Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。

9月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:3886
ナイス数:16

理由のない場所理由のない場所感想
一言で感想を述べるのは難しいが、この本が書かれるまでのいろいろなことを想像すると胸にくるものがある。もちろん小説自体の評価は個別に行うべきだと思うけれど、いまのところはちょっと保留したい感じ。
読了日:09月04日 著者:イーユン リー
生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想 (星海社新書)生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想 (星海社新書)
読了日:09月05日 著者:大谷 崇
源氏物語 5 (新潮文庫 え 2-20)源氏物語 5 (新潮文庫 え 2-20)
読了日:09月05日 著者:紫式部
いつも「時間がない」あなたに (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)いつも「時間がない」あなたに (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
欠乏は怖いが、欠乏があるから引き起こされるパワーもあるので(締め切り前の追い込みなど)欠乏がある時の人間の行動特性を知っておくことがまず大事。その意味では豊かな例示やストーリーが多く楽しく読める。あとファスト&スローを読み返したくなる。
読了日:09月09日 著者:センディル ムッライナタン,エルダー シャフィール
働く人びとのこころとケア──介護職・対人援助職のための心理学働く人びとのこころとケア──介護職・対人援助職のための心理学感想
まさに福祉分野での対人援助職なので読んでよかった。使えるところが多いし、他の労働分野、領域での話などは知らないことも多く面白く読んだ。自分だけじゃなく同僚のストレスやそのケアの状況にも敏感になっておきたい。
読了日:09月13日 著者:山口 智子,松本 みゆき,加藤 容子,金井 篤子,富田 真紀子,堀 有伸,茂木 七香,早川 徹,廣川 進,西村 もゆ子,中林 恭子,山本 さや子,竹田 伸也
社会を知るためには (ちくまプリマー新書)社会を知るためには (ちくまプリマー新書)感想
筒井さんらしい骨太で核心的な社会学的な議論をちくまプリマ―という手に取りやすい媒体で読むことのできる面白さがあった。
読了日:09月14日 著者:筒井淳也
源氏物語私見 (新潮文庫)源氏物語私見 (新潮文庫)感想
源氏物語本編と並行して読む。本編には著者の解説的な要素がなかったので、まとまった解説や翻訳作業の背景がいろいろ書かれていてよかった。
読了日:09月17日 著者:円地 文子
オタク女子が、4人で暮らしてみたら。オタク女子が、4人で暮らしてみたら。感想
エッセイでもあり2020年にCOVID-19が襲来して以降は老後についての言及はノンフィクションみもあった。軽快な文体が楽しいし実際の生活もなかなか楽しそうだ。
読了日:09月19日 著者:藤谷 千明
痴漢外来 (ちくま新書)痴漢外来 (ちくま新書)感想
良書。著者の外来(医師ではなく心理職なのでおそらくカウンセリングの形)の様子を紹介しながら痴漢を含む性犯罪を「病気」としてとらえる意義やその診断、治療について詳細に紹介されていく。治療も研究も海外での事例が先行しており、日本ではまだまだ例が少ない。このことは臨床にあたる医師の知識不足や、昨年のいくつかの判決でも明らかになったように司法の世界での知識不足といった社会問題としても露呈している。性犯罪や犯罪ではないもの性的な依存行動にどう立ち向かうか。自助グループや被害者の声も紹介されており、非常に間口が広い。
読了日:09月21日 著者:原田 隆之
沈没家族 ――子育て、無限大。 (単行本)沈没家族 ――子育て、無限大。 (単行本)感想
劇場版のディレクターズカットでもあり、この本自体が一冊のノンフィクションでもあり、という感じで面白かった。映画からこの本、本から映画のどちらでもいけそう。
読了日:09月22日 著者:加納 土
援助者必携 はじめての精神科 第3版援助者必携 はじめての精神科 第3版感想
細かいところにツッコみたいところはなくはないが、知的障害や精神障害のある人に対する援助をやっている人間としてこの本に書いてあること、取り分け前半部「アプローチの基本」を念頭に置いておけばそれだけでずいぶん肩の力は軽くなると思う。他方で「疾患のイメージ」はイメージ止まりのところもあるように思えたので、別の文献で知見を補ったほうがよい。あくまでイメージとその対処、だと受け取った。
読了日:09月25日 著者:春日 武彦
スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい ~8割の社会人が見落とす資料作成のキホンスペースキーで見た目を整えるのはやめなさい ~8割の社会人が見落とす資料作成のキホン感想
ワード、エクセル、パワポのどれを使えばいい感じの資料作りができるのかを知りたかったのでそのへんを中心に読んだ。あとは、共有した時に他人が使いやすいように、ってのは重要だと思っていたのでそのへんのTipsも参考になる。
読了日:09月26日 著者:四禮 静子
源氏物語 6 (新潮文庫 え 2-21)源氏物語 6 (新潮文庫 え 2-21)感想
オチがお見事。長い長い物語の結末をここまで寂しく、かつ呆気ないかのように終らせたのは訳文としても非常に上手いなと思ってしまった。命は儚いし、人の死は現世を生きる人間に重く重く禍根を残していく。
読了日:09月30日 著者:紫式部
螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)感想
ノルウェイの森の原型である「螢」がなかなかいいなと思った。ノルウェイは少し冗長すぎるので、「螢」くらいの短さであれば人の死の病も冗長ではない形でコンパクトにまとめられたなと感じた。
読了日:09月30日 著者:村上 春樹






読書メーター


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 7月のエントリーでヤクルトはなぜ強いのだろうかという雑な分析をつらつら書き連ねたけど、あれは本当に一瞬のものであって、気づけばもはや最下位が定位置である。理由は簡単で、打線に比べて脆弱な投手陣が夏本番になって明らかに疲れて来たのだろうと思った。リリーフも盤石ではなくなり、先発が踏ん張るもリリーフが崩れる試合が増えて来たし、そもそも先発が5回まで投げられないことも珍しくなくなった。

 唯一の希望がライアン小川で、8月15日のノーヒットノーランはまだまだ記憶に新しい。ヤクルトってガトームソン以来では?と思ったら本当にガトームソン以来14年ぶりで、当時はリアルタイムでは見られなかったけど、いまは文明の利器(DAZN)のおかげでリアルタイム視聴することができた。他の投手の、行けそうで行けないノーノ―を多々見て来たけれど、この日のライアンならいけるかもしれないな、と感じた。それほど、大崩れしない安心感があった。ただそれは半分くらいでもあって、そもそも日曜日の登板はほとんど勝ってきていたので、まずは勝つこと、ノーノ―はおまけくらいのノリで見ていたのが半分くらい。

 カツオこと石川はまだ今年は勝てずにいる(このエントリーを書いている9月でもまだ未勝利だ)中、ライアンが勝ち続けるのは一種の希望である。ただその分ライアンに負担をかけてしまっている現状でもある。野球はチームスポーツなので、特定の誰かに負担がかかりすぎるのは好ましくない。結局は、底上げをやっていくしかないんだろうなあと思う。しかし毎年のように同じ課題が露呈するが克服できないのも、つらいことだ。

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 8月は前半あまり体調がよくなかった。それでも、ウーバーイーツはコンスタントに続けていた。体調が悪い中でも運動量をあまり落としたくなかったことが理由としてあるが、それ以上に8月は忙しかったからである。理由はよく分からないが、まだ大半が梅雨だった8月と比べると急に暑くなって外出を自粛したからだろうか。それにしてもラブホから注文が来るとは思わなかった。

