2021年09月

2021年09月30日

克服できない孤立と、印象的な夏の終わり ――『オスロ、8月31日』(ノルウェー、2011年)



見:Jaiho

 『アワ・ボディ』に続いてJaihoで配信されている中から気になっていた『オスロ、8月31日』を見てみた。『7月22日』で大量殺人犯のブレイビクを冷酷に演じたアンデルシュ・ダニエルセン・リーが、この映画では34歳の薬物依存患者アンデシュを好演している。彼の特徴は、孤独かつ孤立である。孤独なだけならまだよいかもしれない。ただ、リハビリ施設に入所し、つかの間の「社会」でのひとときを過ごす様子を描くこの映画は、徹底的にアンデシュがいかに社会から孤立した、取り残された存在であるかを描き出す。

 例えば映画の前半で就職活動をするシーンがある。雑誌出版社への面接に足を運び、実際に面接を受けるが、次第に彼は意欲を失っていく。面接の前にはある友人夫妻を訪問しているが、依存症患者で職歴もバラバラな34歳の自分には何もないことを実感させられる。その無力感を再確認した就活の面接で彼は、本当に自分には何も残されていないと悟る(もちろんこれは彼の思いこみ、ではあるのだが)。

 自分には何もない、今もこの先も。ある意味俗にいう「無敵の人」に近い存在になったアンデシュがどういった行動を起こすのかをそわそわしながら見守ることになる。ただ、何か特別なアクションを起こすというより、残された時間をどう生きるのかというミクロな行動や感情の生起に焦点が当たっていく。人生のそのどうしようも無さがそこかしこに表出しているのを淡々と撮り続けるカメラと、表情や言葉の些細な変化で演じるアンデルシュ・ダニエルセンー・リーの演技がとてもよかったと言える。『7月22日』とは違った意味で、まともな感情を失ったキャラクターを演じるのが抜群にうまい。

 夏の終わりでもある8月31日に向けて進むストーリーのせいか、あえてドラマチックに、印象に残るように作っている要素もある。束の間の夢のようでもあり、しかしそれは夢ではなく現実の一部でもあるというアンビバレンスさを詰め込んだ夜から朝にかけてのシークエンスは、アンデシュの心の動きとはおそらく連動していない。彼の心の動きとは無関係に周囲の人間たちはリアルな時間を生きている。ゆえに孤立が際立つ。

 こうした孤立の克服できなさをいくつもの場面で経験することになるアンデシュにとって、このオチ以外はないのだろうという終わり方を選択する。良くも悪くもそれだけと言える映画かもしれないが、社会の中(の人間関係)における孤立、あるいは社会の外にある孤立(社会の中になじむことができない疎外感や無力感など)を描いた映画としては白眉な作品だと言えるだろう。

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2021年09月29日

圧倒的な個の力に抗する組織の連動性とその魅力 ――『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』(2016年)

ごあいさつ
村瀬歩
2016-10-09


 前回に引き続きAbemaの一挙放送を利用してハイキューの3期を視聴した。2回くらいに分けてみようと思ったが、1.3倍速で見ると3時間くらいで最後まで一気に完走できたのでこれはこれでよかったかもしれない。前回の感想はこちらからどうぞ。



 アニメ2期終了から半年後に放映というスケジュールのタイトさゆえか、春高予選決勝戦となる白鳥沢高校戦のみを10話費やして描くという、チャレンジングではあるがシンプルな構成は面白かった。1クール12話前後を費やすアニメの世界で10話に収めた事情は詳しく知らないし、フルセットにもつれた試合の中で第3セットは完全に省略されているのもやや驚いたが(原作未読のため照合ができず)、とはいえ3期の狙いである「コンセプトの戦い」が一貫した10話分だったなと感じる。良くも悪くも両チームのコンセプトの違いだけを徹底的に表現したシリーズだったからだ。

