳を迎えた君と (創元推理文庫)感想
主人公が美女と一緒にバディを組んで謎解きをするのは樋口有介っぽいなとか、時間が歪む設定が青ブタの思春期症候群っぽいなと思いつつ読んだが後半の伏線の回収の鮮やかさと米澤穂信的な青春の苦さのトッピングが好き。苦みを強調してブラックに終わらせないところは作者の持ち味かもしれない。主人公たちと同じ、ゼロ年代中盤に高校生だった自分からしたら(そしていまの自分は30歳だ)懐かしい気持ちに浸れる描写も多く面白かった。
読了日:12月21日 著者:浅倉 秋成
世界一わかりやすい 「医療政策」の教科書世界一わかりやすい 「医療政策」の教科書感想
ページ的には分厚くはないがこの中身の濃さは素晴らしい。アメリカでの研究結果を中心に紹介しているのであくまでアメリカという留保は必要だが、その留保の上で読み進めるとアメリカのアカデミックがいかに医療という営みをあらゆる角度で研究し、そして現実の医療政策に生かそうとしているかがよくわかる。あとがきにも書かれているが、日本に欠けている重大な要素はここである。素晴らしい医療制度を持っていたとしても、EBPMによるアップデートや社会における共通理解の促進が進展させなければ、これからの時代を生きていくのは難しい。
読了日:12月23日 著者:津川 友介
コンビニ・ダイエット (星海社新書)コンビニ・ダイエット (星海社新書)感想
仕事柄夜食をよくとるが夜食を少しでも健康的にできればと思って読んだ。色々使えそうではある。
読了日:12月25日 著者:浅野 まみこ
塀の中の美容室 (双葉文庫)塀の中の美容室 (双葉文庫)
読了日:12月26日 著者:桜井 美奈
お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちくま新書)お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちくま新書)感想
2003年刊の本だけど、ここからどれだけ世の中のジェンダー観が進んできただろうかと思いながら読んでいた。もちろん進んできた部分もあるだろうけれど(大学での取組みとか)大きく変わってないこともあるだろうし、婚活界隈を見ていると昔ながらの男女観に根強さも感じる。そんなわけで、たった20年弱で変わってしまうような領域ではないことを改めて感じながら読んだ一冊だった。
読了日:12月30日 著者:若桑 みどり

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11月の読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:7638
ナイス数:38