 体調が悪い中、ちょうど坂本真綾の「躍動」のストリーミング配信がスタートして、もう100回以上は余裕で聞いたのではないか、と思うくらい聞きまくっていた。FGOは全然フォローしてないけど、個人的には「レプリカ」を思い出すような、後ろめたさが少しにじむ歌詞と疾走感あふれるメロディというアンバランスさがとても好きである。



 「手に入れるのが勝利なら手放すのは敗北でしょうか」という冒頭の歌詞、そもそも勝利を手に入れる人が敗北を「手放す」という表現をすることはまずない。そのあと「誰も傷つかない世界」を「きれいごとかもしれない」と評価するあたりに、ああきっとこれは中途半端に優しい人を歌った歌詞なんだろうと思った。中途半端な優しさは、益になるより害になる方が多い。だから全体的にこの歌詞は後ろめたい匂いがするのに、「躍動」というタイトルとメロディの疾走感に後ろめたさは一ミリもない。

 なんなんだこの曲は??というのが、100回以上聞いている理由なのだろうと思う。「レプリカ」もそうだけど、複製というタイトルを突き放すように歌いながらやたら明るく聞こえてしまうメロディが面白いのだ。こうしたアンビバレンスで、しかもどう考えても難しいだろうという歌唱を、すっとこなしてしまう坂本真綾が憎い。とても愛おしくなるほどに、だ。

 こんな感じで真綾を聞くまくっていたらレコメンドされたのがyamaである。声質は女性だと思われるが、年齢性別不詳の覆面歌手として緊急事態真っ盛りの4月にyoutubeに降臨している。


 
 「深夜東京の六畳半夢を見てた」や「真夜中はすぐそこさ」という歌詞と、エキゾチックでエレクトロなメロディを聞いていると、YOASOBIやずとまよの系列に並べてもいいのかもしれない。(実際この二つのユニットとヨルシカは、多くのリスナーがかぶっているだろう)

 そのYOASOBIが8月最後の日にリリースしたのが、『ブルーピリオド』をイメージした曲、「躍動」だ。この曲も、東京の深夜〜明け方を直接的に表現している。深夜の六畳半も、明け方の渋谷も、どうしようもなくやるせない若さや青臭さが香る(だからこその「群青」なのかもしれない)。

 そういう曲を30歳の自分が聞くのと、10代や20代前半で聞くのとでは、あるいは東京の中と外で聞くのとでは全く印象が異なるんだろうなとは思いつつ、自分には自分の青春があったし、30歳になってもまだこういう青臭い曲を笑い飛ばさずに素直に受け止められるのは、それ自体は悪いことではないんじゃないか。自分がもう若くないことを知っていて、だからこそなお、青臭いイメージを表現することの価値をかみしめる。

 「知らず知らず隠してた本当の声を響かせてよ、ほら、見ないふりしていても確かにそこにある」


 
 ちなみにYOASOBIで一番好きなのは「ハルジオン」です。MVもかわいい。





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8月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1832
ナイス数:14

香港と日本 --記憶・表象・アイデンティティ (ちくま新書)香港と日本 --記憶・表象・アイデンティティ (ちくま新書)
読了日:08月01日 著者:銭 俊華
結婚の奴結婚の奴
読了日:08月10日 著者:能町 みね子
絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか
読了日:08月18日 著者:アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ
金融のエッセンス (有斐閣ストゥディア)金融のエッセンス (有斐閣ストゥディア)
読了日:08月26日 著者:川西 諭,山崎 福寿
おとなの発達障害 診断・治療・支援の最前線 (光文社新書)おとなの発達障害 診断・治療・支援の最前線 (光文社新書)
読了日:08月26日 著者:小野和哉,林寧哲,柏淳,本田秀夫,松岡孝裕,横井英樹,鈴木慶太,高山恵子
問いからはじめる発達心理学 (有斐閣ストゥディア)問いからはじめる発達心理学 (有斐閣ストゥディア)
読了日:08月30日 著者:坂上 裕子,山口 智子,林 創,中間 玲子
セルフケアの道具箱: ストレスと上手につきあう100のワークセルフケアの道具箱: ストレスと上手につきあう100のワーク
読了日:08月30日 著者:伊藤 絵美

読書メーター

 バナジー&デュフロは素晴らしかった。『貧乏人の経済学』も近いうち読みます。


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見:Amazon Prime Video

 今年も9月11日が近づいたからかもしれないが、9.11後に最初に作られた関連映画『ユナイテッド93』がAmazonビデオの100円レンタルコーナーに入っていたので見てみた。グリーングラスは以前2011年にノルウェーの起きたウトヤ島連続殺傷事件を題材にした『7月22日』を見て非常に感銘を受けたので、過去作品も見てみたいと思っていたところだった。



 この映画には二つの緊迫が描かれている。一つは管制サイドだ。いくつかの管制が舞台になっており、アメリカ軍の関連部門も描写されているが、最初はそもそも何が起きているのかの情報が少ない中、画面上の針路や機内との交信などに「異変」を感じるところから始まっていく。会話を聞き、繰り返し再生して"planes"という単語を聞き取るシーンは、9月11日に現実に起きたことをよく知っていても鳥肌が立つ。ただのハイジャック(a plane)ではなく、planes、つまり何者かが組織的に複数の航空機をハイジャックしたのではないか、と。

 世界貿易センタービルに二機が突っ込むシーンも描写されており、ここで事態の大きさに気づき、愕然とする。いまであればソーシャルメディアで早くからリアルな情報を得られたかもしれないが、当時はまだ携帯電話を持っている人が大勢はいないようなテクノロジー環境だ。機内の人も機外の誰かから情報を得ようとするが散発的であり、結果としてもっと早く適切な情報を入手できていたら、結果は違っていたのかもしれないと思ってしまった。

 こうした情報環境はしかし、機内の人々の様々なやりとりを、いわば人生で最後の行為を映しとる。携帯電話で家族に連絡する者もいれば、その電話機を近くにいる携帯電話を持っていない人に貸し出す者もいた。祈り続ける者、大丈夫、なんとかなると自分や周囲を安心させる者。そして、なんとか反撃のチャンスをうかがっている者・・・などなど。

 グリーングラスが描きたかったのは、こうした名もなき人たちだったのだと思う。管制の人や軍の人たちも含め、この事件に関わった(そして亡くなった)人たちを画面に残したかったのだろう。『7月22日』もまさに、亡くなった人を丹念に描写し、そして残された人の闘いを鬼気迫る展開で追った作品だった。

 本作でもその鬼気迫るシーンは終盤に訪れる。しかし私たちは悲劇的な結末もまた知っている。いや、知っているからこそ最後の10分ほどのシーンを、たとえこの映像がフィクションだとしてもしっかりと見ておきたい。そう強く思って、見つめていた。



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見:ホール・ソレイユ

 今年観た二本の韓国映画、『1987』と『国家が破産する日』のほぼ中間の時代という認識を持ちながらこの映画を眺めていた。社会全体が変動の空気に包まれていた80年代が明けたが、かといってすぐに明るい未来はやってこない。男尊女卑や家父長制など、いまもまだ韓国に残るこれらの慣習(日本も他人事ではないが)は、この映画でも色濃く描写されている。こういう社会では、子どもの、とりわけ少女の立場というものはあまりにも弱く、儚い。それが特別な季節であったとしても、だ。

