Days

日常と読書日記。 受験生日記は閉幕です。





見:ホール・ソレイユ

 『1987』や『国家が破産する日』など、去年から意識的に韓国の現代史を題材にした映画を見ているが、その中でも18年間大統領の在位にあった朴正煕を暗殺するまでの40日間に密着した本作を楽しみにしていた。少し前に『知りたくなる韓国』で韓国という国家や社会の成り立ちを勉強していたが、そういった歴史的な知識があった方がより面白く見られるだろうと思う。(韓国人にとっては当然の歴史も、日本人、特に若い世代にとっては近いけれど少し遠い国の歴史はリアリティが薄いため)

 とはいえ、『1987』やあるいは『タクシー運転手』あたりの軍政期の末期の民主化運動を題材にした映画は製作が容易ではなかったとも聞く。本作についても、「事実を基にしたフィクション」という体裁をとった映画としてキャラクターの名前は一部を変えられている。朴正煕の娘である前大統領朴槿恵政権が継続していた場合、本作を含めた一連の映画の製作は難しかっただろう。

 朴槿恵はただでさえ左派、リベラルの文化人をブラックリストとしてピックアップしていただけに、自身の父の威信に関わる映画を(しかも父を民主化を阻害し、市民に対して暴力装置として機能する敵として描く映画を)作るという行為は許しがたいものであったはずだ。ゆえに、朴槿恵政権が倒れたおかげで戦後史や現代史を題材にした映画が作られるようになったのは、当の韓国に住む人たちにはもちろん、海外で見る自分のような立場においても韓国という国を概観し、理解するための有益な道具となっている。これらの映画はそれぞれ独立しているが、続けて見たり比較したりすることで、鑑賞する側にとって戦後史をもう一度振り返り、現代を見つめなおすためのひとまとまりのプロジェクトクトのように見える。

 前置きが長くなったが、本作は大統領暗殺という明確な着地点を設定した上で、それがなぜ起きたのかを解き明かしていくミステリーのような構造をとっている(いわゆるwhy done it型のプロットである)。しかしそれ以上に本作を覆うのは韓国映画ならではのノワールの空気感である。それを真正面から体現するキム・ギュピョン役のイ・ビョンホンが最初から最後まで本当に素晴らしい。

 戦後も長く軍政が敷かれ、民主化までに長く時間がかかった韓国社会において、KCIAのような諜報機関の暗躍や、政治的に対立した人間に対する拷問や虐待などは珍しくなかったはずだ。本作でもわずかながら拷問のシーンが描かれているが、これがリアリティを持つのはまだ近い歴史だからだろう。若い世代は別として、中高年以上の世代にとって軍政の記憶はまだ生々しく残っているはずだから。

 先ほど最初から最後まですばらしいと書いたイ・ビョンホンが物語の軸である。あくまで本作の軸であって、すべての答えを提供しているわけではない。ただ、実行者である彼の動機、つまり心理的な動きの変化に密着することで、直接的な答えとはまた違う意志も見えてくるようになっている。韓国では現在でも権力に欲がくらんだという解釈と、朴正煕の独裁に対して反逆したという二つの解釈があるようだが、どちらが正しいとも言えない(どちらとも正しく、またどちらとも間違いの可能性もある)。イ・ビョンホンがあまりにも完璧な演技をする(特に表情、目の動きが素晴らしい)ことで、観客に対して様々なボールが投げられる。それらをどうキャッチして、どう解釈するかはこちら側にゆだねられているのだ、最初から最後まで。

 歴史でもあり、現代でもある1979年のことを考えるならば、その後に続く歴史である『タクシー運転手』(光州事件)や『1987』(6月民主抗争を中心とした一連の民主化運動や学生運動)に思いを馳せてもよいと思う。民主化して30年以上経つとは言え、少し前までは軍政期のイメージをもまとう朴槿恵が政権を持っていたのが韓国という国家でもある。過去は一時のものとして終わらずに現代まで確実につながっているということを、改めてこの映画を見て考えていた。





知りたくなる韓国
春木 育美
有斐閣
2019-07-11


1987、ある闘いの真実 (字幕版)
ソル・ギョング
2019-02-06


国家が破産する日 (字幕版)
ハン・ジミン
2020-04-08




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 以前にクールごとのアニソンまとめとか、その月ごとに聴いた音楽をまとめるエントリーを書いてたことがあったがしばらくやってなかったので、ちょっと再び意識してつけてみたいと考えてのエントリー。
 理由はいろいろあるが、ここ最近はフィジカル(CDなど)で音楽を聴かずに、サブスクリプション(自分の場合はamazon music unlimited)とyoutube、あとラジオが主な音楽視聴体験となっている。amazonやyoutubeではマイミュージックに追加するなどしているが、あちこちに情報が散らばっている結果「特定の時期にリリースされた新曲」をまとめる場所が欲しいなと思っていた。
 というわけで今回は2021年の1月〜3月にリリースされた楽曲やアルバムをピックアップして、短評的にコメントを残していきたいと思う。それでは行ってみよう。


●ヨルシカ「春泥棒」、『創作』
創作
UNIVERSAL MUSIC LLC
2021-01-26


 この三ヶ月、一番聴いていたのはヨルシカだと思う。特に1月上旬にリリースされた「春泥棒」の楽曲とMVがいずれも素晴らしい。春が来る前に桜が散りゆく姿を何度映像で見たことか。いま改めてこの曲を聴いて、MVを見て、しみじみとしている。



 オンラインライブ「前世」もめちゃくちゃよかった。



●中島愛『Green Diary』
green diary
FlyingDog
2021-02-03


 以前(活動休止前)と比べるとここ最近は中島愛の活動を熱心に追っていなかったが、本人がTBSラジオのアトロクに出演していた際のインタビューが面白かったので久しぶりに聞き、そのままハマっている。アルバムタイトルにある通り、彼女のデビューのきっかけとなったランカ・リーを意識したグリーンのカラーイメージそのままに、透明感漂う楽曲が多い。同い年なので30代になってもこの透明感は希少だよな……とただただ感動している。

●田所あずさ『Waver』
 
Waver
Lantis
2021-01-27





 初めてセルフプロデュースを行ったというころあずのアルバムも面白い。「クリシェ」と「死神とロマンス」が好き。今までのような「タドコロック」路線というよりは、やりたいことをパッケージで詰め込んだ感じが伝わってくる。

●宇多田ヒカル「One Last Kiss」


 もはや何も言うまいなんだけど、MVがかわいすぎてやばかった。

●佐藤千亜妃「声」


 凍てつくようなMVの風景、消えそうな声で歌う佐藤のボイス、そして文字通り「声」というシンプルで最低限の情報しかないタイトル。別れの季節に佐藤が歌う歌は「桜が咲く前に」(きのこ帝国)を思い出すが、もう少し大人になった女性の目線としてつづられたのが「声」という楽曲かもしれない。
 いずれにせよ、極上の6分50秒。時間が止まったような、そんな不思議な感覚にさせられる。

●古川本舗「yol feat.佐藤千亜妃 (Music Video)」


 古川本舗復帰第二弾。佐藤千亜妃が来るとはさすがに思ってなかったので震えている。100回くらい聴いた。耳が幸せなので一生聴いていたい。あと映像がすげえわね。
 音楽も佐藤の声を生かす最高のエレクトロニカ。「声」も「yol」も、佐藤の声を一つの楽器のようなものとしてメロディに自然に溶けているのがいいなと思う。こちらも別れの季節にふさわしい歌である。

