キャリアの浅さから生まれる悩みや挫折と、その越え方 ――社会人5年目の視点で『SHIROBAKO』1クール12話を振り返る2010年代の終わりは20代の終わりだから忘れないために書き残す

2019年12月30日

21世紀の民主主義と資本主義のために ――『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(アメリカ、2017年)



見:シネ・ヌーヴォ

 2017年制作だが日本では今年公開された話題作の一つだと思う。巨匠フレデリック・ワイズマンの新作にして3時間25分をかけてニューヨーク市の公共図書館に密着したもの。すべて見ればよくわかるが、分館や専門館を含めると90を超える施設を持っているニューヨークの図書館をすべて網羅することはとうていできない。とすれば、何を見せるか、である。

 ワイズマンが選んだのは三つのアプローチだと感じた。一つは、21世紀における現代的な図書館とはどういうものかといったもの。ちょうど大阪維新の会の一部のアホな議員たちが「司書業務はいずれAIで担える」などとアホなことを言っていたが(厳密には街の公立図書館ではなく学校図書室の話ではあるが)この映画の序盤に登場する「人力グーグル」と呼ばれるオペレーターの仕事を見るだけでも、とうていすぐさまAIにとって代われるような業務でないことがよくわかる。

 そしてそうした人力グーグル業務はもちろん膨大な業務の一つでしかない。映画では頻繁に図書館の幹部たちが運営会議っぽいことをしている様子が映されるが、官民それぞれから資金を投入される状況の中、今後さらに予算を獲得するにはどうすべきか。そして実際にどのようなサービスを提供すべきか? こうした議論が長く続いていく。「無駄だから増員などするな、むしろAIにやらせろ」なとどいう日本のアホな政治家とは全く逆のアプローチで、図書館の生存戦略を考えているのがとても魅力的だ。

 二つ目は、図書館の社会福祉的側面である。冒頭にいきなり登場するリチャード・ドーキンスのトークといった教養イベントの開催、パソコン教室や子どもたちの学習支援、あるいは就職セミナーを含めた就労支援など、本を読んだり借りることとは直接関係はないものの、ニューヨーク市民の生活の質をいかに向上させるのか、といったミッションに非常に力を注いでいることが特徴的だと感じられた。アメリカの図書館事情に詳しくないので他の市や州でも同じようなプログラムやサービスがあるかどうかはわからない。ただ、これはつまり手段は問わないが「市民の生活に資する」プログラムやサービスであるし、そのためのツールとして図書館の環境(膨大な資料、有能なスタッフ、インターネットの整備された環境)が利用されていると解釈すべきだろう。

 これらを利用してもらうことで単に市民の生活をよくするのではなく、「良き市民」を養成しているようにも思える。この意味では、ニューヨーク市の民主主義にとって重要な意味を持つのだろう。映画の後半では障害者たちが集うイベントもあれば、黒人たちが言葉を交わすイベントもあり、現代社会を生きる市民の多様性に対して公共図書館がどのようなアプローチが可能か、といったミッションへの挑戦であろうと思う。

 三つ目はさっきの二つの要素とも関係するが資本主義的側面である。資本主義にとっての図書館とは何か。一つは経済活動を支援する場であるということ。ここには広い意味での学術を含んでもいいだろうし、ジャーナリズムを含んでもよいだろう。いずれの活動も図書館は資料の宝庫として重要な場であり続けるだろうし、先ほど述べたようにイベントなどを通じて市民を「啓蒙する場」としても利用することができる。

 こういう風に書くとこれらはいずれも民主主義的側面なのではと言われそうだが、すぐれた民主主義が経済活動を促進しうるというのがアメリカ的だと感じる。だからこそ民間からの資金が投入され続けているのだろうし、図書館側もさらなる民間投資を呼び込むために図書館サービスの資本主義的側面の強化もはかるだろう。

 その他書くべきことは多いが、とうてい書ききれないので要点をまとめるにとどめた。映画を見ながら考えていたのは、いったい日本ではどのようなことが可能か、どのようなサービスやプログラム、あるいは運営スタンスを学べるのだろうかと考えていた。そのためのキーワードとして社会福祉と資本主義的側面は非常に重要な要素になると思う。このいずれもが民主主義を養成するだろうし、民主主義の成熟はまたすぐれた社会福祉や新しい資本主義の養分にもなる。

 すべてを日本でマネすることはできないにしても、一人一人が日常生活を送る上で学ぶこと、感じとれること、意識できることは非常に多い。そしてある種オールドタイプな公共施設としての図書館が21世紀の現代にも、いや現代だからこそ重要な価値を持ち続けられるのだ、というシンプルなメッセージは、これからの社会を生きていく上で非常に希望的な展望であると思えた。

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burningday at 01:37│Comments(1)movie 

この記事へのコメント

1. Posted by supportpetition.Com   2019年12月30日 21:19
Low wages, additional hours of labor, insufficient
compensation plans, and the absence of healthcare packages are
some frequent grievances in each part of the world. It wasn't though till across the time of the Second World War that a significant emphasis began to
be put on training, motivation, well being and safety, employee morale and consultation on major procedural and
wage insurance policies. Everyone inside a corporation should be handled equally and
values of every worker ought to get equal respect. It does not say the court docket should prefer
the precise of the religious group to a conflicting proper of religious freedom, as an illustration, that of a
member. Women may also give good leadership

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