2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:2005ページ
ナイス数:30ナイス
マウス (講談社文庫)の感想
役割を自覚しつつ小さく生きる女の子と、役割を与えることではばたこうとする女の子の葛藤の物語。
読了日:2月24日 著者:村田 沙耶香
100語でわかるロマン主義 (文庫クセジュ)の感想
読書会で使用。辞書的には使えるしそれなりには面白かったが、初学者にはとうていわかるところまでは到達できず。
読了日:2月17日 著者:ブリュノ・ヴィアール
Sports Graphic Number PLUS 完全保存版 中山雅史と日本サッカーの20年の感想
Jの歩み、平成以降の日本代表の歩みと重ねるようにして中山雅史の歩んできた日々をふりかえる一冊。インタビューの再録が中心なので当時を知る人には既知のことが多いかも知れないが、2000年代以降にサッカーファンになった自分には貴重な記録として楽しく読んだ。30歳、34歳、38歳でも諦めないと語った彼(p29)は、40代まで駆け抜けた。
読了日:2月17日 著者:
乙女の密告 (新潮文庫)の感想
細切れの文体は読みやすくもあるが、ところどころもう少し別な表現を使うべきなのではないかと思う箇所が目につく。柔らかくてコミカルにもなる関西弁の文体は悪くないが、内容的にカタルシスを得るには短い。うまく落とし込むために拙速になったようにも見える後半は惜しい。もう少し、主人公が『アンネの日記』と対話する様を読みたかった。
読了日:2月16日 著者:赤染 晶子
いつか王子駅で (新潮文庫)の感想
都電の話かと思い気になってブックオフで買った一冊。読み進めると大きなことは起こらないが、日常見ている「私」の風景が詳細につづられ、より純文学ナイズされた柴崎友香、という印象。だが、個人的には昭和の競馬シーンがなんどもリフレインされる文章に心惹かれる。咲ちゃんという家庭教師先の女の子が陸上の短距離走者という設定からイメージできたシーンを、最後の最後にきっちり書いてくれるというのは一種のファンサービスなのかもしれない。よみがえる杉本清の名実況も含め、このシーンはひとりの競馬ファンとして息をのむ。
読了日:2月16日 著者:堀江 敏幸
道徳形而上学の基礎づけ (光文社古典新訳文庫)の感想
中山訳に助けられながら読んだところはきっと多いのだろう。解説は参考になったが熟読はまたいずれの機会に。経験的ではなくアプリオリであること、行為は結果ではなく動機や意志が重要であること、そして自由と道徳、主体のあり方などなど、カントを知るための土台がつまっている一冊で、自らが自らの解説をしたような本だった。
読了日:2月15日 著者:イマヌエル カント
勝手にふるえてろの感想
主人公の20代後半江藤ヨシカのキャラが立ちすぎて笑いながら読んでいたらあっというまに終わってしまった。タイトルは綿矢からふたりへのメッセージ(というほどの言葉でもないが)なんだろうかな、と思いながら本を閉じる。
読了日:2月9日 著者:綿矢 りさ
人生が用意するもの
読了日:2月8日 著者:川上 未映子
海野十三敗戦日記の感想
柴崎友香『わたしがいなかった街で』の主人公が読んでいたこともあり気になって読んでみた。終戦に向かう1944年〜45年の日記が大半で、敗戦後は日記の記述もまばらになっている。東京はもちろんのこと、日本各地の空襲の状況を記録しながら、自らの家族のことや収入のことに関する個人的で切実な記述も印象的。あと電車の運行状況や闇市の様子、空襲によって焼失した地域を歩いた記述などが具体的に書かれているので読んでいて臨場感があった。この時期、ほんとうに東京は焼け野原だったのだということがよく伝わってくる。
読了日:2月7日 著者:海野 十三
スコーレNo.4 (光文社文庫)の感想
春休みに入ったので積ん読消化キャンペーンの一環として読んだ本だが、積ん読を見事に後悔させる満足度。古本屋の100円コーナーで買った本だし宮下自体これが初めてなので期待していなかったから、なおさら喜びが大きいかも。No.1〜4まで4つの章立てがあるが前半が家を出る前のお話で、主に両親や姉妹、いとこなど家族、親類関係のお話。後半は大学生、社会人となりより主人公である津川麻子自身の物語になる。このふたつが切れているようで切れていない仕掛けがNo.4で展開されていて、ささやかながら思わず息をのんだ。うまい、と。
読了日:2月3日 著者:宮下 奈都
久坂葉子の誕生と死亡の感想
自己紹介的エッセイ。作家としての論理もなく、批評に耐えられず、悪化していく心情など「幾度目かの最期」にいたるまでの道のりが書かれている。
読了日:2月2日 著者:久坂 葉子
幾度目かの最期の感想
ざっくりまとめると元々死にたみな20歳前後(だと思われる)の女の子がしだいにメンヘラ化していくお話。戦後すぐに書かれた文章にしては洗練されていて平易でもあるため、おそらくいまでも十分共感を呼ぶのではないかと思われる。日記のような文体をとっていて、懇意になった男たちを名前ではなく「青白き大佐」や「緑の島」と通称で呼ぶことによって親密さが表れている。非対称な愛情と救われないわたしとに苦しみ、飲み、食い、歌うという都市生活をだらだらと送ることで先送りされていく最期を悲観的にみつめている様は痛々しくも瑞々しい。
読了日:2月2日 著者:久坂 葉子
落ちてゆく世界の感想
落ちてゆく世界という題にしたのあ自虐的というよりは無気力に近いのだろうな、と思いながら読み終えた。家財を売って生計を立てるというのは過去に依存しつづけることで、だれも主体的に「家」の未来を考えているようには思えない。あるとしたら姉である「わたし」の弟である信二郎に対する偏愛に近いまなざしで、その執着に「わたし」の私性のひとつが読み取れる。そして起こった「動」がこの家の人々にどのように影響を与えるのかが気になるが詳細には述べられないまま小さな物語は幕を閉じる。
読了日:2月2日 著者:久坂 葉子
読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:2005ページ
ナイス数:30ナイス