アメリカの政党政治-建国から250年の軌跡 (中公新書)アメリカの政党政治-建国から250年の軌跡 (中公新書)感想
アメリカの二代政党制が現代の姿に至るまでの250年の歴史がコンパクトに、かつポイントを抑えながら詳述されていて非常に良い本。タイミングが大統領選挙期間中というのも素晴らしいし、今年出た新書の中でも完成度が出色の一冊。
読了日:11月01日 著者:岡山 裕
みんなの「わがまま」入門みんなの「わがまま」入門
読了日:11月02日 著者:富永京子
民主主義とは何か (講談社現代新書)民主主義とは何か (講談社現代新書)感想
アメリカで良くわからないことが起きている今だからこそ、民主主義について考えてみたい、知りたい人にとっては最適な入門書になっているように思う。すでに政治学を学んだ自分としてもコンパクトに民主主義の理論と歴史を「復習」できるので、とても学びが多い一冊だった。何より読みやすい文章、文体がこうした類いの本としては出色だと思われる。
読了日:11月05日 著者:宇野 重規
観光は滅びない 99.9%減からの復活が京都からはじまる (星海社新書)観光は滅びない 99.9%減からの復活が京都からはじまる (星海社新書)感想
再起の記録。まだまだこれからではあるとしても、京都が日本にとって特別な場所であるせいか、そうあってほしいとは思いながら読んでいた。
読了日:11月09日 著者:中井 治郎
現代思想 2020年11月号 特集=ワクチンを考える――免疫をめぐる思想と実践――現代思想 2020年11月号 特集=ワクチンを考える――免疫をめぐる思想と実践――感想
前半は面白い論考が多く、HPVワクチンに関するものはいずれも必読だと感じた。
読了日:11月10日 著者:中村桂子,山内一也,ロベルト・エスポジト,美馬達哉,岡崎勝,香西豊子,橋迫瑞穂,浜田明範,宮裕助
保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本 1)保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本 1)
読了日:11月11日 著者:チョン・セラン
臨床心理学 (New Liberal Arts Selection)臨床心理学 (New Liberal Arts Selection)感想
骨太。実務家の立場として読んだが、これは仕事をする上でも繰り返し開くことになりそうなすぐれた一冊である。
読了日:11月12日 著者:丹野 義彦,石垣 琢麿,毛利 伊吹,佐々木 淳,杉山 明子
社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学
読了日:11月15日 著者:ジョナサン・ハイト
伊勢物語 2020年11月 (NHK100分de名著)伊勢物語 2020年11月 (NHK100分de名著)感想
古典の授業で習った話や歌が多かったが、「西の京の女」に関するエピソードは全然知らなかったのでなかなか面白く受け取った。「初めての女性」を特別視して、それが後世まで大事なものとして残っていくというのは、現代人の感覚とも近いものがあるし、「起きもせず寝もせで夜を明かしては春のものとてながめ暮らしつ」は情感がこもりにこもった美しい歌だと感じた。
読了日:11月18日 著者:蘯 のぶ子
東京百話〈地の巻〉 (ちくま文庫)東京百話〈地の巻〉 (ちくま文庫)
読了日:11月18日 著者:
アメリカのジレンマ 実験国家はどこへゆくのか (NHK出版新書)アメリカのジレンマ 実験国家はどこへゆくのか (NHK出版新書)感想
プレトランプ時代であるオバマ政権後期の復習といった感じ。バイデンはどの路線を歩むのか。
読了日:11月18日 著者:渡辺 靖
他者を感じる社会学 (ちくまプリマー新書)他者を感じる社会学 (ちくまプリマー新書)感想
COVID-19のある世界を生きる上でも、またそれがなかったとしても、しなやかでタフな想像力が常に必要なのだろうと感じた。それが徹底的に欠けてしまって分極化しているのがいまのアメリカなのかもしれない。
読了日:11月19日 著者:好井 裕明
坂本真綾 In MUSIC MAGAZINE坂本真綾 In MUSIC MAGAZINE
読了日:11月19日 著者:
なぜふつうに食べられないのか: 拒食と過食の文化人類学なぜふつうに食べられないのか: 拒食と過食の文化人類学
読了日:11月20日 著者:磯野 真穂
第17巻 福祉心理学 (公認心理師の基礎と実践)第17巻 福祉心理学 (公認心理師の基礎と実践)
読了日:11月23日 著者:中島 健一
基礎から学ぶ認知心理学 -- 人間の認識の不思議 (有斐閣ストゥディア)基礎から学ぶ認知心理学 -- 人間の認識の不思議 (有斐閣ストゥディア)
読了日:11月23日 著者:服部 雅史,小島 治幸,北神 慎司
政治経済学 -- グローバル化時代の国家と市場 (有斐閣ストゥディア)政治経済学 -- グローバル化時代の国家と市場 (有斐閣ストゥディア)
読了日:11月24日 著者:田中 拓道,近藤 正基,矢内 勇生,上川 龍之進
世界標準の経営理論世界標準の経営理論感想
経済学や社会学ゾーンは既知のことも多かったが経営学だとこういう風に料理すんのねというのが膨大な理論と関連する論文群によって示されていくのは素直に面白い。浅く広くではあるが昔からある理論を現代の視点で反論する理論を紹介しながらクリティカルに論じているのは面白かったし、経営学のテキストとしての目的は十分果たせていると思う。
読了日:11月25日 著者:入山 章栄
感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた感想
感染症の歴史とワクチン開発の歴史を一つずつセットで学べる良書。とても教育的な一冊。
読了日:11月25日 著者:さーたり,中山 哲夫
ランチ酒 (祥伝社文庫)ランチ酒 (祥伝社文庫)感想
さくっと読める文体だが、見守り屋の顧客の抱える事情や主人公の抱える事情とその進展など、シビアな内容も多く含む。だからこそ仕事おわりの昼間の一杯と食事が至極の瞬間になるのだろう。
読了日:11月26日 著者:原田ひ香
貧困専業主婦 (新潮選書)貧困専業主婦 (新潮選書)
読了日:11月26日 著者:周 燕飛
谷崎潤一郎スペシャル 2020年10月 (NHK100分de名著)谷崎潤一郎スペシャル 2020年10月 (NHK100分de名著)感想
谷崎の魅力は時代に迎合しない変態性でもあるが、メタフィクション性でもあるよねという話などなど。
読了日:11月27日 著者:島田 雅彦
小説版 韓国・フェミニズム・日本小説版 韓国・フェミニズム・日本
読了日:11月28日 著者:チョ・ナムジュ,松田青子,デュナ,西加奈子,ハン・ガン,イ・ラン,小山田浩子,高山羽根子,パク・ミンギュ,パク・ソルメ,深緑野分,星野智幸
永遠だ、海と溶け合う太陽だ。 特集 女と人生永遠だ、海と溶け合う太陽だ。 特集 女と人生感想
座談会は議論が行ったり来たりしていることもありさほど惹かれなかったが、中盤で女と女の関係をいろいろな寄稿者が書いたエッセイはバリエーション豊かで読み応えあり。愛情と憎悪の入り交じり方に人生を感じる。
読了日:11月28日 著者:水上 文
わたしに無害なひと (となりの国のものがたり5)わたしに無害なひと (となりの国のものがたり5)感想
ほぼ全て百合作品の短篇集という圧倒的な尊さと、そこに書き込まれている切実さ、悲しみ、痛みなどに深く共感する気持ちがある。
読了日:11月30日 著者:チェ・ウニョン

