Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。

2013年05月

 さて、つづき行ってみよう。前回はこちら

6.茅原実里「この世界は僕らを待っていた」



 『翠星のガルガンティア』OP。
 このクールはほんとうに優れた曲が多いと思うのだけど、これもその筆頭に入れていいと思う。アニメの雰囲気とマッチしているからかもしれないが、いい意味で新しさを感じない王道路線の曲のつけかたと歌詞(畑亜貴)になっている。
 歌っているみのりんは年度が変わる直前に事務所を退社してフリー(正確には個人事務所設立)になる、という経緯があったので結果的に転身後第一作、という形にもなった。その意味では彼女自身のこれからに照らし合わせてもふさわしい曲になっているかもしれない。
 タイトルを歌詞からとるところや(ちょうどサビの終わりである)「僕ら」「世界」「夢」「舞い上がれ」などなど、そうそうこれこれという王道感あふれるフレーズを詰め込んでくるのは畑の才能の一つ。

7.Choucho「空とキミのメッセージ」

 

 『翠星のガルガンティア』ED。
 ニコニコで活動していてメジャーデビューしたシンガーのひとりで、まだまだプロとしてのキャリアは浅いながら安定した歌唱を今回も披露しており、さすがといったところ。声の発音と伸びがいいシンガーなので、サビで「うれしくて うれしくて」のようにリフレインをきかせる歌詞は印象に残る。
 その歌詞を書いたのはこだまさおり。『氷菓』1クール目のOP「優しさの理由」でもこだまさおりはChouchoに歌詞提供しているのでこの二人はおなじみかなと思い調べたら、3rdシングル収録の「ハルモニア」以外は一貫してこだまが歌詞を提供しているようだ。
 アニメのED映像は最近のアニメにしては変化に乏しいが、ゆったりとした雰囲気とこの歌の相性はいい。なんとなく、NHKアニメっぽいなと思う。

8.fripSide「sister's noise」



 『とある科学の超電磁砲S』OP。
 まずはオリコンウィークリー1位獲得おめでとうございます。チャートにどれだけの意義があるのかはまあよく分からないけども、売れることは悪いことではないでしょう。10周年を迎えたfripSideとしてもこれは意義があるような気がする。
 『リスアニ!』vol.13でも大々的に取り上げられ(表紙は御笠姉妹)八木沼も南條も個別にインタビューを受けるという形になっている。八木沼はいかに"only my railgun"を超えるかについて再び苦悩したらしく、今回はメロウさを加えてほしいというオファーからこの曲を作り上げたらしい。エレクトロだけどいままでの2作にくらべるととっつきやすさもあり、そのへんもウケたのかも知れない。
 機械的すぎず、それでもfripSideのアニソンらしい(というか、レールガンの主題歌らしいと言うべきか)エレクトロさとキャッチーさは十分発揮されている。聴いてる打ちに耳になじんでくるのはボーカル南條愛乃の歌唱がなせるわざで(もちろんonly〜のころよりは上達している)これはほんとにすばらしいの一言。自身名義のソロともラブライブ!の綾瀬絵里とも違う歌い方をしていて、こちらではいい意味で力を抜いた声を魅せてくれる。個人的に今一番好きな声優シンガーだと言ってもいい。

※参考



 nonさんによる鏡音リンを使ったカバー。他のボカロもコーラスで採用されている。
 週刊VOCALOIDランキングで2週連続首位になるなど、本家ともども愛されている模様。

9.井口裕香「Grow Slowly」



 『とある科学の超電磁砲S』ED。
  声優でもある井口の個人名義としては2ndシングル。1stは劇場版インデックスの曲にも採用されていたので、2枚続けて『とある』シリーズでの採用となる。
 OPにすり替えてもおそらく見栄えもするだろう明るく前向きで元気な曲。爽やかなバンドサウンドは海のそばで撮影されているらしいMVとも相まっていい意味で王道感しかない。
 作詞作曲をしている渡部翔には「コネクト」の印象が強くあるけど、こういう曲調もなかなかいい。しっかりアニソンしてるし、井口の伸びのある元気な声とすごくマッチしている。そっとそっと前へ、というささやかだけど力強いメッセージもこもっている。
 今回選曲したなかでは一番最後に選んだ曲なのだが、聴けば聴くほど味があってとても楽しい。やや鬱展開によりがちな今回のアニメの作風のなかで、このEDを聴いて終わることによって何らかの救いが与えられているようにも思う。ほんとうによくできている。