 良い点は現代バレーボールの面白さを青葉城西戦と違う形で表現したことだ。白鳥沢は分かりやすいくらいに個が強い。牛島を筆頭にしながら、かつ牛島だけではないチームを作り上げているからこそ隙がない。牛島という圧倒的な攻撃力があるからこそ、覚のような個性的な選手が生きる道がある。烏野のようなチームとしての連動性には欠けるものの、守備に大きな隙がなく、かつ攻撃では超高校級の強さを見せることによって常にリードしてゲームを進めるのが白鳥沢の強さとして描かれている。準決勝までは1セットも落とさず、決勝の烏野戦でも1セット目は余裕で制していた。

 結果的に、烏野の戦略としてはいかに組織として白鳥沢の攻撃を打開するかという発想になってくる。ディフェンスにおいては強力な牛島のスパイクをいかに防ぐか、攻撃においては覚のようなギャンブル的にジャンプしてブロックを決めてくる選手をいかに攻略するか。もちろん二人だけではないということもゲームが進むにつれて見えてくるわけで、バレーボールはベンチを含めたトータルな選手のコーディネートが重要なスポーツだということも改めて実感させられた。

 攻撃も守備も、組織でやる以上全員のスタミナが疲弊していく。準決勝までは3セットマッチだったため、未知の4セット、5セットをいかにして取っていくのかというのも見どころとなっていた。10話で1試合という、シンプルで攻めた構成だからこそ味わえる、現代スポーツアニメとしては珠玉の作品となっている。

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2021年09月26日

ランニングのメタファー、身体感覚、関係性 ――『アワ・ボディ』(韓国、2018年)



見:Jaiho



 Jaihoという映画配信サイトで今日まで配信だということを知り、急いで見てみたがとてもよかった。この映画には夜のシーンが多く登場するので、深夜に見たのはとても心地が良かったのかもしれない。女と女の関係性を描く映画だと言ってしまうのは単純かもしれないが、その描き方が好きな映画だったからよかったと素直に言えるのだと思う。

 主人公のチャヨンは31歳。冒頭、公務員試験予備校の講義を受けている様子が流される。ミクロ経済学やマクロ経済学といったワードを聞くと、27歳まで公務員試験を受けていた過去の自分のこともいくらか思い出されるが、日本以上に若者の就職が厳しい韓国ではまた違った重みがあることだろう。しかも31歳で女性となると、である。結果的にチャヨンは試験を放棄し、データ入力のアルバイトを始める。そのバイト先でもまた就職にあぶれた若者たちが何人もいて、休憩時間にインターンはどこにいく? という会話をしている。

 こうした現実に直面するチャヨンがある日、外でひとり酒を飲んでいたところ颯爽と通りかかったのがヒョンジュだった。ランニングウェアを身にまとった彼女は、チャヨンの落とした缶を拾うと、再び颯爽と駆けていく。その姿に見とれていたチャヨンは、思い立ってランニングを始める。そしてヒョンジュたちと同じランニングサークルに入り、一緒に練習を行うようになる。
 
 ランニングを通じて関係が深まり、現実とも向かい合っていくようになる・・・というような筋書きではおそらくない。ランニングはいくつかの意味でメタファーである。まず、自分を鍛えることである。自分の心と体を鍛える手段として、偶然目の前に現れたのがランニングであり、ヒョンジュだった。ヒョンジュがダンスをしていたらチャヨンもダンスをしていたかもしれないし、ヒョンジュがギターを弾いていたらチャヨンはギターを覚えようとしたかもしれない。また、ランニングを始めたからと言って現実はそう簡単に好転していかない(つらい)。

 ただこれは個人的にも(市民ランナーの一人として)感じることだが、現実から逃げるための手段としてランニングというものは非常に便利だ。まず、楽器などと違って始めやすい。シューズと、ちょっとしたウェアさえあればよい、最低限の。そして、走っている間は無になることができる。

 ランニングの場面ではチャヨンとヒョンジュが併走したり、前後を走るシーンが繰り返し映像に登場するが、二人はほとんど会話を交わさない。唯一会話が弾んだのはヒョンジュの部屋を訪れ、一緒に酒を吞みながら理想のセックスについて語らった時だろう。これ以外の場面で二人は自分のことを多く語らない。そして、互いに相手をよく知る前に、別れは訪れてしまう。