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※このエントリーはふくろうさん(@0wl_man)主宰の企画、「海外文学・ガイブン Advent Calendar 2020」に参加しています。



■はじめに

 このエントリーでは韓国の現代文学における百合作品、あるいは文学における百合描写について紹介していきたい。まず、「百合」という言葉になじみがない方に簡単に説明すると、「百合とは女性同士の親密な関係全般のこと」であると言ってよい。

 具体的には親友同士、先輩後輩関係、レズビアンカップルなどなど、性的な関係を含む含まないに関わらず、女性同士の親密な関係を取り入れた作品のことをここでは百合作品と言いたい。あるいは、小説の主題ではないものの描写として一部取り入れられることもあるため、ここでは百合の描写が観測されるならばその小説は広義の百合作品であると解釈しよう。百合作品のジャンルとしては、女子学生同士の青春を描く百合作品や、職場の先輩後輩関係を描く百合作品(「社会人百合」と称されることも多い)が日本では小説、漫画、アニメなどの作品に観測される。

 実際には「百合」の定義は人それぞれであり、セクシャルマイノリティの文学であるレズビアン作品とは異なるものとして解釈する人もいる(その場合は、恋愛関係や性的関係の有無などが「百合」を定義する材料となる)。ただ、ここで「百合論争」(「百合」の定義する範囲についての論争)をするつもりはないので、個人的な百合解釈にお付き合い願いたい。なお、あくまで個人的な解釈であるため、読者の方が「それは百合じゃない」と思ったとしてもそれは読者の方の自由な解釈である。

 それでは始めよう。2018年に日本で紹介されたデビュー短編集が韓国でもベストセラーとなっている新鋭のチェ・ウニョン、すでに世界的に評価され、芸術的な小説家でもあるハン・ガンを中心に紹介したい。この二人を中心に紹介する理由は、単純に私の推し作家であるからだ。その意味では偏愛でもあるが、読者の方にはご容赦いただきたい。

■作品紹介


◆チェ・ウニョン「ショウコの微笑」(『ショウコの微笑』クオン、2018年所収)

 高校時代、日本から韓国に留学してきたショウコとの思い出を追想しながら、女性として映画監督になるという夢に突き進む主人公ソユの成長と挫折の物語。出会いと別れ、文化の違いの共有、不平等や差別や格差、そして喪失。この短編が文壇デビューとなったチェ・ウニョンだが、彼女の後の作品にも通じる要素がふんだんにつまっている佳作である。何より日本の読者としては、日本から来た女の子との出会いを丹念に書いてくれたことや、その名前がタイトルに振られていることが、何より嬉しく感じる。この短編については別の文章でかなり詳しく論じているのでこちらをご覧いただけると嬉しい。




