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日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。

2023年02月

 約一年前にロシアによるウクライナ侵攻が起きてからBSの報道番組を中心に番組をほぼ丸ごとyoutubeにアップしたり、テレ東のようにyoutube用の独自番組を作成したりと、結構ネットでも見られるものがたくさんあっていろいろなものを見ていた。そのいろいろを、備忘録も含めてまとめとおけばいいんじゃないかと思ったのでまとめてみたエントリー。

 古いものだと戦況がかなり変わっているので、比較的最近見た中から10本(とおまけで1つ)選んだ。どれから見ても面白いと思うので時間のある時に、テレワークや家事の合間などにどうぞ。

■豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス「ウクライナ戦争解説セレクションぁ岾戦300日」」(2022年12月30日)


 テレ東の豊島アナが定期的に公開している番組の総集編第4弾。年末年始にまとめて振り返るにはいい番組でした。小泉悠がゲスト回もあり。 

■報道1930(BS-TBS)「ロシア軍「携帯使用」“失態”発表の意図/兵士が証言 暖冬の最前線で“新たな事態”」(2023年1月5日)


 タイトルは携帯使用の話になっているが、この回の重要なポイントはロシア、ウクライナそれぞれの新年のメッセージを小泉悠が分析しているところ。

■報道1930(BS-TBS)「激戦地バフムト陥落か 戦車供与300両超で始まる“空の戦い” 」(2023年1月30日)


 まずバフムトでボランティア活動をしていた日本人男性のレポートから始まるが、こうした生身の戦場を知ることも定期的にやっておくべきだなと感じる。海戦初期はブチャやマリウポリなど、過酷な現場の報道が多くされていたが最近は少し減ってきたな(当社比)と感じていたので。


■中村ワタルの欧州沸騰現場「ウクライナから報告!国営通信 平野さんと考える戦時下のメディア」#103(2023年1月31日)


 「ウクライナのメディアってどんなのがあるの?」から「それぞれのメディア(国営、民間、公共、ネットetc.)の作られ方」まで、動画は短いが話題は広く、初めて知ることが多くて面白い番組だった。平野さんは開戦当時からキーウで積極的に情報発信をされているメディア人なので、彼の話す話題は非常に信頼がおける。

■角谷暁子の「カドが立つほど伺います」(BSテレ東)「米独が戦車供与 新局面を迎えたウクライナ情勢の行方は 東野篤子(筑波大学教授)」(2023年1月31日)


 前半は各国からの戦車供与の話。何がどの程度供与され、どうやって運用していくのかという実践的な話が面白かった。後半はロシアの兵器や財政の現状、今後予想されるスケジュールなど。兵器も厳しいし、財政的にも余裕はない状態でいつまで戦争を続けられるのか。エネルギー価格の上昇もひところより一服したためロシアの収入は逓減し、各国の経済制裁の効果は今年になって効き始めるのではという指摘も興味深い。

■PBS FRONTLINE"Putin and the Presidents: Julia Ioffe (interview) "(2023年2月1日)


 ロシア出身で、プリンストン大学を卒業後に複数のメディアで勤務したのち、いまは「Puck News」というショートニュースを配信するメディアに所属しているJulia Ioffe(ジュリア・ヨッフェ)のインタビュー。日本では小泉悠が時折試みているが、ここではIoffeががアメリカの視点からプーチンの脳内を解剖し、彼の中でgeopoliticsがどう見えているのかを紐解いてゆく形式のインタビュー。

 インタビュー序盤ではっきりと、これはウクライナとの戦争ではなくアメリカとNATOとの戦争だ、つまりワシントンとブリュッセルとの戦争だ(とプーチンは考えている)と話しているのが印象的である。インタビューは60分合って全部をちゃんと見たわけではないが、基本的にloffeはプーチンのこうした観点をフォローするような形で語り続けている。抽象的で複雑な議論ではなく、非常にクリアで明快な議論をしているところも印象的だ。

 PBSは以前"Putin's Road to War"という番組を制作しており、その際もloffeがインタビューを受けていたが、アメリカではウクライナ戦争の論客として継続的に情報発信をしているようだ。




■山川龍雄のニュースの疑問「解説:戦争はいつまで続くのか〜ロシアとウクライナの継戦能力」(2023年2月3日)


 山川龍雄は経済記者出身なので軍事の専門家ではないが、テレ東の山川解説はいろんなデータを示してくれるのがいい。ウクライナの鹵獲戦車の話とか、ロシアに対する援助の乏しさなどはやや楽観的な観測に見えるものの、ロシアが所有する兵器の現状は厳しそうである。とはいえウクライナも今後継続的な支援がなければ戦争の継続は難しいので、一進一退はしばらく続いてしまうんだろうなという感想。

