2020年09月

2020年09月27日

【2020年8月振り返り】ヤクルト勝てません、躍動、yama、群青

 7月のエントリーでヤクルトはなぜ強いのだろうかという雑な分析をつらつら書き連ねたけど、あれは本当に一瞬のものであって、気づけばもはや最下位が定位置である。理由は簡単で、打線に比べて脆弱な投手陣が夏本番になって明らかに疲れて来たのだろうと思った。リリーフも盤石ではなくなり、先発が踏ん張るもリリーフが崩れる試合が増えて来たし、そもそも先発が5回まで投げられないことも珍しくなくなった。

 唯一の希望がライアン小川で、8月15日のノーヒットノーランはまだまだ記憶に新しい。ヤクルトってガトームソン以来では?と思ったら本当にガトームソン以来14年ぶりで、当時はリアルタイムでは見られなかったけど、いまは文明の利器(DAZN)のおかげでリアルタイム視聴することができた。他の投手の、行けそうで行けないノーノ―を多々見て来たけれど、この日のライアンならいけるかもしれないな、と感じた。それほど、大崩れしない安心感があった。ただそれは半分くらいでもあって、そもそも日曜日の登板はほとんど勝ってきていたので、まずは勝つこと、ノーノ―はおまけくらいのノリで見ていたのが半分くらい。

 カツオこと石川はまだ今年は勝てずにいる(このエントリーを書いている9月でもまだ未勝利だ)中、ライアンが勝ち続けるのは一種の希望である。ただその分ライアンに負担をかけてしまっている現状でもある。野球はチームスポーツなので、特定の誰かに負担がかかりすぎるのは好ましくない。結局は、底上げをやっていくしかないんだろうなあと思う。しかし毎年のように同じ課題が露呈するが克服できないのも、つらいことだ。

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 8月は前半あまり体調がよくなかった。それでも、ウーバーイーツはコンスタントに続けていた。体調が悪い中でも運動量をあまり落としたくなかったことが理由としてあるが、それ以上に8月は忙しかったからである。理由はよく分からないが、まだ大半が梅雨だった8月と比べると急に暑くなって外出を自粛したからだろうか。それにしてもラブホから注文が来るとは思わなかった。

 体調が悪い中、ちょうど坂本真綾の「躍動」のストリーミング配信がスタートして、もう100回以上は余裕で聞いたのではないか、と思うくらい聞きまくっていた。FGOは全然フォローしてないけど、個人的には「レプリカ」を思い出すような、後ろめたさが少しにじむ歌詞と疾走感あふれるメロディというアンバランスさがとても好きである。



 「手に入れるのが勝利なら手放すのは敗北でしょうか」という冒頭の歌詞、そもそも勝利を手に入れる人が敗北を「手放す」という表現をすることはまずない。そのあと「誰も傷つかない世界」を「きれいごとかもしれない」と評価するあたりに、ああきっとこれは中途半端に優しい人を歌った歌詞なんだろうと思った。中途半端な優しさは、益になるより害になる方が多い。だから全体的にこの歌詞は後ろめたい匂いがするのに、「躍動」というタイトルとメロディの疾走感に後ろめたさは一ミリもない。

 なんなんだこの曲は??というのが、100回以上聞いている理由なのだろうと思う。「レプリカ」もそうだけど、複製というタイトルを突き放すように歌いながらやたら明るく聞こえてしまうメロディが面白いのだ。こうしたアンビバレンスで、しかもどう考えても難しいだろうという歌唱を、すっとこなしてしまう坂本真綾が憎い。とても愛おしくなるほどに、だ。

 こんな感じで真綾を聞くまくっていたらレコメンドされたのがyamaである。声質は女性だと思われるが、年齢性別不詳の覆面歌手として緊急事態真っ盛りの4月にyoutubeに降臨している。


 
 「深夜東京の六畳半夢を見てた」や「真夜中はすぐそこさ」という歌詞と、エキゾチックでエレクトロなメロディを聞いていると、YOASOBIやずとまよの系列に並べてもいいのかもしれない。(実際この二つのユニットとヨルシカは、多くのリスナーがかぶっているだろう)