10.あいう♥らぶ「カニ☆Do-Luck!」



 『あいうら』OP。
 最後はこの謎OPで。この歌にとりつかれて『あいうら』というアニメを見るようになったと言っても過言ではない。『ゆゆ式』と似ていて(たまたまだろうけど唯とさきちゃんはルックスも似ている)3人の同級生の女の子の話だけど、楽しみ方は全然違うような気がする。気がする。
 歌は声優3人が歌っていて、全員新人に近い形の人らしい。中島唯という人は中島愛と最初見間違えそうでしたごめんなさい。ニコニコ超会議ではライブも行ったがいろんな意味でこれからの人たちということで歌はさほどうまくないのだが、そもそも歌のうまさを気にしなくても楽しめるような曲の作りになっているので、持っていかれてしまったらそれでよしというところだろうと思う。
 挿入歌とEDもあいう♥らぶの3人が歌っているがこっちは比較的まともな(と言うのも変だが)曲なのでOPだけなぜあの構成になったかは謎である。どこかのインタビューとかで書いてあるのかな。
 アニメの監督は『ねらわれた学園』の中村亮介監督というのも、気になって見ている理由のひとつ。たった5分(実質4分)の尺のなかにも見せ所はたくさんある。

 
 以上が今季のベスト10曲。最初は思っていなかったのだが、前クールよりも案外豊作で改めて動画やMVを見返したり、曲を聞き返すのが楽しかった。
 で、せっかくなのでというわけではないけど、10選に漏れたものも紹介。+αとしてもう2曲ほど。
 
選外1.上坂すみれ「七つの海よりキミの海」



 『波打ち際のむろみさん』OP。
 ある意味満を持してのすみぺのデビュー曲。曲は神前暁、詞は畑亜貴というすばらしい布陣。「むろみーここだー」と叫ぶすみぺ。アニメは見てないけどこの曲には無駄にやみつきになる。 

選外2.ピコ「言ノ葉」



 『刀語』ED。
 ノイタミナで再放送という形で放送されているがOPとEDは完全新作。OPはsupercell、EDはピコというともにニコニコに縁のある人たちが和ロックテイストな、これも最近のボカロで人気のジャンル(超有名なのだと「千本桜」)を作っている。
 OPも悪くはないけどsupercellは前回の「Bravery」が個人的にはすばらしかったので、EDのこっちを。ピコのことは正直よく知らんのだが、中性的な声はなるほどよくハマっている。それでかつもちろん男性なので声に一定のパワーがあり、それでいて綺麗さも兼ね備えているので彼がウケるのも分かるな、と確認した一曲。
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 この前のクールでやろうかなあ、と思ってできなかったことを少しやってみる。
 アニメについて語ることは終わってからでないとできないけど、アニソンについてならできるよね、ということで10選いってみよう。全部で何曲あるのかは分からんが春アニメのOPとEDのなかから気に入ったものを以下に羅列していきます。バイアスがかかってないという意味で、ちゃんと見てないアニメからもいくつか選びたい。あと、あの曲とあの曲はあまりにも有名すぎて語ることが難しいので(無理ではないけど)あえて外しました。

1.情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙)「せーのっ!」

 

 『ゆゆ式』OP。
 「あーしたをのぼって」という明るく快活な声と歌詞から始まるこの曲は、その後の展開を十分に保証してくれている。実際フルで聴いてもすばらしくよかったというか、聴いてて楽しい曲というのはアニソンとしてひとつの目指すところなんじゃないかとか考えていた。
 主要キャラ3人の声優が歌っていることからキャラソンということもできるだろうし、その分歌としての完成度は決して高いとは言えないかもしれないが、前述したように幸福感しかない楽しい曲で、安心して今クール最高のアニソンとして推すことができる。
 作詞、曲のふわりPはボカロでおなじみのPで、あつぞうくんのサークルのアルバムのなかで何曲か聴いたことがあったがそんなに強い印象ではなかった。これを機に聴き直してみようか、とも思っている。
→ふわP(すとり)さんと勘違いしていました。訂正します。