 その別れの場面がいささか唐突すぎて戸惑いを覚えてしまう。ただ、ヒョンジュがいなくなったからこそ改めてこの映画はチャヨンに問うてくる。どう生きるのか。人生をどう「走る」のか。ここに来るとランニングが持つメタファーが、別の次元へと移行していくことに気づかされる。社会の中では置き去りにされているチャヨンだとしても、年の離れた妹は彼女を慕っている。

 相変わらずチャヨンは多くを語らないし、彼女の人生は順調にはいかない。それでも、いやだからこそなのか、時間を作って一人夜の街を走る。走ることで手に入れた身体感覚と、ヒョンジュとの関係性を自分の身体に刻んで走り続ける。走ること自体に大それた目的はいらない。酒を飲むために運動する、でもよい。そう笑いながら語っていたヒョンジュのことを、彼女の背中や肌のぬくもりをチャヨンは繰り返し思い出して、そして時間が経ったころに忘れていくのだろう。それが残された者の、一つの役目かもしれない。

 最後、一人高級ホテルのソファに寝転んだままどこか遠くを見つめるチャヨンの姿は、とても美しかった。

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2021年09月23日

2021年8月の読書記録


 公認心理師試験前なのでそれ関係と、詩歌の積読を多く読んだ8月。読書メーターにないものが4冊あったので合計では39冊。

8月の読書メーター
読んだ本の数:35
読んだページ数:8363
ナイス数:51

マネーの進化史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)マネーの進化史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
読了日:08月04日 著者:ニーアル・ファーガソン
精神科医が教える聴く技術 (ちくま新書)精神科医が教える聴く技術 (ちくま新書)感想
カウンセリングの場における「聴く技術」を細かく分解して解説した本。どのようにすれば「聴き上手」になれるのか、あるいはどのようにすればそうなれない(よくない聴き方)のかを丁寧に掘り下げていく。すべてに首肯するわけではないし、あくまでカウンセリング技術としてとどめたほうがよい印象もある(たとえば福祉の場での「面接」ではまた異なる「聴く技術」が必要だろう)が、他者を理解するとはどのようなことかを考えたときに、有用な本にはなりそうだ。
読了日:08月05日 著者:高橋 和巳
公認心理師試験の問題と解説2021 ⋄こころの科学増刊 (こころの科学 HUMAN MIND SPECIAL ISSU)公認心理師試験の問題と解説2021 ⋄こころの科学増刊 (こころの科学 HUMAN MIND SPECIAL ISSU)感想
過去問集の解説よりもさらに詳細に問題やその傾向を分析しており、やっておかった一冊。
読了日:08月07日 著者:
あなたと原爆 オーウェル評論集 (古典新訳文庫)あなたと原爆 オーウェル評論集 (古典新訳文庫)
読了日:08月08日 著者:ジョージ・オーウェル
一生推したい! 私たち、ゆる健康はじめてみた一生推したい! 私たち、ゆる健康はじめてみた感想
実践的で面白かった。食事、運動、入浴、睡眠が大事というところは身も蓋もないが、やるべき事を少しずつやっていく方法が具体的に書かれているのはよい。うどん県民だがうどんをたまにはそばに変えてみるのもありかも。
読了日:08月08日 著者:劇団雌猫
流れを読む心理学史―世界と日本の心理学 (有斐閣アルマ)流れを読む心理学史―世界と日本の心理学 (有斐閣アルマ)感想
公認心理師試験対策として読んだが読み物としてなかなか面白い本だったし、心理学と領域の見通しがだいぶ広がった。もっと早く読んでおいてもよかった一冊。初版は2003年と少し古いが学史の本なので十分いま読んでもよい。
読了日:08月09日 著者:サトウ タツヤ,高砂 美樹
草すべり その他の短篇草すべり その他の短篇感想
全部登山小説。表題作が良かった。加齢とノスタルジー。
読了日:08月09日 著者:南木 佳士
みぎわに立ってみぎわに立って
読了日:08月10日 著者:田尻 久子
千夜曳獏千夜曳獏
読了日:08月10日 著者:千種 創一,千種 創一
鳥類学フィールド・ノート鳥類学フィールド・ノート
読了日:08月11日 著者:小笠原 鳥類
する、されるユートピアする、されるユートピア
読了日:08月11日 著者:井戸川 射子
でらしねでらしね
読了日:08月11日 著者:小林 坩堝
福祉教科書 精神保健福祉士 完全合格テキスト 専門科目 第4版福祉教科書 精神保健福祉士 完全合格テキスト 専門科目 第4版感想
公認心理師試験対策として使えるとどこかに書いてあったので使ってみたが確かに使えそうな気はする。試験の日まで繰り返し読みたい。
読了日:08月12日 著者:精神保健福祉士試験対策研究会
生――生存・生き方・生命 (自由への問い 第8巻)生――生存・生き方・生命 (自由への問い 第8巻)感想
加藤秀一と大屋雄裕の議論は面白かった。
読了日:08月12日 著者:
マイクロ・ライブラリー図鑑〜全国に広がる個人図書館の活動と514のスポット一覧 (まちライブラリー文庫)マイクロ・ライブラリー図鑑〜全国に広がる個人図書館の活動と514のスポット一覧 (まちライブラリー文庫)感想
