12月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:5448ページ
ナイス数:29ナイス
ちなみに2011年に読んだ本のまとめはこんな感じです。
手元のメモではあと2冊読んでいて合計141冊のはずなんだけど、月ごとのメモが手元にないので残り2冊が分からん。過去の記事見れば漏れがわかるかもだけど。
フラッシュモブズ ―儀礼と運動の交わるところ
読了日:12月31日 著者:伊藤 昌亮
困ってるひと
読了日:12月29日 著者:大野 更紗
ケアの社会学――当事者主権の福祉社会へ
読了日:12月28日 著者:上野 千鶴子
BLACK PAST
批評で面白かったのは村上裕一のまどマギの読み解き。表象論が得意な印象は持っていたが、えぐり出すような筆致は読んでいてエキサイティング。また、様々なジャンルの小説(ラノベ、私小説、純文学etc.)が収められているのも他の雑誌にはない魅力。全てのクオリティが高いとは同人ということもあってか言い難いが、いわゆる「島宇宙化」しやすいそれぞれのジャンルを横断していることは評価してよいと思う。
読了日:12月25日 著者:シャドウ・クラスタ編
一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル
基本的には一般意志2.0と、そこからの発展形である民主主義2.0の説明に費やしている以外のことは多くは書いていないし、主張していること自体はシンプルだと思う。重大な誤読さえしなければだが、そのへんも織り込んで書かれている(たとえばネットと政治の関係や熟議民主主義との違いなど)ので読み返せばある程度は理解できると思う。
読了日:12月25日 著者:東 浩紀
恋する原発
どうしてこうなった、が読み始めの感想だったが読み進めていくとAVを題材に選んだのが少しずつ垣間見えてくる。たかがエロであるがされどエロなのであって、エロについて語ることと震災後について語ることは高橋源一郎の手にかかれば矛盾することでもなんでもなく、むしろエロを語ってなんぼのものであるように思える。思いっきり突き抜けたところから、通常考えもしないような批評性を発揮するのはひとつの純文学のあり方としてふさわしいとも思う。それくらい、エキサイティングな読書体験だった。
読了日:12月22日 著者:高橋 源一郎
リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)
短編が4編(少し長いのがひとつあるが)収められているが、最初のお話を読んだ段階ですごい作家だなあ、と感じた。SF大賞を受賞したというのは知っていたが上田早夕里を読むのはこれが初めてで、どういう作家なのだろうと興味を持って読み進めたが期待以上の出来だった。空、病室、海、18Cイギリス。それぞれ舞台や設定は全く異なるが、語りを通じて見えてくる景色はかなり鮮明で、目に浮かぶようでもある。シナリオありきではなく登場人物たちの濃密なコミュニケーションが物語を構築していて、ぐいぐいと引き込まれていくのも楽しかった。
読了日:12月21日 著者:上田 早夕里
未知との遭遇: 無限のセカイと有限のワタシ
「3日目」に入ってようやくこれがいわゆる自己啓発本にもなりうる、というのが分かった。セカイと私、偶然と必然、そして運命と意志について猛烈な勢いで最後まで語り続ける。筆者がどうしても肯定したいものは何か。それが生きていくために必要なものかどうかは分からないが、文章を読んでいてワクワクしたのは確か。変化した現実をどのように楽しむかが、これからを生き延びるためのエネルギーにもなりうるだろう。
読了日:12月21日 著者:佐々木 敦
オトナアニメVol.22 (洋泉社MOOK)
ピンドラ特集には満足。そのあとのブレインズベース特集も興味深く読んだ。ピンドラは幾原ワールドが強調されがちだが、「かみちゅ!」や「夏目友人帳」など独特の色のある作品を作り続けてきたからこそのピンドラ、という見方もできるかもしれない。
読了日:12月18日 著者:
ぬるい毒
「きっと何者にもなれない」主人公が自覚的に墜ちていくお話、とでも言えばいいのか。共感はまったくしないが、他者からの承認とかしがらみからの解放だとかを求めたくなる気持ちは理解できる。その意味では島田雅彦が『群像』1月号で本谷との対談で語っていたように、「ちょっと外されたけどリアル」ではある。ありえそうな悲喜劇の一幕、というイメージ。本谷の文章に乗ることによって、描写そのものが物語になるのだなあと感じた。