 ウニと呼ばれる中学二年生の少女の目に映る1994年とはどういうものだっただろうか。もちろん、時代という巨大なものを直接的に描くことはしない。クライマックスは別として、多くのシーンでは時代を象徴する出来事、例えばアメリカワールドカップ(日本はドーハの悲劇で出場していないが韓国は出場している)も、北朝鮮の金日成主席の死去にしても、少女の目にはテレビに映る出来事の一つでしかない。それよりも彼女にとっては、友人や後輩との語らい、彼氏との小さくて幸せな時間、カラオケ、クラブ、たばこや万引きといったちょっとした悪事などなどが、生活を形作る。

 その生活は、ひとときの楽しさや歓びがあったとしても、基本的には息の詰まるような日々だ。だから女友達や、学校の後輩、別の学校の彼氏などとの親密な時間はとても大切で、そこが優しい時間であってほしいとウニは望んでいる。それは半分は満たされるが、半分は満たされない。様々な事情や、あるいは権力的な構造が、ウニにとっての優しい時間を侵害する。彼女は親密さを単一な関係性(たとえば異性愛)ではなく、複数性を持つものとして手に入れようとした(同性愛に近い感情を含んだものと、異性愛のいずれをも受け入れる)。そして、そのウニの狙いと挫折の隙間に入り込んでくるのが、漢文塾に新しくやってきた大学生アルバイトの、ヨンジ先生だ。

 ウニとヨンジ先生との間の関係性をめぐる描写と演出がこの映画の半分くらいの意味を占めていると思うのだけど、はちどりを観る前に『1987』を見ていた意味を改めて感じる。あの時代の少し後の物語だけど、希望がたくさんあるというよりまだまだ不安が大きい、韓国社会にとっての過渡期の時代が90年代前半のように思えた。87年の翌年にはソウルオリンピックを経験しているし、民主化というものはそれ自体が、激動な過渡期である。

 ヨンジ先生のキャラクターについて少し言及すると、『言の葉の庭』のように、年上の女教師の魅力と謎を両方兼ね備えた存在でありつつ、ユキノ先生ほど饒舌には語らせないところが絶妙だと感じた。語りすぎてしまうとキャラクターが出来上がってしまうけれど、パンフレットを読む限りいろいろなイメージをヨンジ先生に表象させたかったのだろうと受け止めた。
 
 ヨンジ先生がウニに対して、上から目線で可愛がったり助言をしたり人生相談に乗ってあげるといった上下の関係ではなく、自分自身の苦しみを隠さず、自分が嫌になるときがあってもなんとか最善を尽くし、自分にできる話を分かち合うひとりの仲間のような存在であることを望みました。
 それはウニに対するヨンジ先生の態度というだけではなく、私がこの映画に反映させたい態度の在り方でした(中略)ヨンジ先生の態度は、世界に接するこの映画の態度の反映であり象徴だと言えると思います。
(日本版のパンフレットより)


 彼女は年齢的に70年代生まれで、ウニが94年を覆う巨大なものをみつめていたように、ヨンジ先生は激動の80年代を見て来たし、生きて来た。ソウル大学を休学していることが途中で明かされるが、その経緯や、彼女の本来の学年など、付随する情報は出さない。確かにここは『言の葉の庭』で新海が試みたこと、すなわち年上の女性は一見魅力的に映るが、当事者の立場になるとあくまで弱くてもろい、一人の人間でしかないことがキャラクターに投影されている。そして彼ら彼女らはいまもまだこの社会で、世界で苦しみとともに生きているということは、『82年生まれ、キム・ジヨン』を通してすでに多くの人に知れ渡っていることでもある。

 本当はヨンジ先生もユキノ先生のように涙を流したかったかもしれない。二人とも、少しずつ自己開示をすることで年下の友人と親しくなるきっかけを作った。なぜヨンジ先生は涙を流さなかったか、なぜヨンジ先生はウニとの関係を断ち切ってしまったのか。残された謎と悲しい出来事を思うことが、よりこの時代の韓国社会であったり、この時代に弱い立場で生きて来た多くの名もなき人たちのことを思うことにつながるのかもしれない。



1987、ある闘いの真実 (字幕版)
ソル・ギョング
2019-02-06



国家が破産する日 (字幕版)
ハン・ジミン
2020-04-08












82年生まれ、キム・ジヨン
チョ・ナムジュ
筑摩書房
2019-02-13

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 引き続きやっていきましょうという気持ちでウーバーイーツは継続しており、なぜか自己ベストだった5月の収入を更新するほどの7月だったわけだが(よく分からないが梅雨のせいだろうとは思う)6月から野球が始まったことによって、注文と注文の合間に経過をチェックしたりラジオで中継を聞いたりするのがとても楽しい。

 そうそう、こういう日常が本当は春先からあったんだということを、つい最近まで忘れていたと素直に思った。しばらくスポーツのない時間が続いていたことに半ばあきらめんような気持ちを持っていたが、始まってみるとやはりスポーツは楽しいし面白いなと思う。逆に一貫して無観客での開催を続けている競馬の世界の努力も本当に素晴らしいと思う。4月に桜花賞、5月にダービーといったように、競馬があることによって季節感を担保できた人も多かったのではないか。ちなみに馬券は当たったり外れたりでトントンです。

 そして6月中旬からシーズンが始まったプロ野球だが、いまのところなぜかヤクルトが強い。強いというより、しぶといというか、去年に比べると簡単に負けないチームになったのかなと思うが、なぜ8月になってもなおAクラスにいるのか、正直よく分からない。



 よく分からない理由は主に二つある。一つは外国人選手の不振である。唯一元メジャーリーガーでありバリバリの守備職人であるエスコバーは30代になっても堅実で華麗な守備を披露している。オープン戦や練習試合では今一つだった打撃面でも気づけば打率が3割に近づいて、最近では山田哲人の休養の穴埋めとして2番を打つこともある。だが、エスコバー以外、例えばイノーアはいまだ勝ちなしだし、スアレスも早々に離脱。マクガフはなんとか投げているが防御率が芳しくない。このような、助っ人が助っ人になれていないのがいまのヤクルトだ。

 もう一つは先発陣だ。開幕時、先発ローテに入っていていまも残っているのはライアン小川だけである。スアレスとイノーアが先述したように不振で、カツオもまだ勝ちがないまま調整中。こうなってくると2軍からの選手に頑張ってもらうしかなく、高橋奎二や高梨や原樹理がなんとか勝ちを拾い、山中浩史もシーズン初先発で8回無失点と好投し、ルーキーの大西や吉田大喜が早くも1軍で、という形になっている。吉田は先日プロ初勝利を挙げたが、開幕ローテの先発陣の離脱がなければ登板自体はもっと後になっていたことだろう。初勝利自体はいいニュースであるが、その背景は非常に複雑である。

 それでもなぜかヤクルトはAクラスだ。8月になって4連敗を記録したが、7月までは3連敗以上を経験しなかった。10回で終わりという規定の影響もあるが、大型連敗からそのままずるずるいってしまいうのは2018年に嫌なほど見た光景で、大型連敗がないのは一つ強さである。2018年はあの連敗(何連敗か思い出したくない)で開幕後のスタートダッシュを帳消しにしてしまい、シーズンをほぼ終わらせてしまった。

 この前、元中日の山本昌が『レジェンドの目撃者』という番組で語っていた内容がヤクルトの強さに通じる気がした。山本昌はエリートを歩んできた選手ではない。それでも40代でのノーノ―と200勝、49歳での勝利、50歳での登板という昭和の往年の選手でも作れなかった記録を達成できた。なぜなのか?