 そのYOASOBIが8月最後の日にリリースしたのが、『ブルーピリオド』をイメージした曲、「躍動」だ。この曲も、東京の深夜〜明け方を直接的に表現している。深夜の六畳半も、明け方の渋谷も、どうしようもなくやるせない若さや青臭さが香る(だからこその「群青」なのかもしれない)。

 そういう曲を30歳の自分が聞くのと、10代や20代前半で聞くのとでは、あるいは東京の中と外で聞くのとでは全く印象が異なるんだろうなとは思いつつ、自分には自分の青春があったし、30歳になってもまだこういう青臭い曲を笑い飛ばさずに素直に受け止められるのは、それ自体は悪いことではないんじゃないか。自分がもう若くないことを知っていて、だからこそなお、青臭いイメージを表現することの価値をかみしめる。

 「知らず知らず隠してた本当の声を響かせてよ、ほら、見ないふりしていても確かにそこにある」


 
 ちなみにYOASOBIで一番好きなのは「ハルジオン」です。MVもかわいい。





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8月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1832
ナイス数:14

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読了日:08月26日 著者:川西 諭,山崎 福寿
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読了日:08月30日 著者:坂上 裕子,山口 智子,林 創,中間 玲子
セルフケアの道具箱: ストレスと上手につきあう100のワークセルフケアの道具箱: ストレスと上手につきあう100のワーク
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読書メーター

 バナジー&デュフロは素晴らしかった。『貧乏人の経済学』も近いうち読みます。




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2020年09月14日

二つの緊迫を追う ――『ユナイテッド93』(アメリカ、2006年)



見:Amazon Prime Video

 今年も9月11日が近づいたからかもしれないが、9.11後に最初に作られた関連映画『ユナイテッド93』がAmazonビデオの100円レンタルコーナーに入っていたので見てみた。グリーングラスは以前2011年にノルウェーの起きたウトヤ島連続殺傷事件を題材にした『7月22日』を見て非常に感銘を受けたので、過去作品も見てみたいと思っていたところだった。



 この映画には二つの緊迫が描かれている。一つは管制サイドだ。いくつかの管制が舞台になっており、アメリカ軍の関連部門も描写されているが、最初はそもそも何が起きているのかの情報が少ない中、画面上の針路や機内との交信などに「異変」を感じるところから始まっていく。会話を聞き、繰り返し再生して"planes"という単語を聞き取るシーンは、9月11日に現実に起きたことをよく知っていても鳥肌が立つ。ただのハイジャック(a plane)ではなく、planes、つまり何者かが組織的に複数の航空機をハイジャックしたのではないか、と。

 世界貿易センタービルに二機が突っ込むシーンも描写されており、ここで事態の大きさに気づき、愕然とする。いまであればソーシャルメディアで早くからリアルな情報を得られたかもしれないが、当時はまだ携帯電話を持っている人が大勢はいないようなテクノロジー環境だ。機内の人も機外の誰かから情報を得ようとするが散発的であり、結果としてもっと早く適切な情報を入手できていたら、結果は違っていたのかもしれないと思ってしまった。

 こうした情報環境はしかし、機内の人々の様々なやりとりを、いわば人生で最後の行為を映しとる。携帯電話で家族に連絡する者もいれば、その電話機を近くにいる携帯電話を持っていない人に貸し出す者もいた。祈り続ける者、大丈夫、なんとかなると自分や周囲を安心させる者。そして、なんとか反撃のチャンスをうかがっている者・・・などなど。

 グリーングラスが描きたかったのは、こうした名もなき人たちだったのだと思う。管制の人や軍の人たちも含め、この事件に関わった(そして亡くなった)人たちを画面に残したかったのだろう。『7月22日』もまさに、亡くなった人を丹念に描写し、そして残された人の闘いを鬼気迫る展開で追った作品だった。

 本作でもその鬼気迫るシーンは終盤に訪れる。しかし私たちは悲劇的な結末もまた知っている。いや、知っているからこそ最後の10分ほどのシーンを、たとえこの映像がフィクションだとしてもしっかりと見ておきたい。そう強く思って、見つめていた。





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