●フレンズ「約束」


 アニメ『ホリミヤ』のED。フレンズがホリミヤ、という組み合わせだけでも面白いと思ったし、かなり青春(MVはもう少し先の青年期かなと思える)に寄せた感じで、普段のフレンズのメロディとも違うオーソドックスなバラードだけど、その分じわじわ効いてくる感じが新鮮。

●愛美「ReSTARTING!!」


 アイマスやバンドリやD4DJなどでもうかなりの楽曲を歌って来た愛美がついに個人名義でデビュー。MVめちゃくちゃかわいくないですか。(さっきからMVかわいいMVすごいばかり言ってる人)
 イメージの楽曲はバンドリに近い気がするのでアイマスのジュリアに寄せたような、nano.RIPEとのコラボが見てみてえ感。

●Ado「ギラギラ」


 「うっせぇわ」がバズりまくっているAdoだけど楽曲の雰囲気とボーカルのマッチ度はこっちの「ギラギラ」が絶妙だと思う。彼女の低音ボイスが今後どういう音楽に寄っていくかは分からないけど、まだまだ若いので全部が楽しみ。
 声質はyamaに近いイメージもあるけどyamaはポップスも行けるのに対してAdoはもっとハードロック寄りなイメージ。「ギラギラ」がいいのはロックバラード調なところだろう。

●yama「一寸の赤」、「麻痺」


 yamaは毎月一曲ずつくらいアップしてません?と思うほどハイペースに楽曲を作っているが、思った以上に器用な歌唱でなんでもできるなと思わせてくれる一曲。優しいyama、いいですね。



 ただ本来の路線はこういうサウンド向きだなと思う。ポップスとロックとエレクトロの間あたり、

●Night Tempo「真夜中のドア/Stay With Me (Night Tempo Showa Groove Mix) 」


 去年の秋ごろからNight Tempoという韓国のDJの80sアレンジがヤバイという話は聞いていて、その中でも一番ヒットしてるのが松原みきの「真夜中のドア」らしいのだけど、これは確かにめちゃくちゃいい!
 レトロと新しさが違和感なく、そしてめちゃくちゃおしゃれに混ざり合っている。COVID-19でなければあちこちのクラブで流されてもいいのでは〜というような万能なアレンジと、色あせない松原みきのボイスが本当に良い。これも100回くらい聴いた。

●Rainych & evening cinema「RIDE ON TIME」


 東アジアで80sブームを作ったのがNight Tempoだとするならば東南アジアでブームを作っているのはいわゆる歌ってみたでブレイクしているRaynichらしい。まあこのシーン本当によく分からないことだらけなのだけど、満を持してカバーした山下達郎の楽曲がかわいすぎてヤバい。え、こんなにかわいく(そしておしゃれに)RIDE ON TIMEを歌っていいんですか感。
 いやまあ原曲もオシャレだけど、そこからさらに現代のエレクトロサウンドをじわじわ足していった感じ。

● Millie Snow「Plastic Love - Mariya Takeuchi (Cover) 」


 night tempoやRaynichを聴いているとレコメンドされたのがこのMillie Snowのカバー。ボッサ風のゆったりとしたアレンジに大人びた歌唱がよく似合う。本当にアジア各国で80sが流行ってんのなと思わせる動画。

●Limonene「nevergreen」


 最近kamome sanoをほとんど聴いてなかったが久しぶりに聴いたらさすがといったセンス。ボーカルの声に合わせた音を作るのがうまいのと、アレンジがハイセンスなのは安定している。

●坂本真綾『Duets』、坂本真綾×内村友美「sync」
Duets
FlyingDog
2021-03-17


 はい、昨日が41歳の誕生日でした。おめでとうございました。ほんとどれも面白いんだけど、la la larks内村友美と組んだ「sync」がお気に入り。冒頭のピアノでやられる上に二人の声の調和が最の高。最の高だよ!

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 2月に続いて3月もよく読んだ一か月だった。だいぶ暖かくなってきたので、ウーバーイーツの注文を待ちながら公園のベンチで読書をするのが快適でよい。4月はここまで読めない気もするが、3月だけでかなり積読を崩せたので引き続き積読を減らしていきたい所存。