将来の予習として。
読了日:08月12日 著者:礒井純充
未来の図書館、はじめます未来の図書館、はじめます
読了日:08月12日 著者:岡本 真
オンラインデートで学ぶ経済学オンラインデートで学ぶ経済学感想
身も蓋もないことが多く書かれてあるが現代のマッチングアプリでもここで書かれてあるアメリカにおけるオンラインデートと同様の現象が多く起きているのは事実だろう。あと本書は経済学で恋愛を学ぶというより、恋愛を種にミクロ経済学のエッセンスを学ぶといったほうが適切。ミクロ経済学の本なので教育の経済効果の話や夫婦の意思決定の話などがでてくるわけだ。
読了日:08月12日 著者:ポール・オイヤー
心理的アセスメント (放送大学教材)心理的アセスメント (放送大学教材)
読了日:08月16日 著者:森田 美弥子,永田 雅子
ヘルス・エスノグラフィ: 医療人類学の質的研究アプローチヘルス・エスノグラフィ: 医療人類学の質的研究アプローチ
読了日:08月16日 著者:道信 良子
誰にもわからない短歌入門誰にもわからない短歌入門
読了日:08月16日 著者:
認知心理学 (New Liberal Arts Selection)認知心理学 (New Liberal Arts Selection)
読了日:08月19日 著者:箱田 裕司,都築 誉史,川畑 秀明,萩原 滋
ジェイン・オースティン『高慢と偏見』 2017年7月 (100分 de 名著)ジェイン・オースティン『高慢と偏見』 2017年7月 (100分 de 名著)感想
さすが廣野さんといったところでクリアで面白い読解だった。現代でも読み継がれるのは恋愛関係における人間関係は本質的に対等な関係性を前提としているから(p.57)という指摘はその通りだと思う。
読了日:08月19日 著者:廣野 由美子
仕事文脈 vol.12仕事文脈 vol.12
読了日:08月21日 著者:仕事文脈編集部
仕事文脈 vol.13仕事文脈 vol.13
読了日:08月21日 著者:
辻井喬詩集 (現代詩文庫 第 1期63)辻井喬詩集 (現代詩文庫 第 1期63)
読了日:08月21日 著者:辻井 喬
地上で起きた出来事はぜんぶここからみている地上で起きた出来事はぜんぶここからみている
読了日:08月21日 著者:河野 聡子
あなたの知らない心理学―大学で学ぶ心理学入門あなたの知らない心理学―大学で学ぶ心理学入門
読了日:08月22日 著者:
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア―ベルトーチカ・チルドレン (角川文庫―スニーカー文庫)機動戦士ガンダム 逆襲のシャア―ベルトーチカ・チルドレン (角川文庫―スニーカー文庫)感想
映画とは違う「結婚したアムロ」とベルトーチカ・イルマが物語の主軸だった。ハサウェイの影は薄かった。シャアとクェスはシャアとクェスだった。富野が書いたあとがきが重要。
読了日:08月23日 著者:富野 由悠季
心理教科書 公認心理師 完全合格問題集 2021年版心理教科書 公認心理師 完全合格問題集 2021年版感想
とりあえず一周。いまの時点でも合格ラインには行けそうだがまだあと約4週間あるのでポイントを絞って解き直しをしていく。
読了日:08月24日 著者:公認心理師試験対策研究会
「アーサー・C・クラーク」スペシャル 2020年3月 (NHK100分de名著)「アーサー・C・クラーク」スペシャル 2020年3月 (NHK100分de名著)
読了日:08月24日 著者:瀬名 秀明
機動戦士ガンダムZZ(ダブル・ゼータ)〈第1部 ジュドー・アーシタ〉 (角川文庫―スニーカー文庫)機動戦士ガンダムZZ(ダブル・ゼータ)〈第1部 ジュドー・アーシタ〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
読了日:08月25日 著者:遠藤 明吾
心理教科書 公認心理師 要点ブック+一問一答 第2版心理教科書 公認心理師 要点ブック+一問一答 第2版感想
コンパクトで使いやすいので引き続き試験前の整理として使っていく。
読了日:08月27日 著者:公認心理師試験対策研究会
機動戦士ガンダムZZ(ダブル・ゼータ)〈第2部 ニュータイプ〉 (角川文庫―スニーカー文庫)機動戦士ガンダムZZ(ダブル・ゼータ)〈第2部 ニュータイプ〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
読了日:08月27日 著者:遠藤 明吾
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〈上〉 (角川文庫―スニーカー文庫)機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〈上〉 (角川文庫―スニーカー文庫)感想
映画を見たあとに読むと比較的忠実に映画が作られていることがわかった。ギギヤハサウェイの内面の描写は小説の方が細かいので面白い。クェスを意識し続けるハサウェイと、ハサウェイを強く意識するギギ。
読了日:08月27日 著者:富野 由悠季
閃光のハサウェイ(中) 機動戦士ガンダム (角川スニーカー文庫)閃光のハサウェイ(中) 機動戦士ガンダム (角川スニーカー文庫)
読了日:08月30日 著者:富野 由悠季