2.やなぎなぎ「ユキトキ」



 『俺の青春ラブコメは間違っている』OP。
 音楽は北川節といった感じで、近いところだと『こばと。』のOP曲である坂本真綾「マジックナンバー」を想起した。明るいまま突き抜けていって、気持ちいい音楽を打ち鳴らすことで全体を整えていく作り方はさすがの一言。
 で、北川勝利の曲にやなぎなぎが合うのか、というところなのだが、最初の感想は悪くはないな、というところ。supercell名義は別として、同人でも今まで歌ってきたアニソンのなかでもこの曲に近い曲調をやなぎなぎ自身が歌っているところを、少なくとも俺個人はほとんど知らない。だからsupercellをいったん離れた彼女としては、ひとつの挑戦なのかもしれない。
 それでも、彼女自身が「雪解け」を意識して書いた詞のイメージは北川の音楽やアニメそのものの作品ともマッチしていると思うし、1サビにある「つれだして つれだして」というリフレインがとても印象に残る。

3.Annabel「スモルワールドロップ」



 『RDG レッドデータガール』OP。
 Annabelの澄んだ声を存分に生かした曲。その声の特質からEDを歌うというイメージが自分のなかにあったが、爽やかさな音と彼女の澄んだ声はなにかの始まりを予感させる(まさに、「変わっていくために」かもしれない)し、その意味ではOPとしてもふさわしい。音が全体的に優しく鳴っていて、特に弦の音がかなりマッチしているという効果もあるだろう。
 フルで聴いてもその印象は変わらず、フルで聴くとまた違った音のこだわりが感じられて面白かった。アウトロまでしっかり聴きたいアニソンというのはあまりないような気がするし、Annabelの表現力の高さと同じく作画や背景のクオリティで安定の質を誇るP.A.WORKSのアニメという組み合わせもまた妙だろう。その意味では『another』もすばらしかった。

4.ClariS「reunion」



 『俺の妹がこんなにかわいいわけがない。』2期OP。
 帰ってきた俺妹。とClariS、そしてkzという組み合わせ。俺妹。1期でメジャーデビューして2年半が経ち、この間に高校生になったClariSは確実にうまくなっている。
 元々声質の高さを生かした歌のうまさというのがClariSの特徴だったと思うが、「reunion」 では一つ一つの歌詞をかなりしっかり歌っているな、という印象がある。1サビの「君とまた手をつなごう」ではないが、これからもきっと長く歌い続けるということを彼女たちもどこかで意識したのかもしれない。あと、「君とまた手をつなごう」に関してはkz自身の原作やClariS自身への思いもこもっているはず。
 kzは『リスアニ!』vol.13のインタビューでClariSや楽曲について語っているのだが、「irony」のようなキャッチーさではなくてシンプルに作ったのが「reunion」だという。確かに「irony」ほどキャッチーなメロや歌詞はないが、だからといってクオリティが下がるのでは全然ないし、むしろ風格が少しずつ出てきたと予感させるClariSの歌声に、頼もしさすら思える。要は、曲そのものの魅力以外の部分を引き出せるように成長してきたのが今のClariSだろうから、今後も楽しみでしょうがない。というところで来月2ndアルバムを出すらしいのでこれはもうたまらなく楽しみ。

5.日笠陽子「この美しき残酷な世界で」



 『進撃の巨人』ED。そういえば今までの選曲はずっとOPだったけどここでやっとこさEDを。
 さて、けいおん!の秋山澪役でその歌唱を存分に披露しつつ、ソロデビューには一定の距離をとってきたと思われる彼女だが、ついに満を持してのソロデビューとなる。去年の花澤香菜ではないが、ひとつのプロジェクトのような形でこの一年(正味半年くらいだが)が進行していくらしい。その本気度は歌手としての彼女のホームページやMVのクオリティの高さからも十分にうかがえる。そうじゃないと、彼女はソロデビューという決断をしなかったかもしれない。
 前置きが長くなったが楽曲について。正直自分のなかでは秋山澪がこの曲を歌っている、といっても違和感はない。ダークバラードでのデビューというのもなかなか珍しいと思うが、要は秋山澪としての日笠陽子と、彼女単体として歌うときと、どうやって差異を作っていくか、違いを出していくかはひとつの課題だろう。とはいえ、ClariSがそうであるようにある程度のキャリアを重ね、歌唱のトレーニングを積んでいくと確実に成長するし、それだけのポテンシャルを持っているのは疑いの余地がない。
 静かに始まりサビで音が大きくなる、という曲の構図はフルで聴くと2番以降さらにその度合いが濃くなっていく、というのを確認できた。そしてその音に日笠陽子は負けていない。彼女自身、必死で自分の色を出そうと懸命に歌っている、という感じだろうか。1サビの「美しき残酷な世界では」と歌う、「では〜」の部分に彼女自身の強い主張を感じた。
 オリコンのウィークリーで9位になったようで、ひとまずおめでとうございます。

 長くなったので続きは後編で!
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