 BSテレ東「カドが立つほど伺います」のフォローになっているので併せて見ておきたい。

■IOG地経学オンラインサロン「ウクライナ侵攻から1年」(2023年2月11日)


 鈴木一人と東野篤子の約1時間の対談番組。この番組は開戦当初から継続的にフォローしており、またテレビ番組のようないろいろな制約もないため、ざっくばらんとしたスタートながら密度の濃い議論がされていて面白い。

■日曜スクープ(BS朝日)「【ロシア大規模攻撃】激戦地で攻勢“兵力倍増か”ウクライナの反撃は」(2023年2月12日)


 今激戦になっている東部バフムトの解説と、今後の大規模侵攻の見通しについての解説。マップを見ながらの高橋杉雄解説はさすがといったところ。

■報道1930(BS-TBS)「ロシア「大規模攻勢」開始か 戦車・戦闘機供与めぐる課題は」(2023年2月14日


 「日曜スクープ」とややダブる内容が多いが、こちらは今後の展開を考える上での兵器の話が多め。

朝日新聞国際報道部(Twitter Spaces)「侵攻1年どうなるウクライナ」(2023年2月19日)


 おまけ的に追加。鶴岡×東野夫妻がセットで出演しながら、ウクライナからの現地リポートも含んだ密度の濃い番組。ツイッターの仕様だと1カ月は録音を聞けるはず。


 今回はこんな感じにまとめてみた。
 戦況が目まぐるしく変わるのでもっと早くやっておけばよかったかなと思いつつ、次回以降も続けていきたい。もうすぐ開戦から1年になるので、そういった感じの特集番組が増えそうだ。
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 ドキュメンタリーは比較的よく見ているが、見たものの感想を短くツイッターに放流して終わりになってしまうことが多かった。このブログで時々長い文章を添えることもあるが、すべてのドキュメンタリーに1本エントリーを書くことは現実的ではないので、今回こういう形をとってみた。

 なるべく続けたいが、とりあえず備忘録として使っていければいいかなと思っている。

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◆BS世界のドキュメンタリー「密入国 闇の組織を追え −英コンテナ39人遺体事件の真相−」(2022年10月27日放送、BS1、50分)


 この事件のことは知っていて、その壮絶さには言葉を失うし、この番組で死ぬ間際の当事者の語りや家族の語りなどを聞くとエグ……と思いながら見ていた。ただ、この番組は非常に優れた国際犯罪ミステリーを謎解くようになっており、これがフィクションであればすぐれたシナリオとして楽しめたのに、という複雑な思いも抱かせる作りになっていた。

◆ETV特集「ブラッドが見つめた戦争 あるウクライナ市民兵の8年」(2022年11月5日放送、ETV、60分)





 ここ最近見た中では最も印象に残っている1本。下手すると、いやしなくても2022年に見た中ではベストだったかもしれない。西野晶という、ある若い制作がウクライナ戦争についてネットサーフィンしている中で彼女が「たまたま発見した」ブラッドという青年との交流を描く。

 もうすぐ戦争勃発から一年が経つが、ウクライナ戦争をどのようにとらえるかは本当に難しい。その難しさを、改めて突きつけられる一本であるとともに、ブラッドという青年のビルドゥングスロマンにもなっている構成が非常にうまいなと感じた。

 彼は2022年に初めて従軍したのではなく、それ以前のロシアとの衝突ですでに従軍経験があったことが、日常を捨て、非日常の舞台へと誘ってゆく。なぜ、再び戦場に戻ったのか。「戦間期」に彼はどのような人生を送っていたのか。彼はいま、戦場で何を考えているのか。一つ一つの言葉、表情、そして母親の語る息子への思い。すべてを目に焼き付けたくなる一本。

◆「こうして僕らは医師になる〜沖縄県立中部病院 研修医たちの10年〜」(2022年12月3日放送、BS1、100分)


 2012年に放映されたドキュメンタリーの10年後を追跡したドキュメンタリー。小堀医師の在宅医療のドキュメントを継続的に撮ってきた下村幸子が本作も手掛けており(10年前もそうだったらしい)、その意味で医療現場の躍動感を、そこで生きる医師それぞれの人生の一端が見えるのがとても面白かった。




 何人かの医師が中心的に取り上げられているのが、一橋で医療経済学を学んだあとに長崎大学医学部に編入して、初期研修後に沖縄での離島医療や海外での留学などを経ていまは関東で在宅医療をやっている女性医師・長嶺由衣子の姿がめちゃくちゃ印象に残った。パワフルなのは当然なのだが、芯の強さ、純粋さというものを持ち続けている姿がとてもいいなと思った。小堀医師もそうだったが、市井で生きている人間一人一人への関心や思いというものが、在宅医療では最も重要なのではないかと思う。