 よくも悪くも、持ち味を生かすしかなかったから、というのが山本昌の自己解釈である。大きな体格であったり、緻密な制球であったり、あるいはキャッチャーのサインには基本的に首を振る素直さであったり。自分自身の持ち味をフルに、かつ効果的に使うことによって選手生命を伸ばしてきた。

 これはいまのヤクルトも同じだ。エスコバーがショートを守り、村上がサードの守備を向上させることによって内野の守備はかなり堅実になった。内野が安定しているとピッチャーはゴロを打たせやすい。守備でのファインプレーが出れば攻撃へのリズムにつながる。ベテランの坂口は外野とファーストを行ったり来たりではあるが、ユーティリティーなベテランが出続けることで若手に対して危機感をあおる役割もあるかもしれない。若手とベテランの関係で言えば青木がキャプテンなのもいい。メジャーに行ってからの青木は、チームのモチベーターとしての役割も担えるようになった。(侍ジャパンでもこの能力は生かされてきた)

 現有戦力をいかに効果的に使うか。それも一人ずつバラバラに考えるのではなく、いかにしてチームとして機能させるのか。特に打つ方に関してはバレンティンが抜けたので、打線にホームランの多さは期待できない。その代わり、打率を明らかに向上させている村上が4番として機能しているように、誰かが抜ければ抜けた分、穴を埋めるための結果を各選手が残しているのが非常に頼もしい。巨人にパーラやウィーラー、阪神にサンズやボーア、DeNAにソトやロペスやオースティンといった布陣と比較すると、まるでいまのヤクルト打線は私立の強豪校に立ち向かう地方の公立校のようでもある。でも地方の公立校が常に私学強豪校に負けるわけでもない。特にプロ野球は甲子園のようにトーナメントではないから、三連戦を一つ負けても残り二つ勝てばいい(もしくは1勝1敗1分けでもよい)
というのは、特定の選手に依存するよりも幅広い選手が活躍できる環境の方が実は結果を残せるのかもしれない。(ソフトバンクの層が厚すぎるように)

 いずれにせよ、そんなわけで遅れてやってきた今年のプロ野球はいつになく面白いシーズンになっている。そして遅れてやってきたといえば3か月遅れて放送が始まった『俺ガイル完』もいまのところ順調に楽しんでいる。原作をおそらくなぞるような結果になるだろうから結末は知っている。けれどもずっと追いかけて来たシリーズがアニメでも完結までたどりつけるのは、なかなか幸福であることもまた感じている。

 そんな感じでようやく梅雨も明けた特別な夏、2020はまだしばらく続いていくのだろう。皆さんもどうかご自愛ください。屋外では積極的にマスク外していこうな。(特に人口密度の高くない地方ではさすがにもっとみんな外してもいいと思う)
 


7月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:4077
ナイス数:16

精神科の薬がわかる本 第4版精神科の薬がわかる本 第4版感想
いい本でした。福祉職は薬剤の知見を十分に持たないまま仕事をしていることが多いので、利用者の変化や不調に対応する上では薬剤の特徴や副作用を知っておいた方が良い。家族や支援者に向けて書かれている箇所も多く、その意味でも使える本だと感じた。
読了日:07月01日 著者:姫井 昭男
源氏物語 4 (新潮文庫 え 2-19)源氏物語 4 (新潮文庫 え 2-19)
読了日:07月05日 著者:紫式部
政治改革再考 :変貌を遂げた国家の軌跡 (新潮選書)政治改革再考 :変貌を遂げた国家の軌跡 (新潮選書)感想
ほぼ書き下ろし、選書という出版形式の中でも骨太な議論を展開するところはさすが。複数の領域を個別的にではなく連関的にとらえるマルチレヴェルミックスというパースペクティブと、アイディアと土着化という二つの視点で選挙制度改革や行政改革を筆頭に司法制度改革や金融、地方分権改革に切り込んでいく。一冊の中で手広く扱うところは学術書ではなく一般書らしいおもしろさかなと思った。数々の政治不信や汚職、そして熱狂なき都知事選挙を終えた今だからこそこの本の扱う内容は色濃く読めるかもしれない。
読了日:07月06日 著者:待鳥 聡史
海外オタ女子事情海外オタ女子事情
読了日:07月07日 著者:劇団雌猫
Number PLUS 野村克也と名将の言葉学。 (Sports Graphic Number PLUS(スポーツ・グラフィック ナンバープラス)) (文春e-book)Number PLUS 野村克也と名将の言葉学。 (Sports Graphic Number PLUS(スポーツ・グラフィック ナンバープラス)) (文春e-book)
読了日:07月07日 著者:
リモートワークの達人 (ハヤカワ文庫NF)リモートワークの達人 (ハヤカワ文庫NF)
読了日:07月10日 著者:ジェイソン フリード,デイヴィッド ハイネマイヤー ハンソン
二軍監督の仕事〜育てるためなら負けてもいい〜 (光文社新書)二軍監督の仕事〜育てるためなら負けてもいい〜 (光文社新書)
読了日:07月11日 著者:高津 臣吾
世に棲む患者 中井久夫コレクション 1巻 (全4巻) (ちくま学芸文庫)世に棲む患者 中井久夫コレクション 1巻 (全4巻) (ちくま学芸文庫)感想
「働く患者」、「医療における人間関係」、「医師・患者関係における陥穽」の三本が特に面白かった。
読了日:07月15日 著者:中井 久夫
白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」 (中公新書)白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」 (中公新書)
読了日:07月16日 著者:渡辺靖
群青神殿 (ハヤカワ文庫JA)群青神殿 (ハヤカワ文庫JA)
読了日:07月20日 著者:小川一水
今日のメンタルヘルス (放送大学教材)今日のメンタルヘルス (放送大学教材)
読了日:07月21日 著者:石丸 昌彦
ユリイカ 2020年5月号 特集=韓国映画の最前線 ―イ・チャンドン、ポン・ジュノからキム・ボラまで―ユリイカ 2020年5月号 特集=韓国映画の最前線 ―イ・チャンドン、ポン・ジュノからキム・ボラまで―
読了日:07月22日 著者:ポン・ジュノ,キム・ボラ,チョン・ジュリ,シム・ウンギョン,真利子哲也,深田晃司
コロナクライシス (日経プレミアシリーズ)コロナクライシス (日経プレミアシリーズ)
読了日:07月22日 著者:滝田 洋一
急に具合が悪くなる急に具合が悪くなる
読了日:07月24日 著者:宮野 真生子,磯野 真穂
人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書 2590)人類と病-国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書 2590)感想
COVID-19との日々はまだまだ続いていく中手に取りやすい新書という形で出版されたことがまず素晴らしい。本書の半分以上は古い感染症や新しい感染症に人類がどう立ち向かってきたかの軌跡を辿る旅のようである。後半はやや総花的ではあるがタバコ規制などは生活に密着している重要なポイントであるし、国の豊かさの違いが医療費の公私負担の割合に分かりやすく表れている点や、医療を巡る汚職など、政治学的な関心の高いテーマが紹介される。
読了日:07月24日 著者:詫摩 佳代
エキスパートナース 2020年 6月号[雑誌]ナースのギモンに答えます 新型コロナウイルス感染症/令和2年度診療報酬改定 ケア・看護業務はこう変わる!エキスパートナース 2020年 6月号[雑誌]ナースのギモンに答えます 新型コロナウイルス感染症/令和2年度診療報酬改定 ケア・看護業務はこう変わる!感想
仕事用。COVID-19関連の特集と後半のてんかんの診療ガイドライン2018についての解説記事を中心に面白く読んだ。
読了日:07月28日 著者:
孫基禎―帝国日本の朝鮮人メダリスト (中公新書 (2600))孫基禎―帝国日本の朝鮮人メダリスト (中公新書 (2600))
読了日:07月31日 著者:金 誠