読書メーター


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2021年09月22日

第4回公認心理師試験の自己採点&感想


 9月19日、第4回公認心理師試験を受けてきた&現状出ている解答速報を複数使って自己採点したのでその結果を書いていきたい。なお勉強のプランについては前回書いているので気になる人はそちらをどうぞ。感想や反省については後ろのほうで書きます。




■自己採点

 実際の試験問題はこちらの動画でスライドショーとして閲覧可能。





 解答の情報はこちらを利用した。



 試験の合格ラインは60%となっていて、例年通りであれば138/230点とれれば合格となるはずである。合格率は毎年変動しているので、人数調整などはおそらく行っていない。スリーポイントとなる事例問題が合計38問(114点)出題されており総得点の半数を占めるウェイトなので、ここをいかに多く取っていくかというのは前回のエントリーで書いた通り。

 以上を踏まえて結果をざっくりと書くと。

プロロゴス:141点(午前71、午後70。内事例問題72)
和光大学:142点(午前73、午後69。内事例問題75)
IPSA:146点(午前74、午後72。内事例問題78)


 とりあえず3か所分やってみたのがこんな感じ。このままいけばギリギリ合格ライン(には乗れそう。スリーポイントの事例問題が本来の正答と1問一致しなくても最低138点は確保できる計算ではある。本当にギリギリすぎて心臓に悪いが。
 微妙に点数が割れているのは各解答の色が出たのかなという感じで、例年を見ていても複数の選択肢が回答になることはありうるので、このスコアを実際の結果が大幅に下回るということはないだろうと見ている。