3月の読書メーター
読んだ本の数:32
読んだページ数:8924
ナイス数:83

知りたくなる韓国知りたくなる韓国
読了日:03月01日 著者:新城 道彦,浅羽 祐樹,金 香男,春木 育美
自閉症 成人期にむけての準備―能力の高い自閉症の人を中心に自閉症 成人期にむけての準備―能力の高い自閉症の人を中心に感想
やや古い本だが事例が豊富で面白く、切り口も実践的かつ引用が多く一冊で多くのものを得られる本。自閉症についての本ではあるが発達障害を伴わない知的障害やADHDなど他の近接する障害児・者への支援に有効な要素も多くあるのではと思いながら読んでいた。自閉症と精神疾患の関係については今読むものとしては情報が古いと思われる。(現在では発達障害を持つ人は一般の人より精神疾患を持つリスクが高いとされている)
読了日:03月01日 著者:パトリシア ハウリン
パリ環状通り 新装版パリ環状通り 新装版感想
ユダヤ系の父を探偵や刑事のように追い求める中で出会う人たちがいい意味でどうしようもない人たちばかりで小説としては面白い。世の中いい人ばかりでもないわけだが、人生を落ちていく過程ではそういう人たちと「出会ってしまう」のかもしれないと考えていた。
読了日:03月02日 著者:パトリック・モディアノ
こちらあみ子 (ちくま文庫)こちらあみ子 (ちくま文庫)感想
あみ子も七瀬も自閉的(そしておそらくあみ子には知的障害もある)なため家族や学校での人間関係や他者との双方向のコミュニケーションが成立しない。そしてそれを正確に認識できない二人の様を、今村夏子は容赦なく書き込んでいる。
読了日:03月03日 著者:今村 夏子
アメリカを動かす宗教ナショナリズム (ちくま新書)アメリカを動かす宗教ナショナリズム (ちくま新書)
読了日:03月05日 著者:松本 佐保
廃墟に咲く花廃墟に咲く花
読了日:03月06日 著者:パトリック モディアノ
人之彼岸 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5051)人之彼岸 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5051)
読了日:03月07日 著者:郝 景芳
専門医が教える 新型コロナ・感染症の本当の話 (幻冬舎新書)専門医が教える 新型コロナ・感染症の本当の話 (幻冬舎新書)
読了日:03月08日 著者:忽那 賢志
逃げて勝つ 投資の鉄則 大負けせずに資産を築く10年戦略逃げて勝つ 投資の鉄則 大負けせずに資産を築く10年戦略感想
マクロ経済学や金融論の理論的、統計的な裏付けが豊富で勉強になったが投資手法として新奇性のものはない。ただ何も考えずにひたすらつみたてましょうという手法のリスクを提示した上でコア・サテライト投資を推奨する点は説得力がある。実際に「逃げて勝つ」手法を実践するには正直一般投資家には難しいように思うが、投資ブロガーやyoutuberが書いた理論的裏づけが弱い自己流投資本を買うよりは本書の方がよほど参考になる。
読了日:03月09日 著者:田中 泰輔
光と私語光と私語感想
わせたんっぽかった。
読了日:03月13日 著者:𠮷田 恭大
中央駅中央駅感想
最後まで読んで改めて、男も女も固有の名前を与えられていない、架空だけどどこに存在していてもおかしくない存在として小説の中の世界を生きていたのだなと思う。現実と限りなく地続きな世界で、希望も未来もなく、刹那的にしか生きられない苦しさを、丹念に。
読了日:03月14日 著者:キム・ヘジン
倫理学入門-アリストテレスから生殖技術、AIまで (中公新書)倫理学入門-アリストテレスから生殖技術、AIまで (中公新書)感想
同じ著者の『倫理学の話』の方がより倫理学全体に対して入門的で、本書はむしろ応用倫理学の入門といった印象を受けながら読んだ。
読了日:03月14日 著者:品川 哲彦
親しい君との見知らぬ記憶 (ファミ通文庫)親しい君との見知らぬ記憶 (ファミ通文庫)
読了日:03月15日 著者:久遠 侑
カント『純粋理性批判』 2020年6月 (NHK100分de名著)カント『純粋理性批判』 2020年6月 (NHK100分de名著)感想
タネ本である純粋理性批判はまだ読み通せてないけど本書はなんとか読み通すことができた。カントの課題がフッサールヘ、そして現象学へと引き継がれてゆく流れのダイナミズムもまあなんとか把握できたといったところ。
読了日:03月16日 著者:西 研
暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出 (新潮文庫)暗い夜、星を数えて: 3・11被災鉄道からの脱出 (新潮文庫)感想
厚い本ではないが内容は濃い。震災を体験した者ではありながら外部の人間である著者の感受性がいかんなく発揮されている優れた一冊。COVID-19下の今読み返すと共通する感覚が多いことにも驚く。
読了日:03月16日 著者:彩瀬 まる
ドールドール感想
中学生男子とラブドールという組み合わせから予測できる筋を容易に飛躍していく展開の運び方がお見事でした。
読了日:03月16日 著者:山下 紘加
田舎の未来 手探りの7年間とその先について (SERIES3/4 4)田舎の未来 手探りの7年間とその先について (SERIES3/4 4)感想
同世代である著者の成長物語としては面白いが手法として新しいものがあるわけではないし、リチャード・フロリダや宇沢弘文の議論もこの領域では何周もされている話なので新味はない。途中で選挙では変わらないと言う話が出てくるが田舎をなんとかするのは田舎の政治や行政への視点はむしろ欠かせない(都会より官のセクターの存在が大きいため)のでそこへの着目がもっとあってもよかったはず。まあまだ若い著者なので、今後の展開がどうなるかは気にしていたい。
読了日:03月17日 著者:さのかずや
独り舞独り舞感想
3年ぶりに再読。前回はかなり雑な読みをしてしまっていたなと気づいた。この結末を希望的に受け取っていいのか、簡単に美しく死ぬことはできないことへの諦めを受け取っていいのかは難しいけれど、過去とは違う形で「現実に帰れ」というメッセージは重要かなと思う。つまり過去をずっとマイナスに引きずった状態で現実に戻るのではなく、修復的な形で現実に戻ることの可能性を検討することは、あってよいのだろうと思う。
読了日:03月18日 著者:李 琴峰
恋愛結婚は何をもたらしたか (ちくま新書)恋愛結婚は何をもたらしたか (ちくま新書)
読了日:03月18日 著者:加藤 秀一
介助の仕事 ――街で暮らす/を支える (ちくま新書)介助の仕事 ――街で暮らす/を支える (ちくま新書)
読了日:03月19日 著者:立岩 真也
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)
読了日:03月20日 著者:村上 春樹
地震イツモノート : 阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル地震イツモノート : 阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル感想
イラストが豊富で読みやすく、リアルな体験談が生々しく響く。家具の固定といった日常の防災から避難所の運営についてなど、ポイントポイントがしっかり押さえられて一家に一冊あっていいような本。
読了日:03月20日 著者:
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)
読了日:03月21日 著者:村上 春樹
「個人的なもの」と想像力「個人的なもの」と想像力
読了日:03月21日 著者:吉澤夏子
社会保障再考 〈地域〉で支える (岩波新書)社会保障再考 〈地域〉で支える (岩波新書)
読了日:03月23日 著者:菊池 馨実
人間の絆〈上〉 (岩波文庫)人間の絆〈上〉 (岩波文庫)感想
モームが同性愛者だったのではという話は文学史に明るくないので全然知らなかったけど上巻を読んでいると本質的に女嫌いなのかな?(女性に惹かれるがどこか侮蔑している気持ちもある)と思うやり取りも多いので、この辺が今後どう表現されるか気にしていく。 http://www.kankanbou.com/ireland/item_230.html
読了日:03月27日 著者:モーム
現代思想 2020年3月臨時増刊号 総特集◎フェミニズムの現在 (現代思想3月臨時増刊号)現代思想 2020年3月臨時増刊号 総特集◎フェミニズムの現在 (現代思想3月臨時増刊号)
読了日:03月27日 著者:菊地夏野,河野真太郎,田中東子,貴戸理恵,鈴木涼美,ヤマシタトモコ,瀬戸夏子
ハイウイング・ストロール (ハヤカワ文庫JA)ハイウイング・ストロール (ハヤカワ文庫JA)
読了日:03月28日 著者:小川一水
紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている感想
今読む価値のある一冊だった。
読了日:03月28日 著者:佐々 涼子
人間の絆〈中〉 (岩波文庫)人間の絆〈中〉 (岩波文庫)感想
パリでも画家見習いぐらしを終えてイギリスに戻り、ミルドレッドに振り回されながら医学生として過ごしていく日々。パリでの生活の居心地よさやノスタルジアには、時代は少し違うがヘミングウェイの『移動祝祭日』みを感じる。
読了日:03月28日 著者:モーム
人間の絆 下 (岩波文庫)人間の絆 下 (岩波文庫)感想
ミルドレッドと結ばれても互いに不幸になるだけだろうなと思いながら読んでいたが、結果的に二人が別れることを選択して別々の道に進み始めることでようやく青春期の恋愛が終わったと感じた。無事医者になり職を得たことも含めてようやく大人として独立することで、サリーとそれなりの関係が作れたのだろう。
読了日:03月30日 著者:モーム
東京日記 他六篇 (岩波文庫)東京日記 他六篇 (岩波文庫)感想
久しぶりに百間読んだけど文章に味わいがあってとてもいい。在りし日の東京、まだ路上に電車がいっぱい走っていたころの空気感は好き。
読了日:03月31日 著者:内田 百けん

読書メーター
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見:イオンシネマ高松東

 島本理生の書いた「ミステリー小説」である直木賞受賞作を堤幸彦が映画化するということでこれは絶対見たいなと思っていた。タイミング的に本作と『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を同日に見ることになったのだが、この映画だけでもうかなり大満足という気持ちを抱いた。どの役者も役柄を存分に演じていたことや、犯罪とそのカウンセリングを題材にした難しいイシューを正面から上手く取り上げたことをまず評価したい。

 この映画には心理学者である福島哲夫が監修に入っており、パンフレットにもコメントを載せているように、心理職が本作を見ても大いに楽しめることだろう。また、以下の原作レビューでも触れたが心理職であってもおそらく馴染みが深いとは言えない司法面接の場面が多く取り上げられていることも映画化する意味(一般の人が多く触れられるという意味で)は大きいと感じた。



 前置きが長くなったが、本作のために髪を切った北川景子や、「チャラいが有能」な弁護士をそのまま体現していた中村倫也、そしてメディアからサイコパスと揶揄された殺人事件の被疑者を芳根京子が非常にうまく演じている。ここで指摘したい上手さというのは演技の技術的な上手さというよりは、感情表現の上手さだ。

 北川景子は公認心理師の真壁由紀を演じるが、由紀は淡々とカウンセリングをするキャラではなく、どちらかというと情に入ってしまいがちなキャラでもある。本作の場合、彼女がなぜそこまで被疑者に肩入れするのかというところもミステリーとして重要な要素になっているので、純粋にカウンセラーとしてふさわしくないわけではない。むしろ弁護士と適宜連携して被疑者のカウンセリングを進める様子は有能だと言ってよいだろうし、クライアントに共感する能力も必要なことだろう(もちろん一線を引いた上で)。

 そのパートナーである弁護士、庵野迦葉を務めるのが中村倫也だ。有能さを自負したような自信と、その危うさを常にはらんでいる面白いキャラクターを演じつつ、クライアントに対して真摯すぎる由紀をセーブする役割を迦葉は担っている。二人の過去を適宜挿入する中で、社会人になった二人の間に残った禍根がどのように氷解していくかも見どころで、二人が感情をぶつけ合う様は鬼気迫るシーンが多い。

 そして、二人にとって重要なのが庵野我聞であり、演じる窪塚洋介だ。迦葉の義兄であり、由紀の夫でもある我聞は、映画の中では基本的に目立たない。「目立たないが、そこに確かに存在することが重要」という役割を、気づけばアラフォーになった窪塚が好演している。自分が前に立つのではなく、後ろあるいは誰かの横に「居る」という演技を窪塚がしているのは単純に面白いというか、役者の円熟味を感じる二時間でもあった。

 内容については原作をなぞりながらなんとか二時間に圧縮したなという形でまとまっている。映画で印象的だったのは、パンフレットで西森路代が詳しく触れているように映画を通じてフェミニズムの要素を浮き彫りにしていることだ。真壁由紀自身が結婚後もバリバリ働く女性であり、自宅でも仕事をするシーンが何度か描写される(そして自宅ではいつも料理をしたり妻を気遣う我聞を窪塚が好演している)こともその要素の一つだろうなと感じるし、その由紀と、芳根京子演じる環菜が共通して秘めている傷にしっかり向き合っていることが強く印象に残る。それくらい、由紀と環菜の面接の場面はインパクトが強く、かつとても繊細である。

 そして、性被害という傷を取り上げることである。島本理生は芥川賞候補にもなった「夏の裁断」でこのイシューを取り上げているし、引き続き関心のある題材であることがうかがえる。「夏の裁断」の経験があったからこそ、長編の中で、しかも二人分の過去の中に性被害とその傷を導入するという難しいことをやっているのだろうと感じた。

 映画の中でも傷を描き、そしてそこからの回復や癒しをどのように表現するかが、実は最も重要な要素となってくる。ゆえに由紀と環菜、すなわち北川景子と芳根京子の鬼気迫るようなコミュニケーションの応酬が素晴らしかった。どこまでが演技で演技でないのか分からないような、キャラクターが乗り移っているのではないかと感じるほど力強く、かつ繊細に演じていた芳根は本当に見事だったし、冷静と情熱の間を行き来して彼女を受け止めようとする北川の演技も同時に素晴らしかった。二人がそれぞれに役を強く演じることで相乗効果も生まれたのだろうなと、先に引用した舞台挨拶のコメントを聞いていると感じる。そして、とりわけ環菜が背負ってきた抑圧とか呪いとか傷とか、それらに大胆に切り込んで行く危うさも描きながら告発するまでの流れをダイナミックに描く様子はさすが堤幸彦である。

 原作から映画、映画から原作はどちらでもハマる映画だと思う。もう公開が終わった地域が多いかもしれないが、足を運べる人はぜひぜひという作品だ。

ファーストラヴ (文春文庫)
島本 理生
文藝春秋
2020-02-05


 本作は一年前にNHKでもドラマ化されており、こちらは真木よう子が主演している。こちらは見逃したがオンデマンド配信されているようなのでそのうちチェックしてみたい。


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見:イオンシネマ高松東

 上流と中流、東京と地方、外部と内部、結婚と独身。様々な構図をあえてテンプレート的に配置しながら、現代を生きる若い世代の人生を描いていく映画だと思った。群像劇という表現が適当かどうかは分からないが、日本に生きる現代の若者の一人としてはなかなか刺さるところが多い映画で(作中のキャラや俳優と年齢が近いせいもおそらくある)、他人ではなく知っている誰か、あるいはよく知らないけれどある時期近くにいた人(大学の同期とか)など、いろいろな顔や人生を思い浮かべながら映画を見ていた。

 ストーリーよりもまずは各俳優陣の演技が素晴らしくて、見入ってしまった。皆それぞれにキャラクターに忠実に役を演じており、言葉遣いや雰囲気、ちょっとした仕草だったり表情の作り方だったり、リアル以上にリアルな演技も多くあったようにも見えた。また、この年齢の山下リオなら独身バリキャリ路線の役もできるんだなとか、その山下リオが水原希子と交わすセリフのやり取りはどれもハマっていたと思うなとか、あるいは石橋静河が自由に生きるバイオリニストをやれるんだなとか、主演の二人(高良健吾&門脇麦)以外にも見所が非常に多いのは単なるキャスティングや役者の演技力にとどまらず、監督や演出の巧みさもあったのだろうと思う。

 他にも面白いところはいくつかあるが、高良健吾演じる幸一郎が最後まで本心をほとんど見せず(婚約者の華子に対しても、腐れ縁の美紀に対しても)にただただ「家の宿命」に従って生きる中で、美紀の前でだけは素を晒す構図はうまいなと思った。商業で実を成し、政界にも進出した家庭に生まれた幸一郎は、渋谷区松濤の上流家庭で生まれ育った華子とのデートは格の高い店が中心で、ドレスコードもしっかりキメている。ただ大学の同期である美紀と会う時はいつも大衆居酒屋でカジュアルな服装という構図が、学生時代の延長のような気楽さや気軽さを本当は自分も楽しみたい(堅苦しい関係の外部にも身を置きたい)という欲望が透けて見える。

 そうした感覚を、同じ上流であるはずの華子とは共有できず、逆に同じ大学に身を置いた美紀とは共有できてしまうのは、なかなか面白い。あらかじめ形作られた関係性を「演じる」ことしかできない華子との関係がやがて破綻するのも、そしてそれを静かに受け入れるのも、幸一郎の中にいくつもの逡巡があるゆえだろう。華子とも破綻し、美紀とも終局し、結果的に何も得られないのは幸一郎が長い逡巡の中で「選択できなかった」ゆえの罰なのかもしれない。

 幸一郎と美紀との間に身体の関係があったという描写はあるものの、それ以上深い関係にはならずに終わってゆく。逆に、浅い関係を長く続けることを二人ともが楽しんでいるように見えた。それは、「ありえたかもしれない別の人生」を幸一郎も、美紀も、二人ともが夢想していたようにも見えたが、やがて終局が訪れる。

 夢を見ることができる、あるいは学生時代のカジュアルな関係を続けられるるのは20代までで、30を過ぎると過去や夢を距離を置いて、「現実」を生きざるをえないという社会的圧力を、とりわけ幸一郎は背負っていたように思う。関係の終局を切り出すのは美紀からだが、この関係がいつか終わることを幸一郎はきっとどこかで悟っていたのではないかとも思えるのだ。家や社会からの圧力から逃れられないがゆえに。学生時代の関係にどこで終局を打つのかといったテーマは、『花束』と重なるところもあるかもしれない。




 『花束』は若い時代の恋愛とその挫折の話がメインで、恋愛関係にならない男女がほとんど出てこない。逆に本作『あのこは貴族』の場合は、幸一郎と美紀のように恋愛関係にならない男女関係や、女性同士の親密さ(華子&逸子、美紀&里英)とか、恋愛(や結婚)とは違う関係をいくつも描こうとしていたところが現代的で希望的だと感じた。誰にとっても、自分の人生は自分で選択できるはずだから。もちろんそれぞれの人生に待ち受ける困難さから逃れるのは難しい。様々な葛藤があり、もがきながら生きていく様は、現代を生きる若い世代にとっては他人事ではない。だからこそ、この映画が提示した様々な人生のロールモデルは、同世代にとって希望的に見えるのだ。
 
 最後になったが、現在31歳独身で、かつ恋愛関係に発展しない関係を長く続けている身としては『花束』よりもこの映画のほうがグサグサ刺さる感じでございました。仮に近い将来終局が訪れたとしても、その選択を受け入れた上で、自分の人生の続きを生きていきたい。

あのこは貴族 (集英社文庫)
山内マリコ
集英社
2020-07-03



※補足

 一つだけ、映画の序盤に「階級」と「階層」を区別せず使っている場面があったが(どんなシーンかは忘れた)ここはツッコミを入れたい。マルクス主義的な文脈を強く持つ「階級」と、社会構造を客観的に観察、分析する際に利用する「階層」は分けて使いたい。
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 2月も比較的体調が良好で(ただ花粉症、おめーはだめだ。今年は早すぎる)20冊読めてよかったと思います。数が重要とは言えないけど積読をしばらくガンガン崩していいきたいので(買った本や図書館本も↓のリストにはいっぱいあるけど)。

2月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6370
ナイス数:38

かかかか
読了日:02月02日 著者:宇佐見りん
教室が、ひとりになるまで (角川文庫)教室が、ひとりになるまで (角川文庫)感想
私はプラトンでもカントでもベンサムでもロールズでもないという台詞が挿入される青春ものミステリー。青春の苦味がどろっどろに詰まっている中で読み進めていくしんどさは多少あったけど事件の結末と終章で救われる。ニーチェ由来の終章であんなに優しい終わり方をするとは。これも青春の一つの形。
読了日:02月03日 著者:浅倉 秋成
生まれ変わり (ケン・リュウ短篇傑作集5)生まれ変わり (ケン・リュウ短篇傑作集5)感想
「介護士」がよかった。収録作の中では短い方の部類だが、短い中に優しさと哀しさが適度なバランスで同居している。
読了日:02月04日 著者:ケン リュウ
本物の読書家本物の読書家
読了日:02月05日 著者:乗代 雄介
手の倫理 (講談社選書メチエ)手の倫理 (講談社選書メチエ)
読了日:02月05日 著者:伊藤 亜紗
神々は繋がれてはいない (ケン・リュウ短篇傑作集6)神々は繋がれてはいない (ケン・リュウ短篇傑作集6)
読了日:02月08日 著者:ケン リュウ
リベラルとは何か-17世紀の自由主義から現代日本まで (中公新書)リベラルとは何か-17世紀の自由主義から現代日本まで (中公新書)
読了日:02月11日 著者:田中 拓道
現代思想2021年2月号 特集=精神医療の最前線 -コロナ時代の心のゆくえ-現代思想2021年2月号 特集=精神医療の最前線 -コロナ時代の心のゆくえ-
読了日:02月11日 著者:斎藤環,東畑開人,松本卓也,黒木俊秀,貴戸理恵,古橋忠晃
アマゾン化する未来 ベゾノミクスが世界を埋め尽くすアマゾン化する未来 ベゾノミクスが世界を埋め尽くす
読了日:02月16日 著者:ブライアン・デュメイン
公正としての正義 再説 (岩波現代文庫)公正としての正義 再説 (岩波現代文庫)
読了日:02月17日 著者:ジョン ロールズ
月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)感想
シア・ジアやハオ・ジンファンを読みたくて読んだが、宝樹の「金色昔日」が素晴らしい現代史とSFのミックスだった。兼業作家やネット出身の小説家が多いのは今風で、修士や博士号持ちの高学歴が多いのはやはり現代の中国作家の特徴かな。
読了日:02月18日 著者:劉 慈欣
所有と国家のゆくえ (NHKブックス)所有と国家のゆくえ (NHKブックス)感想
ここで議論されている分配や平等、あるいは市場や国家に対する認識とその微妙なズレは現在にも引き次がれている要素が大きいだろうなと思うし、現代的な資本主義へのみたいな話はいつの時代もされているわけだよなと再確認した。
読了日:02月20日 著者:稲葉 振一郎,立岩 真也
倫理学の話倫理学の話感想
あとがきにも書かれているが終始誰かに語りかけるような文体で、しかししっかりと倫理学的な議論が論争を扱っていく。扱う順番が著者独特ではあるが、後半に正義論をロールズとノージックから検討したあとに共同体主義を経由してギリガンのケアの倫理やレヴィナスやデリダといったフランス現代思想に展開する様はなかなか面白い。ギリガンの主張はまだ堅固な理論ではないが従前の正義論た功利主義の弱点をつきながら現代的な視点を提示しているのは確かで、そこはちゃんと見ていくべきかもしれない。
読了日:02月20日 著者:品川 哲彦
安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)感想
今読むと後の進化心理学や行動経済学の議論をさまざまな先行研究や社会実験を通じて先取りしていることがよくわかる。先取りというよりすでにあった議論の援用と言うべきかもしれない(非合理な行動への評価とか)し、他方で右脳と左脳の実験等やや古いネタは出てくるけど、後半に統計的差別が存在する社会においてはそれに適応する人が生き残るのであって、個人や心の問題ではないという話は現代でも重要でしょうね。
読了日:02月21日 著者:山岸 俊男
移民と日本社会-データで読み解く実態と将来像 (中公新書)移民と日本社会-データで読み解く実態と将来像 (中公新書)感想
移民の問題と語られるものは日本社会の構造的な問題が顕在化していることが多い(労働、教育、さまざまな差別意識など)との仮説はすでに持っていたが、そうした仮説をあらゆる角度から計量的、統計的に分析した意欲的な一冊。あとがきにもあるようにこうした量的な研究はアメリカはヨーロッパが主流で、日本のデータや研究はまだまだ少ないのが現実だろう。日本で暮らすみんなにとっての社会を良くしていくために、この分野での量的研究の進展を期待したい。
読了日:02月22日 著者:永吉 希久子
手話の学校と難聴のディレクター ――ETV特集「静かで、にぎやかな世界」制作日誌 (ちくま新書)手話の学校と難聴のディレクター ――ETV特集「静かで、にぎやかな世界」制作日誌 (ちくま新書)感想
ETV特集のドキュメンタリーもかなり面白かったが、その裏側が豊富に記述されているこの本のアプローチも素晴らしい。教育というのは自尊心を育むこと、そのために手話を母語として習得させ、コミュニケーションや自己表現を活発化させようとしているのだろう。番組Pからサンクチュアリという表現をされているように、社会の中でマイノリティなろう者の生存戦略を授けるためのサンクチュアリでもあるのだろうと感じた。かつての健常者への同化政策的な方法への抵抗が、非常に魅力的な教育空間を生んでいる。
読了日:02月23日 著者:長嶋 愛
僕が殺した人と僕を殺した人 (文春文庫)僕が殺した人と僕を殺した人 (文春文庫)感想
約3年ぶりに再読してああこういう小説だったのだなと感じる。
読了日:02月24日 著者:東山 彰良
吃音の世界 (光文社新書)吃音の世界 (光文社新書)
読了日:02月24日 著者:菊池良和
移民の経済学-雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか (中公新書)移民の経済学-雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか (中公新書)
読了日:02月24日 著者:友原 章典
郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)
読了日:02月27日 著者:郝景芳
ファーストラヴ (文春文庫)ファーストラヴ (文春文庫)
読了日:02月27日 著者:島本 理生

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 この二か月相場が上がったり下がったりを繰り返していたのでこの機会に銘柄の入れ替えを実施した。これ以上あまり頻繁にいじるメリットはないように思うので、今後入れ替えるとしてもほどほどにしたい。
 前回までは保有資産額も書いてたけど順調に増えていて怖いので今後は書きません。ただポートフォリオは備忘録にもなるので書いておいたほうが自分のためになると思って気まぐれで記録していきます。

◎日本株
・日本M&Aセンター[2127]
・エムスリー[2413]
・武田薬品工業[4502]
・信越化学工業[4063]
・ソニー[6758]
・トヨタ[7209]
・シマノ[7309]
・バンダイナムコHD[7832]
・任天堂[7974]
・東京エレクトロン[8035]
・イオン[8267]

 ヘルスケア株を整理してエムスリーと武田だけに。ヘルスケアセクターはアメリカ株でも多く買っているので日本株で買い増す必要はあまりないのではという気持ちになったのと、景気回復に従ってこのセクターはおそらく今後あまり強く上がらないだろうとの予測があるから(アメリカの場合回復期も後退期も元気なのですごいなと思うけど医療制度が全然違うので適切な比較にはならない)。
 オリックスも売却。新規でイオン、トヨタ、日本M&Aセンターを買付。トヨタは予定通り。イオンは将来的には株主優待がもらえるまで増やしてもいいかな〜と思う。あとどこかでホンダを買いたい。(自動運転技術の進展に少し賭けてみたいので)
 

◎不動産個別株
・パーク24[4666]
・JR東日本[9020]

 買い付けから半年以上マイナス圏だったパーク24がついにプラスに転じる。個別株では唯一100株保有の銘柄なので早く優待も復活してほしい。
 JR東日本を新規で。前から狙っていたが最近いい具合にチャートが上向きなので、そろそろ行っておこうかなと。セクター的には運輸だけど各JRの中でも大量に不動産を保有している銘柄なので不動産株に位置づけ。

◎ETF
・iSharesS&P500[1655]
・MAXISオールカントリー[[2559]
SMH
SPXL
VIG
VHT
VYM
XLK
XLV
XLY

 DGRWとXLUとQQQを売却。新規でMAXISオールカントリー、VIG、VYM、XLKを購入。VIGとVYM
 その他SPXLとSMHを買い増し。半導体需要はまだまだ堅調で在庫不足が指摘されているくらいなので、この二つを軸にセクター株ETF4種を適宜買っていく感じにしたいい。
 QQQはワンタップバイで少しずつ買っていたがだんだん面倒になってきたので投資信託の積立(ifreeQQQとeMaxisQQQ)でいいのではという気持ちになったので整理した。

◎投資信託
eMaxis Slimオールカントリー
eMaxis Slim S&P500
eMaxisQQQ
ifreeQQQ
ifreeレバレッジQQQ
SBIVOO
楽天VTI

 楽天USAを売却して1月から取り扱いの始まったeMaxisQQQを積立で買い付け。楽天USAは債券部分が分厚いがもう債券の季節ではなくなってきたのでここらでいいかなと。QQQは本体を売ってeMaxisとifreeで積立していくことにする。

 ETFと投資信託合わせて70%程度の割合にしたいので、現状(62%)から見るとまだ少ないので買い足してよい。

◎個別株(アメリカ)

・ダナハー[DHR]
・HCAヘルスケア[HCA]
・サーモフィッシャー・サイエンティフィック[TMO]
・テラドック[TDOC]
・アドビ[ADBE]
・クラウドストライク[CRWD]
・オクタ[OKTA]
・ロク[ROKU]
・Amazon[AMZN]
・Shopify[SHOP]
・イントゥイット[INTU]
・ペイパル[PYPL]
・スクエア[SQ]
・ネクステラ・エナジー[NEE]

 ZTS、TSLA、JPM、CWENを売却。新規でNEE、HCA、TMO、SHOP、INTU、ROKUを買付。新規は全部ワンタップバイ。HCAとSHOPとINTUは買い戻し。SHOPは高値を付けた後決算後に下落基調なのでナンピンでいろいろ買っている。ROKUも前から狙っていたがここ最近かなり安い水準になったので。

◎その他(REIT/BDC/暗号通貨)
・iShares米国不動産ETF[IYR]
・グローバルX SuperDivinded REIT[SRET]
・不動産セレクトSPDRファンド[XLRE]
・NFJリート[1343]
・iSharesJリート[1476]
・エイリス・キャピタル[ARCC]
・メイン・ストリート・キャピタル[MAIN]
・ビットコイン[BTC]
・イーサリアム[ETH]

 IAUを売却。新規はなし。景気回復の影響かREITとBDCがいずれも好調。暗号通貨はもっと絶好調暗号通貨はポートフォリオの1%にしましょうと誰かが言ったらしいけどたまたま1%になった。3%くらいまでは増やすかも。

 以上。できればあまりいじりすぎず淡々とやっていきたいが新しい投資信託とかワンタップバイ(現Paypay証券)の新規取り扱い銘柄とかはどうしてもチェックしてしまうな〜という気持ちである。ぼちぼちやっていきましょう。
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見:ホール・ソレイユ

 「ストリップ劇場」という、名前は知っているけれど実情をよく知らないものをどう描いたのだろうという興味本位で見て来た。去年の冬に広島に滞在したことがあり、この映画の舞台になっている流川〜薬研堀界隈や横川界隈を懐かしく眺めた。『お嬢ちゃん』を見た横川シネマも一瞬だけ映画に登場しており、おお!となったがそれはつまりそのままスクリーンの中に感情が投影されていくという、幸せな経験でもあった。

 見た順番は前後するがこの前書いた『花束みたいな恋をした』はまさに青春時代の恋愛を人生の一幕に押し込めるまでの物語だったが、本作も青春時代の恋愛が奇跡的な美しいものとして描かれるのは似ているかもしれない。「ヌードの殿堂 広島第一劇場」でアルバイト(というか小間使いに近いが)を始めたばかりの信太郎と、その彼が恋に落ちたストリッパー、サラとの美しい関係。サラは踊り子で、信太郎は従業員のため、二人の関係が成就することはない(踊り子に手を出さないのも信太郎の雇用条件の一つであったため)。それでも、「友達なら」ということで始まった二人の関係は、少しずつ変わってゆく。

 それを、おそらく30年ほど経った現代の視点から振り返るので、現代と過去が常に交錯するような映画になっている。現代から過去を回想しているというよりは、画面上では常に交互に展開されるため、見ている側はいまいったいどの時間軸にいるのだろうかと、感覚が揺らぎながら映画を見つめることになる。そして、映画を通して二人の人生を見つめることになるのだ。

 過去の信太郎を演じる犬飼貴丈も、現代の信太郎を演じる加藤雅也もどちらも名演をしていて信太郎そのものになっているのだが、それ以上に行定勲監督のポルノ作品『ジムノペディに乱れる』でブルーリボン新人賞を受賞した岡村いずみが最初から最後まで素晴らしい。

 彼女は過去に登場するだけでなく、現代でも繰り返し信太郎の前に現れ、そして消えていく不思議な女性を演じている。しかしこれに気づいたのは映画を見た後にパンフレットを開いてからであって、まったく気づくことができなかった。サラというストリッパーを演じるだけでもすごいことだが、異なる時代の、異なる女性を演じきった岡村いずみの魅力というか魔力みたいなものに、取りつかれてしまう映画だ。

 そして、現代版でもう一人重要な存在が現役ストリッパーでもある矢沢ようこ演じるようこだ。実質的に、彼女は「リアルなストリッパー」として、そして平成〜令和へと時代を刻んできた踊り子として、スクリーンで名演を披露する。22年のキャリアを持つ彼女は、現実の広島第一劇場でのステージ経験も持つ存在だ。ここでもまた、現実と虚構が混ざりあい、不思議な時空間が展開されてゆく。

 映画制作時にはまだ存続していた劇場も、映画が完成した後に閉館している。まさに、夢のような時間が終わるまでを閉じ込めたこの映画は、劇場に関わった多くの人の青春をも閉じ込めた、素敵な空間だったに違いない。
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見:イオンシネマ高松東

 すでにいろんなところでいろんな人がこの映画の話題をしており、批評的な言説も多く見かけるのであえてこの映画について触れなくてもいいかなと思ったが、せっかくなので他の人があまりしていない(ように見える)話題を少し振ってみようかなと思う。むしろ似たような話をしている人がいたら教えてほしい、読みに行きます。


◆1.結婚に至らなかったカップルとして描かれる麦と絹

 上記の140秒の予告編を見てもわりとはっきりと分かるように、「人生における奇跡的な時間」を映画にしたのが本作だ。その奇跡的な時間は20代前半の学生時代に始まり、20代後半、アラサーと呼ばれる年齢に差し掛かるころに終わっていく。ある意味、この二人のような関係性は珍しくないだろう。いまの日本において、平均初婚年齢は男女ともに30歳前後で、結婚までの平均交際期間は2,3年である。20代前半のうちに結婚するカップルの多くは学生時代の交際を継続させたカップルだ。

 以上を踏まえると、もっと早い段階で結婚というアプローチを考えていれば、映画の麦と絹の関係性は変わったかもしれない。逆に言うと、その選択をとらなかった、あるいは考慮することすらなかった二人にとって「結婚するカップル」から乖離していくのが交際期間5年の後半部分だったのかもしれない。ゆえに、つまりいつか終わってしまうがゆえに、「奇跡的な5年間」だったと言えるのだろう。(もちろんここには壮大な皮肉が効いている)


◆2.COVID-19を経験しなかった麦と絹

 その上で、この映画は二人が別れた後の描写もわずかながら挿入している。二人の恋愛は2015年に始まり2019年に終わる(つまり2010年代と一緒に終わる)が、2020年として挿入されるシーンでは二人にそれぞれ新しい恋人がいて、一緒に過ごす様子が描かれている。現実世界とリンクしている映画なので、奇しくもCOVID-19が世界を覆う前に関係が終わり、COVID-19が世界を覆うころに新しい恋愛を始めているのは、麦と絹それぞれの人生にとっては幸福な出来事なのかもしれない。

 ただでさえ破綻した同棲生活の中にCOVID-19によるストレスがやってきたらその生活はかなり悲観的なものだろう。イベント会社に勤務している絹はCOVID-19下におけるイベント自粛の影響をもろに受けるだろうし、派遣社員という立場である絹は大きく影響を受けるだろう。雇用調整助成金を使って派遣元が派遣社員の雇用を継続してください、と厚生労働省が周知するようになったのは2020年6月のことだが、それ以前に絹が派遣元から解雇されているか、自宅待機を命じられて強いストレスがかかっている可能性は高い。

 逆にECによる物流関係の仕事をする麦は、以前より仕事がハードになっているはずだ。巣ごもり需要やテレワーク需要の恩恵を受ける物流業界は、以前からあった人手不足に拍車がかかっている。ただでさえ終電帰りも珍しくなかった麦の業務はさらに過酷になっていることだろう。

3.アベノミクス下における二人の労働スタイルの差異

 ネットを見ていると多くの人が労働の問題を指摘している。労働によって麦の精神と可処分時間がすり減っていき、漫画や小説に触れるエネルギーが削られ(パズドラしかできないんだよというセリフは象徴的である)、絹とのコミュニケーションもじわりじわりと減っていき、大きな断絶が二人の前に生まれていく。

 しかし、これはあくまで麦側の視点であり、絹側の視点ではまた違った労働の様子が描かれる。二人とも新卒カードを捨てて既卒で就職を果たしているが、これは2014年以降、第3次&第4次安倍政権下のアベノミクスによる景気回復や求人の回復による恩恵を受けた様子がうかがえる。仮にこれが2010年代前半、まだリーマンショックの余韻が大きく残る時代であるならば、新卒カードを捨てるという決断はかなり大きな決断だったはずだが、「人手不足」や「売り手市場」が叫ばれるようになった2010年代後半だからこそ麦と絹は新卒カードを捨てることに大きな抵抗がなかったのかもしれない。

 これはアト6で宇垣美里が指摘していたことだが、こうした状況にも関わらずなかなか就職できない麦は確かにかなり要領が悪い。しかし、絹はユーキャンの通信講座で簿記2級の資格を獲得し、あっさり就職を果たす。そして数年後、あっさり転職を果たすのだ。「好きなことを仕事にする」ための、クリエイティブ労働に。(これは麦が一度志したが、挫折したタイプの労働でもある)

 ちなみに二人が出会った2015年は女性活躍推進法が制定された年でもある。これは推測だが、地方出身で一人暮らしの麦よりも、都内在住で広告代理店勤務の両親のもとで暮らす絹の場合、政治との距離もおそらく違う。安倍政権と広告代理店最大手である電通との関係は度々指摘されてきたが、「女性活躍推進法」という、政治的に女性の雇用環境を改善したり、雇用機会を確保していこうという文脈の中に、広告代理店勤務の両親が何らかの形で関わっていてもおかしくはないだろう。そして絹は、食事中の会話の中などで仕事の話題を耳タコになるほど聞いていたはずだ。

 こうした二人の違いは、ECによる物流支援という一見新しい仕事に見えるが実は日本的雇用慣行を推進力にしたような会社に勤める麦と、イベントを主催したりプロデュースしたりする会社に派遣社員として勤務する、いわばクリエイティブ労働をする絹の価値観の差異になって描かれる。社会人になってからの二人は差異ばかりが際立っていくが、それは労働そのものの問題というより、労働のスタイルの差異から生まれる人生における価値観の差異の問題だと受け止めた。労働自体が問題なのではなく、そこからくる二次的なあれこれが問題なのだ。

 もっと言えば、その差異を二人がそれぞれ受け止めることができなかったことが、恋愛関係の破綻にもっともつながったのだと解釈している。二人の場合、「気が合う趣味が多い」というところから関係が始まっているため、コミュニケーションの断絶に対して初めから耐性がなかったのかもしれない。つまり、「自分たちは似ている」が「自分たちはあまり似ていない」になったときに、それでもいいよねと受け止めるか、あるいはコミュニケーションを繰り返して「いかに自分たちは似ていないのか」を受容していくプロセスがあれば、二人の関係そのものが違ったのかもしれない。

 しかし不幸なことに、可処分時間が十分にない麦にとっては、絹とのコミュニケーションすら拒むシーンが度々登場する。友人をきっかけに転職を果たすなど、もともとがコミュニカティブな絹と違い、不器用で要領の悪い麦は、仕事のこと以外を考える精神的な余裕もなかったのだろう。であるがゆえに、先ほど書いたようなもっとコミュニケーションしていれば、というのは永遠に反実仮想なのだろうと思う。だから二人が破綻するのがいつなのかを、見守るしかなかった。

 ちなみに絹が先に読んでいた滝口悠生の『茄子の輝き』を麦が読んでいれば結果は違ったかもしれない。けれどきっと麦は読んでいないだろう。ちなみにこんな小説です。




4.ポストモダニティな群像劇としての『花束』

 こうした『花束』の人間関係の描き方は、つまるところ徹底的にポストモダニティであるな、とも思うのだ。以前noteで書いたこの文章があるので少し引用してみたいが






 三浦玲一は上記の書籍の中で、ポストモダンとグローバル化の進展が、文化の中で、とりわけハリウッド映画におけるヒーローの描き方の中によく表れていると分析している。noteにも書いているが、映画の中では「主人公の恋愛の成就や家族の平穏といった、個人的な問題が前面に出される」のである。

 麦も、ある時から結婚とか家族といった夢を語るようになる。同期が結婚したから、といった身近な話題からその夢想は始まるが、自分の労働はそういった家族の形成という、個人的で親密圏的な空間の形成といったベクトルにまっすぐ向かうための手段として労働を受け入れている様が見える。逆に言うと、これは徹底的に家父長制モデルの反復でもある。つまり、古いものを古いままアップデートしようとしているがゆえに、絹とのコミュニケーションが破綻するのだ。社会人になってからも絹とのコミュニケーションを重ねていれば、こうした古いモデルを反復することもなかったかもしれない(しかしそのルートは存在しない)。

 他方で絹の場合、資格を手に入れて働くというこれもやや古いモデルからスタートするが、後半は「自己実現のための、やりたいことをするための労働」といった現代的な価値観へとアップデートしていく。もちろんここには「でも待遇はちょっと悪くなる」という現代的な資本主義が顕在化しているとも言えるが、いずれにしても古いモデルのままもがく麦よりは、時代に適応しながら自己実現していこうという絹の方が、希望的に見えるのは確かだ。(もちろん、時代に呑まれてしまう恐れも大きいし、2020年のCOVID-19はまさにその一つと言えるだろう)

 麦と絹がそれぞれ別れを告げるのは、かつて二人が懇意にしていた、それこそクリエイティブ労働を経験したであろう女性の結婚式の後だ。最後のファミレスで登場する若いカップルよりも、個人的にはこの「結婚という一つのゴールにたどり着いたクリエイティブ労働を経験した女性」の存在こそが、麦と絹の二人の恋愛の反実仮想として描かれたものだったのではないかと受け止めている。

 奇跡的な恋愛が、現実的な人生の一幕として幕を閉じるのか、あるいは奇跡は奇跡として、青春の記憶に葬っていくのか。この映画ではいろいろな人生の行き先が提示されているように見えて、しかし「ルート分岐なんて存在しない」のが人生だということも、残酷に突きつけている。



 それでも個人的にはこの映画はそう悲観的なものでもないと見ている。なぜなら二人はすでに次のステップへと進んでいるからだ。不器用な麦はまたどこかのタイミングでコミュニケーションの断絶を経験してしまうかもしれないが、コミュニカティブで器用な絹は、奇跡的な恋愛を反省にしてコミュニケーションの断絶を乗り越えられそうな気もする。いずれにせよ、二人の人生は20代前半からアラサーへと続き、やがて30代になっていく。人生が続いていく限り、恋愛はまたやり直すことができる。例え奇跡が終わっても、「人生はまだ続く」こと自体は希望的に受け止めていいのではないかと、すでに30代になっていまった自分としては思うのだ。
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1月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6723
ナイス数:50

リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか (講談社現代新書)リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか (講談社現代新書)感想
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1984年に生まれて (単行本)1984年に生まれて (単行本)
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大都会の愛し方 (となりの国のものがたり7)大都会の愛し方 (となりの国のものがたり7)
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NHK「勝敗を越えた夏2020~ドキュメント日本高校ダンス部選手権~」高校ダンス部のチームビルディング (星海社新書)NHK「勝敗を越えた夏2020~ドキュメント日本高校ダンス部選手権~」高校ダンス部のチームビルディング (星海社新書)感想
むちゃくちゃ面白かった。登場する一人一人の熱量がすごく、ダンスやチームへの向き合い方が美しい。もちろんいい話ばかりじゃないししんどい話も多々あるがそういった青春の苦みも含めて高校生ならではの熱量が成せる業だと思う。青春が終わった後である各校OGへのインタビューが短いながらも挿入されていることで高校ダンスがいかような経験だったのか?を相対化させることに繋がっていたのも面白かった。高校を卒業しても人生は続く。だからこそ3年間の短い時間は美しく眩しく映る。
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20世紀アメリカの夢: 世紀転換期から1970年代 (岩波新書)20世紀アメリカの夢: 世紀転換期から1970年代 (岩波新書)
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コロナ禍日記 (生活考察叢書 1)コロナ禍日記 (生活考察叢書 1)
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かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集 (残雪コレクション)かつて描かれたことのない境地: 傑作短篇集 (残雪コレクション)感想
たぶん初残雪。こういうスタイルの小説を書くのか〜と思いながらそれぞれの短編中編を味わった。
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グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀 (シリーズ アメリカ合衆国史)グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀 (シリーズ アメリカ合衆国史)感想
トランプの4年間に先鋭化して顕在化した分断はいったいどこからやって来たのか、それを辿るためにニクソンの時代からレーガン、クリントンの時代を経てアウトサイダーたるオバマとトランプで締めくくるという現代史の通史。大統領選挙の後になって読むと、これからのバイデン時代の政治の困難さがよりリアルなものとして理解できる。
読了日:01月18日 著者:古矢 旬
生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書)生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ! (筑摩選書)感想
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フランクリン・ローズヴェルト-大恐慌と大戦に挑んだ指導者 (中公新書, 2626)フランクリン・ローズヴェルト-大恐慌と大戦に挑んだ指導者 (中公新書, 2626)
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新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 (日経プレミアシリーズ)新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 (日経プレミアシリーズ)
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待ち遠しい待ち遠しい
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雨の降る日は学校に行かない (集英社文庫)雨の降る日は学校に行かない (集英社文庫)感想
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20世紀ラテンアメリカ短篇選 (岩波文庫)20世紀ラテンアメリカ短篇選 (岩波文庫)
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巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)
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韓国社会の現在-超少子化、貧困・孤立化、デジタル化 (中公新書 (2602))韓国社会の現在-超少子化、貧困・孤立化、デジタル化 (中公新書 (2602))感想
この本でもキム・ジヨンの引用がされているが韓国文学を読む上で韓国の社会状況を理解するための良い副読本かなと感じた。就職の問題、教育の問題や保育の問題などは、永遠に解決されそうにない高い未婚率と低い出生率と直接リンクする。あと2010年代のフェミニズムの盛り上がりと対称的になっている「取り残された人々」的な若い男性の不満や反フェミニズム精神の根深さにも目を向けないと、男女間の分断は広がるばかりだろうとも改めて感じた。かといって兵役を止められないのはジレンマでしょうね。
読了日:01月30日 著者:春木 育美

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