読書メーター
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 本当は一か月区切りで書くつもりだったが、怠惰なせいで二か月分まとめてのエントリーになる。今年のGWはあまりにも街が閑散としていて驚き、しかしまあその影響も相まってかウーバーイーツの需要の一時的な高ぶりも実感した。この需要については、GWが終わると需要はいったん落ち着いたが、6月後半になると再び盛り返してきたイメージがある。

 ちゃんと市場調査をしたわけではないのでいろいろな情報をかき集めての実感だが、理由としては三つほど挙げられるだろう。一つは、GWまでのいわゆるステイホーム期間にウーバーイーツを利用した層が一回きりの利用ではなく繰り返しの利用を行っている形跡があることだ。一番直近までの配達を含めて通算でいうと290回ほどの配達を行っているが、回数をこなすにつれて「リピーター」のお客さんに出会うことが増えてきた。まあこれはウーバーイーツが定期的にクーポンを乱発している要因もあるとは思うが、一回利用した人が繰り返し利用することで定着していくことは需要の安定、ひいては供給サイドである自転車乗りからしてもうれしいことである。

 二つ目は選択肢の増加だ。自分用のグーグルマップに参加店舗をアナログでピンを立てて登録しているが、7月に入ってとうとう100店舗を超えた。Uber側のエリア拡大戦略やCOVID-19の影響も相まって全国的に参加店舗は急増しているが、およそ40ほどで始まった高松でも3.5か月で2.5倍にまで増加したのはいい傾向だといってよいだろう。まだまだ参加店舗の多くはチェーン店であるので手数料をなんとかすることで個人店や小規模店舗の増加を促してほしいとも思う。

 まあUber側にはさほど期待してはいないが、二回に分けて配達員に対して不織布マスクを配布してくれたのは(一種のパフォーマンスかもしれないが)多少なりとも気を遣っているのかもしれない。また、選択肢の増加という点では6月からPaypayが決済に対応し、Paypayのミニアプリからもウーバーイーツの注文が行えるようになったのは大きい。お金関係のトラブルが嫌なので現金配達は対応していないしする気がないので、キャッシュレスの選択肢が増えるのは純粋によいことである。COVID-19からのリスク回避という意味でも。ただ楽天とドコモがそれぞれデリバリー事業を行っているので楽天ペイとd払いが対応するには時間がかかりそうな気もする。

 三つ目は配達員の増加だ。体感ではあるが、バイク配達員の増加が目立つ。頻繁に配達していると同じ配達員に出会うことも増えるが、バイクの人であることが多い。自転車の配達員は遠くまでピックアップすることはないが、バイクは遠くに回されがちだと聞く。つまり需要の増加に適切に対応するためにはバイクが増えてくれる方がありがたい。よって自転車の増加はそのまま競争相手の増加を意味するがバイクとは競合機会が少ないはずなのと、体力的にもバイクの方が長く続ける人が多いと考えられる。

 こういう仕組みがあるので自転車とバイクは需要の取り合いになることも少ない(はず)特にこれからの夏の季節に自転車で配達するには暑さに対応する必要があるので自転車配達員が急増することは考えにくい。自分は夏でも全然いける口なので(元陸上部なので)継続する予定だが、今後配達員の動向がどう変化してくるのかは引き続くウォッチしていきたいと思っている。ちなみにツイッターでウーバーイーツ高松の配達員を探してみたが7:3くらいでバイク。

*******

 意外な副作用としては、特に4月5月に強く実感したがウーバーイーツがあまりにも忙しくてのんきにツイッターをしていられなかったことだ。これは精神的にプラスに働いたと思う。日本人のみならず人間が疾病や感染症に対して往々にして差別的な扱いをしてきたし、今回もそうしている。そして現代的なのがインフォデミックで、テクノロジーの進化が人間を不幸にしてしまう典型的なケースを多く見てきてしまった。こういう時は距離を置くのが手っ取り早く、ウーバーイーツをやっていると自然と距離を置くことができてしまった。
 
 そして、ようやく本を読むことができるようになった。3月や4月は日を追うごとに明らかに状況が悪化していくので、のんびり本を、特にフィクションを読む余裕がなかった。現実の方がカミュの『ペスト』や小川一水の『天冥の標』2巻を体現しているように思えてしまい、フィクションと現実の境界がひどく曖昧になっていたからだ。だからようやく5月の、確か中旬ごろからだったと思うが、ようやく本を読むという習慣を取り戻せたことが嬉しい。一人本を読むという、自分にとってはもう20年くらい続けている何気ない日常的な行為が、これほどに心理的なパラメータを意味する行為だったとは。

ペスト(新潮文庫)
カミュ
新潮社
2017-03-10



天冥の標供ゝ濱し
小川 一水
早川書房
2013-02-27


 そして調子に乗って古典かつ大長編を読んでみようということで、読み始めたのが円地文子訳の『源氏物語』である。全6巻ある新潮文庫版でいまは4巻まで読み終えた。ちょうどこのパート、光源氏が亡くなるまでの10年間が、最も印象に残った。あえてここでストップしているが、近いうちに残り2冊を読んでしまおうと思う。

 7月に入り、再び感染が拡大している。アメリカが典型的だが、社会経済活動の再開はそのままリスクを生活の中に織り込むことを意味する。その意味では予想できた展開ではあるが、しかしこの展開に政治行政、あと各企業や私たちのようなヘルスケアセクターがどう立ち向かっていくのか、明確な答えが出てない場合が多い。引き続き、歴史のさなかに生きていることを実感しつつ、濃厚接触を避ける日々を送ってゆくしかないのだろう。野球で言えばまだ2回表という言葉も耳にするが、さて先発が大崩れせずいけるかどうか。