役割を自覚しつつ小さく生きる女の子と、役割を与えることではばたこうとする女の子の葛藤の物語。
読了日:2月24日 著者:村田 沙耶香

読書会で使用。辞書的には使えるしそれなりには面白かったが、初学者にはとうていわかるところまでは到達できず。
読了日:2月17日 著者:ブリュノ・ヴィアール

Jの歩み、平成以降の日本代表の歩みと重ねるようにして中山雅史の歩んできた日々をふりかえる一冊。インタビューの再録が中心なので当時を知る人には既知のことが多いかも知れないが、2000年代以降にサッカーファンになった自分には貴重な記録として楽しく読んだ。30歳、34歳、38歳でも諦めないと語った彼(p29)は、40代まで駆け抜けた。
読了日:2月17日 著者:

細切れの文体は読みやすくもあるが、ところどころもう少し別な表現を使うべきなのではないかと思う箇所が目につく。柔らかくてコミカルにもなる関西弁の文体は悪くないが、内容的にカタルシスを得るには短い。うまく落とし込むために拙速になったようにも見える後半は惜しい。もう少し、主人公が『アンネの日記』と対話する様を読みたかった。
読了日:2月16日 著者:赤染 晶子

都電の話かと思い気になってブックオフで買った一冊。読み進めると大きなことは起こらないが、日常見ている「私」の風景が詳細につづられ、より純文学ナイズされた柴崎友香、という印象。だが、個人的には昭和の競馬シーンがなんどもリフレインされる文章に心惹かれる。咲ちゃんという家庭教師先の女の子が陸上の短距離走者という設定からイメージできたシーンを、最後の最後にきっちり書いてくれるというのは一種のファンサービスなのかもしれない。よみがえる杉本清の名実況も含め、このシーンはひとりの競馬ファンとして息をのむ。
読了日:2月16日 著者:堀江 敏幸

中山訳に助けられながら読んだところはきっと多いのだろう。解説は参考になったが熟読はまたいずれの機会に。経験的ではなくアプリオリであること、行為は結果ではなく動機や意志が重要であること、そして自由と道徳、主体のあり方などなど、カントを知るための土台がつまっている一冊で、自らが自らの解説をしたような本だった。
読了日:2月15日 著者:イマヌエル カント

主人公の20代後半江藤ヨシカのキャラが立ちすぎて笑いながら読んでいたらあっというまに終わってしまった。タイトルは綿矢からふたりへのメッセージ(というほどの言葉でもないが)なんだろうかな、と思いながら本を閉じる。
読了日:2月9日 著者:綿矢 りさ

読了日:2月8日 著者:川上 未映子

柴崎友香『わたしがいなかった街で』の主人公が読んでいたこともあり気になって読んでみた。終戦に向かう1944年〜45年の日記が大半で、敗戦後は日記の記述もまばらになっている。東京はもちろんのこと、日本各地の空襲の状況を記録しながら、自らの家族のことや収入のことに関する個人的で切実な記述も印象的。あと電車の運行状況や闇市の様子、空襲によって焼失した地域を歩いた記述などが具体的に書かれているので読んでいて臨場感があった。この時期、ほんとうに東京は焼け野原だったのだということがよく伝わってくる。
読了日:2月7日 著者:海野 十三

春休みに入ったので積ん読消化キャンペーンの一環として読んだ本だが、積ん読を見事に後悔させる満足度。古本屋の100円コーナーで買った本だし宮下自体これが初めてなので期待していなかったから、なおさら喜びが大きいかも。No.1〜4まで4つの章立てがあるが前半が家を出る前のお話で、主に両親や姉妹、いとこなど家族、親類関係のお話。後半は大学生、社会人となりより主人公である津川麻子自身の物語になる。このふたつが切れているようで切れていない仕掛けがNo.4で展開されていて、ささやかながら思わず息をのんだ。うまい、と。
読了日:2月3日 著者:宮下 奈都

自己紹介的エッセイ。作家としての論理もなく、批評に耐えられず、悪化していく心情など「幾度目かの最期」にいたるまでの道のりが書かれている。
読了日:2月2日 著者:久坂 葉子

ざっくりまとめると元々死にたみな20歳前後(だと思われる)の女の子がしだいにメンヘラ化していくお話。戦後すぐに書かれた文章にしては洗練されていて平易でもあるため、おそらくいまでも十分共感を呼ぶのではないかと思われる。日記のような文体をとっていて、懇意になった男たちを名前ではなく「青白き大佐」や「緑の島」と通称で呼ぶことによって親密さが表れている。非対称な愛情と救われないわたしとに苦しみ、飲み、食い、歌うという都市生活をだらだらと送ることで先送りされていく最期を悲観的にみつめている様は痛々しくも瑞々しい。
読了日:2月2日 著者:久坂 葉子

落ちてゆく世界という題にしたのあ自虐的というよりは無気力に近いのだろうな、と思いながら読み終えた。家財を売って生計を立てるというのは過去に依存しつづけることで、だれも主体的に「家」の未来を考えているようには思えない。あるとしたら姉である「わたし」の弟である信二郎に対する偏愛に近いまなざしで、その執着に「わたし」の私性のひとつが読み取れる。そして起こった「動」がこの家の人々にどのように影響を与えるのかが気になるが詳細には述べられないまま小さな物語は幕を閉じる。
読了日:2月2日 著者:久坂 葉子
読書メーター