読了日:12月16日 著者:本谷 有希子
GOSICKVI ―ゴシック・仮面舞踏会の夜― (角川文庫)
読了日:12月15日 著者:桜庭 一樹
鷺と雪 (文春文庫)
これで3部作完結かあ、という感慨はある。正直前の2作ほどミステリ色はさほど強くなく、一冊として読んで味わいがあると言える。久し振りに北村薫の文章を読んでいて思ったが、時代が混沌としていく様子を英子の目線を使って非常にうまく描いている。彼女の機微ひとつひとつが、時代を反映しているとも言える。
読了日:12月15日 著者:北村 薫
GOSICKV−ゴシック・ベルゼブブの頭蓋− (角川文庫)
読了日:12月13日 著者:桜庭 一樹
輪るピングドラム 上
読了日:12月13日 著者:幾原 邦彦,高橋 慶
自由論 (岩波文庫)
訳が特に読みにくいということもなく、内容も小難しい話をしているわけではなく当初思ったより読みやすかった。個人の自由はどこまでが許容されるべきで、どこまでは許容されないのか。政府はどのように個人の自由に干渉したり規制をかける状態が望ましいのか。などなど、自由主義にまつわるいまではごくありふれたイシューを扱っているが、具体的な例をまじえての説明が多く分かりやすい。個人的には言論の自由と伝統的な宗教について述べた2章が面白かった。とりあえず通読という感じなので、また繰り返し開いて読みたい一冊。
読了日:12月11日 著者:J.S. ミル
市町村合併をめぐる政治意識と地方選挙
卒論のために読了。ゲーム理論的な分析や計量分析が中心の構成で、個人的にやや読みづらいところもあったが検証のデータが豊富なのは参考になる。市町村合併はそれ自体の過程やその後の政治的・行政的帰結など、検証する切り口は様々あるが章ごとの繋がりや構成は意識されていて一冊として読み応えはあった。
読了日:12月06日 著者:河村 和徳
サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書)
結論が少しそれまでの話がズレた気もするが、この本の構成を考えると意図的にズラしたんだろうなあ、と思う。おそらくそれで批判を浴びることもあろうが、ひとつの論として成ってないわけでもないとは思う。ただ量的に現状分析が長かったので、主張自体は弱くもなっている。
読了日:12月06日 著者:鈴木 謙介
政治と複数性―民主的な公共性にむけて
ゼミの教授から薦められ通読。思考のフロンティアの『自由』と『公共性』は読んでいたので斎藤純一についての予備知識はあったのでいくらか理解できた部分はあるが、理解の容易な文章ではないしまた読み返すことになると思う。論文集という形式にはなっているが相互にかみ合う部分もあり、一冊でこれまでの斎藤純一の仕事を概観できる構成になっている。あとがきに主要な主張や論点がコンパクトにおさまっているので、そちらから読むのもアリだろう。
読了日:12月04日 著者:齋藤 純一
ソーシャルメディア進化論
3章が非常に秀逸。ソーシャルメディアの定義を広くとり、従来のレビューサイトやSNSや隆盛のツイッター、facebookを同じ土俵に上げている論はなかなか見ない。全体的には、そうした広義のソーシャルメディア論を展開したり、アーレントやハーバーマスの公共圏の議論をしばしば援用しつつ、ソーシャルメディアと個人が社会にどのようにコミットし、豊かな関係性を構築できるかが主眼となっている。そしておそらくこれは武田隆とその会社の半生の本でもあるだろう。最近J-WAVEで著者の話を聞いていたが、今後が楽しみな一人である。
読了日:12月03日 著者:武田隆
「平成大合併」の財政学
財政学的な観点から見た論文とケースを扱った論文がともに4本ずつ入っていて、理論→事例という繋がりが見えて読みやすい一冊だった。それぞれの論文がコンパクトにおさまっていて、骨太とという感じはしないものの、平成の大合併と地方財政の関係性をざっくりと概観することはできる。
読了日:12月02日 著者:町田 俊彦
2011年12月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:5448ページ
ナイス数:29ナイス
ちなみに2011年に読んだ本のまとめはこんな感じです。
手元のメモではあと2冊読んでいて合計141冊のはずなんだけど、月ごとのメモが手元にないので残り2冊が分からん。過去の記事見れば漏れがわかるかもだけど。