 その野球も開幕して一か月。毎日ダゾーンやBSやラジオで野球中継に触れる機会があるのも、これまた幸福なことだ。それをかみしめながら、現実の2回表を生きていく。

5月の読書メーター
読んだ本の数:15
読んだページ数:5039
ナイス数:41

ヤクルトスワローズ論 (MdN新書)ヤクルトスワローズ論 (MdN新書)感想
急いで出版したからかあきらかな校正ミスがいくつかあったのが惜しいが、いま改めて読むと本当にノムさんは野球を好きだったんだなということがよくわかる。そして人をよく見ている。鶴岡一人や川上哲治からヤクルト黄金期の選手を経てマー君、大谷まで。過去の価値観にとらわれずマー君を育て上げたりできたのはノムさんなりの評価基準や人を育てるに当たっての思想が深く根付いていたからだろう。まだまだ生きていて欲しかったが、あの世でサッチーや稲尾ら往年の選手とゆっくりやっていてほしいとも思う。
読了日:05月01日 著者:野村 克也
行動経済学の使い方 (岩波新書)行動経済学の使い方 (岩波新書)
読了日:05月04日 著者:大竹 文雄
食べて、祈って、恋をして〔新版 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)食べて、祈って、恋をして〔新版 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)感想
かなりのボリュームがあるが、一度読み始めたら止まらないそんな一冊。解説にもあるようにギルバートのたたみかけるようなおしゃべりの魅力と、そこに垣間見えるいくつもの闇や苦悩。それがあるからこそしかし彼女を旅へといざなったのであろうし、確固たる目的がある旅の中で彼女が感じ、考えたことに価値があるのだと感じた。
読了日:05月06日 著者:エリザベス ギルバート
測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
読了日:05月08日 著者:ジェリー・Z・ミュラー
認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ―CBTカウンセリング認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ―CBTカウンセリング
読了日:05月11日 著者:伊藤 絵美
ロールズ政治哲学史講義 I (岩波現代文庫)ロールズ政治哲学史講義 I (岩波現代文庫)
読了日:05月13日 著者:ジョン・ロールズ
香港デモ戦記 (集英社新書)香港デモ戦記 (集英社新書)
読了日:05月18日 著者:小川 善照
平成政治史 (ちくま新書)平成政治史 (ちくま新書)
読了日:05月21日 著者:大嶽 秀夫
アフターダーク (講談社文庫)アフターダーク (講談社文庫)感想
長編というより長い短編という感じ。あまり評価が高くないのは知っていたが確かにこれは読みごたえが弱い。
読了日:05月21日 著者:村上 春樹
賭博者 (光文社古典新訳文庫)賭博者 (光文社古典新訳文庫)
読了日:05月24日 著者:ドストエフスキー
ロールズ政治哲学史講義 II (岩波現代文庫)ロールズ政治哲学史講義 II (岩波現代文庫)
読了日:05月25日 著者:ジョン・ロールズ
どこからが病気なの? (ちくまプリマー新書)どこからが病気なの? (ちくまプリマー新書)感想
このタイミングにこういう本が出版されているのは素晴らしい。かぜと肺炎の違いは何?という超今日的な話題もあるし、個人的にはがんについての記述が面白かった。一部のアレな医療書籍に対する痛烈な批判もあるのが良い。
読了日:05月26日 著者:市原 真
発達障害のある女の子・女性の支援: 「自分らしく生きる」ための「からだ・こころ・関係性」のサポート発達障害のある女の子・女性の支援: 「自分らしく生きる」ための「からだ・こころ・関係性」のサポート
読了日:05月27日 著者:川上 ちひろ,木谷 秀勝
あのころ、早稲田で (文春文庫)あのころ、早稲田で (文春文庫)
読了日:05月28日 著者:中野 翠
ペスト (中公文庫)ペスト (中公文庫)
読了日:05月31日 著者:ダニエル デフォー

読書メーター


6月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3374
ナイス数:32

エトセトラ VOL.3エトセトラ VOL.3感想
アクロストンのインタビュー、早乙女智子のインタビューと牧野雅子のエッセイを特に面白く読んだ。改めて七生養護学校の事件を含むゼロ年代のバックラッシュは相当に罪深いと感じる。後ろの方にあるすんみのエッセイや伊藤春奈の書いた相撲における穢れの問題も読み応えがある。あとCOVID-19以降のドイツでのあれこれも既視感が強くて色々思うところあり。
読了日:06月01日 著者:長田杏奈
競馬の人類学 (岩波新書)競馬の人類学 (岩波新書)感想
1988年の馬事文化賞受賞作。いま読んでも世界あちこちの競馬の風景は面白い。本場イギリスでどのように競馬と賭けが始まり、長らく非合法だった賭けがいかにして合法化されるかという経緯も面白かった。1988年はオグリキャップ4歳の年だがすでに女性ファンが増えていて競馬場も綺麗になっていた、というのはなるほど既に思ったよりいまの競馬の風景に近いかもしれない。馬券の種類が少なく、まだ世界の競馬からしたらレベルが低いとされていた時代ではあるけども。
読了日:06月03日 著者:長島 信弘
読書嫌いのための図書室案内 (ハヤカワ文庫JA)読書嫌いのための図書室案内 (ハヤカワ文庫JA)感想
読書のひとつの楽しみに「解釈の共同体」に参加することができるという要素を発見し、そしてそこから推理に結びつけていく主人公の力業が面白い。あと設定的にこのまま続編書けそう。
読了日:06月03日 著者:青谷 真未
症状を知り、病気を探る 病理医ヤンデル先生が「わかりやすく」語る症状を知り、病気を探る 病理医ヤンデル先生が「わかりやすく」語る感想
身体症状から原因を類推する力は福祉職にもある程度求められる事だなあと思いながら読んだ。腹痛、発熱&高体温の項目は日常的に耳にする言葉も多い。
読了日:06月05日 著者:市原 真
ラグビーって、いいもんだね。 2015-2019ラグビーW杯日本大会 (鉄筆文庫)ラグビーって、いいもんだね。 2015-2019ラグビーW杯日本大会 (鉄筆文庫)
読了日:06月11日 著者:藤島 大
司法矯正・犯罪心理学特論-司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開- (放送大学大学院教材)司法矯正・犯罪心理学特論-司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開- (放送大学大学院教材)
読了日:06月14日 著者:橋本 和明
源氏物語 1 (新潮文庫 え 2-16)源氏物語 1 (新潮文庫 え 2-16)
読了日:06月14日 著者:紫式部
源氏物語 2 (新潮文庫 え 2-17)源氏物語 2 (新潮文庫 え 2-17)
読了日:06月14日 著者:紫式部
漂うままに島に着き漂うままに島に着き感想
小豆島出身の人間が読むと身に覚えのありすぎる場所や人がたくさん出てきて少しむず痒い気もしつつ、引っ越しするまでの流れに移住の過酷さが詰まっているなと感じた。それでも引っ越した後の内澤さんは(後にストーカー被害を経験するが)なかなか楽しそうで、そうかあのへんに住むことにしたのかーと思いながら移住後の話題に入る後半も面白く読みました。
読了日:06月18日 著者:内澤旬子
源氏物語 3 (新潮文庫 え 2-18)源氏物語 3 (新潮文庫 え 2-18)
読了日:06月20日 著者:紫式部
房思(ファン・スーチー)の初恋の楽園房思(ファン・スーチー)の初恋の楽園
読了日:06月26日 著者:林奕含

読書メーター


過去のエントリー:2020年4月振り返り
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 そういえばプライムビデオに入っていたはずだが、見ようとして見るのを忘れていたのがこれ。約100分、テレビシリーズとは全く異なったキャラクターを与えられたアネモネが、彼女の生きる新しい世界を疾走する。忘れたもの、失われたものを探すために。あらすじをざっくりとシンプルに説明するならこういった表現でよいだろうか。

 「ハイエボリューション」としてリメイクされた第一弾となった2017年公開の劇場版は評判がよろしくなく、実際に見たけれどテレビシリーズの総集編という印象しか残らなかった。テレビシリーズ放映時(2005年)から12年も経っているので若いオタクに向けてあえて総集編を作ったのかもしれないが、新作としての期待感が強かっただけに落胆が大きかったのかもしれない。だが本作『ANEMONE』は全く違う。前作が前作だったからか、まったく違うものを新しい視点で見せるということに(半分くらい皮肉かもしれないが)成功している。

 テレビシリーズでは十分掘り下げられなかったキャラクターであるアネモネ、そしてドミニクをメインに据えることで(ドミニクは厳密には助演男優賞的なポジションではあるが)「ハイエボリューション」として新作を作った意図も理解することができた。それはつまり、『エウレカセブン』の世界観の単なる再構築ではなく、「原作」である2005年のテレビシリーズや2012年放映の『エウレカセブンAO』を経たからこそ(さらに厳密にはいわゆる旧劇場版的立ち位置にあたる『ポケットが虹でいっぱい』)作ることのできたリメイクなのかもしれない。

 『ポケットが虹でいっぱい』は名前だけ借りた別世界ものとして作られたが、ハイエボリューションシリーズはエウレカやエウレカAOの延長にある。それは原作の映像を要所で使用しているというマッシュアップ的編集も含め、原作が説明しきれなかったSF的な設定をさらに拡張している点にあるだろう。だから昔からの視聴者は自分含めこの世界はいったいなんなのか?と困惑しつつも、まったく新しい姿で登場するアネモネがそうであるように、変わったもの、忘れたもの、新しいものを探しに行くような気持ちで見ていられる。ディストピア化する世界の中でもアネモネの明るさが失われていないからだ。

 アネモネはドミニクと、エウレカはレントンと、バディシステムのように心が通じ合う関係だ。それでもアネモネは常にドミニクには会えないし、レントンは生死不明であり、エウレカは自責の念に苦しむ。こうした心境を分かりあえるアネモネとエウレカの姿がまた美しい。どことなく綾波レイとアスカがダブってくるが、この二人の間に百合のような関係はほとんどなかった。心を開くようになったエウレカと、自分の気持ちに正直なアネモネとならばそれができる。ここもまた、リメイクされることによって生まれた新しい関係性であり、新しい世界観かもしれない。探しに行こう、二人で。物語はまだまだThere's No Ending.




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 先日NHKスペシャルで池江璃花子の特集が組まれていたので見ていた。約一年前の冬、高校卒業の直前のタイミングに白血病を発症し、競技者としての活動を停止。結果的に来年に延期になったとはいえ、東京生まれの彼女が地元で迎えるはずだった東京オリンピックへの参加が相当厳しい状況になってきた。

 それでも彼女は病室から、あるいは自宅から定期的にメディアを通してメッセージを発してきた。自身のインスタグラムでも発信を続けている。以下に引用するのが昨年12月に退院した際の直筆メッセージだ。


 
 一人のアスリートとして、そして一人の難病患者として。それでも彼女はまだ18,19歳の少女である。そんな彼女が、自身の社会的役割を深く自認するかのようなメッセージを発信し続けることに、個人的には強い驚きを持っている。もちろんインスタグラムのようなソーシャルメディアがあるからこそ、彼女はダイレクトに自身の言葉を発信できる。最近ではウィッグをつけていない、あの長く黒い髪がほとんどない画像のアップもしている。NHKスペシャルでの密着でも、彼女は自分自身をさらけ出すことにとても積極的だった。発病直後の、とても弱くなった姿ですら。

 受容理論というモデルが心理学にはある。障害の受容理論や病の受容理論といった形で使われることが多い。



 中途障害や難病など、心身の状況の変化を受け入れることが困難な出来事に遭遇した時、この理論によればショック期→否認期→混乱期→努力期→受容期といった5つのステップを経て人は新しい心身の状態を受け入れていくようになると言う。ただ、いったんステップが進んだあとに戻ることもあれば、この期間が誰にとっても共通なものとは言えない。ガンなどの重大な疾病の場合、亡くなるまで受容期に至らないままということもあるだろう。

 こうした受容理論の一般的な経過を考えると、池江璃花子はあまりにも早く努力期ないし受容期に到達しているなと言える。若いからだ、と考えることもできるだろう。闘病生活は容易ではないだろうが、回復に至る段階になれば彼女にはまだ残された時間は長い。東京が無理でもパリを目指せばいい。何より早くプールで泳ぎたい。こんな心境をNスぺの映像から感じとることができた。

 ただ、かつて自分自身がそうだったが、病を受け入れるのは相当に苦しいものである。病そのものとの闘いも苦しいが、何より、他人と比較してしまう自分に打ち克つ必要があるからだ。周りは学校に行って元気に勉強したり遊んでいるのに、自分は退屈な病室で飲みたくない薬を飲まなければならない。病院のごはんはおいしくない。何より外で思いっきり体を動かすことができない。5歳や10歳の再発時、病院で考えていたのはこういうことだ。自分だけがなぜ苦しまなければならないのか、といった現実を受け入れることが、10歳の自分には到底難しいものだった。

 もっとも、彼女とて楽だったはずがない。映像の中にもいくつかは映っていたが、そこには映らない彼女の苦しみを想像することはできる。それでも難病と闘う同世代の仲間や、遠くにいるファンや、泳ぎたいという気持ち。起きているだけで体がしんどく、「死んだほうがいいんじゃないか」と思ってしまうほど深く大きく心理的に落ちたあとに、そこからリバウンドする力がなんと強くてすがすがしいことか。

 レジリエンス、という言葉をここ10年ほどでよく聞くようになった。3.11の時にもこの言葉をよく聞いた。退院後、彼女とて例外ではなく同じように、いや、免疫機能が弱まっているがゆえによりリスクの高い形でCOVID-19とともにある世界で生きることになった。それでもなんて彼女はポジティブで力強いのだろうと感じさせてくれたのは、COVID-19の流行を機に減ってしまった献血への呼びかけだ。
 
 彼女は強いから魅力的なのではないと感じた。彼女は自然な姿を見せるだけで、それだけでものすごく魅力的に見えるのだ。やさしさ、ポジティブさ、強さ、弱さ、もろさ。ありのままのいまを見せようとする彼女にどうしようもなく惹きつけられる。同世代のほとんどが味わうことのないような過酷な経験をしたことでもろさ、弱さを知った彼女が見せる新たな表情と言葉が、とてつもなく強く、まっすぐに響く。

 彼女はもう過去の彼女には戻れない。でも彼女の輝きはきっとこれからも失われないし、新しい色になって存在感を示していくのだろう。願わくばまた彼女が笑顔で、そして強くプールで泳いでいる姿を見られることを。あるいはそれが叶わないとするならば、彼女の見つけた新しい道を、人生を。
 
 もうすぐ20代になる彼女の見せる、10代最後に見せるまぶしいまでの輝きをこれからも見続けていたい。


※このエントリーは5月9日に配信したツイキャスを下に書きました。ツイキャスの録音は以下を視聴ください。


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見:ソレイユ・2

 予定の調整が下手なので『エクストリーム・ジョブ』を見逃してしまったが97年のアジア通貨危機〜韓国IMFショックを描いている本作は絶対に見たいと思った。アジア通貨危機は日本でも高校生なら習うレベルなので、もちろん現代の韓国人にとっては悪夢であり重要な現代史であるこの一幕は学校でもおなじみの光景だろう(実際に小学校でリアルタイムに教えられるシーンがある)。

エクストリーム・ジョブ(字幕版)
シン・ハギュン
2020-04-10



 返ってこない手形、急速に進むウォン安ドル高(いまのドル円とはスピード感が違う)、減っていく外貨準備高、「不都合な真実」を隠そうと模索する財務官僚と、一刻も早い情報公開と経済立て直しを模索する韓国銀行(韓国の中央銀行)……ある程度金融、財政、為替、マーケットあたりの知見は必要だと思っていたが実際にその通りで、特に後半何の説明もなくIMFの専務理事が一種の悪役として登場するくだりはちょっと笑ってしまった。このあたりを抑えてから映画を見に行った方がいいかもしれない。