 


◆映像の世紀バタフライエフェクト「ナチハンター 忘却との闘い」(2022年12月12日放送、NHK総合、45分)






 自分の中でナチスの存在とナチスに対する反省というものは、それ自体が少し古い歴史的産物だと思っていたけれど、全然そうではなくて現代につながってるんだ・・・! と思わせてくれる一本。
 
 「映像の世紀バタフライエフェクト」というシリーズがそういう「時代を超えたつながり」を毎回テーマにしているからこその(ある種意図的な)構成だったとは思うが、シリーズの中でも良くできた一本だったと思う。逃げようとする人間の邪悪さと、逃げる人間の追い詰めようとするまた別の人間の執念の強さの双方を、ドラマチックに描いている。

◆未解決事件「File.09松本清張と帝銀事件」(2022年12月29日・30日放送、NHK総合、150分)






 このシリーズはコストがかかっているわりに割と当たりと外れがあるかなと思っているのだが(前回のJFKはわざわざ今やらなくても、と感じた)今回の帝銀事件特集は当たりの部類だなと思った。ドラマ編もドキュメンタリー編も両方面白かったのは、ロッキード事件を扱った回と匹敵する。

 ドラマ編は大沢たかおの演技と、彼のキャラクターを生かした安達奈緒子の脚本が面白く、非常に生き生きとしている松本清張を現前させることに成功していたように思う。ドキュメンタリーはドラマ編の流れを追随しつつ、そこで描かれなかったことや、清張がたどりつこうとして跳ね返された政治的事情を戦後の非常にややこしい文脈の中で想像させる面白い構成だった。
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見:イオンシネマ高松東

 2022年はそこまで多くの新作映画を見たわけではないが、年末に見たこれが結果的にぶっちぎりだなと思った。声優交代についてツイッターがかなり燃え上がっていたし、発表になったyoutube配信も少しだけ見ていたので(だからと言ってどうのこうのはなかった。さすがに20年以上経てば演者が交代するのは現実的なので)特に前情報を仕入れたわけではなかったが、そのスタンスで見に行って良かったなと思う。普段はネタバレ全然OK主義だけど、この映画に至っては何も知らずに、けれども原作のシナリオは把握している、という状態で行った時の高揚感がたまらないからだ。

 例えば、2時間でインターハイ2回戦の山王工業戦を描き切る、というのは確かに今新たに新作アニメを作るならそれくらいのことをやらないとインパクトが足りないとは思っていた。結果的に1回戦の豊玉戦はほぼカットされているが、これは原作からの連続性をあえて切断するやり方だなと思った。つまり、原作を知らない人でも『THE FIRST SLUM DUNK』を映画館で見れば十分楽しむことができる、そういうものを目指したのだろうと思う。(ちなみにTHE FIRSTの意味は多義的らしいが、はっきりとは明かされていない)

 宮城リョータを映画の主軸に据えたのは、一つの案として面白いと思った。とはいえ同時に、リョータである必然性はなかったようにも思う。桜木以外の4人の過去は原作でも十分に描かれていない(桜木自身もそこまで分厚くはない)ため、ブランクやケンカからの再起を狙う三井を主軸にしても、最後の夏にすべてを懸けるゴリにしても、たぶんどのメンバーを主軸に据えても良質な物語は作れただろう。ただ、三井やゴリにあってリョータにないのはフィジカルだ。スタメンの4人の中で、明らかにリョータだけが小さい。

 最初から最後まで、ある意味では小さくて幼かった(身長も、精神的にも)リョータがいかに大きく成長していくか、を見せたかったんだろうなと思う。リョータを描くために家族の物語が動員されたのは必然と言えば必然で、沖縄由来の「宮城」という名前を持った少年がいかにして沖縄を離れて湘南の公立高校へやってきたのかは、一つの物語として魅力的である。三井や流川のようなスーパースターではない、桜木やゴリのようなフィジカルモンスターでもない、ただ小さくて俊敏な選手が大男ひしめくバスケットのコートで躍動するのは、多くの観客に刺さるものがあるのは確かだろう。

 これもあえて言うまでもないが、小さいリョータを主軸に据えながらその他9名の大男たちが奮闘し、躍動するバスケットのコートを、これほど生々しく描けるとは思わなかった。もう90年代ではなくて2022年なんだということを、声優交代以上に実感することができた。原作とアニメをほぼリアルタイムで目撃した後、2022年まで生きてきて本当によかった、と思えた。
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