◆チェ・ウニョン「彼方から響く歌声」(『ショウコの微笑』クオン、2018年所収)

 「ショウコの微笑」へ”越境する百合”と言ってもいいかもしれないが、本作も大好きな大学の先輩を追いかけてロシア(先輩の留学先がロシア)に行ってしまう主人公のエネルギーに驚かされる。好きという感情は国境を越えていくこと。もちろんそれがバラ色ではないことは当然として、私たちの生きる世界はつながっているんだという当たり前のことを強く実感することができる。タイトルも含め、非常に美しい百合作品だ。

◆チェ・ウニョン「あの夏」(『わたしに無害な人』亜紀書房、2020年所収)

 少しこじつけかもしれないが、「ショウコの微笑」の変奏だと思いながら読んでいた。今回は国境や人種を超越するような越境小説ではないが、「ショウコの微笑」よりも具体的にセクシュアリティについての描写があり、性の揺らぎやセクシャルマイノリティの社会的な地位についての記述はより現代的である。また、時間が経過するにつれて二人の関係性が遠ざかってゆくのは「ショウコの微笑」にも似ている。離れたくないのに、互いの置かれた社会状況の変化やその他様々な事情によって二人は離れていってしまう。そうした大切な人との思い出を振り返る時、名前を呼ぶ行為のなんと尊いことか。

◆チェ・ウニョン「六〇一、六〇二」(『わたしに無害な人』亜紀書房、2020年所収)

 主人公が子どものころ、隣の部屋に越してきた家庭について回想する短編。小説の中で流れている時間に比べるとコンパクトにまとまった短編ではあるが、主人公が見聞きするものの中には暴力や不平等があふれていることから、読むのが辛く感じる人もいるかもしれない。そして、そうした不正義を身近なところで感じながら抵抗することができない無力さも抱えている。こうした二重の辛さをフィクションではあるものの記録し、小説という媒体で「告発」する行為は、オーソドックスなフェミニズム小説のやり方だと言えるだろう。チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』に関心のある方にもおすすめしたい。

◆チェ・ウニョン「過ぎ行く夜」(『わたしに無害な人』亜紀書房、2020年所収)
 
 四歳離れた姉妹の再会の物語。姉のユンヒは大学院を修了したが研究職のポストにつけずに困窮している。そんな中、五年ぶりに再会する妹のジュヒは、結婚と離婚と出産を経験し、彼女は就職しているものの「社会保険はない」待遇であるなど、楽な生活ではなかった。優秀な姉であるユンヒは、奔放な妹とある時期から距離を保って生きてきたが、大人になって再開したことで仲良くしたという自分の気持ちは昔からずっとあったのではないか、もう一度仲良くできるのではないかという気持ちを強くする。良い思い出も悪い思い出もすべては過去のこと。格差社会を生きる現代の韓国人のつらさを描写しつつ、姉妹だからこそ紡げる特別な関係が築かれうることを希望的に示唆している。例えば、少なくとも姉妹ならば安心して夜を一緒に過ごすことはできるはずだと。

◆ハン・ガン「明るくなる前に」(『回復する人間』白水社、2019年所収)

 短編集『回復する人間』は、人間の喪失と回復(レジリエンスと言っても良い)をテーマに執筆されているが、その先頭を飾る「明るくなる前に」は以前勤めていた職場で仲良くなった先輩「ウニ姉さん」の喪失を少しずつ受け入れようとしていく(≒レジリエンスのさなかにある)主人公の「私」の心の揺れ動きが子細に描かれている。さよならだけが人生だ、とはよく言ったものだが、どれだけ好きな人であっても、遠くに行ってしまうことを妨げることはできない。好きな人だからできないのかもしれない。もう一生会えないくらい遠くに行っても。だからこそ人には喪を受け入れる時間が必要であるのだと、ハン・ガンは小説を通じて優しい言葉で伝えようとしている。




◆ハン・ガン「京都、ファサード」(『小説版 韓国・フェミニズム・日本』河出書房新社、2020年所収)
 
 「ショウコの微笑」とはベクトルが異なり、韓国出身で日本に移住した女性と、韓国に在住している主人公の女性の物語。移住したまま韓国に帰ってくることは最後までなかった友人への追憶の小説でもある。彼女が帰らなかった理由を最大限尊重しながら、会えない時間が長く続いたことへの寂しさを偽れない気持ち。こうした、人生にとって重要な喪失を書く時、ハン・ガンの詩的な文章は静かに読者の感情をとらえる。「明るくなる前に」もそうだが、人と人の出会いと別れを書くのが抜群にうまい作家である。

◆キム・へジン『娘について』(亜紀書房、2018年)

 レズビアンの娘と、その性的嗜好を容認できない伝統的な生き方をしてきた母親の構図を描いた小説。その娘が恋人を連れて実家に転がり込んできたことで、世代の違う女性三人の奇妙な生活が始まっていく。主人公は娘の母であり、分かりあえそうもない娘のことを複雑な感情で眺めながら、あるいは介護の仕事を通じて得られる癒しを丁寧に受け止めていくところにも好感が持てる。仕事では年上の、家庭では年下の世代を「ケア」し、その中で関係性を紡ぎ直しながら生きていく様を描写することで、世代や国境を超えて共感を生む物語にもなっている。




◆チョン・セラン「屋上で会いましょう」(『屋上で会いましょう』亜紀書房、2020年所収)

 一種の社会人百合と言ってもいいかもしれないし、百合というほど感情的な関係というわけでもないかもしれないが、「屋上で会いましょう」という言葉に救いを求める主人公の感情の描写が非常に豊かでコミカルでもある面白い短編である。2018年に翻訳刊行されて話題になった『フィフティ・ピープル』もそうであったように、チョン・セランは切実さを切実なままに書くのではなく、いろいろな角度で描写するところに魅力があるが、同名のタイトルの短編集の表題作としては魅力たっぷりで申し分がない。




◆キム・エラン「ノックしない家」(『走れ、オヤジ殿』晶文社、2017年所収)

 住人の名前も顔も分からないような家に住みながら、しかしそこで生まれていくコミュニケーションを描いた短編。キム・エランは本作が韓国でのデビュー作になったようで、日本に最初に紹介された本に収録されたのも当然の流れだろう。彼女もまたユーモアを忘れない作家である。チョン・セランのようなコミカルな語り口が生むユーモアさというより、他者に寄り添う気持ちを表現するためのユーモアと言ってよい。この題材ならちょっとしたホラーやサイコ小説にもなりそうだが、そう料理しないところにキム・エランの小説の魅力がある。




■おわりに

 以上、短編9作長編1作を紹介してきた。ここ数年に日本で翻訳されたものを中心に紹介してきたのですでに読んでいる方もいるかもしれないが、未読な方でも今回取り上げた本は書店や図書館で入手しやすいと考えている。ぜひ年末年始の読書プランに加えていただけると、このエントリーを書いた人間としては非常にありがたい。

 また、小説ではないが今年日本でも公開されて話題になった映画『はちどり』もここで紹介してきた文学作品と通底するものが多くある。セクシュアリティの揺らぎや、子どもと大人の間の揺らぎ、身近な範囲の生活と大きな社会が接続する瞬間の怖さ。監督キム・ボラの自伝的、私小説的とも言えるこの映画の構成自体が、非常に文学的な響きを持っていたようにも思う。この映画は以前ブログで紹介しているので、詳しい内容や評価についてはこちらをご覧いただければ嬉しい。

 次の担当は林さかなさんです。





 

ショウコの微笑 (新しい韓国の文学)
ウニョン, チェ
クオン
2018-12-25


わたしに無害なひと (となりの国のものがたり5)
チェ・ウニョン
亜紀書房
2020-04-22


回復する人間 (エクス・リブリス)
ハン・ガン
白水社
2019-05-28


小説版 韓国・フェミニズム・日本
星野智幸
河出書房新社
2020-05-26


娘について (となりの国のものがたり2)
キム・ヘジン
亜紀書房
2018-12-20


屋上で会いましょう チョン・セランの本
チョン・セラン
亜紀書房
2020-07-31


外は夏 (となりの国のものがたり3)
キム・エラン
亜紀書房
2019-06-21


走れ、オヤジ殿 (韓国文学のオクリモノ)
エラン, キム
晶文社
2017-12-12

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