金融入門<第2版>
日本経済新聞出版社
2018-02-23



金融政策入門 (岩波新書)
湯本 雅士
岩波書店
2015-01-01



現代の金融入門 [新版] (ちくま新書)
池尾和人
筑摩書房
2014-02-07



日本銀行 (ちくま新書)
翁邦雄
筑摩書房
2014-05-02



 やや個人的な感想にはなるが、序盤のハン・シヒョンにシン・ゴジラの尾頭ヒロミみがあってとても良かった。情報量を早口で畳みかけるタイプ。どこかで読んだ情報では、現実の韓国銀行にハン・シヒョンが演じたようなキレキレの女性がいたわけではないらしい。だがあえて彼女をこのような役で起用したところは、韓国社会の男女間におけるいろいろな構造の変化を読み取れる。
 
 97年の金融危機はその後の韓国社会を形作ってゆくことになる。小さい会社があっさりと切り捨てられたり、対照的にサムスンのような巨大企業がより強い力を握っていったり。社会全体としては経済的に発展したかもしれないが、その内実は富める者がより富み、貧しい者は貧しい状態が強いられたままになる。アカデミー賞作品賞を獲得した『半地下』はその典型的な例だと言えるだろう。

 とりわけ民主化以降はもちろんいくつもの分岐点が韓国社会にあったのだろうけれど、バブル崩壊がその後の30年間の日本経済の形を大きく決定づけたのと同じくらいのインパクトが97年にあったことを、現代の視点から振り返るシーンがわずかながら挿入されているのもよいなと思った。ただの現代史の出来事ではないことを、その巨大なまでに発展した企業や街の姿と重ねることで改めて見せつけてくる。

 もう少し雑駁とした感想を続けると、韓国銀行で重要なポジションを務めるハン・シヒョン役のキム・ヘスが49歳と知って???という感じ。どう考えてもアラサーにしか見えなかったんだが。あと『バーニング』のユ・アインが転生して逆張り投資家として成功しているのも面白かった。でも成功しても喜びに欠けた表情が良かった。個人としての成功がを手にしても社会に向き合おうとするその姿が、現在の韓国社会が見る一つの夢なのかもしれない。勝者と敗者との間の分断を乗り越える夢を。


国家が破産する日 (字幕版)
ハン・ジミン
2020-04-08



バーニング 劇場版(字幕版)
パン・ヘラ
2019-08-07




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 4月はCOVID-19の社会的インパクトが一気に深刻化した一か月だったと思うが、個人的には気づいたら5月になっていたという感覚が強い。理由の一つは仕事にさほど変化がないことだ。入所施設の福祉職員であるため、日中の通所施設のように閉鎖や休業という概念はない。日中施設については障害者施設も高齢者施設も800〜900ほどの施設が全国で休業をしているようで(利用時間、受け入れ人数の縮小などを合わせるともっと多いだろう)、高松も例に漏れず通所施設や短期入所の休業や縮小という情報を耳にする。




 こうした状況の変化もあり、自分の仕事は暇になるというよりむしろ忙しくなる。通所施設に通う時間が減った入居者がGHで過ごす時間が増えるのだから、当然である。増えた時そのものへのケアより、感染防止やストレス対策、運動不足対策などいろいろこまめに考えてはいる。いずれにしても、本業は3月よりずっと忙しくなってきた。在宅ワークや自宅待機で暇という人も世の中にはいるようだが、自分がいまの仕事をしている限りそういった人たちと同じ経験をすることはなさそうだ。ただ事務処理や書類作成の一部はクラウドで実施しているので、家で作った資料を職場からクラウドにエクスポートしたりとか、そういうことはこれまでもやっている。

 もう一つの理由が原稿である。二つの本にほぼ同時進行の形で参加していて、一つはまだ公式な情報が出てないのでこちらからは何も言えないが、もう一つはツイッターで普段から絡みのあるセラブルクラスタで作ったSeraphicBlue16周年を記念する同人誌『EVER BLUE』だ。ゲームのリリースとなった5月15日を目指して制作がスタートし、先日怒涛の締め切り追い込みと校正ラッシュを終えて無事
完成の運びとなった。このブログの読者の中にセラブルというゲームについて知っている人がどれだけいるかは分からないが、興味がある方は下記リンクからboothの通販で予約販売が始まっているのでリンクだけでも踏んでもらえるとありがたい。



 短いのも含めるとこの本だけで3本書いており、1つが書き下ろしの小説、もう1つが去年書いて発表したものに加筆修正して大幅に書き直した小説、もう1つがあとがきを兼ねたショートコラムだ。今回は意図的にどちらの小説にも精神医療的要素を入れてみたが、これはセラブルというゲームやそのキャラクターの特性を考えると無理くりではなく自然な形であると思う。宮内悠介のように精神医療を題材にした小説をいつか書いてみたいと思っていたので、二次創作ではあるがそれを実現した運びとなった。たぶんこれまでこの手のネタを仕込んだことはないので、お楽しみいただけるとうれしい。(どれだけの人が楽しめるかは分からんが)

 そして最後、三つ目の理由がウーバーイーツである。高松でも始まるという噂は今年の初頭から流れており(結構いろいろなお店に営業電話が来ていたようだ)あとは開始時期がいつからかが気になっていた。3月25日のサービス開始から一ヶ月ほど経ち、配達件数も100件ほどに到達したのでこのネタだけでブログ一本書けそうだとも思っているから今回は長くは書かない。

 書かないが、個人的なインパクトを少しだけ。まず腰痛が改善したこと。あえてスピードの出るロードバイクではなくternのverge P10(折りたたみのできるミニベロ)で配達しているが時速10〜12キロほどで配達の注文が途切れない限りは走り続けている。最長で一日に6時間稼働したが、その時は63キロというロングライドでもしない限りなかなか見ない数字を一日で記録した。さすがに体力や筋力を考えると現状の限界はこのあたりみたいで、翌日の疲労感が大きかった。

 ただ、これだけ一日で走っていると、夜の睡眠の質がぐっと上がり、これもかなりポジティブなインパクトである。特に去年は継続的に不眠に悩んでいた時期があって(気づいたら改善していて謎なのだが)特に寝つきの悪さをかなり気にしていた。しかしウーバーイーツでこれだけ走ることにより、寝つきの向上と、睡眠そのものの質の改善は心身ともに健康へのポジティブなインパクトがあった。そのため、本業や原稿を抱えながらも「運動」という名目でウーバーイーツを継続したことは、結果的に良かったと思っている。健康でなければ原稿を完成させることはできないが、画面にずっと張り付いていると運動する機会はやってこず不健康だ。そのため、ウーバーイーツというアクティビティをあえて日常の余暇として挿入することで、意外な形で効用を得られた一ヶ月でもあった。

 街で出会った何人かの配達員とも雑談をしたが、現状高松ではインセンティブがほとんどなく(あっても雨の日&週末クエストくらい)報酬単価も東京などに比べると安いため、ネットでよくあるような「ウーバーイーツで自由に稼ごう!」みたいなギグワーカー志望には向いてない。あくまで自分のように余暇時間を生かして生活の足しにすればいいのでは、くらいのレベルのための仕事だろう。

 このエントリー冒頭でも書いたが、4月に入りCOVID-19の影響が高松でも深刻化する中で飲食のデリバリー需要の高まりは肌で感じている。週末になると街にはウーバーバッグを背負った配達員や、ピザ屋や銀のさらの配達員を見かける機会がぐっと増えたように思うからだ。

 ウーバーイーツについては外出自粛需要がただでさえある上に初回クーポンを乱発していた効果もあるだろうから、このGWが明けてからが実際の利用実態を掴むタイミングかもしれない。まあそんな感じで、引き続き「運動」の一貫としてウーバーイーツ活動をマイペースでやっていこうと考えている。

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