■感想

おおむねプラン通り、ではあったが

 プランでは一般問題6割、事例問題7割で考えていて、合計150〜160点くらい出せればいいのではないかという公算だった。過去問では7割(160点)以上の結果が出せていたので、160を目指せば140〜150の間には収まるだろうという計算である。
 実際は一般問題6割、事例問題6割強という結果になったのでかなりギリギリである。事例で7割以上を目指していたし、実際冷静に解きなおせば全然取れたスコアだと思う(特に午後の試験で伸び悩んだのが痛い)のでここらへんの試験慣れが足りなかったか、もしくは知識の定着が不十分なせいでアバウトな領域をアバウトなまま終わらせてしまったせいかもしれない。
 まあ受かっていれば問題はないが、もし来年受けるのであればラスト1か月の試験直前の仕上げの部分をもう少し見直してもいいだろうと思う。7月頭から勉強を始め、7月8月の時点である程度スコアが出せてしまったので安心してしまった感覚は否めない。

 ざっくりまとめると「プランは悪くなかったが詰めがやや甘かった」のがこの結果かなというところ。

過去問を信用しない
 
 過去問は3年分、今年を入れても4年分しかないので来年受ける人はあまりアテにしないほうがいいです。それよりも予想問題集や心理予備校の模試を使った方がいいかも。
 問題を解くだけなら前者だけで十分だとは思うが、試験慣れをしたい人にとっては模試がいいかもしれない。問題集に比べると値が張るが、いわゆるGルートの人は来年が最後の受験機会になるので数千円を出し惜しみするのはもったいないと思う。これは模試を受けなかった自分にもブーメランだけど。

典型問題を確実にとるための勉強が何より大事

 今回で言うと味覚の問題や失書・失読の問題など明らかに?????と思われる問題がいくつか出たわけだが、こういうのは捨て問として相手にしてはいけない。そうではなく、認知症の問題や精神疾患の問題、あるいは学校のいじめ問題や産業医の問題、少年法に関する問題など、テキストに確実に載っているような知識で得点できる典型問題を多く拾うのが重要である。
 この点、直前に確認していたことで得点できた問題もあれば、明らかな勉強不足で得点できなかった問題(本来は得点源にできたはずの)があったので、難問奇問はスルーして良問や易問を確実にさらっていくというのが(どの試験でもそうだが)王道だろうと思う。
 その意味で重要なのが知識の定着で、問題を解くなかで知識を定着させるのもありだし、テキストや関連するyoutube動画を繰り返し利用することで定着させるのもありだろう。テキストも紙もあれば電子書籍もある時代で、動画や音声コンテンツを組み合わせるとやり方はいろいろ選べるのでやりようはいろいろあるかなと。
 
 個人的にはひなたさんが連日ツイッターのスペースで90分ほど実施されていた各領域の解説企画がよかったです。モチベーションの維持にもなったので、この場を借りてありがとうございました。


 そんなわけで、自己採点ではギリ合格だけどこの点数ではまだ受かったとは自信もって言えません。待て来月!(結果は10月29日郵送)


※12/27追記

 正式な結果ですが142点でした。合格ラインが今回は143点だったため、1点足りず不合格でした。また来年頑張ります。



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2021年09月20日

チームとして強くなる、そのためになすべきことは ――『ハイキュー!! セカンドシーズン』(2015年)






 Abemaで少し前からハイキュー!!シリーズを最初から順番に一挙放送していることに気づいたので、1期の曖昧な記憶を掘り起こしながら(1期だけ当時リアタイした)2週間にわたって2期25話を見た。これはなんというか、端的に言ってめちゃくちゃ面白い。その理由はいくつかあるが、バレー経験者として見る時にこのアニメの面白さを一番感じる。

 2期でのクライマックスとなる青葉城西戦が進行していく中で実際に言及されるが、戦術的に進化が進んだ(とりわけ男子の)現代バレーをアニメ(原作はマンガだが)で再現するとこういう風になるのか!! という驚きが多々ある。例えばスパイクを打つ方向や、誰が打つのか。あるいは状況に応じてフェイクとなるジャンパーが何人いるのか、その時の陣形はどうなっているのか・・・などなど、たった6人しかいないコートの中で目まぐるしく陣容が変わる様子がダイナミックに描写されている。

 そしてそれはもちろん相手のチームも同じである。将棋を指すかのように、互いに互いの手を読みあい、その先を行こうとする。レベルの高いゲームになってくればくるほど、パワーやアイデアだけではスコアを取れない。だから常に進化しなければ、戦術はすぐ相手に研究されて対策される。イタチごっこのように見えるが、それが結果としてハイレベルなバレーボールの実現につながるのが非常に面白いのだ。

 で、その超白熱する青葉城西戦に至るまでのチーム烏野が出来上がるプロセスが2期の前半の、主に東京合宿を舞台にしたエピソードで展開されていくのも面白い。アニメとして見る場合、試合が面白いのはもちろんだが、やはりその試合を構成するチームの形成されるプロセス、いわばチームビルディングの段階が2期前半で丁寧に描写されているのがよいなと感じた。(これも経験者目線かもしれない)

 白熱のゲームに至るまでの、地道な葛藤。あるいは、ゲームを続ける中での葛藤。サーブをどう打つか、レシーブをどう返すか。そういったディティールにしっかりとこだわるからこそバレーボールの醍醐味を描き出すことができ、またキャラクターそれぞれがしっかりと生きている。バレーは交代で選手が出入りすることが一般的なので、コートとベンチ併せて一つのチームとして戦う構図が本当にうまく表現できているなと感じたのだ。

 そうした様々なプロセスを経て強くなった烏野が白鳥沢にどう挑むのか。続く3期も楽しみだ。


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2021年09月13日

8月後半〜9月前半に言及した文献情報まとめ #深夜の図書室

 ツイッターのスペース機能を使って、不定期に「#深夜の図書室 」という企画をやっている。コンセプトは「深夜にひっそりとオープンする図書室のようにお使いください。本を読んだり仕事や勉強したり、雑談したり、人の話を聞いたりと、自由にどうぞ」という感じ。スペース機能は毎日のようにラジオ感覚で使う楽しい機能なのだがついつい盛り上がりすぎて本を読む時間が減っている→なら本を読むためのスペースをしよう、という感じで少し前から始めた。

 9月はケイト・マーフィ『LISTEN』の読書会をやるなどミニ企画をやったりしているが、読書会をしない回でもタイムラインに本やウェブサイトの情報を流すことが増えている。しかしタイムラインはすぐに流れるし、参加(入室)できなかった人はたどりづらいため、定期的にこのブログ内でまとめていくことにした。

 以下、8月後半から9月前半に言及した/された情報の一覧。この情報を見て手に取ってもらえればうれしいかぎり。



LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる
ケイト・マーフィ
日経BP
2021-08-05






セラピスト(新潮文庫)
最相葉月
新潮社
2017-03-24




測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
ジェリー・Z・ミュラー
みすず書房
2019-05-10


オープンダイアローグとは何か
斎藤環
医学書院
2015-06-22


すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)
ドーア,アンソニー
新潮社
2016-08-26




9/11レポート 2001年米国同時多発テロ調査委員会報告書
アメリカ合衆国に対するテロリスト攻撃に関する国家委員会
ころから株式会社
2021-09-10


介入するアメリカ: 理念国家の世界観
俊宏, 中山
勁草書房
2013-09-25


働く女子の運命 (文春新書)
濱口桂一郎
文藝春秋
2016-01-15




日本の雇用と労働法 (日経文庫)
濱口 桂一郎
日本経済新聞出版
2011-09-16


つけびの村
高橋ユキ
晶文社
2019-10-04



 この期間はこんな感じ。言及した本や情報がある程度の量になれば今回のようにまたまとめていきたい。

 引き続き、「#深夜の図書室」のご利用を心よりお待ちしております。

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