読了日:12月31日 著者:伊藤 昌亮

読了日:12月29日 著者:大野 更紗

読了日:12月28日 著者:上野 千鶴子

批評で面白かったのは村上裕一のまどマギの読み解き。表象論が得意な印象は持っていたが、えぐり出すような筆致は読んでいてエキサイティング。また、様々なジャンルの小説(ラノベ、私小説、純文学etc.)が収められているのも他の雑誌にはない魅力。全てのクオリティが高いとは同人ということもあってか言い難いが、いわゆる「島宇宙化」しやすいそれぞれのジャンルを横断していることは評価してよいと思う。
読了日:12月25日 著者:シャドウ・クラスタ編

基本的には一般意志2.0と、そこからの発展形である民主主義2.0の説明に費やしている以外のことは多くは書いていないし、主張していること自体はシンプルだと思う。重大な誤読さえしなければだが、そのへんも織り込んで書かれている(たとえばネットと政治の関係や熟議民主主義との違いなど)ので読み返せばある程度は理解できると思う。
読了日:12月25日 著者:東 浩紀

どうしてこうなった、が読み始めの感想だったが読み進めていくとAVを題材に選んだのが少しずつ垣間見えてくる。たかがエロであるがされどエロなのであって、エロについて語ることと震災後について語ることは高橋源一郎の手にかかれば矛盾することでもなんでもなく、むしろエロを語ってなんぼのものであるように思える。思いっきり突き抜けたところから、通常考えもしないような批評性を発揮するのはひとつの純文学のあり方としてふさわしいとも思う。それくらい、エキサイティングな読書体験だった。
読了日:12月22日 著者:高橋 源一郎

短編が4編(少し長いのがひとつあるが)収められているが、最初のお話を読んだ段階ですごい作家だなあ、と感じた。SF大賞を受賞したというのは知っていたが上田早夕里を読むのはこれが初めてで、どういう作家なのだろうと興味を持って読み進めたが期待以上の出来だった。空、病室、海、18Cイギリス。それぞれ舞台や設定は全く異なるが、語りを通じて見えてくる景色はかなり鮮明で、目に浮かぶようでもある。シナリオありきではなく登場人物たちの濃密なコミュニケーションが物語を構築していて、ぐいぐいと引き込まれていくのも楽しかった。
読了日:12月21日 著者:上田 早夕里

「3日目」に入ってようやくこれがいわゆる自己啓発本にもなりうる、というのが分かった。セカイと私、偶然と必然、そして運命と意志について猛烈な勢いで最後まで語り続ける。筆者がどうしても肯定したいものは何か。それが生きていくために必要なものかどうかは分からないが、文章を読んでいてワクワクしたのは確か。変化した現実をどのように楽しむかが、これからを生き延びるためのエネルギーにもなりうるだろう。
読了日:12月21日 著者:佐々木 敦

ピンドラ特集には満足。そのあとのブレインズベース特集も興味深く読んだ。ピンドラは幾原ワールドが強調されがちだが、「かみちゅ!」や「夏目友人帳」など独特の色のある作品を作り続けてきたからこそのピンドラ、という見方もできるかもしれない。
読了日:12月18日 著者:

「きっと何者にもなれない」主人公が自覚的に墜ちていくお話、とでも言えばいいのか。共感はまったくしないが、他者からの承認とかしがらみからの解放だとかを求めたくなる気持ちは理解できる。その意味では島田雅彦が『群像』1月号で本谷との対談で語っていたように、「ちょっと外されたけどリアル」ではある。ありえそうな悲喜劇の一幕、というイメージ。本谷の文章に乗ることによって、描写そのものが物語になるのだなあと感じた。
読了日:12月16日 著者:本谷 有希子

読了日:12月15日 著者:桜庭 一樹

これで3部作完結かあ、という感慨はある。正直前の2作ほどミステリ色はさほど強くなく、一冊として読んで味わいがあると言える。久し振りに北村薫の文章を読んでいて思ったが、時代が混沌としていく様子を英子の目線を使って非常にうまく描いている。彼女の機微ひとつひとつが、時代を反映しているとも言える。
読了日:12月15日 著者:北村 薫

読了日:12月13日 著者:桜庭 一樹

読了日:12月13日 著者:幾原 邦彦,高橋 慶

訳が特に読みにくいということもなく、内容も小難しい話をしているわけではなく当初思ったより読みやすかった。個人の自由はどこまでが許容されるべきで、どこまでは許容されないのか。政府はどのように個人の自由に干渉したり規制をかける状態が望ましいのか。などなど、自由主義にまつわるいまではごくありふれたイシューを扱っているが、具体的な例をまじえての説明が多く分かりやすい。個人的には言論の自由と伝統的な宗教について述べた2章が面白かった。とりあえず通読という感じなので、また繰り返し開いて読みたい一冊。
読了日:12月11日 著者:J.S. ミル

卒論のために読了。ゲーム理論的な分析や計量分析が中心の構成で、個人的にやや読みづらいところもあったが検証のデータが豊富なのは参考になる。市町村合併はそれ自体の過程やその後の政治的・行政的帰結など、検証する切り口は様々あるが章ごとの繋がりや構成は意識されていて一冊として読み応えはあった。
読了日:12月06日 著者:河村 和徳

結論が少しそれまでの話がズレた気もするが、この本の構成を考えると意図的にズラしたんだろうなあ、と思う。おそらくそれで批判を浴びることもあろうが、ひとつの論として成ってないわけでもないとは思う。ただ量的に現状分析が長かったので、主張自体は弱くもなっている。
読了日:12月06日 著者:鈴木 謙介

ゼミの教授から薦められ通読。思考のフロンティアの『自由』と『公共性』は読んでいたので斎藤純一についての予備知識はあったのでいくらか理解できた部分はあるが、理解の容易な文章ではないしまた読み返すことになると思う。論文集という形式にはなっているが相互にかみ合う部分もあり、一冊でこれまでの斎藤純一の仕事を概観できる構成になっている。あとがきに主要な主張や論点がコンパクトにおさまっているので、そちらから読むのもアリだろう。
読了日:12月04日 著者:齋藤 純一

3章が非常に秀逸。ソーシャルメディアの定義を広くとり、従来のレビューサイトやSNSや隆盛のツイッター、facebookを同じ土俵に上げている論はなかなか見ない。全体的には、そうした広義のソーシャルメディア論を展開したり、アーレントやハーバーマスの公共圏の議論をしばしば援用しつつ、ソーシャルメディアと個人が社会にどのようにコミットし、豊かな関係性を構築できるかが主眼となっている。そしておそらくこれは武田隆とその会社の半生の本でもあるだろう。最近J-WAVEで著者の話を聞いていたが、今後が楽しみな一人である。
読了日:12月03日 著者:武田隆

財政学的な観点から見た論文とケースを扱った論文がともに4本ずつ入っていて、理論→事例という繋がりが見えて読みやすい一冊だった。それぞれの論文がコンパクトにおさまっていて、骨太とという感じはしないものの、平成の大合併と地方財政の関係性をざっくりと概観することはできる。
読了日:12月02日 著者:町田 俊彦
2011年12月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター